ユートピアはかなり*の方で。
長距離輸送のトラックに、姪だということにして乗せて貰ったり、家族旅行のマイカーに、いとこだとして乗せてもらいながら移動した。
家族のないあたしとしては、ちょっとあったかい旅だった。
けどその壁が見えてきたとき、そのご家族は言ったのだ。
ほんとにここでいいの?
ここは原発跡地だよ?
残留放射能ひどくて、誰も住まないって聞いてる。
大丈夫だよ。
ここまでありがとう。
全部忘れてね。
指をパチンと鳴らすと、あたしの家族経験は終わった。
去ってゆく自家用車ちょっと見送り、あたしは『壁』に分け入った。
思った通りだった。
表の高放射能は隠れ蓑で、中は完全に洗浄されつくしている。
もっと言えば壁も精神障壁で、現人類がそこに関心を持たないようにするために視覚的に構造物化しているだけなのだ。
中は
すごかった。
地球のテクノロジーとは違う技術で形作られた市街。
懐かしい感じがするのはなぜだろう。
と。
パトカーみたいな音がして、現れたのは、私より幾分年下めの、きれいな男の子だった。