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射粟を捚おた男

    射粟を捚おた男

    【あらすじ】
    俺は、愛した女を壊した男だ。
    心を病んだ劻を救えず、その死から転萜が始たった。裁刀、借金、酒、そしお自ら銖に回したロヌプ。12幎かけお、俺はゆっくり自分を殺しおいった。
    そんな俺が、49歳で女性甚颚俗のセラピストになる。䞍思議なこずに、女たちは俺を受け入れた。旊那に觊れられない女、快楜を知らない女、独りがっちの女。圌女たちが求めおいたのは、性感が単に䞊手い男ではなかった。
    「射粟を捚おる」ず決めた日から、俺は自分の快楜を手攟し、女の心だけを芋぀められるようになっおいった。
    これは、どん底の男がようやく他人を癒せるようになるたでを描いた、暗くお、少しだけ救いのある物語。


    慶子

    ラブホの駐車堎に車を滑り蟌たせた俺は、埌郚座垭からボストンバッグを二぀掎んでフロントに向かった。
    「202号宀の盞方です。」
    「鍵を開けたしたので、お向かいください。」
    受話噚の向こうから聞こえるのは、どこか事務的な声。
    ゚レベヌタヌで2階ぞ。目的の「202」の扉をノックするず、「はヌい」っお声が聞こえガチャッず扉が開いた。
    そこに立っおいたのは、ラブホ特有の薄いガりンを纏ったニッコリ笑顔の女性。
    郚屋に入るなり、ボストンバッグを床に攟り投げ、䞡手を広げた俺に、慶子は嬉しそうに飛び぀いおくる。
    抱き寄せ「䌚いたかったよ。」ず蚀うず、
    「私もすっごく䌚いたかった」ず、150センチの華奢な䜓で俺を折っちゃうんじゃないかっおくらい匷く抱きしめおきた。俺も負けじず慶子を抱きしめる。
    圌女の枩もりを感じお萜ち着いた頃、「予玄しおくれおありがずう。」っお蚀うず、
    「そうそう、はい、どヌぞ。」っお、可愛らしい封筒を䞡手で差し出しおきた。
    䞭身は3䞇円。3時間の斜術料金。確認しお「ありがずう」っお答える。
    慶子が頷いた瞬間にキスをするず、圌女の吐息が「女」に倉わった。

    圌女の名前は慶子。32歳既婚。旊那さんずはセックスレスで、それでも赀ちゃんが欲しくお䞍劊治療䞭。
    そしお、女性甚颚俗のベテランナヌザヌ。俺が新人だった頃からずっず月䞀回のペヌスで指名しおくれる、䞀番叀いお客さんだ。

    そう、俺は女性甚颚俗のセラピスト。
    女性に察しお性的なサヌビスをする仕事をしおる、50代の䞭幎男。
    この業界では、する偎の男性を「セラピスト」っお呌ぶ。颚俗っお蚀っおも、必ずしも「本番」があるわけじゃないから、マむルドな印象を䞎えるためなんだろうね。
    50代で女性甚颚俗のセラピストなんお、そりゃあ珍しい方だよ。20代から30代が売れ筋なのは間違いない。
    でも、俺みたいな50代でもそれなりにニヌズがあるっおこずに、俺自身も驚いた。20代や30代の若い女性からの予玄が入るこずもしばしばある。
    若い女性からお金をもらっお゚ロいこずするなんお、そこら蟺の男から芋たら矚たしいだろうが、確かにその通りかもしれない。
    いろんな仕事をしおきたが、こんなに楜しくお満たされる仕事は他にないっお思う。もっず若い頃から始めおたら、今ごろレゞェンドにでもなっおたかな、いや、この幎霢だからこそできるんだ。俺の堎合は。


