メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bysuama_monaka15

インフル念写【毎週ショートショートnote】

    amanatz

    「私、念写に目醒めたの!」

    嬉しそうな、しかし明らかに具合の悪そうな顔で彼女は笑う。

    「これが見たいな、って思った映像が、このスマホにどんどん表示されていくのよ!」

    熱も相当ありそうだ。
    ……だいぶ、病状が進んでいるようだ。

    「これで四六時中、愛しの彼の姿を眺めて過ごせ――ちょっと、何するの……」

    一刻も早い隔離と治療が必要と判断し、強制入院の措置をとる。

    「やはり『恋の病』でしたね、先生」
    「ああ」

    彼女がこじらせたのは、風邪ではなく、強い恋愛感情。相手の全てを知りたいと望み念じるあまり、多数のカメラを仕掛けたことも忘れて盗撮映像に浸っていた。かなり危険な状態だった。

    「先生、少し休まれては?」
    「いや、いい」

    今年の恋の病「インフル念写A型」は、感染力が非常に強く、患者は増える一方。今休むわけには――

    「もう部屋は用意してあります」

    とろんとした看護師の目。

    「――私の思い描く理想の生活を、そこで二人ずっと――」

    あっ、B型に罹ったな。




    【お知らせ】
    明日の文学フリマ東京41の新刊、田原さんが編集されているホラーアンソロジー「ウタ・カタ vol.3 鳴く」に参加しています。amanatzも上京予定です~。よろしくどうぞ。


     
     
     
    三児の父です。 子供たちが成長して、ようやく多少の余裕ができたので、しばらくはリハビリがてら、気楽さを忘れずにつらつら綴っていきたいです。

    あなたへのおすすめ