
未来へ ― 愛の完成
昔のわたしは、未来とは「叶えるもの」だ
と思っていました。
もっと学んで、 もっと力をつけて、
もっと自信が持てたら――。
その先に、理想の未来が待っているのだと
信じていたのです。
けれど、動物たちと暮らすようになって
その考えは少しずつ変わっていきました。
ルンは、明日の心配をして眠ることは
ありません。
今日という一日を精一杯生き、
安心して眠り、 目が覚めれば、
新しい朝を素直に喜びます。
シロもそうでした。
幼い頃、わたしの命を救ってくれた
一匹の白い犬。
シロは未来を語ることも、
幸せを約束することもありませんでした。
ただ、目の前にいる小さなわたしを、
静かに愛し続けてくれたのです。
その愛は、何十年という歳月を越えた今も
わたしの中で生き続けています。
未来とは、遠い場所にあるものではない。
今日という一日を大切に生きた
その積み重ねの先に、
そっと育まれていくものなのかもしれません。
そして、愛もまた同じです。
完成させようと焦るものではなく、
一日一日を丁寧に重ねた先で、
振り返ったときに初めて、
その大きさに気づくもの。
介護に寄り添った日々。
涙が止まらなかった別れ。
何気なく笑い合った、かけがえのない毎日。
そのすべてを抱きしめながら、
「あの子に出逢えて、本当によかった。」
そう心から思えた瞬間――。
それが、愛の完成なのだとわたしは思います。
わたしは、そんな未来をたくさん見届けたい。
人と動物が、命の終わりを恐れるのではなく、
「ありがとう。」
その一言で結ばれる未来を。
別れを終わりではなく、
愛が形を変えて生き続ける始まりとして
受け止められる未来を。
わたしが歩きたい道は、
成功するための道ではありません。
愛が、一つでも多く完成していく道です。
その道の先には、 きっと、
命を大切に想い合える優しい世界が
待っています。
わたしは、その未来を信じています。
今日も一歩。
明日も一歩。
小さな一歩を重ねながら、
「愛の完成」という未来へ。