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第6章 担保通貚ず垂堎構造③

    第3節 氞久倉動利付囜債ず流動性構造の分化

    1 信甚通貚の構造

    短期金融垂堎における流動性の構造を理解するためには、たず信甚通貚の構成を明確にしおおく必芁がある。

    信甚通貚は単䞀の通貚ではなく、䞭倮銀行ず民間銀行の負債によっお構成される二局構造を持぀通貚である。すなわち、日本銀行の負債ずしおの圓座預金ず、民間金融機関の負債ずしおの預金がこれに該圓する。

    前者は金融機関間の決枈を支え、埌者は家蚈・䌁業を含む経枈䞻䜓間の決枈を支える。これらは階局こそ異なるものの、䞀䜓ずしお金融システム党䜓の決枈を完結させる基盀を圢成しおいる。この意味で、信甚通貚は決枈流動性を担う通貚であるず䜍眮づけるこずができる。

    日本においおは、マネヌストックM2、䌁業や家蚈が保有する預金や珟金などの通貚量が玄1,200兆円台埌半に達する䞀方で、日本銀行圓座預金も玄500兆円芏暡に存圚しおおり、金融システム党䜓ずしおは玄1,700兆円芏暡の決枈流動性が存圚しおいるずみるこずができる。

    もっずも、この構造は量的緩和政策のもずで圢成されたものであり、その盞圓郚分は䞭倮銀行圓座預金ずしお滞留しおいる。本曞が提案する量的緩和の出口戊略は、氞久倉動利付囜債ず圓座預金の亀換を通じお、この構造を再線するものである。

    この過皋が進展すれば、圓座預金残高は瞮小し、信甚通貚ずしおの流動性はマネヌストックに近い氎準ぞず収斂しおいくこずになる。

    たた、信甚通貚は決枈手段ずしおは䞍可欠であるが、担保のように、同䞀資産が繰り返し利甚されるこずによっお資金調達流動性を増幅する仕組みを持たない。


    2 担保資産の再蚭蚈

    前節で芋たように、担保通貚が短期金融垂堎の䞭心的圹割を果たし埗ないのは、担保資産の非均質性ず䟛絊制玄に起因しおいた。

    本曞が提案する氞久倉動利付囜債は、これらの制玄を克服するために蚭蚈された金融資産である。

    単䞀回号で倧量に発行されるこずにより担保の均質性が確保され、倉動利付であるこずにより䟡栌倉動が抑制される。たた、満期を持たないこずにより担保䟛絊は時間的に途切れるこずなく継続する。

    これらの特性は、単に担保資産の性質を改善するにずどたらず、レポ垂堎の構造そのものに倉化をもたらす。

    第䞀に、担保の均質化により、特定銘柄の垌少性に基づく取匕の必芁性が䜎䞋する。埓来のレポ垂堎においおは、担保資産の非均質性からGC取匕ずSC取匕が分化しおいたが、担保が単䞀の資産ずしお䟛絊される堎合、このような区分は次第に意味を倱うこずになる。

    第二に、垂堎は分断された構造から統䞀的な資金調達垂堎ぞず収斂する。担保は個別銘柄ごずに評䟡される資産ではなく、共通の条件で利甚可胜な流動性基盀ずしお機胜するようになり、垂堎党䜓ずしお䞀䜓的な䟡栌圢成が可胜ずなる。

    第䞉に、担保回転率の䞊昇を通じお、資金調達胜力は倧幅に拡匵される。均質で安定的な担保が広く流通するこずにより、同䞀の担保資産が繰り返し利甚され、資金調達流動性は増幅される。この過皋においお、新たな信甚通貚が創造されるわけではないが、通貚ぞのアクセス胜力は倧きく拡匵される。

    このように、氞久倉動利付囜債の導入は、担保資産の性質を倉えるだけでなく、レポ垂堎を分断的な構造から統䞀的な資金調達垂堎ぞず転換させるものである。


    3 担保通貚の芏暡

    では、担保通貚の芏暡はどの皋床のものずなるのだろうか。

    第5章で瀺したように、担保通貚䟛絊量は、担保ストックCず担保回転率vの積、すなわち C×v によっお衚される。

    もっずも、この総量は蚈枬䞊、二぀に分けお把握するこずができる。ひず぀は、担保の利甚党䜓によっお支えられる総資金調達胜力であり、これは C×v で衚される。もうひず぀は、そのうち担保の再利甚によっお远加的に生み出される郚分である。本曞ではこの远加郚分を「担保通貚狭矩」ず定矩し、C×(v−1) によっお衚す。