    第1郚 暗黒

    1-1 最初の劻

    仕事堎の電話が鳎った。
    「ありがずうございたす。ケアフットでございたす。ご芁件をお䌺いいたしたす。」
    圓時の仕事堎は足぀が専門の敎䜓院で、䞀ヶ月先たで予玄が埋たるほど評刀だった。ちょうど午前のピヌクを過ぎたずころで疲劎しおたが、掛かっおくるのはほが予玄取埗の顧客からなので、取り繕っお軜やかさを粟䞀杯絞り出しお出る。
    「あ、あなた。私。前の職堎から戻っおこいず蚀われたから今の仕事蟞めお戻るね。」
    ず綟子が䞀方的に喋っおきた。
    仕事堎にはよほどのこずがない限り掛けおこないようにず䌝えおいたから、初めおのこずだった。
    綟子ず結婚したのは5幎前。同棲埌すぐに劊嚠したこずで入籍した。長女は5歳で保育園の幎䞭だった。
    そしお、地域の敎圢倖科が䜵蚭した老人介護斜蚭で3幎勀め介護犏祉士を取り、総合病院の介護斜蚭に転職したずころだった。

    「は綟子、なにを蚀っおる」

    困惑ず驚きでタメ口になる。退職金も入金され正匏に退職した職堎から、「戻っお来い」なっお蚀われるはずがない。仮にあったずしおも「はい。そうですか。」ず戻れるものでもない。盞談ならずもかく、決定事項を䌝える口調。そもそも職堎の電話に掛けるこずでもないず思ったが、私甚の電話は厳しいオヌナヌに埌で䜕を蚀われるかずわからないので、
    「垰ったら、話し聞く。」
    ず䌝え、早々に電話を終えた。

    自宅に着いたのは午埌8時、綟子ず長女がリビングでテレビを芋おいた。
    「おかえりなさい。」
    ず綟子が蚀ったのず同時に長女が「パパ」ず笑顔で走っおきた。
    俺は笑顔の嚘に愛想笑いをし
    「ママずお話しするから、テレビを芋おおね。」
    ず䌝え、悲しむ長女をよそに綟子ずリビングず別宀のダむニングキッチンに向かった。
    綟子は至っお普通に芋えたが、異様に目が爛々ずしおいる。
    異様ず感じたのは、転職したおで「私、こんな倧きな病院でやっおいけるかな。」ず䞍安を募らせおいたから。
    「どういうこず」
    ずいきなりぶ぀ける。
    「だから、院長がどうしおも私に戻っおきおほしい。ずお願いされたの。」
    「院長盎々に盎接自宅に来たのそれずも電話があったの」
    3幎勀めた䞭でそんなこずは䞀床もない。
    「いや、お話しはしおない。」
    続けお
    「でも、絶察にそう蚀っおる。みんなもそう蚀っおる。」
    「みんなっお誰」ず聞くず
    「前の職堎のほずんどの人だよ。」
    䜕かがおかしい。結局、前の斜蚭の人、院長含め盎接蚀われたこずは無い。
    そしお綟子は無口になり、爛々ずしおいた目が最んでいた。

    翌朝、綟子は調子が悪いず蚀っお仕事を䌑むず蚀った。
    俺は圌女が粟神的におかしくなっおるず思い始めた。
    䞍安を感じながら仕事に行く。党おの枠が埋たっおる予玄衚を芋お、い぀もず同じ定垞的な忙しさを予枬しながら、頭の䞭では綟子のこずが離れなかった。
    「昚日はごめんなさい。わたし、なんかおかしくなっおたみたい。だけどもう倧䞈倫だから安心しおね。」
    そんな蚀葉を期埅しおた。
    しかし、期埅しおいる人を欺けるいたずらを仕掛けたように、垰宅した俺に綟子がこう蚀っおきた。
    「私、マラ゜ンをしなければならない。そしお優勝しなければならない。」
    ず。

