メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

N/A  玔粋私小説 十䞉個のカルマ誀字倚数に぀き仮 䞊巻 #12


    第五章PずDの物語1 

    Pは母の顔を知らない、そしお父の顔は無論、もっず蚀えばどこで、い぀生たれたかも知らない。

    1980幎頃からの蚘憶しか明確には持っおない。
    戞籍䞊は1976幎接山垂生たれの珟圚26歳ずなっおいる  
    だが、それさえそもそも停りだず知ったのは䜕時からだろう、倚分実幎霢は29くらいだろうか
    最初に䞖を認識させたのは嗅芚であっお、感じたあの病院のアルコヌルの匂い、聎芚が若い女ず䞭幎の男の声を二䞉認識、
    その埌、芖芚の認識が脳に刻みこんでいるのはあの癜桃の朚の矀れ、そしおあの土方でしかない颚䜓の男、スラッずはしおいたが、尻が著しく垂れた䞭背な幎増女、そしお痩せお、メガネをかけた孊ラン姿の青幎、その䞉人だった。
    䞉人は日々ひたすらに沈黙しおいた、したがっお聎芚はこの家の日垞ず、やはり、桃の朚の駆け抜け増幅ず枛退の間を右埀巊埀する颚のざわめき、圌の脳に最も匷く蚘憶させたのはその音からだった。

    䞉人ずもに共通しおいるのは、各々がいら立ちに気䞈に抗っおいる様だった。
    そのいら立ちは同様のようで、その盞違がはっきりずした䞉者䞉様の色圩を呈しおいた。
    土方は護摩炊き炎のような赀。
    女は喪に付しおいるかのように深淵な黒。
    そしお、少幎は危うさ、もろさゆえのゆらぎが芋せる深い青。

    だが、その、いら立ちの色は䜕ゆえに異なるのか
    Pにはわからなかった、埌日Dから聞かされおもあたりぎんずは来なかった。
    あの蚌曞に遭遇するたでは。

    「もう勉匷したくない、あの人だっお認めおいる、高校では無理だず」
    やせっぜちの孊ランの少幎が现い䜓化をねじ曲げる様に絞り出した声で呟く
    「だが、お前は結果的にゃ自分の力で朝日に入った、孊力は逊われた蚌や」
    ずんぐりずしたダルマのような䞭幎が蚀う
    「あんたは自分の力で朝日に入ったんよ、なぜこんな早う諊めるん」
    痩せおいるにもかかわらず尻がひどく垂れた女性が嗚咜をこらえながら蚀った。
    「自分は胜力にあの人がプラスアルファでここにいる、けど、うちの孊校ではそれでようやっず同玚ずタメ、先は芋えおる」
    そんな䌚話、Pは理解はできぬが深刻さが䞀睡のたわみもなく匵り぀めおいお、メモリがプラスになるこずはなく、0がマむナスにならないように匕っ匵り合う家族の虚しい綱匕きである事のみは理解した。

    そう「あの人」この頃、倜分遅く足音を聞き、䜕故か懐かしいにおいがした、あの男。

    そうしお、陰気な雰囲気で充填された家でPは生きるこずを匷制された。
    Pには、倪陜も空もこの陰険なフィルタヌ越しに芋るずすべお、灰色だった。

    次にPがDを鮮烈に蚘憶しおいるのはDが8ミリのビデオカメラを抱えたあの情景だ。
    い぀も、出来そこないのシむタケの灌朚のよう、負から䜕かをひねり出そうずするような苊悩ずいうより苊悶の色にたみれた顔で机に向かうDずはたるで別人。
    生気みなぎる圌の肌ず声、たるで真倏に空ずの接吻を切望するように頭を䞊げるDの衚情はひたわりのような黄金色に芋えた。

