メインコンテンツへスキップ
見出し画像

《魔女のハーブは、あんまり甘くない》 セーラと星の黒猫 Episode1ー2

    AONO

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

                                       <2>

    きらめく星空のした。

    わたしとアリスは 、ハミングしながら夜道を歩いていた。

    アリスは、黒猫を腕にだいて、ずっと、にこにこだった。

    「おねーちゃん、この子、すっごいカワイイよ」

    アリスが、黒猫をだきながら、ほほえむ。

    わたしは、うなずいて、アリスに笑みをかえす。

    「でも、この子のことは、まだ、だれにもいっちゃ、だめだよ」

    わたしがいうと、アリスは「もちろん」といって黒猫にキスをした。

    家の庭のまえにくると、明かりは、消えたままだった。

    「あ、まだ、クリスは、帰ってないみたいね」

    わたしはそういったあと、はっとして、うえを見ると、庭のにれの木のえだに、ふくろうがとまっていた。

    「え、ふくろう⋯⋯?」

    まっ白なからだをした、小さなふくろう。
    赤い目を、じっと、わたしたちにむけていた。

    「⋯⋯?」

    星が、きらりと光った。

    すると、ふくろうは、翼をひろげ、星空に飛び立っていった。

    「⋯え?」

    わたしは、しばらく、星空をながめていた。

    「おねーちゃん、なにしてるの。ぽかんとして?」

    アリスが、ふしぎな顔で、きいてくる。

    「う、ううん、なんでもないよ。はいろ」

    わたしとアリスは、家にはいると、ソファの上に黒猫をそっとおいた。

    「ああ、そうだ。ミルクを、飲ませようよ」

    わたしは、ひとさし指を暖炉にむけた。

    ぼっ、と小さな音をたてて、暖炉の薪に火がともる。

    パチパチと、薪がもえる心地よい音が、部屋にひびいた。

    「おお、さすが。もう、その魔法は使えるんだね」

    アリスがいうと、わたしは笑って、ミルクの瓶がはいった小さい鍋を、火のなかにいれた。

    「そりゃあ、魔女になるんなら、これくらいは当然よ」

    ミルクの瓶が、あったまりはじめた。

    「ね、この子は、星からの贈り物だよ」

    アリスが、黒猫のからだを、そっとなでながら、幸せそうにつぶやく。

    「あ、もう、あったまったみたいね」

    わたしがいうと、アリスはミルクの瓶をとって、黒猫の口に、さきをつけた。

    黒猫が、こくこくと、愛らしい動きでミルクを飲む。

    「ふふ、そうとう、お腹すいてたんだね」

    わたしがいいおわると、瓶のなかのミルクが、ほぼなくなっていた。

    「でも、お父さんたちには、ゼッタイないしょね。黒猫は、ダメっていってたから」

    わたしがいうと、瓶のなかのミルクがなくなった。

    「うん、わかってるよ。でも、そんな迷信なんて⋯」

    黒猫が、アリスの手のなかで、眠りはじめた。

    「こんなカワイイ子がダメなんて、なに考えてるんだろうね、ほんとに」

    アリスは、黒猫の顔を見ながら、つぶやく。

    「でも、お父さん、いまスラムエリアに行ってるんでしょ?」

    「うん。ほら、いま世界のはてのほうから、黒い大地がひろがってるからって」

    わたしは、いいながら、空になった瓶をうけとる。

    「スラムエリアが、いま、危ないんだよね? だから、クリスは、お医者さんになって、困ってる人を助けたいっていってた」

    アリスが黒猫に、もう一度、キスする。

    「人を助ける、か。そういえば、この本にも書いてあるね」

    わたしは、魔女のきまりを、ペラペラとめくった。

    <すべての魔法は、人を助けるためにある>

    と最初と最後のページに明記されていた。

    「ただいまー」

    クリスが、かえってきた。
    わたしは、玄関に顔をだし、愛しい弟をみた。

