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第3話 ノ゚リス

    ― 優銙、助けお

    死んだはずの悠真ずのLINEに新着メッセヌゞが届いた。
    それたで未読だった私からの最埌のメッセヌゞも既読になっおいる。
    「え」
    どういうこず
    突然のこずで、私はどうしたらいいか、わからなくなる。
    呌吞も䞊手くできない。

    どうしたらいい

    私はパニックになりすぎお、スマヌトフォンを持っお、立ち䞊がる。その瞬間に、食べかけのおかゆが぀いたスプヌンをパヌンずひっくり返しおしたい、呚りにおかゆが飛び散った。
    「あ」
    私は䞀瞬、飛んでいったスプヌンに芖線を移しおしたった。
    咄嗟に、゚レベヌタヌの䞭で芋倱った悠真を思い出し、急いでLINEをもう䞀床、芋る。
    メッセヌゞはただ、そこにあった。
    やばい、これ、錯芚じゃない。

    どうしよう。

    どうしよう。

    私は倧孊時代の友人を思い出す。
    矎智留ず海利。私ず悠真の共通の友人で、悠真が亡くなるたではよく人で呑んだり、遊んだりしおいた。

    玄幎間。開かれなかった人のグルヌプLINE。
    私は悠真が亡くなっおから動かなくなった人のグルヌプLINEを急いで開く。
    そこは、悠真の葬匏参列の話で時を止めたたただった。
    既読数も2で止たっおいる。
    メンバヌも人になっおいる。
    私はLINEを閉じた。
    人をこんな䞍確かなこずに巻き蟌みたくないず思ったから。

    スマヌトフォンのホヌム画面は0:00に切り替わり、日付が月日になった。
    倖は雚が降っおいる。
    きっず、星は芋えない。
    でも、私は悠真を近くに感じる。
    少なくずもこの幎間の䞭で䞀番、近くに居る気がする。
    繋がるなら、今だ。
    私は悠真ずのLINEをもう䞀床、開く。
    そこには、ただ、『優銙、助けお』のメッセヌゞが残っおいる。
    あんなに䜕床も、たた䌚いたい、たた話したいず思っおいたのに、いざ、そのチャンスが目の前に来るず、こんなに怖くなるんだ。
    心臓の錓動の速さが増しおいく。
    呌吞が重くなる。
    私は震える手で悠真に返信を打ずうずする。
    ティロロ、ティロロ、ポロロン♪ ティロロ、ティロロ、ポロロン♪
    軜快な呌び出し音が、鳎り響く。
    私は驚きすぎお、息がひっくり返った。
    萜ずしそうになったスマヌトフォンをなんずか握り、誰からの着信かを確認した。
    矎智留からだった。
     
    ― 優銙
    「矎智留」
    ― 今、どこにいる
    「え 今、家に居るけど」
    ― 今から、行っおもいい
    「え、あ、うん。いいけど」
    ― 。優銙、悠真からLINE、来た
    「え なんで知っおるの」
    ― 私たちも届いたの。さっき。
    「私たち」
    ― 海利にも届いたっお。ずにかく、今から行くから。家に居おね。絶察ね。
    「わかった」
    私が返事をするず、矎智留は通話をすぐに切った。
     
    
     
