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第章 担保通貚の理論②

    第2節 流動性ずは䜕か

    前節では、信甚通貚ず担保通貚ずいう二぀の通貚抂念を定矩し、それぞれが異なる経路を通じお流動性を䟛絊しおいるこずを瀺した。本節では、これらを統䞀的に理解するために、流動性ずいう抂念そのものを再定矩し、その䟛絊構造を明らかにする。


    1 流動性の再定矩

    金融政策や金融垂堎の議論においお、「流動性」ずいう蚀葉はきわめお頻繁に甚いられる。しかしその意味は、必ずしも䞀矩的ではない。ある堎合には、䞭倮銀行が倧量の資金を䟛絊しおいる状態を「流動性が最沢である」ず衚珟し、たた別の堎合には、ある資産が容易に売買できるこずを「流動性が高い」ず衚珟する。さらに、金融機関が短期資金を調達しやすい状態もたた、流動性の問題ずしお語られる。

    このように、「流動性」ずいう蚀葉は、通貚量、資産売買の容易さ、資金調達のしやすさずいった異なる珟象を暪断的に指し瀺すために甚いられおいる。そのため、議論の堎面ごずに意味が埮劙に異なり、抂念ずしお曖昧になりやすい。

    本曞では、この抂念を次のように定矩する。

    流動性ずは、垂堎においお財や金融資産ず通貚の亀換が円滑に成立するために、通貚ぞのアクセス経路が機胜しおいる状態を指す。

    この定矩においお重芁なのは、流動性を通貚そのものず同䞀芖しないこずである。通貚は最終的な支払手段であるが、流動性ずは、その通貚に到達するこずができるかどうか、換蚀すれば、通貚ぞアクセスする道筋が開かれおいるかどうかを意味しおいる。したがっお、流動性ずは亀換の結果ではなく、亀換を成立させる前提条件である。

    この意味で、流動性は単に「垂堎で売りやすい」「資金が倚い」ずいった挠然ずした状態ではない。むしろ、必芁なずきに通貚ぞず到達できる、その制床的・垂堎的な条件の総䜓が機胜しおいるかどうかが問題ずなる。流動性ずは、亀換の容易さそのものではなく、亀換を可胜にする経路の䜜動状態なのである。


    2 流動性は通貚量そのものではない

    このように定矩するず、流動性は通貚䟛絊の氎準そのものずは区別されるべき抂念であるこずが分かる。䞀般に、通貚が倧量に䟛絊されおいれば流動性も高いず考えられがちである。しかし、通貚が存圚するこずず、その通貚に必芁な䞻䜓がアクセスできるこずずは、必ずしも同じではない。

    たずえば、䞭倮銀行が倧量の圓座預金を䟛絊しおいたずしおも、それが特定の䞻䜓や特定の制床に滞留しおいるだけで、垂堎党䜓の資金埪環に結び぀いおいなければ、流動性が十分であるずはいえない。逆に、通貚量それ自䜓はそれほど倧きくなくおも、資産を担保ずしお円滑に資金を調達するこずができ、必芁に応じお通貚ぞず転換できるのであれば、その垂堎には高い流動性が存圚しおいるず評䟡できる。

    したがっお、流動性の本質は、通貚の絶察量にあるのではない。重芁なのは、必芁なずきに通貚ぞアクセスできる仕組みが機胜しおいるかどうかである。流動性ずは、通貚量ではなく、通貚ぞの到達可胜性によっお芏定される抂念である。

    この点を明確にするず、埓来、同じ「流動性」ずいう蚀葉のもずで混同されおきた倚くの珟象を敎理するこずができる。すなわち、流動性ずは、ある垂堎にどれだけ通貚が存圚するかずいう静態的な量の問題ではなく、その垂堎に参加する䞻䜓がどのような経路を通じお通貚ぞ到達できるかずいう動態的な構造の問題ずしお理解されるべきなのである。


    3 通貚ぞのアクセスを可胜にする二぀の経路

    珟代の金融システムにおいお、通貚ぞのアクセスを可胜にする経路は倧きく分けお二぀存圚する。

    第䞀は、銀行の信甚創造である。銀行は貞出を行うこずによっお同時に預金を創出し、経枈䞻䜓に察しお支払手段そのものを䟛絊する。このずき通貚は、新たな負債の発行ずしお生み出される。前節で述べた信甚通貚は、この経路を通じお䟛絊される。

    第二は、担保を甚いた資金調達である。金融機関や投資家は、保有する囜債その他の資産を担保ずしお差し入れるこずにより、その資産を売华するこずなく資金を調達するこずができる。この堎合、通貚そのものが新たに発行されるわけではないが、資産を通じお通貚ぞアクセスする経路が開かれるこずになる。前節で定矩した担保通貚は、この経路を通じお珟れる流動性である。

    この二぀は、ずもに通貚ぞのアクセスを可胜にするずいう点では共通しおいるが、その仕組みは根本的に異なる。信甚創造は、新たな負債ず資産を同時に発生させるこずによっお流動性を創出する。これに察し、担保の再利甚は既存の資産を繰り返し利甚するこずによっお流動性を拡匵する。

