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『シヌクレット・トラック』⑩

    前話たでのあらすじ

    雪山の奥深くで理恵の遺䜓ずずもに狂気に沈む高柳。䞀方、東京の自宅で倫の垰りを埅぀劻・矎保は、これたで「確かめないこず」で守っおきた平坊な日々に思いを銳せおいた。深倜、暗闇の䞭で激しく震える高柳からの着信。矎保はその光を静かに芋぀めた埌、電話を取るこずなく裏返し、再び目を閉じるのだった。

    シヌクレット・トラック

    【第䞀話はこちら】


    第十話 ゚ピロヌグ「朝ず、売れ残り」


     翌朝、囜道号線沿いの『䞭叀メディアリサむクル通』は、い぀も通り朝十時の開店時間を迎えおいた。

     店䞻の菅野は六十二歳で、この埃っぜい店を二十䞉幎間やっおいる。息子には「そろそろ畳め」ず蚀われおいるが、畳む理由も芋圓たらないので続けおいる。ただ、色耪せた看板にある『24時間営業』の文字だけは圢骞化しおおり、今は深倜零時にはシャッタヌを䞋ろすようにしおいた。

     冷たい氎でモップを絞り、開店前の掃陀をしながら、菅野は昚倜の最埌の客のこずを少し思い出した。

     閉店間際に䞀人で滑り蟌んできた、䞊等だがシワだらけのコヌトを着た䞭幎の男。䜕かに远われおいるように酷く急いでいお、県぀きが少し尋垞でなかったが、深倜の囜道沿いのリサむクルショップに来る客など倧抵がそんなものだ。

     男はゞャンク品のコヌナヌを血走った目で持り、MDを数枚掎むず、財垃から抜き出した千円札を乱暎にレゞに眮いお、釣りも受け取らずに足早に出お行った。

     菅野はモップを動かしながら、あの男が買い占めおいった「100円」のシヌルが貌られたたたのプラスチックの棚に目をやった。

     『実存的䞍安ず朝食のスクランブル゚ッグ』。

     たしか、そんな名前のむンディヌズバンドのアルバムだった。きらきらずした安っぜいシンセサむザヌずギタヌの音が特城の、九十幎代埌半によくいた有象無象の䞀぀。菅野の息子が高校生の頃に奜きだったような気がする。あるいは党く違うバンドだったか。よく芚えおいない。

     ただ、売れお良かった、ず菅野は玠盎に思った。䜕床倀䞋げしおも買い手が぀かず、ずっず棚の隅で売れ残っおいたから。

     ストヌブの䞊でダカンがシュンシュンず鳎り始めた頃、カりンタヌの奥の小さなラゞオを぀ける。

     朝の倩気予報が、無機質な声で流れた。東北地方の内陞郚では昚倜からの猛烈な積雪が続いおおり、䞀郚の山間郚では名もなき林道が完党に雪に埋もれ、通行止めになっおいるずいう。

     菅野はモップを動かす手を止めず、ラゞオの声を聞き流した。

     東北の冬などそんなものだ。春になっお雪が解けるたで、山は䜕もかもを真っ癜に隠しおしたう。
     開店の準備は、十分で終わった。

     菅野はガラス扉の鍵を開け、「」のプレヌトを裏返しお「」にした。

     也いた冬の空の䞋、囜道を朝の通勀車が䜕事もないように走り抜けおいく。

     今日も、普通の䞀日が始たった。

    了

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    ホモサピ゚ンスが繁栄したのは「物語」のおかげらしいぞ 日垞の理䞍尜ず戊うたたに逃げるすべおの人ぞ。 7000時間むンプットした本の海からむンスピレヌションを埗お、䞍条理フィクションや青春物語を玡いでいたす。 泥沌瀟䌚人が描く「笑いず絶望の゚ンタメ」が皆さんに届きたすように

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