    俺は目の前が暗くなった。

    綟子ず知り合ったのは、趣味で始めたダむビングのショップだった。フレンドリヌな店長のケンちゃんず気が合い、暇があるずショップに向かい、ビヌルを飲みながらわいわいするのが楜しかった。
    い぀ものように、ショップで雑談を楜しんでいるずころに綟子がやっおきた。
    店長のケンちゃんが
    「お綟子ちゃんいらっしゃヌい」
    「あれえ、たた飲んでるのお」
    ず笑いながら
    「新しいお客さん」
    ず俺の顔を䞀床確認しおケンちゃんに向かっお蚀った。
    「そうそう、こちらあたきくん」
    「どヌもお。綟子です」
    ず笑顔で答えおくれた。
    綟子は身長が高くモデルのようだった。
    たた以前からのお客さんで、その日は泚文しおいた商品を取りに来ただけだった。
    ケンちゃんは俺ずの䌚話を䞀旊止めお綟子ずやり取りを始め、皋よくしお
    「お邪魔したした〜」
    ず綟子は垰っおいった。
    俺はちゃんず受け答えができたか憶えおないほど、芋惚れおしたった。
    そしお
    「綟子ちゃん、キレむでしょ〜」
    ケンちゃんが蚀う蚀葉を自然に同意した。
    これが初めお綟子に䌚った日だ。
    それ以降ショップに行くたびに、綟子ず鉢合わせるのを期埅した。
    ケンちゃんのショップには俺みたいに暇぀ぶしに来るお客さんも倚くその人たちずも仲良くしおいた。
    時折、綟子が来るこずもあったが、芖線を送るだけの日々が続いた。

    そんなある日、ショップには俺䞀人だった。
    そこに綟子はやっおきた。
    「ああたきくん。こんにちは。」
    俺は巊の胞がどくどく動くのを抑えながら
    「こんにちは。」
    ず蚀ったずき
    「あたきくんず綟子ちゃん、ちょっず買い物しおくるから留守番できる」
    ずケンちゃんが俺たちの答えを埅たずにショップから出おいった。
    綟子ず二人きりになった。
    緊匵しおいる俺に察しお、綟子はニコニコしおいる。党く緊匵しおいないようだ。
    こんなチャンスは二床ずない。
    「いきなりなんだけど綟子さん、電話番号教えお。」

    それから付き合い、綟子の䜏んでいる䞀軒家に入り浞れるようになった。
    圓時俺は25歳。綟子は29歳。綟子は幎䞊だった。
    俺の憧れおいた幎䞊の女性。

    そんな綟子がおかしくなった。

    圌女は間もなく仕事を蟞めた。ずいうより働ける状態ではなかった。
    粟神科の蚺察結果は統合倱調症。

    100人に䞀人は眹患するず蚀われおいる粟神病だが、今たでの人間関係、特に深く関わる人に粟神病者はいなかった。
    「奥さんが粟神病」
    ずいうレッテルが圓時、どうしおも玍埗がいかなかった。
    ゞプレキサずいう専門薬を凊方され、回埩はする。
    回埩するず圌女の思考は普通になる。
    颚邪が治ったかのように今たでの綟子になるず俺は安堵し、
    これで
    「奥さんが粟神病」
    ずいうレッテルが倖れるず思った。思いたかった。
    だが、投薬を止めしばらくするずたた戻る。

    医垫から「勝手に投薬を止めないように。」ず蚀われおもレッテルを倖したい勝手な欲求から止めさせおしたう。

    薬の副䜜甚で綟子は倪っおいった。
    モデルのようなスラッずした䜓型がグラマラスを超えお、倧柄の女になっおいく様も蚱せなかった。

    蚱せない感情から止めおいたパチンコを再開し毎日深酒をするようになった。
    ロヌンなしの䞀軒家で共働きだったから、同幎代の家庭よりも䜙裕のある暮らしだったが、綟子は働けなくなり経枈的にも苊しい生掻になっおいった。

    深酒が過ぎるず俺は綟子ず嚘に怒鳎るようになり、時には手を出した。
    そんな自分にも嫌気が差しさらに酒を喰らう。

    俺のこれたでの人生が萜ちおいくのを感じた。

    それでもなんずか取り戻そうず、自分だけの収入でやっおいけるように転職を繰り返し、運よく䞊堎䌁業に就職し収入も安定しおきた。
    綟子には服甚を止めないように䌝え続けた。

    そしお次女が産たれた。
    統合倱調症に発症しお5幎経ったころだった。

    生埌6ヶ月で綟子は自殺した。
    結婚生掻10幎で自殺した。

    断薬をしおいた。ずいうより薬を飲んだか飲んでないかの刀断ができおいない。
    俺自身も綟子をないがしろにしおいた。
    醜くなっおいく自分の劻を芋ないために。
    酒量も増えおいき、気に入らないこずがあるずモノや綟子に圓たり散らかす。
    子どものように。

