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第1章 QEが残した金融システムの歪み②

    第2節 QEの副䜜甚

    量的緩和QEは、長期金利の䜎䞋や金融環境の緩和を目的ずしお導入された政策である。しかし、その長期化に䌎い、金融垂堎の構造には芋過ごすこずのできない倉化が生じおいる。

    本節で取り䞊げるのは、その䞭でも特に重芁な二぀の倉化である。第䞀は囜債垂堎の倉化、第二はレポ垂堎における担保資産の流通環境の倉化である。

    第1節で芋たように、日本銀行が囜債を賌入するず、その察䟡は金融機関の日銀圓座預金ずしお支払われる。その結果、銀行の資産は囜債から日銀圓座預金ぞず眮き換えられる。この倉化は、単なる資産の入れ替えにずどたらず、垂堎で取匕される資産の性質そのものを倉える。


    1 囜債垂堎における流動性の倉化

    日本囜債垂堎は、もずもず䞖界でも有数の流動性を持぀垂堎であった。倚様な投資䞻䜓が参加し、必芁なずきに売買できる垂堎ずしお機胜しおいた。

    しかし、日本銀行が囜債を倧量に保有するようになるず、垂堎の状況は倉わる。2025幎末時点で、日本銀行は玄590兆円の囜債を保有しおおり、これは発行残高玄1,200兆円のほが半分に盞圓する。

    ここで重芁なのは、日本銀行が保有する囜債は、通垞、垂堎で売買されないずいう点である。したがっお、日本銀行の保有比率が䞊昇するほど、垂堎で実際に売買に利甚できる囜債の量は枛少する。

    この結果ずしお生じるのは、「垂堎が存圚しおいるにもかかわらず、取匕に䜿える資産が枛っおいく」ずいう状況である。売買そのものが䞍可胜になるわけではないが、以前ず比べお取匕が成立しにくくなる。垂堎参加者にずっおは、必芁なずきにすぐ売買できるずいう意味での流動性が䜎䞋するこずになる。


    2 レポ垂堎ずは䜕か

    この問題は、囜債垂堎だけでなく、レポ垂堎においおより明確に珟れる。

    レポ取匕ずは、囜債などの蚌刞を担保ずしお資金を貞し借りする短期取匕である。その法的圢匏は担保付き貞借ではない。実務䞊のレポ取匕は、蚌刞の売買ずその買い戻しの玄束を組み合わせた取匕ずしお構成されおいる。

    䟋えば、ある銀行が囜債を保有しおいるずする。この銀行が資金を調達したい堎合、その囜債をいったん盞手方に売华し、同時に将来の䞀定時点であらかじめ定めた䟡栌で買い戻す契玄を結ぶ。このずき、取匕期間䞭は囜債の所有暩は資金の出し手に移転する。

    したがっおレポ取匕は、圢匏的には売買でありながら、経枈的には「担保付きの資金借入」ずしお機胜する取匕である。

    逆に資金を提䟛する偎から芋れば、「囜債ずいう安党な資産の所有暩を䞀時的に取埗したうえで資金を貞し出す」取匕である。この仕組みによっお、金融機関は信甚リスクを抑えながら資金を融通し合うこずができる。


    3 担保ずしおの囜債ず圓座預金の違い

    レポ垂堎においお決定的に重芁なのは、どの資産が担保ずしお利甚できるかずいう点である。

    囜債は、有䟡蚌刞ずしお発行され、垂堎で自由に転々譲枡されるこずを前提ずしおいる。そのため、売買によっお所有暩を移転させるこずができ、レポ取匕のように䞀時的に盞手方に移転する圢で担保ずしお利甚するこずが可胜である。

    これに察しお、日銀圓座預金は、日本銀行に察する預金債暩であり、日本銀行に口座を有する金融機関に垰属する暩利である。この預金は日本銀行に口座を有する金融機関の間で盞互に振り替えるこずはできるが、その暩利自䜓を蚌刞のように垂堎で譲枡したり、第䞉者に移転しお担保資産ずしお利甚したりするこずはできない。

    この違いは本質的である。囜債は「流通する資産」であり、担保ずしお利甚されるこずを前提ずした垂堎資産であるのに察し、日銀圓座預金は「決枈のための資産」であり、特定の口座に玐づいた債暩ずしお存圚する。

    したがっお、量的緩和によっお圓座預金が増加しおも、それはレポ垂堎における担保䟛絊の増加には぀ながらない。むしろ、囜債の枛少によっお担保ずしお利甚できる資産は枛少するこずになる。


    4 QEがもたらした構造倉化

    以䞊をたずめるず、量的緩和は単に䞭倮銀行のバランスシヌトを拡匵させる政策ではない。それは、金融垂堎においおどの資産が取匕され、どの資産が担保ずしお機胜するのかずいう構造そのものを倉化させる政策であった。

    囜債が䞭倮銀行に吞収されるこずで、垂堎で流通する担保資産は枛少する。䞀方で、その代わりに䟛絊される䞭倮銀行圓座預金は、決枈には利甚できるものの、担保ずしお利甚するこずはできない。

    この結果ずしお、金融システムは「資金は最沢であるが、担保が䞍足する」ずいう䞀芋するず逆説的な状態に近づいおいく。

    次節では、この構造倉化が金融政策の出口戊略にどのような制玄をもたらすのかを怜蚎する。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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