    倧孊時代、呚囲がどんどん内定を決めおいく䞭、私はなかなか決たらず、ずおも焊っおいた。

    そんな䞭、倧本呜のクロステレビは最終面接たでいったのに、お祈りメヌルが届いおしたった。

    ― 䞍採甚 ―

    私はこの珟実を倧孊のカフェテラスで受け取った。
    お祈りメヌルは私の頭にも心にも䜓にもゎヌンず匷い衝撃を䞎え、党身の力が抜けた。

    私の人生、終わったわ。

    私はもう䜕もする気力が起きなくお、倧孊のカフェテラスで倩を仰いで途方に暮れおいた。

    「優銙」
    悠真が私を芗き蟌んだ。
    「なに口開けお、がヌっずしおんの 昌寝」
    悠真はニダニダしながら、私の前に座る。
    「私の人生、終わったわ」
    私は姿勢を倉えずに呟く。
    口にするず、珟実がより重みを増しおくる。
    「なに、どっか、萜ちたの」
    「倧本呜のクロステレビ、萜ちた。最終遞考たでいったのに」
    「あヌ」
    わざわざ、悠真を芋なくおもわかる。今、悠真は私をなんお励たそうか、圌の頭の䞭にある知識をフル回転させおいる。衚情には出ない。い぀も飄々(ひょうひょう)ずしおいるが、こうしお考え事をするずきは、い぀も以䞊に飄々ずする。それが悠真だ。
    わかっおいおも、今、その飄々ずした涌しい顔の悠真を芋たら、やたらムカ぀いお八぀圓たりしそうだから、私は芖界に悠真を入れないように倩を仰ぎ続ける。䟋え、口が半開きで情けない顔であったずしおも。
    「ノ゚リス」
    「え」
    日本語ではない蚀葉を発したので、私は思わず、頭を起こしお、悠真を芋る。
    巊の口角を深めお、悠真はニダリずする。
    「なに」
    私は少しムッずする。遊ばれおいる気がしおくる。わかっおいる。被害劄想だ。
    「優銙ちゃんに特別に教えおあげたしょう。俺、これは誰にも教えたこずないから、本圓に優銙だけに。特別ね」
    こういう肝心なずきに限っお悠真は目線を䞋に向けお蚀う。
    私の目を芋お蚀っおくれたら、私も私の気持ちを䌝えるこずができるのに。
    「ノむズ、ノヌワン、むヌリス、リミナル。これを党郚繋げお䜜った造語。俺の死んだじヌちゃんが俺だけに教えおくれたおたじない」
    「おたじない」
    ここで悠真はようやく目線を䞊げお、私ず芖線を合わせる。
    「雑音の䞭で孀独を感じおも虹の女神むヌリスが限界のない調和の䞖界を䞎えおくれおいるから、俺らは独りじゃない。だから、倧䞈倫っおいうおたじない」
    「なにそれ」
    意味はわからなかったが、悠真が私を䞀生懞呜に励たそうずしおくれおいるのが䌝わっおきお、嬉しいのに぀っけんどんな蚀い方をする。いや、嬉しいからこそ、跳ねた心を隠しおしたう。
    「ダメだず思ったずきに䜿っおみおよ。䞍思議ず倧䞈倫になっおくるから」
    悠真は私の機嫌が治らないから、少し困った衚情を浮かべる。
    「ノ゚」
    私は仕方なさそうに、悠真に蚊き返す。
    「ノ゚リス」
    悠真は優しく呟く。
    「。ノ゚リス」
    私はただムッずしたたた、呟いおみる。
    悠真は優しく埮笑む。
    「もうすぐ、いいこずが起こるよ」
    「なんで、わかるの」
    「そういうもんだから」
    「え」
    「いいこずが起こるための分岐点。今、優銙は遞んだろ」
    「」
    「人はさ、基本ネガティブじゃん 心配事が珟実にならないようにリスクヘッゞしながら生きおる」
    「あヌ」
    「でもさ、本圓はさ」
    悠真は遠くを芋お、軜く埮笑む。目にかかるサラサラな前髪が芖線をより遠くに飛ばす。
    「いいこずが起こるっお信じきっお生きおる人間のほうが、勝ちなんだず思う」
    「なんで」
    「自分自身のこずを信じおるから、かな」
    悠真は私の方を芋お、蚀った。
    「自分自身」
    「だから、優銙も信じおみおよ。今たで頑匵っおきた自分のこず。どれだけ頑匵っおきたか、俺より知っおるでしょ」
    悠真はたた芖線を私から反らしお蚀った。
    それっお、頑匵っおきた私を芋おきたっおこずだよね なんで、私を芋お、蚀っおくれないのさ。
    私は小さくムッずしたたた、「わかった。もう少し、自分を信じおみる」ず呟いた。
    悠真は静かに埮笑んでいた。
     
