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生きるのが䞋手な飌い䞻ず、りンチふみあるき犬のふたり暮らし

    コむンを集めるだけの人生だった私が、りンチを螏み歩く犬ず物語を曞き始めるたで。

    りンチのふみあるき

    䞀人暮らしを始めお幎目。子犬を迎えた。

    特技は「りンチの螏み歩き」だった。

    螏むだけではなく、ペッタンコになるたで朰しお、それでもっお堂々ず歩く。
    なんおこった。迎えたず同時に日に䜕回も子犬をお颚呂に入れ、床を掃陀し、掗濯機を回す生掻が始たった。

    倧きな瞳の毛むくじゃらの盞棒は、歳になったいたでも
    りンチの螏み歩きが特技である。

    その日はふず、静かだなず思った。
    それず同時に、嫌な予感が頭をよぎった。

    仕事の手を止めお振り返るず、真っ癜な床に茶色の足跡。

    それは寝宀たで続いおいた。
    そしおその足跡の犯人は、飌い䞻のベッドの䞊でしょげおいたのだった。

    季節倖れの倧掃陀が始たった。

    粒のご飯で早抌しゲヌム

    食事に独特な颚習があるのも、圌女の特城だ。

    圌女お気に入りのお皿に盛られたドッグフヌド。
    それを噚甚に粒だけ口に含む。

    次に、リビングのカヌペットに向かう。
    目的地に蟿り着くず同時に、ゆっくりず吐き出す。

    そしお、振り向いお飌い䞻を芋぀めるのだ。
    フェルメヌルの真珠の耳食りの少女のように。

    この儀匏を無芖するず、
    カヌペットたでの道のりに䜕粒ものご飯が散りばめられ、したいにはお腹が空いたず催促に来る。

    飌い䞻に、このゲヌムを攟棄するこずは蚱されおいない。

    ルヌルは、圌女より早く圌女の目の前に眮かれた䞀粒のご飯に觊れるこず。たるでボタンの早抌しだ。

    ちょっずでも雑に近づこうずするものなら、圌女はボタンを口に収玍する。そしおたたゆっくりず元の堎所に戻す。
    圧倒的に圌女優䜍なルヌルのもず、ゲヌムは繰り返される。

    フッ、ただただだな。

    そう圌女が満足するず、早抌しボタンはカリッカリッカリッず噛み砕かれる。
    これが䜕粒繰り返されるかも、圌女次第だ。

    歩かない散歩

    圌女は散歩が奜きだ。
    ハヌネスをちら぀かせるず、歓喜の舞を始める。

    「さんぜ」ずいう蚀葉の「ぜ」だけでも過剰に反応をする。

    しかし、家の倖に出た圌女の足が汚れるこずはない。
    䜕故なら、圌女の散歩はバッグの䞭で完結するからだ。

    人間が持぀バッグやリュックの䞭から錻を出しお、景色を眺める。
    それが圌女の「さんぜ」らしい。

    幟床ずなく地面に降ろした。
    短い足で、ちょこちょこ進み、すぐに座り蟌む。
    もしくは飌い䞻の足に飛び぀く。

    それだけのために圌女の足を掗うこずになるのはお互いに生産性が䜎いので、歩かせるこずをもう諊めおいる。

    バッグに圌女を入れ、電車に駅乗り、倧きめの公園の野球堎の裏の朚陰でベンチに座る。
    そこで飌い䞻が読曞をしおいる間、圌女は膝の䞊で鳩を眺める。

    それが私たちの「さんぜ」だ。

    幎収䞊げゲヌムずしおの仕事

    圌女ず出䌚う前の飌い䞻に぀いおも少しだけ知っおほしい。

    飌い䞻は、仕事を幎収䞊げゲヌムずしお考えおいた。

    マリオがコむンを集めるように。

    コむンが目に入るずゞャンプする。
    コむンがあるかもっお思ったらブロックを壊す。

    たくさん集めるずなんか嬉しい。

    本圓にそれだけだった。
    でもそれが、い぀の間にか人生の目的にもなっおいた。

    倚くの方がご存知の通り、コヌスにあるコむンの数は限られおいる。仕事もそうだ。

    それ以䞊このコヌスではコむンが倧幅に増えないこずに気づいた時、飌い䞻は絶望した。
    ———突然、生きる目的がなくなったのだ。

    目的は、もう䞀床定め盎せばいい。
    でも、どうやっお。

    たずは、呚りを芋枡しおみた。

    絊料に関わらず、仕事を楜しんでいる人。
    子育おに、家族ずの時間に、勀しんでる人。
    掚し掻に没頭しおる人。

    みんな和かだった。
    䜕かに愚痎を蚀いながら、それでも明日を望んでいた。
    呚りには、様々な生き方があった。

     たずは、真䌌をしおみよう。

    耒められる、評䟡されるこずを優先しおきた飌い䞻の仕事スタむルはいわゆる噚甚貧乏になっおいた。

    デヌタが扱える。
    コンテンツ䌁画ができる。
    マヌケティングができる。
    プレス・広報ができる。

    ありがたいこずに身に぀けたスキルに関する求人は倚かった。
    床々お声がけをいただくこずもあったし、起業も考えた。

    そこには䜕も、やりたいこずはなかった。
    心のレヌダヌはわずかにさえ反応しなかった。お金のためだず割り切れもしなかった。

     趣味に没頭しおみよう。

    奜きだった旅行にたくさん行った。
    垰宅しお䜕床もため息が挏れた。毎床の荷造りも荷解きも絶望した。奜きだず思っおただけ。

    奜きだったゲヌムをたくさんやった。
    䞻人公を動かすほど胞を突き䞊げる吐き気。画面酔いが酷かった。これは片付けられたタスクを芋るのが心地よかっただけ。

    奜きだった芞人さんのお笑いラむブにたくさん行った。
    ネタにさほど興味がなく、その人に関する自分だけの情報を仕入れたいだけだった。ただの痛いファン。

    この繰り返しだった。

    生きるのが䞋手な私

    気づいたら誰かの期埅に応えおいお、
    気づいたらちゃんずできおいお。
    脳裏に䞊べられたトロフィヌのなかに、自分の意志が、関節がしなるほど指を䌞ばしお掎みにいったものはひず぀もなかった。

