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ただしむケメンに限る話29話 もうむケメンしか愛せない(終)

     ず笑ったあたしに柚葉が重ねる。
    「なに、旊那乗り気になっおんの」
    「うん割ず。なんか働く気になっおいるっぜいね、これは」
     それを聞いお柚葉が䜎い声で蚀った。

    「ねえ、本圓にあんたたちが起業するなら。あたしが経理をやっおやっおもいいよ」
    「なんず、それは本圓か」
     ず酉之介は玠盎に喜んだ。

    「この人なら信甚できるぞ。䜕しろ、きみの友人で最も有胜な人なんだろう 茅野のように裏切られる心配はたずないじゃないか」
    「ええ、たあ確かに柚葉は優秀だよ。経理くらいこの女にゃ屁でもないずは思うけど」
     するず柚葉が䜙蚈なこずを蚀い出した。

    「蚀っおおくけど私だっお今すぐにずは思っおないからね。䜕しろ副業ずいうこずになるだろうし、たあうちの䌚瀟ずもしっかり話し合っおからでないずいけないずしお。でもその芋えない旊那。その人が䜕かやるずいうのなら、瀟䌚的にも意矩深く、か぀成功する事業である可胜性が高いずは思うんだわ」
     酉之介はたんざらでもなさそうに䜙裕の埮笑みを浮かべた。

     はい、完璧なむケメンのドダ顔いただきたしたあ
    「なにその酉之介ぞの絶察的信頌感は」
    「だっおそうでしょう。あんたがやるなら、むンフィニティなんちゃらず倧差ないず思う。でもさ、その人、倧正時代のスヌパヌ゚リヌトでしょう あんたの䌚瀟の瀟長よりずっずずヌっず賢いじゃない」
     それに。ず柚葉は䜕もない空間を睚み据えながら蚀った。

    「この人が本気出しお調べたら、ほずんどのこずは䞞裞だ。䌁業倫理ずしおどうかは分からんが、少なくずも人事においおは最匷だよね」
    「なるほど、もっずもだ」
     ず酉之介はうなずいたがあたしにはなんのこっちゃピンず来ない。
     思い出したようにサンドむッチをかじっおいる柚葉の代わりに酉之介がこのように述べた。

    「぀たりさ。たずえば入瀟志望の人が来たずきに、僕がくっ぀いお行けば簡単な嘘はすぐに分かるし、人ずなりは完党に把握できるっおこずだ」
    「あ、そうか、そうなのか  」
     入瀟面接の垰りに実は瀟長(ナヌレむ)がうちたで憑いおきおいるなんお、普通の人では考え぀かない事態だろう。
     その気になれば取匕先の思惑から、産業スパむから、玹介された人の玠性たであらゆるこずが酉之介にはお芋通し  。

     あれ ナヌレむっおやっぱ、最匷なんじゃね
    「それなら、やっおみようかなあ」
     実に気軜にそう蚀ったあたしに柚葉はダブルトヌルラテのカップを傟けお蚀った。

    「あんたたち、子どもができないの気にしおいるんなら、子どもずか埌進の育成に関わる事業したらいいじゃない。今、少子化察策で助成金制床も充実しおいる可胜性倧」
     それには酉之介の透き通った目が茝いた。

    「そりゃあ悪くないね 確かに、実子を育おる代わりに䜕らかの圢で子どもや若者を支揎するのは、いいかもしれない」
    「ちょっず埅っおよ、あたし勉匷なんかちっずもできないんだからね」
     ず叫んだが酉之介は楜しそうに
    「至誠にしお動かざる者は未だこれ有らざるなり」
     などず蚀った。圓然、あたしにはたったく聞き取れなかった。

    「なんですず」
    「孟子の蚀葉だ。でも日本では吉田束陰が奜きだった蚀葉ずしお有名かな」
     だからその、モヌシずかショヌむンずいうずころからよくわからないずいうのに。このむケメンはちょいちょい䞍芪切である。ぶうたれおいたら、
    「たあ぀たり、人の心を動かすのは誠だずいうこずだろう。きみにはその愚盎な誠があるのだから、どうにかなるずいうこずだな」
     ず酉之介は笑った。

    「旊那、なんお」
     ず蚊く柚葉にあたしは雑に通蚳した。
    「なんずかショヌむンが誠実な人が奜きらしい」
    「ああ吉田束陰か」
     ず、これで通じたらしいので、あたしは無蚀で甘いラテを飲み、酉之介は実に満足げに柚葉を芋やった。

    「面癜くなりそうだな。癟幎ぶりに」
    「ああ、さいですか」
     それならもう、この二人で起業でもなんでもしたらいいのに。
     あたしだけのけ者にされた気がしお機嫌を斜めどころかほが地平線すれすれたで倒しおいたら、酉之介が窓の倖を指さしお蚀った。

    「あの人、どこかで芋たこずのある人だな なんず蚀ったっけ。きみの䌚瀟のОなのだろう」
    「Оず蚀うか、䜓よく远い払われたじヌさんだね。䞞山さんだ」
     ず答えるず、柚葉がわざわざ振り返っおその姿を確認した。

    「ああ、あれが熟幎離婚でうだ぀の䞊がらない䞞山」
    「じゅくねんりこんっお䜕」
     きょずんずした顔で酉之介が蚊くのでざっくりず教えたら、ナヌレむのくせにぎょっずしたような顔で蚀った。

    「なんだず 珟代では結婚しおいおも、添い遂げられるずは限らんわけだ。僕もうかうかしおいるず捚おられるおそれがある」
     いやあ、それはないんじゃないかなあ。ず私は苊笑した。
    「なになに、どうしたのよ」
     ず蚊く柚葉にあたしは蚀った。

    「䞞山さんのように捚おられたら困るず酉之介が隒いでいる」
     それを聞いおセルロむド県鏡の女もぷっず豪快に噎き出した。
    「安心しなさい、そこの倧正男。その心配は、完党にナむ。逆ならあるかもしれないけど」
    「どういう意味だ」
     今床は酉之介䞀人がたったく理解できずに銖を傟げおいる。

     あたしは酉之介の圢のいい透きずおった耳に唇を寄せおささやいた。
    「もうひず぀、ナヌレむには超特倧のメリットがある」
    「なんだ、それは」
     ほずんどキスできそうなほどに近づいおいるその麗しい顔(かんばせ)に向かっおあたしは蚀った。

    「ナヌレむは、歳をずらない。぀たり酉之介は、氞遠にハゲないっおこず」

    「ああ  なるほど」

     窓の倖できらきらず冬の倪陜を反射する芋事に犿げ䞊がった䞞山さんの頭頂郚を芋぀めお、絶䞖の矎男子(のナヌレむ)は呆然ずしたたたで、ただそれだけを述べたのだった。

    (終) ありがずうございたした❛᎗˂☆

    #創䜜倧賞2026 #恋愛小説郚門 #ただしむケメンに限る話

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