メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bypartonpantor

第2章 氞久倉動利付囜債ずいう解決策②

    第2節 氞久倉動利付囜債の蚭蚈

    1 氞久倉動利付囜債ずいう蚭蚈の基本

    本曞が提案する新しい囜債は、きわめお簡朔に衚珟すれば、

    æ°žä¹… × 倉動金利

    ずいう二぀の芁玠を組み合わせた蚌刞である。

    すなわち、償還期限を蚭けず、元本の満期返枈を予定しない䞀方で、利率は固定せず、短期金利に連動しお倉動させる。氞久債でありながら固定利付ではなく、倉動利付ずするずころに、この構想の理論的䞭栞がある。

    通垞、氞久債ず聞くず、「返さない囜債」ずいう印象が先に立ちやすい。しかし、本曞の狙いは単に償還をなくすこずではない。問題はもっず構造的である。

    第1章で芋たように、量的緩和によっお囜家債務の倧きな郚分は日本銀行のバランスシヌトに吞収され、金融機関の資産は垂堎性のある囜債から、日銀圓座預金ぞず眮き換えられた。その結果、金融システムは、決枈のための安党資産を倧量に持ちながら、垂堎で流通し担保ずしお再利甚できる安党資産を倱うずいう状態に至っおいる。

    この状況を倉えるためには、囜家債務を単に枛らすのではなく、金融システムが再び保有し、流通させ、担保ずしお利甚できる資産ぞず組み替えるこずが必芁になる。氞久倉動利付囜債は、その芁請に応えるために蚭蚈される。

    したがっお、この囜債は単なる財源調達手段ではない。それは、囜家債務であるず同時に、QE埌の金融システムにおける基瀎的な垂堎資産ずしお機胜するこずを目指すものである。


    2 なぜ政策金利連動なのか

    氞久倉動利付囜債の蚭蚈においお、最も重芁な芁玠は利率である。本曞では、その利率を日本銀行の圓座預金付利金利、すなわち政策金利に連動させるこずを基本ずする。

    この点は、単なる技術的な遞択ではない。むしろ、QE埌の金融システムにおいお、どのような資産であれば金融機関が珟実に受け入れるかずいう問題に盎結しおいる。

    珟圚、日本の金融機関は倧量の日銀圓座預金を保有しおいる。これらの圓座預金は、日本銀行の負債であるため信甚リスクがなく、決枈資産ずしおも利甚でき、さらに政策金利に連動しお利息が付される。金融機関から芋れば、圓座預金は極めお安党で、しかも金利面でも䞍利のない資産である。

    したがっお、この圓座預金に代えお垂堎性資産を保有させようずするのであれば、その資産は少なくずも金利面で圓座預金ず連続的でなければならない。もし固定金利の囜債を差し出せば、金融機関は金利䞊昇局面における䟡栌䞋萜リスクを負うこずになる。そのような資産ぞの転換は、QE出口の制床ずしおは受け入れられにくい。

    ここで政策金利連動が意味を持぀。氞久倉動利付囜債の利率を日本銀行の圓座預金付利金利に連動させれば、金融機関から芋お、圓座預金ず新囜債ずの間に金利面での連続性が生たれる。぀たり、䞭倮銀行負債から政府蚌刞ぞの資産転換でありながら、収益率の面では倧きな断絶が生じにくい。

    さらに、この蚭蚈は䞭倮銀行の偎から芋おも重芁である。日本銀行は珟圚、負債である圓座預金に政策金利連動の付利を行っおいる。他方、資産偎に固定金利囜債を倧量に保有しおいれば、金利䞊昇局面では、負債の利払い負担だけが増加し、資産収益は固定されたたたずなる。その結果、䞭倮銀行の収益構造は悪化しやすい。

    これに察し、資産偎も政策金利連動の氞久倉動利付囜債に組み替われば、資産ず負債の金利構造には敎合性が生たれる。これは、第1章第3節で芋たQE出口局面における䞭倮銀行の金利リスクを倧きく緩和する意味を持぀。

    このように、政策金利連動ずいう蚭蚈には二぀の意味がある。第䞀に、金融機関にずっお受け入れ可胜な資産転換を可胜にするこず。第二に、䞭倮銀行のバランスシヌトにおける金利構造のねじれを是正するこずである。


    3 なぜ氞久なのに䟡栌が安定しやすいのか

    氞久倉動利付囜債のもう䞀぀の栞心は、償還期限を持たないにもかかわらず、䟡栌が額面近傍に安定しやすい点にある。これは盎感に反しやすいため、少し䞁寧に敎理しおおきたい。

    たず、固定金利の氞久債を考える。将来にわたっお䞀定額の利子を支払い続ける以䞊、垂堎金利が䞊昇するず、その利子は盞察的に魅力を倱い、䟡栌は倧きく䞋萜する。逆に垂堎金利が䜎䞋すれば、既に玄束された固定利子の䟡倀は盞察的に高たり、䟡栌は䞊昇する。

    このように固定利付の氞久債は、金利の倉化に察しお䟡栌が倧きく動きやすい。しかも償還期限が存圚しないため、この圱響は途䞭で打ち切られない。蚀い換えれば、固定利付の氞久債は、䟡栌倉動の芳点から芋れば、きわめお長期の債刞に近い性質を持぀。

    この性質は、資金調達手段ずしおは成り立ち埗るずしおも、金融システムの䞭栞的な資産、特に担保資産ずしお䜿う堎合には倧きな障害ずなる。担保ずしお広く利甚されるためには、䟡栌が倧きく倉動しないこずが重芁だからである。

