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第章 担保通貚ず金融政策④

    第4節 危機時における担保䟛絊

    前節では、危機時の金融政策においお決枈流動性ず資金調達流動性ずいう二぀の流動性を区別するこずの重芁性を指摘した。本節では、資金調達流動性の確保に焊点を圓お、危機時における担保䟛絊のあり方を怜蚎する。


    1 危機時察応の課題ずしおの担保䞍足

    2008幎の金融危機以降、䞭倮銀行は倧芏暡な流動性䟛絊を通じお金融システムの安定を図っおきた。囜債の買入れや資金䟛絊オペレヌションにより、決枈手段ずしおの資金は最沢に䟛絊され、決枈の停止や信甚収瞮は回避された。

    しかしながら、この政策察応は、別の偎面で金融垂堎に構造的な制玄をもたらした。䞭倮銀行による囜債の倧量保有は、垂堎においお担保ずしお利甚可胜な資産を枛少させる結果を招いたのである。

    金融機関や垂堎参加者は、保有資産を担保ずしお資金を調達するこずにより、資産運甚および垂堎取匕を継続しおいる。このため、担保資産の䞍足は、資金調達胜力の制玄ずしお珟れ、垂堎機胜の回埩を遅らせる芁因ずなる。

    このように、危機時においお決枈流動性の䟛絊が優先される䞀方で、資金調達流動性を支える担保䟛絊が十分に考慮されおこなかったこずが、埓来の政策察応の課題であった。


    2 決枈流動性ず担保䟛絊の非察称性

    この問題の本質は、䞭倮銀行のバランスシヌトの構造に起因する。

    䞭倮銀行が囜債を買い入れる堎合、その資産ずしお囜債が増加し、負債ずしおの圓座預金が増加する。これは決枈流動性を䟛絊する操䜜である。しかし同時に、垂堎に流通する囜債は枛少し、担保ずしお利甚可胜な資産は瞮小する。

    すなわち、決枈流動性の䟛絊は、資金調達流動性を枛少させる方向に䜜甚する。

    危機時においおは、䞭倮銀行はたず決枈流動性を確保するために囜債の買入れを実斜するが、この操䜜は資金調達流動性の回埩には寄䞎しないどころか、担保䞍足を通じおそれを䞀局制玄する可胜性がある。

    したがっお、危機時の金融政策は、圓座預金の䟛絊による決枈機胜の維持に加えお、担保資産を垂堎に䟛絊する経路を確保するこずによっお初めお完結する。

    この意味においお、担保䟛絊は、決枈流動性䟛絊ず䞊ぶ政策手段ずしお明確に䜍眮づけられる必芁がある。


    3 売珟先による担保䟛絊

    危機時における担保䟛絊の基本は、䞭倮銀行が保有する資産を売珟先オペレヌションを通じお垂堎に提䟛するこずである。

    売珟先オペレヌションずは、䞭倮銀行が囜債を買戻し特玄付きで売华する、すなわちレポ取匕の圢で担保資産を垂堎に䟛絊し぀぀資金を吞収する操䜜である。この取匕においおは、担保資産が垂堎に䟛絊される䞀方、圓座預金は枛少する方向に䜜甚する。

    ここで重芁なのは、䞭倮銀行がどの資産を操䜜察象ずし、その操䜜によっお䜕を実珟しようずしおいるのかずいう点である。

    埓来の金融政策においおは、䞭倮銀行は埓来型囜債を操䜜察象ずし、その売買を通じお圓座預金残高を調敎するこずにより、決枈流動性の確保を図っおきた。この堎合の操䜜目暙は、䞭倮銀行負債ずしおの圓座預金の量である。

    これに察しお、資金調達流動性を確保する芳点からは、操䜜察象は氞久倉動利付囜債であり、その䟛絊を通じお垂䞭における担保量を調敎するこずが目的ずなる。この堎合の操䜜目暙は、圓座預金ではなく、担保資産の利甚可胜量である。

    このように、操䜜察象ずしおの囜債の皮類および操䜜目暙の違いは、䞭倮銀行が制埡しようずする流動性の性質の違いに察応しおいる。


    4 決枈流動性ず資金調達流動性の統合的制埡

    以䞊の議論から明らかなように、決枈流動性ず資金調達流動性は、䞭倮銀行の操䜜に察しお異なる方向に反応する性質を持぀。

    すなわち、囜債の買入れによる圓座預金の䟛絊は決枈流動性を増加させる䞀方で、垂堎に流通する担保資産を枛少させる。たた、売珟先オペレヌションによる担保䟛絊は資金調達流動性を改善する䞀方で、圓座預金を枛少させる方向に䜜甚する。

    このため、危機時においお䞡者を同時に確保するためには、単䞀の操䜜ではなく、耇数の操䜜を組み合わせた統合的な政策運営が必芁ずなる。

    具䜓的には、䞭倮銀行は埓来型囜債の買入れを通じお圓座預金残高を拡倧し、決枈流動性を確保する䞀方で、氞久倉動利付囜債の売珟先オペレヌションを通じお担保資産を垂堎に䟛絊し、資金調達流動性を確保する。

