
周囲の妊娠ラッシュに勝手に傷つく私と、人間の「尽きない欲」
今日はキャリア関連の記事ではなく、一人の妊活中の女性としての、等身大のエッセイです。
妊活を始めて、1年以上が経ちました。30代前半の妊活は「1年経っても兆しがなければ、早めに不妊治療に切り替えた方が良い」と言われています。
大学院生時代、産婦人科の先生から「第一子は、女性の身体の機能を考えたら30歳までに作った方がいいよ」と助言を受けました。あの言葉の重みを、いまさらながら痛いほど痛感しています。
焦りが募る中、最近立て続けに周囲から妊娠・出産に関するニュースが飛び込んできます。
後輩:先日無事に出産し、赤ちゃんの写真をグループに共有してくれました
元同僚:昨年12月に会社を辞めた同僚は、半年ぶりに再会したら妊娠5か月でお腹が大きくなっていました
同僚①:私と同じ時期に「一緒に頑張ろうね!」と妊活を始めた同僚は、来月出産予定で産休に入ります
同僚②:同じ役職の同僚(男)の奥さんが出産を控えており、彼は10月から半年の育休を取得予定です
クライアント:半年以上一緒に働いてきたクライアントは、あと数週間で産休・育休に入ります
極めつけは、いつも目をかけてくださる上司(60代)の娘さんのニュースでした。彼女の娘さんと私は同じ年なのですが、娘さんも妊娠がしづらいと医師に言われており、卵子凍結もしたそうです。「彼女もきっと妊娠まで時間がかかるわ」と私を励ましてくださっていたのですが、そんな娘さんは先日挙式したばかりですが、双子の妊娠が発覚したそうです。上司と打ち合わせがあったのですが、彼女は喜びの涙が止まらない様子でした。
すべて、本当に、心からおめでたい話です。
身近な人たちにこれだけ幸せなニュースが溢れていることは、素晴らしいことに他なりません。
「本当におめでとうございます!」と心の底からお祝いの言葉をかける一方で、気が付くと勝手に傷ついている自分がいます。
「・・・なんで、私はうまくいかないのだろう?」
と自責の念にかられ、気分が沈んでいってしまいます。

自然妊娠のためにできることは、タイミング法も、妊活中の夫婦のためのサプリメントも、夫婦で網羅してきました。一時帰国の際には自費で不妊検査も受けていますし、夫も積極的に精子検査を行っています。伊勢神宮含め有名なご利益のある神社巡りも行いました。
イギリスのNHSでも相談はしていますが、緊急案件ではないためとにかく後回しにされてばかり。基本的な血液検査を2-3回受けて、ようやく半年かけて先日産婦人科に紹介してもらうことができましたが、初回はオンライン診療でのみで「再検査しましょう」とまた検査に回されることに・・・。日本で既にした検査結果を提出しても、「イギリスでは結果が変わるかもしれないから」と取り合ってもらえません。まさに牛の歩みです。
「日本にいたらすぐに治療に移れるのに!」ともやもやする日が続いています。
今までの検査結果を踏まえると、恐らく原因は私にあって、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と呼ばれる、卵巣内で卵胞がうまく育たず排卵しにくくなる疾患の可能性が高いと思います。確定診断はつけてもらえていないのですが、「PCOSの可能性はある」と言われました。
深夜までパソコンの画面を見ながらキーボードを叩いている日が多いため、睡眠時間もまちまちですし、自律神経やホルモンバランスが乱れている自覚はしていますが、それが妊娠にここまで影響するとは思ってもみませんでした。
気持ちが沈む際には、夫と出会う前の、20代後半から30歳にかけての自分を思い出すようにしています。
当時は仕事第一で、昇給や昇格が何よりも嬉しくて、海外で働くことが一番の目標だったため、「子どもは別にいらないかな」とすら思っていました。母に「もう若くないんだから卵子凍結したら?」と言われても「必要ないわ!」と笑って流していましたし、仲の良かった友人が次々と結婚して子どもに恵まれても、特に焦りは感じなかったのに。
それが、夫と結婚してからは何よりも最優先事項になって、海外キャリアを中断して日本への本帰国も視野に入れるようになるとは・・・人生、本当にわからないものですね。
今回の件を通して私がつくづく感じたことは、「人間の欲はどこまでいっても尽きない」ということです。まさにマズローの欲求5段階説を体現しています。私は第五階層の「自己実現欲求」がさらに強まっている状況でしょうか。
コロナ禍、東京の30㎡の狭い部屋で、1人でロックダウン生活を送っていた頃の私からすれば、今の私の暮らしは「思い描いていた理想のすべて」が詰まっているはずです。駐在を任され、そのまま海外に飛び出して、出張や旅行で毎月のように欧米を飛び回って、さらには現地で出会った人と結婚して・・・「一体その生活に何の文句があるねん!」と当時の自分に怒られそうです。
でも、何かを達成してそれが「日常」になってしまうと、また次を追い求めたくなるんですよね。
子どもは欲しいですが、やはりこればかりは授かり物です。じたばたせずに、今できることを黙々とこなしていこうと思います。仕事の負担も減らしたいのですが、数あるプロジェクトのうち一つで後輩に完全任せにして手を抜いたツケが最近自分に降りかかってきて(プロジェクトの責任者なので当たり前なのですが)、余計に深夜残業が増えたのでバランスをとるのがなかなか難しいです。
おめでたい話が周囲から舞い込んできた時は心の底から祝って、もし暗い気持ちになったら夫とシェアして、引きずらずにまたすぐに気持ちを切り替てて日々過ごしたいです。

先週、とても天気の良いストックホルムに5日程滞在していました。週末を挟んでの出張だったので、観光できたのは最終日の半日だけ(あいにくこのタイミングだけ曇りのち雨でした)だったのですが、初めてのスウェーデンは楽しかったです。
ストックホルムは今は亡き有名DJ、Aviciiの出身地であり、ジブリの「魔女の宅急便」のモデルとなった都市でもあります。
海の見える街を聴きながら見晴らしの良い展望台で風に吹かれ、The Nightsを聴きながら美しい旧市街を散策しました。


The Nightsの1フレーズがとても好きで、よく繰り返し聴いています。
"One day you'll leave this world behind. So, live a life you will remember"
「いつか君もこの世を去る。だから、記憶に残る人生を送ろう。」
周囲との比較で心が揺れる日々ですが、この歌詞を聴くたびにハッとさせられます。焦ることも落ち込むこともありますが、いつか振り返ったときに、「色んな葛藤もあったけれど、全部ひっくるめて記憶に残る素晴らしい人生だった」と胸を張れるような毎日を、これからも積み重ねていきたいです。
2026年6月20日