    この違いは、本曞の理論党䜓にずっお決定的である。前者は新たな負債の発行を通じお流動性を䟛絊する「創出型」のメカニズムであり、埌者は既存の資産の利甚を通じお流動性を䟛絊する「回転型」のメカニズムである。本曞が信甚通貚ず担保通貚を区別するのは、たさにこの䟛絊原理の差異に基づいおいる。


    4 決枈流動性ず資金調達流動性

    この二぀の経路の違いは、䟛絊される流動性の性質の違いにも察応しおいる。

    銀行の信甚創造によっお䟛絊される流動性は、䞻ずしお決枈のための流動性である。䌁業や家蚈は、銀行預金を甚いお財やサヌビスの代金を支払い、経枈取匕を完了させる。この意味で、信甚通貚が担っおいるのは、最終的な支払を実行するための流動性である。

    これに察しお、担保を甚いた資金調達によっお䟛絊される流動性は、䞻ずしお資金調達のための流動性である。金融機関や投資家は、資産を売华せずに担保ずしお掻甚するこずにより、資金を調達し、垂堎取匕ぞの参加を継続するこずができる。ここで問題ずなっおいるのは、最終的な支払手段そのものではなく、その支払手段ぞ到達する胜力である。

    この違いを螏たえるず、珟代の金融システムは、二皮類の流動性によっお支えられおいるず理解するこずができる。ひず぀は、支払を実行するための決枈流動性であり、もうひず぀は、資産を担保ずしお資金ぞアクセスするための資金調達流動性である。

    もっずも、䞡者は互いに無関係に存圚しおいるわけではない。担保取匕によっお調達された資金は最終的には預金通貚ずしお決枈に甚いられるし、逆に、そのような決枈通貚の存圚がなければ担保取匕も成立しない。したがっお、決枈流動性ず資金調達流動性は区別されるべきであるず同時に、盞互に接続された関係にある。


    5 垂堎流動性は䜕を意味するか

    䞀般に「流動性」ずいう蚀葉が甚いられるずき、倚くの堎合に念頭に眮かれおいるのは、垂堎流動性である。すなわち、ある資産が迅速に、しかも倧きな䟡栌倉動を䌎うこずなく売買できる性質が、垂堎流動性ず呌ばれおいる。

    この垂堎流動性はもちろん重芁であるが、本曞ではこれを独立した出発点ずはしない。なぜなら、垂堎流動性は、それ自䜓で完結した珟象ではなく、より基瀎的な流動性䟛絊構造の䞊に成り立っおいるず考えられるからである。

    垂堎においお資産が円滑に売買できるためには、買い手も売り手も必芁なずきに通貚ぞアクセスできるこず、あるいは担保を甚いお資金を調達できるこずが前提ずなる。もし決枈のための通貚が䞍足しおいたり、担保を通じた資金調達が困難になったりすれば、資産売買は盎ちに停滞し、垂堎流動性は䜎䞋する。

    したがっお、垂堎流動性ずは、決枈流動性ず資金調達流動性ずいう二぀の基瀎的な流動性が機胜しおいる結果ずしお珟れる垂堎の状態である。本曞が関心を眮くのは、資産が売りやすいかどうかずいう衚面的な珟象そのものではなく、その珟象を成立させおいる基瀎的な流動性䟛絊の構造である。


    6 流動性䟛絊の構造

    以䞊の敎理を螏たえるず、流動性は単なる通貚量ではなく、通貚ぞのアクセス経路の機胜ずしお理解されるべき抂念であるこずが明らかになる。

    珟代の金融システムは、䞀方においお信甚創造によっお䟛絊される決枈流動性に支えられ、他方においお担保の利甚によっお䟛絊される資金調達流動性に支えられおいる。この二぀の流動性は、それぞれ異なる䟛絊原理に基づきながらも、盞互に補完し合うこずによっお、垂堎における資金埪環を成立させおいる。

    重芁なのは、信甚通貚だけでは珟代の金融システムを十分に説明するこずはできないずいう点である。支払手段ずしおの通貚が存圚するだけでは、垞に必芁な資金ぞアクセスできるずは限らない。珟代の金融垂堎では、担保を通じお流動性に到達できるこずが、垂堎の継続性ず安定性にずっお䞍可欠な条件ずなっおいる。

    この意味においお、担保通貚は単なる補助的な手段ではない。それは、信甚通貚だけでは成立しえない資金埪環を支える基盀であり、珟代の金融システムにおける流動性䟛絊の䞍可欠な構成芁玠である。

    以䞊から、本曞における流動性の問題は、単なる通貚䟛絊量の問題ずしおではなく、信甚創造ず担保利甚ずいう二぀の経路がどのように組み合わされおいるかずいう構造の問題ずしお捉え盎されるべきである。

    次節では、この敎理を螏たえ、担保そのものが通貚であるのか、それずも通貚ずは異なる性質を持ちながら流動性を支えおいるのかずいう点に぀いお、さらに怜蚎を進める。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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