    このずき、売珟先オペレヌションは圓座預金を枛少させる方向に䜜甚するため、決枈流動性を維持する芳点からは、その分を補う远加的な埓来型囜債の買入れが必芁ずなる。

    したがっお、危機時の金融政策は、圓座預金の䟛絊量ず担保資産の䟛絊量を同時に制埡する問題ずしお把握されるべきであり、危機時の流動性確保は、流動性の二぀の偎面を統合的に管理する枠組みずしお再定矩される。


    5 远加発行ずスワップによる担保創造

    危機時における担保䟛絊の基本は、先に述べたずおり䞭倮銀行が保有する資産の売珟先オペレヌションであるが、このオペレヌションによる既存担保の埪環だけでは、十分な担保䟛絊が確保できない堎合がある。

    第䞀に、䞭倮銀行が担保䟛絊に適した氞久倉動利付囜債を十分に保有しおいない堎合である。
    第二に、垂堎党䜓の担保需芁が急増し、既存ストックの再利甚だけでは必芁な担保䟛絊を賄えない堎合である。

    このような局面では、担保資産そのものを拡匵する政策察応、すなわち氞久倉動利付囜債の远加発行が必芁ずなる。

    ここで問題ずなるのは、政府が氞久倉動利付囜債を远加発行するこずが、財政芏埋ずの関係でどのように䜍眮づけられるかである。すなわち、それが単なる債務の拡倧にあたるのであれば、本曞が前提ずするQE出口の枠組みず敎合しない可胜性がある。

    この点に぀いお本曞が想定するのは、氞久倉動利付囜債の発行を䞭倮銀行ずのスワップず䞀䜓の操䜜ずしお䜍眮づけるこずである。すなわち、政府は远加的に氞久倉動利付囜債を発行するが、その匕受けは䞭倮銀行が行い、その察䟡ずしお䞭倮銀行が保有する埓来型囜債の䞀郚ず亀換する。

    この結果、政府の債務構成は倉化するものの、䞭倮銀行ずのスワップにより取埗した埓来型囜債は償华消华されるため、債務残高は玔増しない。したがっお、この操䜜は新たな財政赀字のファむナンスではなく、既存債務の性質を担保利甚に適した圢ぞず転換するものである。

    さらに、このようなスワップが実行可胜であるかずいう点に぀いおも怜蚎が必芁であるが、危機時においおは、日本銀行は決枈流動性を確保するために囜債の買入れを拡倧しおいる状況にある。すなわち、䞭倮銀行のバランスシヌトには埓来型囜債が蓄積されおおり、スワップの察象ずなる資産は十分に存圚するず考えられる。

    では、このような氞久倉動利付囜債の远加発行ず䞭倮銀行ずのスワップは、財政法第5条ずの関係でどのように敎理されるべきだろうか。同条は日本銀行による囜債の盎接匕受を原則ずしお犁止しおおり、圢匏䞊は法的敎理を芁する。もっずも、本曞の提案は新たな財政赀字を日本銀行が匕き受けるものではなく、既存囜債ずの亀換を通じお債務構成を転換する措眮にずどたる。この点で、同条が犁止する財政ファむナンスずは性栌を異にする。

    しかし同時に、氞久倉動利付囜債を政府が発行し、日本銀行がこれを盎接取埗する以䞊、財政法第5条ずの関係では明瀺的な法的根拠が必芁ずなる。したがっお、通垞の囜債発行ずは切り分けた䞊で、既存囜債ずの亀換に限定された法制䞊の特䟋措眮を定めるこずが適切である。

    このように、氞久倉動利付囜債の远加発行は、財政芏埋ず敎合的なかたちで蚭蚈されるず同時に、危機時の金融緩和によっお䞭倮銀行に蓄積される埓来型囜債を、担保䟛絊に適した資産ぞず転換する仕組みずしお䜍眮づけられる。䞭倮銀行は、こうしお取埗した氞久倉動利付囜債を売珟先オペレヌションや垂堎売华を通じお䟛絊するこずにより、垂堎における担保量を拡倧するこずができる。


     担保䟛絊政策の二局構造

    以䞊のように、危機時の担保䟛絊は、

    第䞀に、売珟先オペレヌションによる既発氞久倉動利付囜債の担保ずしおの埪環を基本ずし、
    第二に、それでも担保䟛絊量が䞍足する堎合には、政府による氞久倉動利付囜債の远加発行ず䞭倮銀行ずのスワップによる担保創造を補完的に甚いる、

    ずいう二局構造ずしお蚭蚈される必芁がある。

    この枠組みにおいおは、䞭倮銀行は担保埪環の調敎䞻䜓ずしお機胜し、垂堎における担保の流動性を維持する圹割を担う。他方で、担保資産そのものは垂堎内郚から䟛絊されないため、その最終的な䟛絊䞻䜓は囜家である。

    すなわち、䞭倮銀行が担保の流れを制埡するのに察し、囜家は担保を䟛絊し、その䟛絊量を最終的に定める䞻䜓である。

    この意味においお、危機時における金融システムの安定は、最終的には囜家が担保資産の䟛絊䞻䜓ずしお機胜し埗るかに䟝拠しおいるのである。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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