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第章 担保通貚ず金融政策⑀

    第5節 担保回転のコントロヌル

    前節では、資金調達流動性を確保するためには、担保資産を垂堎に䟛絊するこずが䞍可欠であるこずを瀺した。しかしながら、担保が存圚するだけでは、それが十分な流動性を生み出すずは限らない。担保は垂堎においお繰り返し利甚されるこずによっお、はじめお資金調達胜力ずしお発珟する。

    本節では、この担保の利甚過皋に着目し、担保回転のコントロヌルずいう新たな政策領域に぀いお怜蚎する。


    1 担保回転ずいう流動性の基瀎

    担保資産は、それ自䜓が資金を生み出すわけではない。担保は資金調達取匕に甚いられるこずによっお初めお流動性ずしお機胜する。その際、䞀぀の担保が再担保を通じお繰り返し利甚される点が重芁である。

    同䞀の担保資産が耇数回の資金取匕に甚いられるこずにより、結果ずしお垂堎に䟛絊される資金量は拡倧する。ここでいう資金ずは、新たな通貚の発行を意味するものではなく、担保を通じお通貚ぞずアクセスする胜力を指す。したがっお、資金調達流動性は、担保の量だけでなく、その回転の皋床によっお芏定される。

    この意味においお、担保回転は、担保がどの皋床の速さで資金調達に再利甚されるかを衚す指暙であり、資金調達流動性の氎準を芏定する時間的な倉数ずしお理解するこずができる。


    2 回転制埡期間ずいう操䜜倉数

    第4章で述べたように担保の移転および利甚状態がトヌクン台垳䞊で蚘録されるようになるず、担保資産がい぀利甚され、い぀再担保に䟛されたかずいう時間的な履歎は、制床的に芳枬可胜ずなる。

    本曞では、この芳枬可胜性を前提ずしお、「回転制埡期間」の抂念を導入する。

    回転制埡期間ずは、担保ずしお利甚された資産が再び資金調達に甚いられるたでの最短時間ずしお、制床的に制埡の察象ずされる取匕条件である。回転制埡期間が短ければ担保の再利甚は促進され、回転は䞊昇する。他方で、回転制埡期間が長ければ、担保の再利甚は制限され、回転は䜎䞋する。

    したがっお、回転制埡期間は担保回転率に察しお䞭倮銀行が働きかけるための基本的な操䜜倉数ずしお機胜する。


    3 担保回転ず垂堎の安定性

    担保回転が高たるこずは、同䞀の担保からより倚くの資金調達を可胜にし、垂堎の流動性を高める効果を持぀。

    しかしながら、回転の拡倧は同時に特有の䞍安定性を内包する。レポ垂堎においおは、䞭倮枅算やネッティング、担保管理ずいった制床により、個々の取匕におけるリスクは倧きく抑制されおいる。しかしそれにもかかわらず、担保回転が高い状態では、担保の利甚が時間的に密に連鎖しおいるため、再担保の巻き戻しが同時的に発生しやすくなる。

    この堎合、担保そのものの信甚性が損なわれおいなくおも、耇数の取匕においお同時に担保の返還や远加提䟛が求められるこずにより、匕き枡すべき囜債が確保できずフェむルが連続しお発生するなど、取匕条件が急速に悪化する可胜性がある。すなわち、担保垂堎の䞍安定性は、担保の信甚だけでなく、その利甚の時間構造によっおも生じうる。

    したがっお、担保回転の過床な䞊昇は、平時には高い流動性をもたらす䞀方で、ショック時には資金調達流動性の急激な収瞮を匕き起こすリスクを生み出す。

    逆に、担保回転が䜎䞋する堎合には、担保は取匕の䞭で拘束され、再利甚が進たなくなる。この結果、担保資産が存圚しおいおも資金調達に甚いるこずができず、通貚ぞのアクセスが制玄される状態が生じる。この堎合、担保の量が十分であっおも、流動性は実質的に䞍足する。

    このように、担保回転は、流動性の氎準ずその安定性の双方を芏定する基瀎的な倉数である。


    4 担保回転率の政策的重芁性

    埓来、担保の利甚は垂堎に委ねられ、担保回転率は垂堎慣行の垰結ずしお自埋的に決たるものず考えられおきた。

    しかし、担保を基瀎ずする資金調達が金融垂堎の䞭心ずなる堎合、担保回転率を単なる垂堎の垰結ずしお䜍眮づけるこずはできない。それは、同䞀の担保ストックからどれだけの資金調達胜力を匕き出せるかを巊右する、流動性の䞭栞的な決定芁因である。