    そもそも脇圹ずしおしか生きるこずができない人生だず思っおいた。
    でも憧れおいたのは自分の声で道を開き、足裏で地面をならしお進んでいる人だった。
    そのギャップに䜕よりも苊しめられた。

    それに気づいた時は「よし、それならば自分の人生を取り戻せばいいじゃないか」ず思った。

    奜きなこずをやっお、
    奜きなものに囲たれお、
    奜きな人に䌚っお。

    あれ奜きっおなんだっけ
    あれあれスキあれ

    䜕もなかった。

    真っ暗な牢獄にポツンず取り残されたようだった。芖界が色圩のトヌンを萜ずしたようだった。
    取り戻し方がわからなかった。
    そのこずに、代になるたで気づかなかった自分を恥じた。

    もっずもっず昔に戻っおみた。

    それでも。

    奜きなこずなんおなかった。
    奜きな人もいなかった。

    「あんた絵を描くのが倧奜きだったよね」

    ふず芪に蚀われお思い出したこず。

    私は絵が奜きだったんじゃない。
    倧半は耒められるから描いおいた。

    だけど。
    犬が奜きで觊れたくお、叶わないその憧れを、鮮やかな色鉛筆で埋め続けおいた。

    䜕よりも、ダックスフンドがダむスキだった。

    それだ、ず思った。

    アナタがスキ

    盞棒は、感情の衚珟が過床だ。

    朝、飌い䞻のわずかな起床ムヌブを感じるず長い胎䜓をさらに䌞ばし、倧きなあくびをする。
    そしおびしゃびしゃに最した錻で飌い䞻の顔面を぀぀き、尻尟を振り回しながら長い舌でひず舐めする。
    秒前たで隣で、倧の字で寝おいた正確にはJの字のこずが倚いのにも関わらず。
    ——今日も飌い䞻に䌚えお嬉しい。

    仕事の合間に、怅子から立ちあがろうずする気配を感じたものならば、瞬時にひっくり返り、お腹を芋せお党力で愛嬌を振り撒く。
    ——今日も飌い䞻に觊れおもらえお嬉しい。

    トむレの䞭たで぀いおくる。
    ——今日も飌い䞻が元気で嬉しい。

    もちろん、負の衚珟も激しい。

    お皿に盛られたご飯が圌女の気分に合わないず、回錻をヒクヒクさせおニオむを吞い蟌み、プむッずどこかぞ行っおしたう。

    矎味しそうなお菓子であっおも、知らない人からは受け取らない。

    ブラシを持぀ず駆け寄っおくるのにも関わらず、飌い䞻に蚱されるのはひず撫でのみ。
    ふた撫でしようずするものならば、ダッシュで逃げ回る。

    こんなにも感情をありのたたに衚珟する生き方はずおも愛らしいず思った。
    飌い䞻に倧きく欠けおいた郚分だった。

    圌女みたいに生きおみたい。
    芖界に入った瞬間に、嫌でも尻尟が振れおしたう。
    そんな奜きを䞀぀でも芋぀けたいず思った。

    自分の声で生きおみたい

    圌女のように、自分の感情に正盎に生きおみたい。

    そうだ、文字にしおみよう。
    思い぀いた瞬間にハッず芖界が開けるような感芚があった。

    すぐさたnoteを曞き始めた。

    ペヌゞ曞いおみたら、
    それはそれは楜しすぎお日垞生掻に支障が出るほどだった。

    垞に頭の䞭ではあらゆるネゞが高速回転。
    右に巊に、深倜でも曞きたいこずを思い぀く。
    生きるのに必芁な睡眠時間が䞍足した。

    それでも週間で飜きた。
    正盎に蚀うず、飜きたずいうこずにした。

    曞き続けお䜕があるんだろう、ず思ったからだった。

    でも、぀だけ思い出したこずがあった。
    飌い䞻は小さい頃から読曞も奜きだった。

    䌚った事もない人の、考えに入り蟌むこずができる。
    存圚しない䞖界に瞬時に導かれるこずができる。
    医垫にも、町の䞍良にも、私利私欲に塗れたヒヌロヌにさえもなるこずができる。

    狭いビンに心臓を抌し蟌たれたような息苊しさを感じおた時
    い぀でも矜の先を䌞ばしお倧空を飛ぶ爜快感を教えおくれた。

    そんな物語が倧奜きだった。

    もうちょっずだけあの頃の倢続きを芋おみたい。
    そう思っお再びパ゜コンを開いた。

    い぀か誰かに、私の手で物語を届けられたら。

    もし、この䞖界で、
    圌女が私の隣にいるうちに。

    そんなこずが起きたら。
    どんな明日が芋えるんだろうか。

    そういう䞖界を描けただけでも
    人生は今日も歩、進んだような気がする。

     
     
    犬ず暮らす/30代OL/理孊療法士/䌁業ブランディング/BtoBマヌケティング 26幎1月からnoteでの執筆開始、26幎3月に投皿コンテストでグランプリを受賞🏆♪

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