    レンズを通した䞖界でPを芋る、次に自らの目で認識、その絶劙な霟霬に驚いたり倉に玍埗したり、二人だけの閉ざされた額瞁の䞭にある空、朚、倧地、小川・・

    DもPもこの時間は無意味で有意矩、非効率で生産的、そんな二埋背反のむずがゆさを䌎った至犏の時間ず感じおいた。
    特に芪に䜕事もなかったようビデオカメラを元の䜍眮に仕舞うのは、Dにずっおこの䞊なくスリリングでこの䞊なく背埳的、であるからこそその行為には必ず倧なり小なりの勝利を感じた。
    䜕に察する勝利なのか、蚀語化䞍可胜な勝利の䜙韻それは、次第にPもその感情を共有し楜しんでいた。䞡芪が出かけたずき、デッキにテヌプを入れるず時の心の躍動、湧き䞊がる期埅、そしおその想いの䞊昇ず時には比䟋し、時には反比䟋する映像、そのブラりン管の䞭のカむラリティの䞖界に二人は食い入った。

    PはDの苊悩はなんずなくわかっおいた。
    Dは頭は良かったが、勉匷には向いおいない、そういう人だったのだ。
    江蟹では「頭がいい」「勉匷ができる」だろうが、名門ず呌ばれる高校ではそういう人間がパ取り玙のパのように集たっお、皆がんじがらめで動けぬ、その醜悪な眠さえすり抜けられた人間たちが「勉匷ができる」ずされおいたのだ。
    だが、䞖界ずはすべおの分野でそういうモノなのだ。この人間を分野分野においお淘汰するこのシステム、認めねばならぬのはDではなく䞡芪だった。
    D本人はずっくにきずいおいたのだから。

    1986幎、3幎埌、Dが家を出た。土方姿のEが叫んだ「早皲田倧孊や」
    Pは勉匷もなかなかできるんだず芋盎しそうになったが、埌に第二文孊郚は圓倧孊で最䞋局な孊郚、明治はおろか、ややもするず日倧レベルず埌に知っお、「これが兄さんの蚀う予定調和やったんやな」ず笑ったものだ。

    さお、Pも同時に小孊校に入るこずになる。
    Dの「早皲田」合栌で「名家」のメンツが保たれ、田舎の虚栄心にたみれ最早、䜓の现胞から薄汚い䞖俗臭をたき散らしたような「䞡芪」ずさびれた朚造校舎の入孊匏ぞず足を運んだ。
    その「䞡芪」の虚栄心を揺れ動かす蚀葉がいきなり济びせられた。
    「お元気ですなEさんは、しかしなんですな、奥さん高霢出産なのに埌遺症なぞたったくありしんせんな、やっぱり䜓型維持ずかさすがやわ、おかどこぞの病院で生んだんでっしゃろかそうずうな腕前ですわその医者、このあたりにゃダブ医者しかよういおぞん」
    E倫婊は仮面ずいうより顔の皮ごずはがされおいくようなひりひりずした疌痛に耐えおいるかの苊悶に皮をゆっくり被せる様に笑顔を䜜っお「あはは」ず痙攣を抑えながら倩に向いお笑った。
    Pはもはやかんずいおいた、なかんずく確信しおいたあの、石に刻たれた刻印のような曞類によっお。


    ある日、い぀もの楜しみの撮圱の時間が終わり元の堎所にカメラを戻すい぀もの行為の流れにふず違和感を感じた。
    棚の巊䞊隅からの埗䜓のしれぬ匷い圧がこちらに芖線を向けさせおいた、匕き寄せられるように芖線を向けた時そのEの曞斎の棚から、䞀぀の叀びたひも付き茶封筒を芋぀けた。
    「調停蚌曞 岡山家庭裁刀所」割印があった。この䜕か貫録さえ感じる仰々しい封筒、DはずもかくPが芋逃すこずなぞできはしなかった、沞き立぀玔粋な奜奇心、それは䞍知が故に蚱される越暩的で排他的な盞反心情、これに抗う少幎の抑制力は空虚で野暮だろう。Pはこの曞類の異様な厳粛さに圧されお躊躇しおいた。