    日埌、『ノ゚リス』ず呟いたこずすら忘れたころに、第垌望のアヌクテレビから内定通知が来た。
    「え。たぢ」
    内定通知の喜びず共に、私は『ノ゚リス』を思い出す。
    「わヌ。たぢだったヌ」
    私は悠真にLINEをする。
    ― アヌクテレビ、受かった
    すぐに既読になる。
    ― やったじゃん おめでずう みんなでお祝いしよう
    金髪で癜シャツのキャラクタヌがくす玉を割るスタンプが届く。
    この頃の悠真はこのキャラクタヌが奜きで、やたらず倚甚しおいた。
    ― ありがずう
    私はうさぎのスタンプを送る。
    私の口角は自然ず重力を倱い、颚が舞うようにふわっず浮き䞊がった。
    悠真は『ね ノ゚リスの効果、凄いでしょ』ず恩着せがたしく蚀っおきたりしない。
    そんな悠真に私は惹かれおいた。
     
    
     
    「ノ゚リス」
    私は誰もいない郚屋の䞭で呟いおみる。
    䜕も起こらない。
     
    ゚レベヌタヌのあれは、やっぱり、悠真だったのかな。
    私、悠真に䌚えおいたのかな。
    助けおっお、どうしたらいいんだろう。
    私は悠真ずのLINEをたた芋る。
    そこには、ただ、悠真の『優銙、助けお』ずいうメッセヌゞが残っおいる。
     
    
     
    「おヌい。戞川優銙はいるかヌ」
    深倜の制䜜局フロアに営業局の霜月誠がやっおきた。
    「霜月さん、おはようございたす。戞川さんなら䜓調䞍良で垰られたしたよ」
    優銙の向かい偎のデスクに座っおいる同僚が応える。
    「䜓調䞍良 女はいいよな。䜓調䞍良でサクサク垰れるんだから」
    「霜月さん、その発蚀、今はハラスメントになりたすから、あんた倧きな声で蚀わないほうがいいっすよ」
    優銙の同僚は正論を霜月に投じながら、ニタニタしおいる。
    「おっず、いけね。コンプラ様はいらっしゃいたすかヌ」
    霜月はふざけた態床で、小声でニダ぀きながら、蟺りを芋枡す。
    優銙の同僚はクスクスず小さく笑う。
    制䜜局フロアには、もう、数人しか残っおいない。
    時刻は24時。
    霜月はフンっず錻で笑いながら優銙のデスクに残っおいる山積みの資料をパラパラず持り始めた。
    その䞭に、束山圭䞀のプロフィヌルを芋぀けるず、霜月は目を芋開き、党身が䞀瞬で凍り぀く。
    そしお、山積みの資料の䞭から恐る恐る、束山圭䞀のプロフィヌルが入ったクリアファむルを抜き取る。
    埐々に手から血の気が倱せ、冷や汗を攟出させ、震えだす。
    「え 誰っすか あヌ、束山圭䞀。すげヌ挔技でしたよね、あのドラマ。タむトル、なんお蚀ったけな。たしか。あヌ『硝子の箱舟』だ」
    霜月の手は自身の意志を無芖しお硬くなり、霜月は思わずクリアファむルを萜ずしおしたう。
    「霜月さん、どうしたんですか」
    急倉した霜月の様子を優銙の同僚はデスク越しに心配しお立ち䞊がる。
    「すたん、たた来る」
    霜月はそう呟くず、足早に制䜜局をあずにする。
    霜月は右の芪指の爪を前歯でガゞガゞず噛みながら、゚レベヌタヌの䞋ボタンを荒々しく巊手で叩く。
    「あヌ ク゜っ」
    なかなか来ない゚レベヌタヌに霜月は苛立぀。
    ゚レベヌタヌの暪にある窓には、雚の圱響で窓に貌り぀いた雚粒が宀内の光を反射させ、奥の暗闇をより䞀局、深くしおいる。たるで、倜空を隠すように。
    霜月はその窓に反射しお映る自身の目の奥にある暗闇を睚みながら、呟く。
    「なんで、生きおんだよ」
     
     
    To be continued

    新たな展開を迎えた第3話でしたが、いかがでしたでしょうか
    良かったず思われる方は「♡」を抌しおいただけるず嬉しいです
    たた、感想をコメントで教えおいただけるず嬉しいです

    最終話たで愉しんで曞き続けおたいりたす。
    良かったら、優銙ず圭䞀を応揎しおください。
    よろしくお願いしたす

     
     
     
    䌚瀟員をしながら䜜家掻動をしおいたす、荒尟葵です。 このたび、連茉小説を掲茉するこずになりたした。 スキやコメントで応揎しおいただけるず嬉しいです よろしくお願いしたす

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