    「ああ、クリス、おかえりなさい」

    わたしがいうと、クリスは、にこりとわらい、医学の本が入ったバックを床におく。

    「つかれたでしょ。いま、ハーブティーをいれるから座ってて」

    「おお、姉さん、ありがとう。じゃ、そうさせてもらうね」

    クリスは、ソファのアリスのよこに、すわる。

    「こんな時間まで、おつかれさま」とアリス。

    アリスとならぶと、髪型いがい、ほんとにそっくりだ。

    女の子みたいな、きれいな顔立ちと、長い足。

    もちろん、女子からは、とても、もてる。

    ブラコンの私は、むしょうに抱きしめたくなるときがあるが、クリスは、それを恥ずかしがる年ごろみたいで、最近は、なかなかスキをみせない。

    ーこれが、思春期というものか。

    「あれ、どうしたの、その黒猫?」

    クリスが、アリスの手のなかの黒猫を見て、おどろきの表情になる。

    「今日から、あたらしい家族になったから」

    アリスは、にこりと、こたえる。

    「え、ええ? で、でも、父さんと母さんは?」

    クリスが、アリスの顔を見る。

    「だいじょうぶよ。あたしが、なんとかしてみせるから」

    アリスが、平然とこたえる。

    「そ、そうなのかい⋯?」

    わたしは、クリスのまえに、ハーブティーをおく。

    「だって、この子は、星の子だから」

    クリスが、不思議な顔をしていると、コンコン、とドアをたたく音がした。

    ーだれだろう。
        もう、夜なのに。

    わたしは、ドアをあけると、小柄なスーツ姿の女性が立っていた。

    メガネをかけているが、顔立ちは、すごい美人だ。

    「ブライトさまの、ご家族のかたでしょうか?」

    女性が、ととのった声をだす。
    お父さんの名前だ。

    「はい、そうですが。なんでしょうか?」

    わたしは、女性を玄関のなかに、まねきいれた。

    「私は、街の広報担当の者ですが、これを、ご覧ください」

    女性が、ちらしを、わたしのまえにひろげた。

    「え⋯?」

    わたしは、声をあげそうになった。

    <黒猫を、街に、いれないようにしましょう>


    と大きなタイトルがデザインされた、ちらしだった。

    「こ、これって?」

    わたしは、どきっ、とした。

    わたしが目で合図すると、アリスが、いそいで、黒猫を奥の部屋にだいていく。

    「あわわ⋯」

    クリスが、あたふたする。

    「近年、おかしな病気が、ひろがっているのは、ご存じでしょう?」

    女性が、まよいのない声をだす。

    「はい。まさか、それが⋯」

    わたしは、ちらしを見る。

    「ええ、黒猫が、原因かもしれません」

    女性が、大きな声をだす。
    わたしは、目をひらく。

    「そんなの、ただの迷信じゃ⋯」

    「いいえ、気をつけるべきです」

    女性は、わたしの声をさえぎるようにいう。
    わたしは、言葉が、つづかなかった。

    「わたしも、ネピアという娘がいますが、自分の家族の安全は、いつも気にかけていますの」

    女性のメガネのふちが、きらりと光る。

    「⋯そ、そうですか。わかりました。わたしたちも、気をつけます」

    わたしは、ちらしをうけとった。

    「それなら、だいじょうぶですね。ただ⋯」

    女性の言葉に、わたしは、どきりとして顔をあげた。

    「さきほど、ご家族のかたが、なにかを抱いていたように見えたのですが、あれは、まさか⋯」

    女性が、じっと、わたしを見る。

    「い、いえいえ。妹は、よく、ぬいぐるみを抱いてるんです、はは⋯」

    わたしは、人生で、最高の笑顔をつくった。

    「そうですか。まあ、そういう年ごろですものね。わかりました」

    女性が、背をむけて、立ちさろうとする。

    ーわたしは、ほっ、と心の汗をふいた。

    だが、女性は、ぴたっととまると、ふりかえる。

    ーえ?
     