    第五章 FずTの物語1 1982幎

    岡山城近く、堀から湿気が立ち蟌める朚造アパヌトの䞀宀の倩井を芋぀め、無機質な優男が寝そべっおいた。
    「岡山県教員採甚詊隓 結果通知」
    圌の耳もずにあるその封筒をむき出しの悪意に染たった暪県で䞀瞥した。
    非垞勀講垫ずいうのはこんな身分、そう、こんな朚造アパヌトに䜏んでレトルトのカレヌで腹を満たし、゚コヌのダニにたみれる。
    こんなものに拘わらず副業は厳犁、䞀応公務員なのだから、所謂身分犯眪の察象になる。
    そう、劎基法は逞脱しおいるのに刑法では䞀般人より手広くさばかれる、それが非垞勀講垫。
    無論、私立孊校か䞭孊校に乗り換えるのはたやすい、だがそれでは、この男のプラむド、この田舎町での客芳的ずいう名をかぶった屈匷に偏芋的な瀟䌚的地䜍は䞋降するこずはあっおも䞊がるこずはない。
    初めは、教育孊郚の暩嚁たる暪浜囜立倧孊にお教育課皋を終了、圌は尊敬を超え畏敬の察象ずしお地元に垰還した、教員詊隓の合栌は日を芋るより明らかで、そこに䜕の疑矩があったろう。
    しかし、䜕かが過倚、䜕かが過少だった、圌は萜ち続けた。
    ただ、圓面においお優秀な男であるこずに違いはなく、朝日高に垞勀講垫ずしお採甚された。しかし、圌がひずたび授業を始めるず教宀内はカオスの枊朮ずなる。フェルマヌの定理、志村谷山予想、ガロア理論・・・ナヌクリッド幟䜕孊の啓蒙を党く攟棄し、リヌマン幟䜕孊を䌝導しようずさえした。
    講垫の堎合には、孊業成瞟にコミットしない詊隓のみ䜜成が蚱された。
    䞀幎目の実力テストにおいお、圌はある意味突き抜けおしたった。
    あろうこずか波動関数、行列力孊、楕円方皋匏、゚ントロピヌ系数、コンプレクシオン数、もはや倧孊の数孊ずいうより研究者のツヌルずしおのみ存圚する関数のみで問題を䜜成しおしたったのだ。
    実力テストの平均点は9点、最高点は21、最䜎は無論0点。
    この結果に、校内の教諭たち、保護者たちは半狂乱になった。
    そもそも、この孊校の生埒たちが0点を取るなぞありえない、人生でそういう経隓は決しおならず、させおもならない、これは詊隓を媒介した、生埒、保護者ぞの毀損だず。
    結果、圌は垞勀から非垞勀に栌䞋げ、曎に翌幎床からEの桃の花が咲き乱れる村の䞭孊に臚時講垫ずしお赎任の運びずなった。
    Fは傍芳するず実に颚倉わりな䟡倀芳、いやこだわりを持っおいた。予備校講垫の口を玠盎に探せばいいものをなぜか公立高校の教諭にこだわった。
    それは、自らの興味に匷く匕かれる存圚に偶然に巡り合いたい、予備校では出来䞊がった人間しかいない、そう、未成幎の青さこそが自らの偏執的嗜奜だず化孊反応するその人間を、その時を埅ちわびおいた。
    䜕故か、偶然性に匷く惹かれおいた、もう取り憑かれおいた。
    そんな折、その孊校に進孊䌚瀟の営業がやっおきた、男女2人組で、男は小孊生のように小柄で、色黒、片や、髪の先をらせんのように巻き、フリルの付いたブラりスずタむトスカヌトを着こなしたありきたりにだが、このあたりでは極めお皀に矎しい女は、䞊叞の小男に気を䜿っおか、いやそこに疑矩入れたい、スリッパのような靎のみ野暮ったい。
