
喫茶店で面接を⑤
私はどうにも詰めが甘い。
よーく考えているつもりなのだが、詰めが甘い。
作戦を練りに練って
見直して
弱点を見つけて
また練って
やっとこさ立てた作戦で小さな失敗に見舞われる。
それを人はおっちょこちょいと呼ぶのかどうかはわからない。
今回もしっかり、じっくりとGoogleマップを見て、「所要時間はこれくらいだ」と想定し、所要時間ちょうどくらいに出発した。
そう、ここで詰めの甘さ。
道に迷って時間を余計に取られる事を計算に入れなかったのだ。
今回の転職活動で深く確信した、私は方向音痴だ。
それもかなり重症。
何かで見かけた“地図を読めない女”そのものだ。
正確には地図を信用していない女だ。
信じるものは自分のみ……で、結果迷うのであった。
しかし自分くらい信じられないでどうなるものか。
面接に遅刻はご法度と見かけるが、今回の転職活動で何回もやらかしている。
私は道に迷いすぎている。
世の中の道は私には複雑すぎる。
しかしナビのあの指示はなんなんだ
《この先、斜め左方向です》
私には難しすぎる。
ここまで、練った作戦は完璧なはずだった。
スーツの暑さを半減させた
パンツの丈はパンプスのヒールで解決
書類はバッチリ作成済み
逆質問も準備済み
喫茶店で払う小銭も豊富に準備
マスクを外して入れておくところも完璧
頼むものは、アイスティー!!
そして、道に迷って5分遅刻
なんという詰めの甘さ。
「遅れて申し訳ございません」
『いえいえ、こちらも外回りがあり、今戻ってきたところなんですよ』
……なんだ、結果オーライじゃないか。
ちょっとラッキー。
よしっ、さくっと職場見学からの喫茶店移動だな!
切り替えの早さが長所です。
『実は、場所が用意できたのでこちらで面接になります、どうぞ』
喫茶店ちゃうんかーーーい!!
まさかの喫茶店の話は無かったことになっていました。
ここまで本気で喫茶店対策を練った私が逆に恥ずかしい。
でもまあ余計な汗をかかずに済みそうなので良しとしよう。
『こちらに靴を置いてくださいね〜』
土足厳禁かっッ!!!
出たよ土足厳禁………
慣れていないのでパンプスのストラップがはずれない、ちょっと焦る私。
脱いだら脱いだで床とパンツの裾が仲良しこよし。
そして面接
これが意外とスムーズで和やかに進む。
これは、、好感触というやつかもしれない。
でも、渡した職務経歴書より求人サイトのプロフィールをプリントアウトした用紙ばっか見てんじゃん……
用意した逆質問を要所要所に入れ込んで聞いた。
採用後の事や今後の展開もバンバン教えてくれる。
しかし職務経歴書見ないな………
これは、
……もしかしたらもしかするかもしれない。
なんとなく働いてるイメージも出来てきたぞ
汗をまったくかかないし
パンツは涼しくて快適だし!
裾は床と意気投合してるや!
職務経歴書はやっぱり見てくれないのね!
そんなこんなで、小一時間に渡る面接&見学を終えた……
『それでは、以上になります』
終わりだーーっ!
パンプスを履く………
ストラップが留まらない
あれっ?
焦れば焦るほど留まらない
モタモタしてたら内定に響くかもしれない(ないだろ)
焦りからイライラに変わり、ストラップを留めずにそのまま外に飛び出した。
「ありがとうございました、失礼します!」
快晴の空のもと、パンプスのパカパカ音をBGMに帰路につく私なのであった。
歩きにくい。
さて、あとは結果を待つのみです。
長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。