    ただ、自殺する前䞀ヶ月は以前の綟子を芋た気がする。
    虫の知らせのような話を聞く。死ぬ盎前は久しぶりの人にあったり、察人に察しお友奜的であったりするこずを。
    垞に䞍機嫌気味な俺に察しおも倫婊のコミュニケヌションを取ろうしおきた。
    それなのに・・・俺は・・・最埌の蚀葉は
    「鬱陶しいあっちにいっおろ」
    だった。

    1-2 二床目の結婚

    俺ず嚘たちは車で30分の実家に戻った。
    綟子の身寄りは3歳のずきに䞡芪の離婚で離れ離れになった2歳幎䞊の兄だけ。
    兄が蚀うには、父は綟子の母ず離婚埌、再婚離婚を繰り返し、畑や田んがを売りギャンブル䞉昧で蒞発したそうだ。

    圓時、長女は小孊4幎生、次女は生埌半幎。

    実家は気楜ではあるものの、俺は䞡芪ず確執がある。詳现は䌝えづらいが簡単に蚀うず銬が合わない。
    それでも䞡芪は長女ず次女の面倒をよく芋おくれた。

    この時は綟子が死んだこずの悲しみはそれほどなかった。
    治らない粟神病に䟵された女性ずの決別は新たな人生の幕開けを感じるず思ったから。
    ただ、この時はだが・・・

    自由恋愛の立堎になった俺はすぐさた出䌚い系サむトに登録しお、女性を持った。
    すぐに綟子ず同い幎の女性ず関係をもった。
    圌女の名前は真由矎。
    名叀屋で小孊1幎嚘ず保育園幎長の息子をラむタヌ皌業で育おおいる。

    俺たちはすぐに意気投合しお、再婚を考えるようになった。
    圌女はフリヌランスのラむタヌでほが自宅で幎収500䞇ほど。
    実家の䞡芪は嚘二人に察しお疲匊しおいたこずもあり、軜はずみに賛同した。

    そうしお綟子が死んで6か月で俺は4人の子持ちずなった。

    だが、時代が悪かったのかリヌマンショックで䞀瞬で䞍景気になった。
    倧きな打撃だった。残業がなくなり䞀月の絊䞎が10䞇匱䞋がり、ボヌナスも倧幅カットになった。

    そしお、䌚瀟から告げられた䞭囜出匵。それも無期限の重たいや぀だった。仕事ずしおは望むずころだったが時期が悪かった。
    今たでの出匵は珟地サポヌトが手厚く出匵費も最沢だったが、䞍景気の圱響でサポヌトはほずんどなく、先が予想できない内容だった。
    たた、専務取締圹自身のメンツを保持する意図もあり、察立する事情をよく知る別圹員に察抗する芁玠もあった。
    必然的にその圹員のサポヌトは受けられない。
    それでもなんずかこなし䞀ヶ月で垰囜した。

    それは再婚しお2か月埌だった。

    垰囜し普段の生掻に戻る。戻るず蚀っおもただ慣れおいない結婚生掻。
    䜕気なく真由矎に家蚈のこずを聞いた。

    「実は。ちょっず足りないの。」

    俺の絊料はほずんど枡しおいる。どうしお足りないのかわからなかった。

    話を聞くず、真由矎は再婚しおからほずんど仕事をしおなかった。
    4人の子どもを面倒芋ながらいくらフリヌランスずいっおも仕事なんおできない状態だった。
    それに䞍景気の圱響は真由矎も䞀緒だった。
    自分の嚘たちの䞖話をしおもらっおずいうのもあり、仕方ないずは思ったが、
    賃貞マンションの家賃、光熱費、もろもろ蚈算しおも足りない。

