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Photo bypaschin65

【創䜜倧賞2024応募䜜・恋愛小説郚門】砂の城 第23話 埋たらない溝

    蒌韍 葵


     私は慌おた様子の店長に突然呌び出しを受けた。どうやら私宛の電話らしい。
     匘暹さんからのようで、私の呜に関わる倧事な事ず蚀われお枋々受けたらしい。
     䞀緒にVIPルヌムに居た荵さんもやや䞍満そうな顔をしおいたが、圌を䜕ずか宥めお電話に出た。

    『麻衣ちゃん、N倧附属病院の手術宀前たで来お 今すぐ』

     匘暹さんの声の埌ろで救急隊の声ず、女性の声が聞こえる。その人が忍ず連呌しおいたので、私にも状況がすぐに理解出来た。
     そう蚀えば先ほど新宿䞭倮公園付近で通り魔事件があったず緊急ニュヌスが流れおいた。店がざわ぀いおいるので、内容たで詳しく芋おいなかったが、もしかしたら──。

    「匘暹さん、忍は  

    『サバむバルナむフで刺された。臎呜症は避けたみたいだけど出血が酷い。今──』

     匘暹さんずの電話を真埌ろに立っおいた荵さんに切られた。無惚にも耳元で電話の途切れた電子音がツヌツヌず鳎る。䜕故、ず私は動揺したたた圌を芋䞊げた。
     私の肩を䞡手で掎んできた荵さんの顔にはい぀もの䜙裕たっぷりな笑顔はなく、䜕かに怯えたように芋えた。

    「やっず僕に惚れおくれたず思っおいたのに  君はただあの男を远いかけるず蚀うのかい」

    「荵さん  」

    「僕はマキちゃんが欲しい。なのに、どうしおあの男なんだ。暩力も金も党お手に入れた。身なりだっお、䞀䜍になる為に必死に磚き䞊げたものだ。埌は  埌は僕に䜕が足りない 教えおよ」

     荵さんは私を通しお倱ったお姉さんを芋おいるだけだ。互いの傷の舐め合いで䞀緒に居たものの、これ以䞊の関係は良いずは思えない。
     荵さんは魅力の塊だ。これはお䞖蟞ではない。ただ綺麗なだけではホストで䞀䜍になれないのは勿論知っおいる。話術、身だしなみ、瀌儀、知識ず教逊。
     芋た目も玠敵だが、圌は性栌も優しいし玠敵な笑顔を持っおいる。私よりも、絶察に玠敵な女性がすぐに芋぀かる。
     忍が呜がけの怪我をしたのは、私の優柔䞍断な気持ちに癜黒぀ける為。

    「荵さん、離しお䞋さい。早くN倧附属病院に行かないず」

     匘暹さんは冗談を蚀う人ではない。䜕床もこの店に電話をしおきたくらいだ。かなり緊急事態なのだろう。しかし荵さんは激しく銖を振り、蚱しおくれなかった。

    「圌の偎には圌女ず芪友が぀いおいる。マキちゃんが行く必芁なんおない」

     確かに匘暹さんが偎に居おくれるから安心だ。それに電話越しで忍の名前を叫び続ける女性の声もあった。今曎私が行った所で出来る事なんお䜕も無いだろう。
     それでも、もしこれが䞇が䞀最埌の別れになっおしたったら、私は䞀生埌悔し続ける。

    「マキ、ちゃん」

     私は芚悟を決めお荵さん──霧雚さんず向き合った。もう圌を荵さんずは呌ばない。たかが名前、ず思われるかも知れないが、私にずっお名前は䜕よりも倧切だ。

    「ごめんなさい、“霧雚さん“。忍は  ただの兄貎じゃないんです。圌が居ないず私は生きる道暙を芋倱っおしたうんです」

    「マキ、ちゃん  」

     私の気持ちの倉化を察したのか、霧雚さんの手に力はなかった。私は䞡手でそれをそっず匕き剥がし、圌に深々ず頭を䞋げる。

    「本圓に、今たでありがずうございたした」

    「マキ  」

     ただ驚き目を䞞めおいる霧雚さんをそのたたに、自分のロッカヌからカバンを乱暎に取り出すずそのたたタクシヌを拟いに倖ぞ飛び出した。

     匘暹さんにLINE電話をかけたが繋がらない。状況が分からない䞍安に心臓が䜕床も倉な発䜜を繰り返したが、ずにかく今は急ぐしかなかった。こんな時に限っお、携垯アプリのタクシヌも怜玢画面から動かなかった。
     仕方がないので私は倧通りたで出お病院の方たでずにかく党力で走った。
     新宿はずにかく人が倚い。䜕床も人にぶ぀かり怒声を济びせられたがその床に頭を䞋げ、それでも急ぐ足を止めない。
     早く忍に䌚わないず。このたた最埌の別れなんお、絶察に嫌だ。

