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喉に居座る、アジの骨

    2024年6月5日。忘れもしない、あの日のこと。

    夕飯に、某飲食店でアジの天ぷらを食べた私は、最後の一口を飲み込んだとき、喉の奥に違和感を覚えた。

    「あ、刺さった」

    小骨である。

    何もしなければ痛くはないが、確かに「いる」感覚。飲み込んだり痰を出したりしたら痛いアレ。その感覚が、久方ぶりにやってきた。
    過去のウナギとの対戦では、3回中2回、喉への骨刺さりを食らっている。食べ方が悪いのか喉の構造的な問題なのかは分からないが、とにかく私は小骨の刺さりやすい人間らしく、イワシやアジフライ、回転寿司のコハダの骨まで喉にお迎えした経験を持つ。サケやサバのデカい骨とは違う、「取り除くことが想定されていない小骨」に弱い。

    (痛いんだろうなぁ……怖いなぁ……)

    と、例によって嚥下を恐れる私。しかし、何もしないことには何もわからないため、おそるおそる、生唾を飲み込んだ。

    ……あれ?

    痛くない。

    いろいろ試してみるが、「異物感」があるだけで「痛み」がなかった。

    え、どういう状況?


    翌日、耳鼻科を受診。まずは目視で摘出を試みるが、発見できなかったようだ。
    続いて、鼻から内視鏡を突っ込まれ、より細かく喉を見る。

    それでも見つからなかった。

    先生曰く「痛みがないならとりあえず様子見ですね。そのうちポロッと取れますよ」と。
    どうやら骨は刺さっているわけではなく、何かの構造に引っ掛かっているようだ、ということになった。しばらくはこの異物感と一緒に生きなければいけないらしい。


    ……それから10ヶ月。事件発生からしばらくは異物感が凄まじかったが、数ヶ月でその感覚にも慣れた。たまに「お、おるな」と感じることはあっても、日常の中で気にする回数は激減していた。
    2025年4月の私といえば、突然コウイチtvにドハマリしたり、ワイヤレスイヤホンの左だけ無くしたり、夢の中で受け取ったと思っていた郵便物が実際に存在していたりと、激動の暮らしを送っていた。
    そんな中、喉の奥深くに埋もれていたアイツが、再び自己顕示を始めたのである。

    のどかな朝、食パンを頬張っていた私の喉に走った痛み。ヤツだ。ヤツが出た!
    ほとんど忘れかけていた異物感が再び復活した。なんならちょっと痛みを伴っている。
    ネットで調べたところ「喉に刺さった骨を放置していると、骨が体内に浸透していって心臓に刺さって死ぬ」みたいな怖すぎる話が出てきた。俺アジの骨で死ぬん?

    ただ、異物感の復活ということはつまり、骨が移動したということ。見えるとこに出てきてないかな……と、ダメ元で再度耳鼻科に行った。


    ダメでした。

    先生曰く「小骨が一年も喉に引っ掛かり続けることは考えにくい。消化吸収されるはず」と。
    いや、おるんですよ。2025年の年末も。


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    高校生のころ、ある教師が言っていた。

    「先日、魚の骨が喉に刺さったんですよ。よく対処法として言われる、ご飯丸飲み、とかは逆効果の場合もあるらしいので、刺さったらすぐ病院行ってくださいね。私はすぐ取れたから良かったですけど、取れなかったら内視鏡入れることになるらしいですよ」

    へぇ、そうなんだ、と聞き流していた私。
    ただ、今なら自信をもってこう言える。

    内視鏡入れたからって取れると思うなよ

     
     
    生き物、創作、旅、料理が好き。エッセイや旅行記、生き物関連の記事を中心に投稿していきます。

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