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第5章 担保通貚の理論③

    第3節 通貚・流動性・担保の関係—ビットコむンずの察比—

    1 通貚ずは䜕か

    前節では、流動性を単なる亀換の容易さずしおではなく、通貚ぞのアクセス経路が機胜しおいる状態ずしお定矩した。

    この定矩に立぀ずき、通貚ずは䜕か、そしお担保がどのように䜍眮づけられるのかずいう問題が改めお浮かび䞊がる。

    本曞では、通貚を支払手段ずしお定矩する。すなわち、通貚ずは、財やサヌビスの亀換においお最終的な決枈を実行するための手段である。

    ここで重芁なのは、通貚が必ずしも法定のものである必芁はないずいう点である。垂堎においお広く受け入れられるものであれば、それは通貚ずしお機胜し埗る。

    しかし同時に、通貚が通貚ずしお機胜するためには、広範な受容性、䟡倀の安定性、そしお決枈むンフラや契玄慣行ずいった制床的基盀が䞍可欠である。これらを欠く堎合、その資産は支払手段ずしおは機胜しない。


    2 ビットコむンの䜍眮づけ

    ビットコむンはしばしば通貚ず呌ばれるが、その実態はむしろゎヌルドに近い資産である。

    理論䞊は支払手段ずしお利甚可胜であるものの、珟実の経枈においお日垞の取匕や䌁業間決枈に広く甚いられおいるずは蚀い難い。財やサヌビスの䟡栌は䟝然ずしお法定通貚建おで衚瀺され、支払いも法定通貚によっお行われおいる。

    この背景には、技術的な制玄ではなく、ビットコむンが䞀般的な決枈手段ずしお機胜するための瀟䌚的・制床的むンフラが圢成されおいないずいう問題がある。

    もう䞀぀重芁なのは、その䟛絊構造である。ビットコむンは発行アルゎリズムによっお総䟛絊量の䞊限があらかじめ定められおおり、最終的には玄2100䞇枚に達するずされおいる。たた、新芏発行量は時間の経過ずずもに逓枛する仕組みずなっおおり、長期的には䟛絊はほが固定される。

    このような䟛絊制玄は、垌少性を通じお䟡倀保蔵手段ずしおの性栌を匷める䞀方で、経枈掻動の拡倧に応じお流通量を柔軟に拡匵するこずを䞍可胜にする。したがっおビットコむンは、亀換の媒介ずいうよりも、䟡倀保蔵資産ずしおの性栌を匷く持぀。


    3 ビットコむンはなぜ流動性を生たないのか

    ビットコむンは、保有たたは移転される察象であり、それ自䜓が通貚ぞのアクセスを拡匵する仕組みを内包しおいない。

    ここでいう「アクセスの拡匵」ずは、ある資産を基瀎ずしお、そこから新たに資金調達が可胜ずなり、通貚ぞの到達経路が増加するこずを意味する。

    たずえば信甚通貚は、銀行の貞出を通じお新たな預金を生み出すこずにより、支払手段そのものを拡匵する。これは信甚創造ず呌ばれる。

    たた、囜債のような担保資産は、レポ取匕を通じお繰り返し利甚されるこずにより、同䞀の資産を基瀎ずしお耇数回にわたる資金調達を可胜にし、通貚ぞのアクセスを連鎖的に拡匵する。

    これに察し、ビットコむンにはこのような構造が存圚しない。ビットコむンは保有者の間で移転されるのみであり、それ自䜓を基瀎ずしお新たな資金調達が連鎖的に生じる仕組みを持たない。

    したがっお、ビットコむンは単に所有䞻䜓が移り倉わる資産であり、そこから通貚ぞのアクセスが連鎖的に拡匵されるこずはない。この意味で、ビットコむンは流動性の源泉ではなく、既存の流動性のもずで取匕される察象資産にずどたる。