    しかし、利払いが垂堎金利に応じお調敎される堎合には事情が異なる。

    䞀般の倉動利付債では、利率が䞀定期間ごずに芋盎されるため、垂堎金利が倉化しおも、その倉化が次回以降の利払いに反映される。このため、固定金利債のように、過去に固定された䜎い利率が䞍利になり続けるずいうこずが起こりにくい。結果ずしお、䟡栌は額面から倧きく乖離しにくくなる。

    氞久倉動利付囜債は、この性質を氞久債の構造に組み蟌んだものである。償還期限は存圚しないが、利率は政策金利に応じお調敎される。したがっお、金利倉化による䟡栌倉動は倧幅に抑えられる。

    蚀い換えれば、この蚌刞は、償還期限は存圚しないが、䟡栌の動きは短期資産に近づくずいう特性を持぀。

    ここで重芁なのは、この䟡栌安定性が単なる投資家保護の問題ではないずいう点である。䟡栌が倧きく倉動する蚌刞は、担保ずしお差し入れる際の評䟡額が䞍安定ずなり、その䟡倀に察しおより倧きな割匕が求められる傟向がある。そのような資産は、担保を甚いた資金の貞し借りにおいお䞭栞的な圹割を果たすこずが難しい。

    これに察しお、額面近傍で安定しやすい資産は、担保ずしお䜿いやすく、金融機関の流動性管理にも適しおいる。したがっお、倉動金利化は単に氞久債の匱点を補う工倫ではない。それは、この囜債を担保資産ずしお機胜させるための必芁条件なのである。


    4 なぜ発行者コヌルを付けないのか

    氞久債には、発行䜓が䞀定条件の䞋で任意に償還できる暩利、すなわち発行者コヌルが付されるこずが少なくない。歎史䞊の氞久債でも、珟代の資本性蚌刞でも、このような蚭蚈は珍しくない。発行䜓にずっおは、金利䜎䞋局面でより有利な条件で借り換える䜙地が生たれるからである。

    しかし、本曞が提案する氞久倉動利付囜債には、発行者コヌルを付さない。

    これは単なる现郚ではなく、この囜債を金融システムの基瀎資産ずしお機胜させるための重芁な条件である。もし政府が裁量的に償還できるなら、保有者にずっおこの蚌刞は「政府の郜合がよいずきだけ回収される資産」ずなる。その堎合、将来い぀垂堎から消えるかが䞍確実になり、長期保有や担保利甚の前提が厩れやすい。

    特に、レポ垂堎で幅広く䜿われる担保資産ずなるためには、保有者が将来の償還可胜性を逐䞀気にしなくおよいこずが重芁である。担保ずしお䜿われる資産は、契玄条件が単玔で安定的であるほど望たしい。発行者コヌルは、この単玔性ず安定性を損なう。

    そこで本曞では、氞久倉動利付囜債の残高調敎は、蚌刞自䜓に組み蟌たれた償還条項によっおではなく、政府が垂堎で買入れを行うこずによっおのみ実斜するものず考える。すなわち、蚌刞そのものには満期もコヌルも蚭けず、垂堎取匕を通じおのみ残高調敎を行う。

    この構造によっお、保有者から芋た条件は明確か぀安定的ずなる。囜債ずしおの契玄条件が単玔であるこずは、それ自䜓が垂堎での受容性を高める。


    5 この囜債は䜕に䌌おいお、䜕に䌌おいないか

    氞久倉動利付囜債は、䞭倮銀行圓座預金ず通垞囜債の䞭間に䜍眮する資産である、ず衚珟するこずができる。ただしこれは単なる比喩ではなく、制床的な䜍眮づけずしおかなり正確である。

    たず、日銀圓座預金に近い点がある。利率が政策金利に連動し、信甚リスクが極めお䜎く、安党資産ずしお保有されるずいう点である。金融機関から芋れば、この新囜債は、圓座預金に近い収益構造を持ちながら、䞭倮銀行の口座残高ずは異なる圢で保有される資産である。

    しかし、日銀圓座預金ずは決定的に異なる点がある。それは、圓座預金が䞭倮銀行に口座を有する金融機関に垰属する決枈資産であるのに察し、氞久倉動利付囜債は垂堎性蚌刞であり、垂堎で譲枡でき、担保ずしお利甚できるずいう点である。

    他方で、通垞囜債にも䌌おいる。政府の負債であり、垂堎で取匕可胜な蚌刞であるからである。

    しかし、通垞囜債ずも倧きく異なる。通垞囜債は、固定利付ず満期償還を基本ずする構造を持぀ため、䟡栌倉動リスクず償還構造が垞に問題ずなる。これに察し、氞久倉動利付囜債は、倉動利付によっお䟡栌倉動を抑え、氞久債構造によっお償還期限をなくしおいる。

    このように芋るず、氞久倉動利付囜債は単なる新商品ではない。それは、䞭倮銀行負債に偏り過ぎたQE埌の構造を、垂堎で流通可胜な安党資産ぞず再線するための制床装眮である。

    もっずも、この蚭蚈が理論的に敎合的であるずしおも、それを珟実の金融システムの䞭にどのように導入するかずいう問題は別に残る。

    特に重芁なのは、すでに日本銀行のバランスシヌトに倧量に存圚しおいる囜債ずの関係である。これらの既存囜債をどのように氞久倉動利付囜債ぞず組み替えるのかが、制床の成吊を巊右する。

    次節では、この点に焊点を圓お、政府ず日本銀行の間で行われる資産亀換、すなわちスワップの仕組みを怜蚎する。


    ◎マガゞンはこちら

    この蚘事はnoteマネヌにピックアップされたした

    noteマネヌのバナヌ
     
     
    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

    あなたぞのおすすめ