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警察官に職質かけた女の話

    ※昔、Facebookにノート機能があった頃に書いた物を少し推敲し直して掲載します(実話です)
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    あれは、長野電鉄屋代線
    通称河東線にまだ電車が走っていた頃、綿内で店をやっていた頃の話だった。長閑な場所だった。


    ​綿内の店は綿内駅のすぐ目の前にあり、駅は無人駅でとても小さかったが駅前、つまりお店の前は、広場のようなスペースになっていた。

    ​とても長閑な場所だった。

    ​ある日のことだった。パトカーに乗った巡回中の警察官2人が、その駅前広場 つまりうちのお店の間ん前に車を止めたので、店の中からレースのカーテン越しに見ていると、パトカーの中でお弁当を食べ始めた。まぁ、お巡りさんだって人間だ。そらぁお腹も減るわいな。と、微笑ましく見ていた。レースのカーテン越しに。

    ​弁当を食べ終えた警察官2人、パトカーのシートをおもむろに倒し、食休みの昼寝を始めた。

    ​ウンウン、腹の皮が突っ張ると、目の皮が弛むと言うしね、昼の後って眠くなったりするよね。お巡りさんも同じ人間だ。


    ​――数時間に渡り、駅前広場 つまりうちのお店の真ん前にパトカーを止め充分な休憩を取った警察官達は、またどこかへパトロールへと出かけていった。

    ​実に長閑な光景であった。


    ​次の日・・・

    ​その警察官達は、またやってきた。

    ​お弁当を食べている。

    ​食べ終わった。 

    ​シート倒した。

    ​寝た。

    ​駅前広場 つまりうちのお店の真ん前で。

    ​数時間後、去っていった。

    ​嫌な予感がした。


    ​あくる日・・・

    ​また来てる・・・

    ​その次の日も、またその次の日も、その営みは繰り返し続けられた。しかも、最初の時よりも、段々滞在時間が長くなってきている。


    ​長閑な場所である。

    ​昼間とあれば、駅の利用者も少なく人目も少ない。サボリにはまさに、うってつけの場所であろう。

    ​確信した。この警察官達はパトロールにかこつけて出かけ、うってつけのサボリ場所を見つけて毎日何時間も職務をサボっているのだ。これはどうして由々しき事態である。この人達の給料は、我々の血税である。我々の血税を使ってこの人達は、昼間の数時間をサボりに使っている。大変由々しき事態である。

    ​それよりなにより、こう毎日毎日店の真ん前にパトカーを何時間も止められていたら、いくら人通りの少ない場所とはいえ近所の目もあるし、何よりうちの店のお客さんの目がある。カンジが悪い。

    ​「あそこの整体院、毎回行く度にパトカーが前に止まってるの」

    ​なんて言われた日にゃ、営業妨害も甚だしい。

    ​うぅむ。これは、どうにかしないといけない。

    ​色々考えて、県警に相談するということをまず思いついたが、市民からの通報によりサボっているのが上にバレたとなったら、このお巡りさん達の立場は丸つぶれになるかもしれないし、下手をしたら減給処分になるかもしれない。まぁ、そこまでのことがなくても、上司に小言か嫌味くらいは言われるだろう。反省文書かされるかもしれない。

    ​そうなれば、必然的に通報した人間は恨まれることになる。これは実においしくない。人に恨まれるのはおいしくない。ので却下だ。

    ​更に考えに考え抜いて、私はついに一つの作戦を思いつき、決行することにした。


    ​なぁに、要領は把握している。テレビの警察24時でやってる通りにやればいい。




    ​何気ないふりを装って、当該車両(つまりパトカー)に近付く。

    ​コンコン

    ​窓を軽快に、2度ノックした。顔はマルタイ(つまり警察官だけど)に警戒されないように笑顔で。

    ​シートを倒して寝ていたマルタイ(警察官)、慌てて起きる。

    ​窓を下げて、とジェスチャー。

    ​マルタイ(警察官)、素直に従う。


    ​「何かありましたか?」

    ​私が言った。

    ​警察官が言うべき台詞を、私が先に言った。

    ​「えっ!?」

    ​自分の言うべき台詞を言われてしまい、言葉を失い慌ててる警察官その1。困惑顔の警察官その2。

    ​「いやね、ここ一週間ほど、毎日この時間帯にね、お巡りさん達来てるから、何か事件でもあって張り込みでもされてるのかな、と思いまして。ほら、ここら辺長閑な場所でしょう?何か物騒なことがあったら嫌ですからね。え?何もない。何もないんですね、それ聞いて安心しました。ほら、ここのところ毎日いらしてたでしょう?この時間帯に。だから、てっきり何かあったのかと思って、声掛けさせていただいたんです。何もない。何もないんですね。安心しました。パトロールご苦労様です。」

    ​数分のやり取りの後、パトカーは逃げるようにそそくさとその場所を立ち去った。


    ​誰がどう見ても、張り込みをしているようには見えなかったが、わざとそう言ってやった。サボっていた警察官の心にはさぞや刺さったことだと思う。

    ​かくしてお店の真ん前の治安は無事に保たれたのでした♪

    ​めでたしめでたし!

     
     
    信州で着物生活をしながら創作活動とタロット占い師をしている宇宙人です。

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