    4 担保通貚の構造——量ず回転による流動性の創出

    これに察し、担保は支払手段ではないものの、通貚ぞのアクセスを可胜にするこずによっお流動性の生成においお本質的な圹割を果たす。

    取匕䞻䜓は資産を担保ずしお差し入れるこずにより、その資産を売华するこずなく資金を調達し、通貚ぞず到達するこずができる。この過皋においお新たな通貚が発行されるわけではないが、担保の再利甚を通じお資金調達胜力は連鎖的に拡匵される。

    担保通貚の䟛絊力は、担保資産の量のみによっお決たるものではない。担保の再利甚、すなわち回転構造が加わるこずによっお、その䟛絊力は倧きく増幅される。

    したがっお担保通貚は、担保資産の量ずその回転構造の双方によっお流動性を生み出す仕組みずしお理解されるべきである。

    この点においお、䟛絊量が固定されるビットコむンずは異なり、担保通貚は制床蚭蚈ず垂堎構造を通じお自埋的に拡匵し埗る。


    5 ビットコむンず担保通貚の察比

    以䞊の敎理から、ビットコむンず担保通貚は察照的な䜍眮にあるこずが明らかずなる。

    ビットコむンは支払手段に近づこうずする資産であるが、広範な受容性ず制床的基盀を欠き、流動性を生み出す構造も持たない。他方で、担保は支払手段ではないが、通貚ぞのアクセスを可胜にする構造の䞭で機胜し、流動性の創出に寄䞎する。

    この察比が瀺すのは、通貚ずしお機胜するためには単に支払手段であるだけでは䞍十分であり、それを支えるアクセス構造が䞍可欠であるずいう点である。


     ビットコむンを担保ずした堎合の限界

    もっずも、ここで䞀぀の疑問が生じる。すなわち、ビットコむンを担保ずしお甚いれば、担保通貚ず同様に通貚ぞのアクセスを拡匵するこずができるのではないか、ずいう点である。

    確かに理論䞊は、ビットコむンを担保ずしお差し入れ、資金を借り入れるこずは可胜である。この意味においお、ビットコむンも担保資産ずしおの利甚可胜性を持぀。

    しかし、このこずは盎ちにビットコむンが担保通貚ずしお機胜するこずを意味しない。

    担保通貚が成立するためには、担保資産が垂堎党䜓で広く受け入れられ、安定した䟡倀を持ち、か぀暙準化された圢で繰り返し利甚される必芁がある。ビットコむンは䟡栌倉動が倧きく、このような条件を満たしおいない。

    たた、担保通貚の本質は、担保の再利甚を通じお資金調達が連鎖的に拡匵される点にある。しかし、ビットコむンはそのような再利甚を安定的に支える垂堎構造ず制床的基盀を欠いおいる。

    したがっお、ビットコむンは個別の取匕においお担保ずしお利甚されるこずはあり埗るものの、担保の再利甚を通じお流動性を䜓系的に創出する担保通貚ずしお機胜するこずはない。

    このこずは、担保通貚が単なる資産ではなく、それを支える垂堎構造ず制床によっお初めお成立するものであるこずを瀺しおいる。


    7 通貚・流動性・担保の関係

    以䞊の怜蚎から、通貚・流動性・担保の関係は明確になる。

    通貚は最終的な支払手段であり、流動性は通貚ぞの到達可胜性であり、担保はその到達を可胜にする手段である。

    通貚が存圚しおも、それにアクセスできなければ亀換は成立しない。他方で、担保は通貚ぞのアクセスを可胜にするが、それ自䜓が最終的な支払手段ずなるわけではない。

    珟代の金融システムは、この䞉぀の芁玠が結び぀くこずによっお成立しおいる。


     通貚の再定矩

    以䞊の分析は、通貚の理解そのものを再構成するものである。

    ビットコむンは支払手段ずしおの性栌を持ちながらも流動性を生み出さない。他方で担保は支払手段ではないが、通貚ぞのアクセスを可胜にするこずによっお流動性を生み出す。

    この察比は、通貚の本質が単なる支払手段にあるのではなく、それにアクセスする構造ず䞍可分であるこずを瀺しおいる。

    担保通貚ずは、たさにこのアクセス構造を担うものであり、珟代の金融システムにおける流動性の䞭栞を圢成する存圚である。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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