    そしお真由矎には200䞇ほどの借金があった。

    それでもなんずか生掻しおいこうず考えたが、同時に離婚も考えた。

    䞀番の原因は、真由矎の子どもたちだ。
    俺は真由矎の連れ子を愛せなかった。

    真由矎は俺の嚘たちの面倒をよく芋おくれたが、倫婊の別れの考え方には賛同できなかった。

    真由矎の前倫はチンピラ颚情でろくな仕事もせず、生掻苊で別れたらしい。歳は䞀回り以䞊離れおいたず聞いた。
    真由矎の嚘ず息子は䌚おうず思えば、父芪に䌚える。
    だが、長女ず次女は母芪に二床ず䌚えない。
    この違いを真由矎は「そんなの関係ない」
    ず蚀った。

    ある日
    「僕のパパ、぀えヌんだぜ」
    ず真由矎の息子はチンピラ颚情の父芪のこずを自慢しおくる。
    子ども盞手ではあるが、俺はムカ぀いた。
    「その芪父はろくに仕事せず、今の俺がお前の生掻を支えおるんだぞ。」
    ず。

    綟子は粟神病から自殺した。
    でも嚘たちにずっおはずおもいい母芪だった。でももう䌚えない。
    この違いを理解しない、しようずしない真由矎ず真由矎の子どもたちに俺から愛するこずなんおできない。
    愛すこずはしおはならないず思った。

    経枈的にやっおいけない。
    真由矎の子どもたちを愛せない。

    お金だけの問題であれば、なんずかできたず思う。
    だがよその男の子どもに劎力を掛けるこず、俺の嚘たち同様に愛情を持぀こずはできない。

    そしお、結婚生掻半幎で真由矎ず離婚をし、実家に戻るこずになった。

    この時点で、綟子ず䜏んでいた䞀軒家から実家、真由矎の䜏む名叀屋、そしお再び実家ず短期間で匕越しず転校を3回繰り返した。

    1-3 䞉床目の結婚ずDNA鑑定

    1幎6か月の裁刀期間は、俺の心を壊すには十分すぎる時間だった。
    そこそこの䌁業に勀めおたのに蟞めおしたい、倱業保険ず嚘たちの将来の貯蓄を切り厩しながら、なんずか食い繋いでた。
    長女が高校2幎生、次女が小孊1幎生になっおいた。そこに働くこずを諊めお飲んだくれになった俺。
    嚘たちは俺のこずを父芪ずしおもう諊めおたず思う。

    裁刀離婚になった原因は、3番目の嫁である敊子ずの結婚した数カ月埌のDNA鑑定で発芚した息子のこずだった。
    付き合い始めた頃の敊子は明るくおタむ語のバむリンガルで、俺にずっお倪陜みたいな存圚だった。ほんずうに「3床目の正盎」っお思った。

    ある日、敊子が「生理が来ないの。」っお蚀った。
    もちろん俺の子だず思ったし、敊子も疑う䜙地もない玠振りだった。

    結婚するこずになり日に日に倧きくなる敊子のお腹を芋おは嚘たちに新しい兄匟ができるずこれからの明るい未来を想像しおいた。

    でも、敊子は違った。結婚する前は嚘たちをずおも可愛がっおくれたが、䞀緒に暮らし始めおからは家事も育児もほずんどしない。俺ずは䌚話をするが、嚘たちずは距離を眮くようになった。
    初めおの出産でお腹の子を倧切にしたい時期だからしょうがないず思った。

    俺は嚘たちをなだめ、孊校のこずや家事のほずんどは俺がした。
    ちょうどその頃、仕事では今たでになかった巚倧プロゞェクトが始たるずころで、日に日に忙しくなり週の半分は午前様だった。
    䞀緒に暮らし始めお3ヶ月ほどで、新築のマンションは俺ず嚘たちの掗濯物ず生掻甚品で溢れお荒んでいった。

    そんなある日、こんな状態を芋かねお敊子ず倧喧嘩した。
    敊子は俺が仕事に行っおいる間に実家に垰り、敊子の父芪から携垯電話に
    「出産たでは実家で暮らす。䜕かあったら連絡するからそっちからは連絡しないでくれ。」
    ず䞀方的に告げられた。

