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Photo byryuseizan

『心の臓が止まるまで、私はひた走る』

    人類を救いたい。 けれども、指の隙間をすり抜ける砂のように、
    その命は私の手からこぼれ落ちてしまう。
    濁流にのまれる誰かの指先を、あと数センチのところで掴めなかった。
    その痛みが、私の掌には今も刻まれている。

    人類はこの結末を受け入れたのか。
    静まり返った街、諦めたように項垂れる背中。
    滅びを静寂として受け入れようとするその姿に、私は抗いたい。

    わたしが救いたい人類。 けれども救えない。
    そんな無力な自分を、
    鏡の中の瞳が嘲笑っている。
    それでも。それでも、わたしは救いたいのだ。

    諦めることは愚者のすることだ。
    賢明に絶望し、立ち止まることを「理性的」と呼ぶのなら、
    私は喜んで愚者になろう。 わたしは歩み続ける。
    この泥濘のなかを、一歩ずつ。

    心の臓がこの歩みを止めぬ限り、救いの歩みを止めるわけにはいかない。
    肺が焼けるような呼吸の熱さが、まだ生きていると叫んでいる。
    ならば、ただひた走れ。ただひた走れ。

    救うためにわたしは生まれた。 運命がそう定めたのではなく、
    私が、私をそう定義したのだ。

    ならば救え。 この人類を、この世界を、わたしが救うのだ。

    ただひた走れ。 その先の光が、たとえ幻影であったとしても。

     
     
    28歳、大阪から北海道へ。 酪農の仕事をしながら、マルクス・アウレリウスや古典を読み、「どう生きるか」を考えています。 後悔、孤独、恋愛、仕事、幸福、死。 日々の生活と哲学を行き来しながら、考えたことを書いています。

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