    「うあっ」

     䜕も無い所で぀んのめっお転んだ私は楜しそうに笑いながら歩いおいた若いカップルにぶ぀かった。

    「倧䞈倫ですかあ」

    「すいたせん  ありがずうございたす」

     久しぶりに走ったせいで足元がおが぀かないのかず思いきや、私の巊足のヒヌルは螵䞉分の䞀皋斜めにポッキリ折れおいた。
     病院たであず少しず蚀うのに、本圓に぀いおない。これでは走れないず思い䞡足のヒヌルを脱ぎ冷たいコンクリヌトに足を぀ける。
     舗装された道ずは蚀え砂利郚分もあるので䜓重をかけるず少し痛むが、倚少の距離ならばどうずでもなるだろう。



     ────


     手術宀の埅機堎所で執刀医が困った顔で匘暹に声をかけおいた。

    「時間の無駄だ。早く手術をしないず術埌の䟵襲が酷くなるだけだ」

    「わかっおたす、あず分だけ埅っお䞋さい。今あい぀の効がここに向かっおいるので  」

     壁時蚈を芋䞊げるず倜22時を指しおいた。電話をかけおから30分近く経過しおいる。環境が敎っおいるのに手術を先延ばしにするのは無意味だ。
     今もあちこち出血しおいるのに、それを黙っお攟眮するのは殺人補助みたいなものだ。しかし病院偎も勝手に手術に螏み蟌めない事情があった。それが家族䞍圚で本人の意思確認が出来ない堎合の同意曞だ。

     本人の意思が無い堎合、近芪者の同意が最䜎限必芁ずなる。自分は倩涯孀独ず蚀っおいた忍の堎合、近堎で圌の保蚌人は芪友の匘暹になる。埌は圌を雇っおいるこの病院。

    「田畑くんは家族なんお居ないず蚀っおいた。芪友である君がゎヌサむンを出しおくれたら、それで病院ず代理人ずしおの蚱可を埗たずしおすぐに執刀できるのに」

     倖科の藀原先生の蚀う事は正論だった。匘暹は唇を噛み締めたたた深々ず頭を䞋げた。

    「  わかりたした。お願いしたす」

     埅機堎所の先にある厳重な二重扉が重々しく閉められた。到着が、遅かった。
     目の前には匘暹さんず圌女らしい人が立っおいるので、今慌ただしく䞭に運ばれおいったのは忍なのだろう。

    「ひろ、き  さん。忍は  」

    「どうしたんだい、その足   田畑は今、緊急開腹手術に入った」

     私は匘暹さんに指摘されおあちこち擊りむいお出血しおいるスネず、ストッキングが砎れお足裏から結構出血しおいるのに気が぀いた。
     そのたた党身の脱力感に襲われお厩れ萜ちおいるず、先ほどの女性がツカツカず私の前たで歩みよっおきた。

    「ちょっず、郚倖者は立ち入り犁止よ」

    「圌女は──」

     匘暹さんが䜕か蚀う前に女性は再床私に䟮蔑めいた芖線で冷たく蚀い攟った。

    「そんなチャラチャラした栌奜で病院に来るなんお、非垞識もいい所ね」

     郚倖者、非垞識。
     そうか、そういう颚にしか芋られないのか。
     ただ忍の無事を確認したくお、䜕も考えおいなかった。
     匘暹さんは私の事を知っおいるから理解しおくれおいる。でも他の人は違う。
     䞀般の人間から芋るず、私は郚倖者で非垞識な人間なんだず改めお思い知らされた。

     忍が働いおいる環境ず新しい圌女にずっお迷惑になるのであれば、これが本圓に最埌の別れであっおも仕方がないのだろうか──


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    #創䜜倧賞2024 #恋愛小説郚門

     
     
     
    珟圚過去䜜ブラッシュアップし぀぀2025.12月〜ネトコン、2026.2月〜恋愛小説投皿のためなろうずアルファポリスメむンに党力でいきたす。こちらは初期版ず掻動報告。BLは「アルファポリス」母䜓に倉曎、その他過去䜜「小説家になろう」「カクペム」楜しんでいただけるず嬉しいです🍀

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