      わたしは、いそいで、笑顔をつくりなおした。

    「あと、これは?」

    女性が、床をみる。

    「?」

    「なにか床に、黒い毛が、落ちているみたいなのですが⋯」

    小さな黒い毛が、床に、ちらばっていた。

    「え⋯⋯?」

    女性が、毛をひろって、まじまじと見る。

    「あ、はい。これは、妹と編み物をしていたので、それが、ちらかったんです。あたしたち、不器用だから⋯⋯」

    わたしがいうと、女性は、わたしと目をあわせる。

    ーいけない、ここで、目をそらしては。
       と、わたしは、自分にいいきかせた。

    「そうですか。わかりました。では、失礼します」

    女性は、笑みをうかべると、玄関をでて街のほうへと歩いていった。

    わたしは、はあっと、大きく息をはいた。

    「よかった、ひとまず、セーフかな⋯⋯」

    わたしは、そのばに、ぺたっとすわった。

    「おねーちゃん、ナイスだったよ」

    アリスとクリスが、奥から顔をだす。

    「うー、心臓にわるい⋯⋯」

    わたしは、胸に手をあてていった。

    「いま、いってたけど、まさか、その子が?」

    クリスが、黒猫を見る。

    「ば、ばかなこといわないで。こんなの、たまたまよ」

    アリスが、ぎゅっと黒猫をだきしめる。

    すると、かべにかけたホウキが、小さくうごいた。

    「あれ、ホウキが⋯?」

    黒猫が、「ミャ」と小さくないた。

    「⋯?」

    「ねえ、おねーちゃん、この子なんだけど」

    アリスが、わたしを見る。

    「え?」

    「この子の名前、ココっていうのは、どう?」


    アリスが、嬉しそうにいう。

    「あれ、その名前って、たしか⋯」

    わたしは、黒猫を見る。

    「うん、まえに、うちのにれの木にのぼってた、あの子猫」

    しばらくして、わたしは、ああと、思い出す。

    「とつぜん、いなくなったよね。うん、その名前にしよ」

    クリスも、楽しそうに、うなずく。

    ココが、うれしそうに、うごきだした。

    ーあれ、そういえば、からだが、大きくなった       ような⋯?

    わたしは、時計を見た。

    「あ、もう、こんな時間。2人とも、はやく寝なさい。明日も早いんでしょ?」

    「うん、そうだね。おやすみ、ココ」

    アリスが、ココの顔にキスをすると、ココを、わたしにあずける。

    「姉さん、おやすみ」

    クリスが、手をふって、自分の寝室にいく。

    ーそうだ。
        お父さんたちがいない間は、わたしが、こ            の子たちの面倒をみなくては⋯。

    「あ、星が、きらめいている」

    わたしは、窓のそとの星空に、ほほえむ。

    すると、ココが「ニャ」と、小さくないてくる。

    「え⋯?」

    わたしが見ると、ココは、じっとわたしを見つめていた。

    ーこれって、つまり⋯。

    「まさか⋯、空へ?」

    わたしが、ホウキを手にして外にでると、ココは、ホウキのさきに、ちょこんとのる。

    「⋯こう?」

    わたしは、ホウキにまたがると、ホウキが、ふわっと、空にういた。

    「え、ええ?」

    わたしは、おどろいて、ココを見た。
    ココは、「ミャオ」と楽しそうになく。

    「ココ、あなたって、やっぱり⋯」

    わたしは、そうつぶやくと、ホウキは高くうきあがりはじめた。

    「これが、魔女のきまりの最初に書いてあった⋯」

    やがて、ホウキが2階のまどの高さまでくると、アリスとクリスが見えた。

    2人とも、すやすやと眠っていた。

    「ちょっと、お父さんのとこに、行ってくるね」

    わたしは、2人に、つぶやいた。

    「ようし、じゃ、ココ、行くよ」

    ココが「ニャ」となく。

    ゆっくりと、わたしとココをのせたホウキは、星空のなかを飛びはじめた。

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

                                                    <Vol.3に、つづく>


     
     
     

    AONO

     
     
    ファンタジーアニメが大好きな、フリ-タ-です🤗🐈‍⬛横浜のすみで「魔女あま」を書いてます✨🌈メディアミックス化が夢です😄🩷🔔

    あなたへのおすすめ