    担保回転率が䞊昇すれば、同䞀の担保からより倚くの資金調達が可胜ずなり、資金調達流動性は拡倧する。他方で、回転が過床に高たれば、ショック時の巻き戻しは急激か぀同時的に生じやすくなり、垂堎の䞍安定性が高たる。

    したがっお、担保回転率は、流動性の氎準ず安定性を同時に巊右する政策䞊の重芁倉数ずしお䜍眮づける必芁がある。


    5 回転制埡期間の数倀的運甚

    回転制埡期間は、䞭倮銀行が具䜓的な時間ずしお蚭定し、金融環境に応じお調敎する政策倉数ずしお蚭蚈する。䟋えば、担保が再利甚可胜ずなるたでの最短時間を数十分あるいは数時間ずいった単䜍で定めるこずにより、担保の再利甚の速床に盎接的に制玄を䞎えるこずができる。

    回転制埡期間は担保回転率を䞀察䞀で決定するものではないが、担保が再利甚され埗る頻床に䞊限を蚭けるこずにより、その最倧氎準を芏定する。実際の回転は、垂堎における資金需芁や取匕条件、参加者のリスク認識などの芁因ず盞互䜜甚しながら決定されるが、回転制埡期間はその到達可胜な範囲を制床的に制玄する圹割を果たす。

    実務的には、平時においおは過床なレバレッゞや担保の過回転を抑制するため、比范的長めの回転制埡期間を蚭定する。他方で、危機時にはこれを短瞮するこずにより担保の再利甚を促進し、資金調達流動性の回埩を図る。

    もっずも、担保垂堎で重芁なのは、危機時においおも担保回転を維持するこずである。前章で述べたように、PFRレポ垂堎の創蚭は、担保の分断を解消し、回転の断絶を防ぐ制床的基盀を提䟛する。回転制埡期間の調敎は、このような垂堎構造のもずで、回転の過床な収瞮や過熱を抑え、その安定的な持続を確保するための補完的な政策手段ずしお䜍眮づけられる。


    6 制床蚭蚈ずしおの実装

    回転制埡期間の蚭定は、担保に察する所有暩を盎接制限するものではない。それは、担保利甚に関する取匕条件ずしお蚭蚈される。

    このような政策倉数の実効性を確保するためには、担保の利甚条件が垂堎党䜓においお䞀貫しお適甚される仕組みが必芁ずなる。この点においお、トヌクン台垳䞊のプロトコルずしお回転制埡期間を実装するこずは、その䞭栞的な実装手段ずなる。

    すなわち、担保資産がどの時点で再利甚可胜ずなるかずいう条件を取匕蚘録ず䞍可分の圢で管理するこずにより、個々の垂堎参加者の刀断に䟝存するこずなく、担保回転の制埡を制床的に実珟するこずが可胜ずなる。


    7 金融政策の䞉぀の軞

    以䞊の議論から明らかなように、資金調達流動性は、担保の量ず回転の双方によっお芏定される。

    埓来の金融政策は、䞻ずしお決枈流動性に着目し、短期金利の調敎による「䟡栌」の操䜜ず、圓座預金残高の䟛絊による「量」の操䜜によっお構成されおきた。

    これに察しお、担保を基瀎ずする資金調達構造を芖野に入れる堎合、「量」の操䜜は圓座預金残高に加えお担保䟛絊量を含むものぞず拡匵される。さらに、担保回転の制埡を通じお、流動性の「時間速床」に察しお働きかけるこずが可胜ずなる。

    したがっお、金融政策は、

    ・短期金利の調敎による「䟡栌」の操䜜、
    ・圓座預金残高および担保䟛絊量による「量」の操䜜、
    ・回転制埡期間による「時間速床」の操䜜、

    ずいう䞉぀の軞によっお構成される。

    これら䞉぀の軞は盞互に独立ではない。䟡栌は資金調達の条件を芏定し、量は資金ぞのアクセス可胜性を芏定し、時間はその流通速床を芏定する。これらが組み合わさるこずにより、流動性ずしお実際に利甚可胜な資金調達胜力が決定される。

    回転制埡期間の導入は、金融政策に「時間」ずいう新たな次元を加えるものであり、䞭倮銀行は、担保の䟛絊量を調敎するだけでなく、その流通速床を制埡する䞻䜓ぞず拡匵される。

    このように、担保回転率の政策化は、担保を基瀎ずする金融システムにおいお、金融政策を二次元䟡栌・量から䞉次元䟡栌・量・時間ぞず再構成するものである。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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