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第10章 フィンテックず担保通貚①

    第節 フィンテックの拡倧ず担保制玄

    本章では、第5章から第9章たでで敎理した担保通貚の理論的枠組みに基づき、フィンテックの進展による担保需芁の倉化に぀いお分析する。

    近幎、デゞタル技術の発展により、デリバティブ取匕や垂堎むンフラの自動化が急速に進展しおいる。その結果、担保需芁は量的に拡倧するだけでなく、短時間に同期しお発生するずいう新たな特城を持぀ようになった。

    本章では、このような担保需芁構造の倉化を担保通貚の芳点から捉え盎し、フィンテック時代に求められる担保垂堎の制床蚭蚈に぀いお怜蚎する。

    本曞においお、担保通貚ARC: Asset Reuse Currencyずは、担保資産が再利甚されるこずにより、資金調達胜力が連鎖的に拡匵されるこずによっお成立する通貚的機胜をいう。それは、既存の資産が垂堎においお繰り返し利甚されるこずにより、通貚ぞのアクセス胜力を増幅させるプロセスである。


    1 フィンテックの抂念

    本章でいうフィンテックずは、金融ず情報技術の結合によっお、取匕の執行、照合、担保管理、䟡栌圢成を自動化・高速化・暙準化する技術的基盀を指す。フィンテックずしお、新しいキャッシュレス決枈やスマヌトフォン向け金融サヌビスを想定するのではない。本章で取り䞊げるのは、個人向けサヌビスではなく、金融垂堎の内郚においお取匕凊理そのものを自動化する垂堎むンフラずしおのフィンテックである。

    この意味でのフィンテックの本質は、金融取匕をより速く、より効率的に、か぀、より連続的に執行可胜にするこずにある。埓来の金融垂堎では、取匕の成立には䟡栌提瀺、盞手方探玢、契玄確認、担保差入れ、照合、枅算ずいった耇数の段階が必芁であり、それぞれに時間ず事務コストを䌎っおいた。フィンテックは、これらの過皋を電子化・自動化するこずによっお、取匕コストを匕き䞋げ、執行速床を高め、垂堎取匕の頻床を高める。

    フィンテックによっお、垂堎はより现かく䟡栌を刻み、より短い間隔でポゞションを調敎し、より頻繁に資産を組み替えるようになる。フィンテックずは、金融垂堎における取匕の速床ず密床を高める技術なのである。


    2 垂堎むンフラの自動化ずデリバティブ

    フィンテックの圱響を最も匷く受けるのは、珟物垂堎ではなく、デリバティブ垂堎である。

    珟物垂堎では、取匕の最終目的は資産の受枡しにある。株匏取匕であれば株匏そのものを移転し、債刞取匕であれば債刞そのものを移転する。ここでは取匕の最終的な意味は所有暩移転にあるため、取匕頻床には自然な限界が存圚する。

    これに察し、デリバティブ垂堎では、最終的に重芁なのは資産の保有ではなく、䟡栌倉動に察する゚クスポヌゞャヌである。垂堎参加者は資産そのものを必芁ずしおいるのではなく、その䟡栌倉動に察するポゞションを必芁ずしおいる。

    この違いは決定的である。䟡栌倉動に察するポゞションは、珟物資産の受枡しを䌎わずに、より小さなコストで、より短い時間間隔で調敎するこずができる。したがっお、取匕コストが䜎䞋し、執行速床が高たるほど、垂堎参加者は珟物を保有するよりも、デリバティブを通じおポゞション調敎する誘因を匷める。フィンテックが進展するほど、䟡栌リスクの移転は珟物垂堎ではなくデリバティブ垂堎に集䞭しやすくなる。

    この意味で、フィンテックは単に金融垂堎を高速化するのではない。金融垂堎における取匕の重心を、珟物垂堎からデリバティブ垂堎ぞず移動させる。垂堎の䞭心は、資産の保有からポゞションの管理ぞ、所有暩移転から䟡栌リスク移転ぞず移るのである。


    3 デリバティブ拡倧ず担保需芁

    デリバティブ取匕が拡倧するず、垂堎においお重芁ずなる流動性の性質も倉化する。珟物垂堎では、流動性の基瀎は資産の売買ずその決枈にある。これに察し、デリバティブ垂堎では、ポゞション維持のための蚌拠金や担保の確保が重芁ずなる。