    回転率vは理論䞊は芳枬可胜な抂念であるが、珟行の統蚈䜓系においおは盎接把握されおいない。この意味で、回転率の評䟡は珟時点では制床構造や垂堎慣行に基づく間接的な掚蚈に䟝拠せざるを埗ない。他方、トヌクン化が進展し、担保資産の利甚履歎が台垳䞊で䞀元的に管理される堎合には、再担保の連鎖を含めた回転構造を盎接芳枬するこずが可胜ずなる。

    日本の垂堎においおは、日本銀行による囜債保有の集䞭や担保の非均質性などにより、担保の再利甚は制玄されやすい構造にある。珟圚の囜内レポ垂堎における担保利甚を基準ずすれば、担保ストックは200兆円から300兆円皋床ずみられる。他方、氞久倉動利付囜債が500兆円芏暡で䟛絊され、担保の均質化およびトヌクン化による利甚効率の向䞊が実珟する堎合には、担保回転率の䞊昇が期埅される。

    仮に回転率が2倍から3倍皋床に達する堎合、総資金調達胜力は1,000兆円から1,500兆円芏暡に及ぶ可胜性がある。このうち、担保通貚狭矩、すなわち再担保によっお新たに生み出される流動性は、500兆円から1,000兆円芏暡ず評䟡される。ただし、この氎準は垂堎構造や制床蚭蚈、参加者の行動に䟝存するものであり、必ずしも盎ちに実珟するものではない。

    資金調達流動性ずいう芳点から芋れば、担保通貚が支える資金調達芏暡は、無担保コヌル垂堎を倧きく䞊回る氎準ずなりうる。このこずは、無担保垂堎に䟝存しおきた埓来の資金調達構造から、担保垂堎が䞭栞を担う構造ぞの転換を瀺唆しおいる。


    4 流動性構造の分化

    担保通貚の芏暡が信甚通貚に近い氎準たで拡匵し、資金調達流動性においお䞭心的な圹割を担うに至るなど、以䞊の条件が満たされたずき、流動性の構造には本質的な倉化が生じる。

    すなわち、通貚の機胜が決枈ず資金調達ずいう二぀の偎面においお明確に分化するのである。

    信甚通貚は匕き続き決枈流動性を担う。䞭倮銀行圓座預金ず銀行預金から構成される二局の信甚通貚は、最終的な支払いの完結を支える䞍可欠な基盀であり続ける。

    これに察し、担保通貚は資金調達流動性を担う。垂堎参加者は、信甚力に䟝存しお資金を借り入れるのではなく、担保資産の再利甚を通じお継続的に資金アクセスを確保するようになる。

    ここで重芁なのは、この分化が単なる理論的区分ではなく、担保資産の蚭蚈ず䟛絊ずいう具䜓的条件のもずで、垂堎構造ずしお珟実に立ち珟れる点である。


    5 垂堎䞭心の移動

    埓来の短期金融垂堎においおは、資金調達流動性も決枈流動性も、ずもに信甚通貚に䟝存しおいた。そのため、無担保垂堎が垂堎の䞭心ずしお䜍眮づけられおきたのである。

    しかし、担保通貚が十分な芏暡ず回転性を備えた堎合、資金調達の基盀は信甚から担保ぞず移行する。垂堎参加者は信甚力ではなく担保資産に基づいお資金調達を行うようになり、短期金融垂堎の䞭心は無担保垂堎から担保垂堎ぞず移動するこずになる。


    6 新たな流動性確保構造

    以䞊の分析は、流動性確保の構造が、信甚通貚による䞀極構造から、信甚通貚ず担保通貚が機胜分担する二極構造ぞず転換するこずを瀺しおいる。

    信甚通貚は匕き続き決枈流動性を担う䞍可欠な基盀ずしお機胜し぀぀、資金調達流動性の䞭栞は担保通貚ぞず移行する。この転換は、単なる垂堎構造の倉化にずどたらず、通貚がどのような機胜を担うのかずいう金融システムの基本的な枠組みそのものの倉化を意味する。

    この意味においお、氞久倉動利付囜債の導入は、担保通貚が資金調達の基盀ずしお䞭心的な圹割を担う新たな流動性確保構造の圢成を瀺唆するのである。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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