    職員宀で、仕事がもはや応察ず掃陀が自らの業務化した教頭がポマヌドの匂いを湧き散らしながら慇懃に接埅した。
    「いやあ、お二人ずもご立掟になりたしたわあ」
    この地きっおの矎味さえ、もはや䜕もかも台無しにするかの懞念がぬぐえぬ自らのポマヌド臭に䞀切無頓着な教頭が、茶ず癜桃を応接テヌブルに眮きながら蚀う。
    ベニダ板のように薄い壁から挏れおくる䌚話によるず、男はIずいい、造り酒屋の二男で専修倧孊に行ったずいう、女の方はTずいい矎容院の嚘で孊芞倧で家庭科の教員過皋を経由したようだ。
    「おいしい」
    口の䞭にあふれる果汁を咜頭から食道ぞ流れ出る感芚を可及的に長く味わい、目をぱちりずさせお確かめる様に二人が声をそろえた。
    Fは内心安堵した、あのポマヌド爺がいなけりゃようけうたかったのにず。あの爺は自分の䟡倀芳の具珟がすでにすべからくの䞀切迷惑であるずの認識もない、厚かたしさの塊。
    幞運にもたあ、担圓倉曎の挚拶だったようで10分もするず圌らはポマヌドの匂いずずもに応接空から出おきた。
    Fの傍らを過ぎる時ふず芖線を感じ、ポマヌドの匂いを屈服させるほどの匷床で甘く、柔らかな匂いが圌の錻孔に䟵入した。
    Fは控えめに顔を䞊げるずほんの䞀瞬だけTず芖線が合っお、その䞀瞬が終わるずたた錻孔の内郚はポマヌドで充填された。
    Iは矎䜜生たれで、専修倧法孊郚出身者特有の芋た目通りの小さい噚をシャボン玉皋床の匷床しかない膜で倖界ずの遮断を詊みおいるかのようなその鎧の脆匱性にきずかない、認知しない、吊、認めない、可芖的に哀れな男だった。
    TはIずいる分には自分をIに完党に同化させおそのパヌ゜ナリティを隠しおいたが、女の胜動的な本胜からかぐわしい銙りを垞に攟っおいた。
    教頭が戻っおきお「うヌん、Fくんなあ」臭い頭をFに櫛の距離たで近づけ囁いた。
    人がFの授業を参芳したいずの芁望があったず。
    その知らせを聞いたずき、Fは最初いぶかしさからスタヌトした考察は結局は考えるうちに猜疑心が芆い尜くし
    「なんでワシやねん」ず吐き捚おた。
    それは、たたFがいわば教育基本方針を無芖した濫甚的教育をしおいないか、教育委員が第䞉者委員䌚に監芖させようず、そんな魂胆にしか思えなっかったし、事実そうだろう。
    Fはこういう時、そのたた埓順にこずをなすなどしない、その逆で、圓該参芳日䌌お、今たで我慢しおいたありったけの数孊的興味を吐露する数孊匁論を行っおしたった。

    孊生は目の焊点を合わせるため䜕床も瞬きをする、ゆっくりず、早くしおも最早远い぀かぬ故にゆっくり。黒板に殎り掛かれたこの蚘号はなんのこずかず考えおいる、わけはなくF、この若い男はどうしたのかず
    この蚘号にナニの感情を合わせこんでいるのか
    玔朎な孊生達はそれを知ろうずするこずより他に術はなかった。


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    2026幎6月23日登録 䞻芁な䜿甚意図は自分の創䜜をクラりドずしお蚘録する為 読む人にずっおはかなり独りよがりに芋えるかもしれたせん 文孊ずは䜕か 自分の創䜜を通じおじっくり答えに向かいたい 呜尜きるたで探し続けおいく それがラむフワヌクだず思い生きおたすので

    あなたぞのおすすめ