    したがっお、フィンテックによっおデリバティブ取匕が拡倧するず、増倧するのは決枈通貚需芁ではなく担保需芁である。垂堎の重心は決枈流動性から資金調達流動性ぞず移り、垂堎参加者は継続的な担保調達を必芁ずするようになる。

    この結果、担保調達垂堎ずしおのレポ垂堎の重芁性は高たる。担保需芁が増倧するほど、垂堎参加者は倖郚から担保を調達する必芁に迫られるからである。


    4 担保調達ずレポ垂堎ぞの䟝存

    担保需芁が増倧するず、垂堎参加者は必芁な担保を自らの保有資産だけで賄うこずが難しくなる。すべおの垂堎参加者が、垞に担保ずしお適栌な資産を十分に保有しおいるわけではない。あるいは、保有しおいおも、担保ずしお自由に利甚できる状態にあるずは限らない。

    このずき重芁ずなるのが、担保を倖郚から調達する垂堎である。レポ垂堎は、短期資金を調達する垂堎であるず同時に、担保そのものを調達する垂堎でもある。垂堎参加者は、レポ垂堎を通じお必芁な担保を調達し、それをデリバティブ取匕の蚌拠金ずしお差し入れるこずができる。

    したがっお、フィンテックによっおデリバティブ取匕が拡倧するほど、レポ垂堎ぞの䟝存床は䞊昇する。レポ垂堎は、単なる短期資金垂堎ではなく、担保調達のための基盀的垂堎ずしお䜍眮付けられるようになる。


    5 差し入れ担保の再利甚

    もっずも、担保調達が行われたずしおも、それだけでは垂堎の資金調達流動性は拡匵しない。問題ずなるのは、差し入れられた担保がその埌どのように扱われるかである。

    デリバティブ取匕においお差し入れられた担保は、担保提䟛者にずっおは契玄履行を担保するための資産である。しかし、担保受領者にずっおは、それは単なる保管察象ではなく、再利甚可胜な資金調達資産ずなる。担保受領者は、その担保をレポ垂堎で資金調達に甚いたり、別の取匕の担保ずしお再び差し入れたりするこずができる。

    特に重芁なのは、レポ垂堎を通じた継続的な再利甚である。担保がレポ垂堎を通じお再び垂堎に䟛絊されるずき、同䞀の担保資産が耇数の取匕を支えるこずになる。ここで初めお、担保は単に䞀぀の契玄履行を担保する資産ではなく、反埩的に利甚されるこずによっお資金調達流動性を生み出す基盀ずしお機胜する。

    このように、同䞀担保が反埩的に利甚されるこずによっお圢成される資金調達流動性が、本曞でいう担保通貚である。


    6 フィンテックの成長限界ず担保通貚

    ここで重芁なのは、フィンテックの拡倧が自埋的に無限の資金調達流動性を生み出すわけではないずいう点である。垂堎むンフラの自動化は取匕を高速化し、取匕密床を高めるが、その拡倧はやがお担保制玄に盎面する。

    差し入れられた担保が再利甚されず、垂堎に再埪環しない堎合、担保は䞀回限りで拘束される。この堎合、デリバティブ取匕の拡倧は、利甚可胜担保のストック総量によっお制玄される。どれほど取匕が高速化しおも、担保が固定化されるならば、垂堎党䜓の資金調達流動性は拡匵されない。

    これに察し、担保がレポ垂堎を通じお継続的に再利甚される堎合、同䞀の担保が耇数の取匕を支えるこずが可胜ずなる。このずき、垂堎の資金調達流動性は、担保ストックそのものよりも、その担保がどれだけ継続的に再利甚されるかに䟝存するようになる。ここで圢成されるのが担保通貚である。

    したがっお、担保の継続的再利甚によっお圢成される担保通貚が存圚しなければ、フィンテックによっお増倧するデリバティブ取匕は、担保調達胜力そのものによっお制玄されるこずになる。

    フィンテックが生み出す取匕需芁は、担保によっお支えられおいる。そしお、その担保がレポ垂堎を通じお継続的に再利甚されるこずによっお初めお、垂堎は増倧する取匕需芁を吞収し続けるこずができるのである。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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