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気づいたら私になっていた

    ※これを私はノンフィクションファンタジーと呼んでいる

    星が降る草原に私たちは立っていた
    風に星が混じる

    風が髪や足元の草花を撫でていく

    私たちの後ろには、大きな生命のご存在
    私たちはひとりひとり無言のままそのご存在と約束をしている

    これから私たちは旅立つのだ

    それぞれの内に決意をたたえながら

    そして私たちは流れ星みたいに散り散りになりながら地上へと降っていった

    気がついたら私になっていた
    私という意識を持っている

    この世で生きるための父や母や家族を与えられている
    だけどずっと心細かった

    父や母は、いわゆるいい人で申し分はないのだろう

    だけど、この世に生きるということはどこまでいっても不完全で未熟ということなのだろう

    尊敬する父や母にいつしか「本当にそうなの?」と疑念を持ち、自分で確かめるようになっていった

    この世で生きるのは果てしない
    生きるためになすことがあり
    なすことのためにもまたなすことがある

    生きるだけで美しいものを汚し
    生きるだけで尊いものを搾取する

    それは終わりが来るまで続いていく

    この世に降りてくる前に無言で約束した何かを思い、
    何のために生きているのか?
    私は何のために存在するのか?
    ずっと思い出そうとしていた

    言われるがままに蓋をしてきたこと、
    周囲の人が悲しんだりしないよう
    求めることに応じてきたこと

    自分がそうすることで、円滑になること
    周りの人たちに都合がいいこと

    そんなことにも言われるがままに蓋をしてきた

    ぱっとしなくてよかった
    目立たなくてもよくて
    ひっそりといきをしていたかった

    寿命はぼんやりと30年くらいでいいなと思っていた

    人生が終わったと思ったことは2度あった

    わりといつも「帰りたい」と思っている
    なんとなく帰る場所があることはわかっているが説明できない

    それでも生き続ける私
    いつも生きる意味を見いだそうとしている

    あたえられた課題は次々とあまた
    ひとつひとつ丁寧に選択をして
    ひとつひとつ丁寧に行っていく

    時折ふと、この世に降りてくる前の草原を思い出す
    みんなはどこへ行ったのか?
    どんな使命や課題を与えられたのか?

    それは大いなる存在と、ひとりひとりの物語

    たぶん私たちは会えない
    会えないようになっている

    会えるときは、帰るとき
    帰ったあとの世界

    時々心細くなるけど
    一度だけ、ひとりだけ
    夢の中で会えた

    「よくここまでひとりで頑張ったね」と抱きしめられる

    でもたぶん、これで終わりではなく
    まだこの世の物語は続く

    丁寧に呼吸をして
    丁寧に存在する
    帰る日まで

    もがいたことも
    泣いたことも
    立ち上がれなかったことも
    みんな持ち帰ったらいいのだろうね


    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

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