[安全の仕事] 効果的な企業コンプライアンス教育。自分ごと化して行動を変える。
企業経営において、コンプライアンス教育は欠かせません。じっくり時間をかけて教育を行っている会社も多いのではないでしょうか。しかし、イマイチ浸透しない、リアクションがない、なんてことが多いですよね。
それは、次の3つが主な現状ではありませんか?
①受講者が「自分は悪いことをしないから関係ない」として、自分ごととして捉えきれていない。
②資料の読み上げや、一方的な説明にとどまり、周知的な教育に終止している。
③毎年同じ内容のeラーニング。従業員にとって、教育が「学ぶ場」ではなく「消化すべきタスク」になっている。つまり教育のマンネリ化。

今回は、効果的なコンプライアンス教育についてのメソッドを紹介します。
1. 教育と結果の3つのフェーズ
コンプライアンス教育は3段階のフェーズで行ないましょう。
① 理解 : 知識として正しく理解させる。教育実施のフェーズ。
② 意識 : 日常からコンプライアンスを意識させる。チェックのフェーズ。
③ 行動 : 自律的に正しい判断・行動をさせる。実施のフェーズ。

2. 実施するテーマ
12のテーマに整理しました。組織の状況に合わせて使用してください。年間計画で、毎月取り込むのも良いでしょう。
ガバナンス、インサイダー、贈収賄
セクシャルハラスメント、LGBTQ
パワーハラスメント、暴力撲滅
ダイバーシティ、マイノリティ
独占禁止、下請法、公正取引
飲酒運転、アルコールハラスメント
知的財産権、著作権
個人情報保護
営業秘密管理、文書データ管理
サイバー・情報セキュリティ
労働安全、廃棄物管理
企業理念、隠蔽と看過防止
3. 階層と内容:視点の切り替え
同じテーマでも、階層によって伝えるべき視点を切り替えましょう。
① 一般社員向け: 「何をしたらアウトか」という具体的な境界線を示します。How-toのように行動指針を明確にした教育を行ないます。
② 監督職向け: 違反予兆への気づきポイントを示します。指導や相談対応も含めた行動指針の教育を行ないます。
③ 管理職向け: どんなリスクがあり、どの程度、経営的損失があるかを示します。心理的安全性の高い組織文化の醸成についての教育を行ないます。

4. 能率的な教育へ
テーマや組織の状態によって3つの教育を使いわけましょう。
① 動画や実例を挙げた教育 :臨場感を与えることで、自分と重ね合わせて、意欲的に理解します。
② ディスカッションで意見交換 :事例に対して「自分ならどうするか?」を話し合い、他者の意見も聞き、正しい姿を模索することで、理解が深まります。
③ ワークショップで対応を考える: シチュエーションを設定し、演じることで、より自分ごととして実施できます。

5. 理解度の確認
「理解したか」を確認することが重要です。時間をかけずに確認しましょう。
① 教育中の質問: 教育のポイントごとに質問をしてみましょう。理解が不足だと感じたら、そのまま再説明しましょう。
② 理解度テスト: テストを実施することで個人の理解度を確認するだけでなく、全体の弱点を洗い出します。
③ ディスカッションの中身: 前項の内容で実施。各自の意見を聞いてみて、理解ができているかを確認します。
④ ワークショップの行動: 前項の内容で実施。理解していないとイレギュラーな行動になります。
6. まとめ
コンプライアンス教育の真のゴールは、「正しい知識と判断力で、従業員と会社をリスクから守ること」です。
コンプライアンスは、個人のモラルだけに頼らず、教育のフェーズ設計、階層別の視点、そして能動的な学習プロセスを組み合わせることで、「文化」として根付きます。
形だけの教育を脱却し、今日から「行動が変わる」アプローチを始めてみませんか。
