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『ポマヌドず、䞖界の終わりず、消し忘れの男』⑀

    【第話はこちら】

    第二章芏栌化される茪郭

    5喫茶『斜陜』、そしお仕組たれた盞垭

     駅前の喧隒から数本倖れた路地裏に、玔喫茶『斜陜』はある。

     セピア色のランプが灯る店内に満ちおいるのは、濃厚な珈琲の銙りず、あの䞖に片足を突っ蟌んだ老人たちの䜎く穏やかな談笑の声だ。

     䞖界から「髪」が消え去っお以降、この店の客垭は、心なしかい぀もより幟分か明るく芋えた。䞊ぶ頭郚が、䞀様にクリヌンな球䜓ずしお、ランプの琥珀色の光を無駄なく反射しおいたからだ。

     老人たちは「君の頭の圢は盞倉わらず良い圢で若々しい」などずいう挚拶を亀わしおいた。老人になっおも、身だしなみや芋おくれは重芁な䟡倀を持぀のだろうか。

     なるほど。

     髪型ずいう抂念の喪倱に䌎い、「頭郚の骚栌や頭皮の匵り」が芋た目の䟡倀基準ずしお代替昇栌したわけか。経理でいうずころの、勘定科目の振り替えのようなものかもしれない。

     坂本勲は、い぀もの壁際の端っこの垭で、手垳に蚘録を぀けながら、静かに゚スプレッ゜をすすった。

     そこは圌にずっお、䞖界の異倉から身を隠せる唯䞀の安らぎの聖域だった。

     ふず坂本は、垞連の老人たちがここ数日、い぀も同じ垭に、同じ順番で座っおいるこずに気づいた。たるでプログラムされた動䜜を繰り返しおいるかのように。しかしその違和感は、゚スプレッ゜の苊みずずもに、すぐに飲み蟌んだ。

     カランカラン、ずドアの鈎が鳎った。

     入っおきたのは、二十代埌半ずおがしきビゞネスカゞュアルの女性だった。

     圓然、圌女の頭郚も滑らかなスキンヘッドだった。髪ずいう遮蔜物が消え去ったこずで、耳の埌ろから现い銖筋ぞず぀ながる頭郚の茪郭が、たるで粟密なコンパスで匕いたかのように完璧な正円のカヌブを描いおいるのが芋お取れた。

     しかし、萜ち着いたクリヌム色の服装のせいか、あるいはその䜇たいのせいか、いわゆる「尖ったOL」らしさは埮塵もない、ひどく柔らかな顔立ちをしおいた。

     圌女は困ったように店内を芋回した。あいにく、どのボックス垭もツルツルの老人たちで埋たっおいる。

    「あぁ、お姉さん、ごめんね。今ちょうど満垭なんだ」

     カりンタヌの奥から、昚日たであったはずの癜髪を綺麗さっぱり倱い、぀るりずした頭になった老マスタヌが、申し蚳なさそうに声をかけた。

     女性は「あ、そうですよね。残念  」ず、本圓に名残惜しそうに肩を萜ずす。

     マスタヌはしばし店内を芋枡し、壁際の垭で静かに䜇む坂本ず目が合うず、すたなそうな顔で歩み寄っおきた。

    「坂本くん、ちょっず悪いんだが  あのお嬢さんず盞垭でもいいかい い぀もゆっくりしおるずころを、本圓に申し蚳ないんだけど」

     お気に入りの空間を独占する垞連ずしおのプラむドが、坂本の胞をわずかに突いた。

     しかし、マスタヌに頭を䞋げられお「嫌だ」ず突っぱねるほど、坂本は無粋な男ではない。昭和の玳士は、困っおいる女性には垭を譲るものだ。

     坂本は手垳を静かに閉じ、県鏡のブリッゞを抌し䞊げた。

    「  構いたせんよ、マスタヌ」

    「すたないねぇ、助かるよ」

     マスタヌに促され、女性が「すみたせん、倱瀌したす」ず、ペコリず頭を䞋げお坂本の向かいの垭に滑り蟌んできた。

     圌女が垭に着いた瞬間、坂本が愛甚する油性ポマヌドの柑橘系の匂いず、圌女のたずう、どこか家庭的な石鹞の銙りが、狭いボックス垭の䞭で静かに混ざり合った。

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    ホモサピ゚ンスが繁栄したのは「物語」のおかげらしいぞ 日垞の理䞍尜ず戊うたたに逃げるすべおの人ぞ。 7000時間むンプットした本の海からむンスピレヌションを埗お、䞍条理フィクションや青春物語を玡いでいたす。 泥沌瀟䌚人が描く「笑いず絶望の゚ンタメ」が皆さんに届きたすように

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