
異世界に召喚されたら剣も魔法も使えなかったけど、なぜか「編み物スキル」が最強だった!(第9章)
第9章 「守護のぬくもりと、紫の織り手」
王城地下通路。
みゆきはあみぐるみのクマを抱き、エリオスと共に紫黒の霧と対峙していた。
エリオスは光の魔法陣を展開しながら、静かに呟いた。
「ゼファル……紫の織り手。伝説に聞く『原初の織り手』や『糸を統べる者』の系譜に連なる者か……」
その言葉を聞いたゼファルが、初めて楽しげに笑った。
「ほう、導きの貴公子よ。
我の名を、よく知っていたな。
だがしかし、お前たちは、まだ『本物』を知らぬ!」
みゆきは編み棒を握りしめながら聞いた。
「原初の織り手……?糸を統べる者……?」
「いずれお前も知ることになるさ、
マスター・みゆき」
ゼファルが手を掲げると、再び触手と紫の魔力が襲いかかってきた。
エリオスは即座に反応し、
「《光輝の障壁》!」
と詠唱しながら、みゆきを守る。
王宮のみならず、各国の女性たちに「白金の麗公子」と密かに慕われる美しい横顔が、戦いの最中でも一瞬だけ光を放った。
みゆきは高速編みで守護のストールを完成させ、エリオスの障壁と連携させる。
「クマも……頑張って!」
守護の力を宿したあみぐるみのクマが、再び雄々しく動き、触手を叩き伏せた。
ゼファルは余裕の笑みを浮かべながら言った。
「面白い。編み神の巫女と、白金の麗公子か……
だが所詮は序曲に過ぎぬ!
『原初の織り手』と『糸を統べる者』が本気で動き出したとき……お前たちはどうなる?」
その言葉を最後に、ゼファルは紫の霧と共にその場から姿を消した。
残された地下通路に、重い沈黙が落ちた。
みゆきはエリオスと顔を見合わせ、小さく息を吐いた。
「……まだ、終わらないみたいね」
一方、星影の泉から王城へ急ぐリリアナの瞳には、強い決意が宿っていた。