チームで工夫できるウェルビーイングを読んでみて
なぜ職場でウェルビーイングの重要度がなぜ叫ばれ続けているのか?
その意味を科学的根拠と実践手法の両面から解き明かす書籍が『職場を上手にモチベートする科学的方法』です。
多くの組織で、「もっと良い職場にしたい」との気持ちから会社や経営層へ不満を募らせる声が発生してしまうものですが、多くの場合は経営層も過ごしやすい職場にしたいと考えていても現実には何かしらの制約があることに難しさがあります。
それに対して、誰もがどんな立場であっても、すぐに改善に取り組めるのが、「身近なチームのあり方」。
全社単位は難しくともチーム単位で日々の小さな工夫を積み重ねることで、チームのウェルビーイングが高まり、人の自主性や協調性が高まって、チームの温度感が高まり、「真冬の寒い朝」から「春の清々しい朝」に変わるように、職場はもっと前向きにできると、本書では根拠を理論的に解説しながら、実践方法まで掲載されています。

「まずは自分たちのチームから変えていきたい」と思う方にお勧めの一冊です。
Point①あるある問題意識
会社では新しい施策が次々と降りてきて、メンバーは常に業務に追われ続ける中で、徐々に仕事への熱意や、やりがいを感じられなくなります。
チームリーダーは、上層部からの要求に応えながらメンバーを支援する板挟みで、特に負担が集中して孤軍奮闘しがちです。
印象的なのは、本書がこうした「リーダーが一人で頑張る構図」をむしろリスクとして捉えている点です。
なぜなら、リーダーが過剰に背負う姿はメンバーに「申し訳ない」と遠慮や「自分はリーダーになりたくない」と未来像に不安を与え、逆にウェルビーイングを下げてしまうからです。
ここで示唆されるのは、リーダー個人ががむしゃらに頑張るのではなく、チームメンバー同士が自主的に協力し合って日々発生する問題に対応していくため、チーム全体のウェルビーイングを意図的にデザインする必要性です。
それも、誰かの犠牲ではなく、チームで取り組むことができる視点が解説されています。
Point②組織心理学に基づく解説
本書は、心理学や組織行動学の王道な知見が詳しく解説されていることも魅力です。
たとえば、
・主観的幸福感は「ポジティブな感情体験」と「仕事満足度」という二つの要素で測定でき、幸福感が高いほどパフォーマンスが上がる。
・ワーク・エンゲージメント(活力・熱意・没頭)は、生活の満足度や心身の健康度も向上させ、強い切迫感に駆り立てられるワーカホリズムとは真逆の健康的な集中状態を示す。
・意義や意味を感じる仕事は、やる気を自然に高め、成果にも直結する。
多数の研究によって、「成果が出れば幸福になる」のではなく、「幸福だから成果が出る」が証明されていると、鶏が先か卵が先か論争に白黒つける見解も示されています。
この視点を生むが組織の未来を左右すると考えさせられます。
Point③実践的なTips
本書では、理論だけではなく、感情は伝染することに注目して、「環境を変える」、「人を変える」、「レンズを変える」の3つの視点で具体的な実践法が掲載されています。
たとえば、下記のような工夫が紹介されています。
・ミーティング冒頭5分を「雑談タイム」に充てて感情をほぐす。
・メンバーの「自分らしさ」を尊重し、自然と組織になじませる。
・成長マインドセットを持つことで「自分も仕事も変えられる」と気づく。
・1on1ミーティングの目的を明確化し、質問をデザインする。
・感謝や陰での称賛(カゲホメ)を活用して信頼を育む。
・睡眠・休暇・自由時間の確保をリーダー自身が率先する。
どれも「大掛かりな改革」ではなく、今いる職場ですぐに試せる工夫ばかり。
リソースが限られているチームや組織のマネジメントにおいて大切なことは、あれもこれもやることではなく、ツボとしてウェルビーイングにアプローチすることが肝要されています。
職場の空気を変えるのは、組織の施策や制度だけではない。
一人ひとりが主体的に「自分のチームを良くする」と行動を起こすことが大事だと本書『職場を上手にモチベートする科学的方法』から学ぶことができます。
「今の職場をもっと前向きにしたい」と願う人におすすめです。