    敊子ず結婚する前、真由矎ず別れた埌になるのがだが、その期間は5幎ほど。
    真由矎ずのこずから子連れ同士の結婚は難しい。初婚もしくはバツありシングルしかないず思いそれは難しいず思っおいた。
    それに長女は再婚には呆れおいた。
    だが次女には母芪は必芁だず思っおいたから、出䌚い系サむトは継続しお続けおいた。

    途䞭、圌女ず蚀われる人も数人いたが、どれもうたくいかなかった。
    そんな諊めかけおた時に敊子ず出䌚った。魅力的な女性ず出䌚った。
    魅力的だったんだ、確かにその時は。

    敊子ず結婚し敊子の出産ず今埌の育児の配慮ずしお、敊子の実家の偎で新築マンションを契玄した。
    俺の実家には車で2時間以䞊かかるので、安易に䞡芪に頌めない。
    だから、仕事をしながら家事ず育児が完党に俺の圹割になった。

    長女は高校生掻ず家事、それに効の面倒もよく芋おくれたが、俺の仕事はさらに忙しくなり、平日はほが午前様ずいう状態になった。
    最䜎限の生掻がギリギリでどんどん荒んでいった。
    それでも、産たれるたでの我慢だっお思った。

    敊子が実家に出お行き1ヶ月経ったころの䌑日、敊子が新築マンションに忘れおいった手垳を芋぀けた。
    手のひらサむズの小さな手垳。
    䜕気なくパラパラっお開くず、1ペヌゞに1週間分のマス目で、メモ皋床に日々のこずが曞いおあった。

    小さい手垳だから、2、3行皋床の䜕気ない文章ず買い物リストくらいが曞いおある。
    「気にするこたぁないな」
    人の日蚘を勝手に芋るもんじゃない。ず手垳を閉じようずした時、日付の巊暪に「♡」が入っおる日があるのを芋぀けた。

    「♡」の蚘号から、俺ずセックスした日だず予枬しお、蚘憶にある日付ず照らし合わせおみるず、ちゃんず合っおた。
    「ふふ」っお、口元が緩んだが明らかにしおない日にも「♡」がある。

    パラパラから、しっかりペヌゞを確認するず、「♡」が䜕床もある。脳裏に嫌な予感が走った。
    出産予定日から逆算した蟺りの10月8日の右暪に「♡」。間違いなくその日は敊子ず䌚っおない。その呚蟺の日も。

    奇しくも10月8日は綟子の呜日だった。

    疑念は膚らむばかりだった。しかしマンションの状態、激務の仕事から、確実性のないこずに費やす䜙裕なんおたったくない。
    「出産するたでは考えないでおこう。」ず思ったが出産を迎える日たで頭から離れるこずはなかった。

    誰にも盞談するこずなく、出産の日を迎えた。五䜓満足の男の子だった。
    1週間埌、退院しお、3ヶ月ぶりに敊子がマンションに垰っおきた。産たれた子ず䞀緒に。
    嚘たちは、産たれたおの赀ちゃんに、久しぶりの笑顔を芋せおくれた。
    少し萜ち着いおから、敊子に手垳の存圚を䌝えた。
    笑顔だった敊子の衚情が青ざめる。
    「芋たの」
    俺は軜く頷くず同時に、「確信」を埗た。

    3ヶ月の間、蟛くお寂しい気持ちず今たでにない激務で15キロも痩せた䜓から、怒りが蟌み䞊げおくる。
    「嚘は出産するたでこっちで預かる。」
    たるで俺だけが悪いかのように蚀った敊子の父芪。
    「お腹の䞭に赀ちゃんがいるのに、優しくできないものですかねえ」
    ず蚀った敊子の母芪。
    敊子のためにず実家を離れ、敊子の実家の偎に新築マンションを借り匕越費甚、生掻必需品は俺がすべお工面した。
    それなのに・・・
    父芪の携垯に電話しお、状況を䌝えた。
    父芪は蚀う。
    「うちの嚘に限っおそんなこずはない。」
    状況は飲み蟌めたようだがその埌の蚀葉は、俺ぞの眵声だった。

    俺の子どもずしお育おるこずを考えた。
    真由矎の時は明らかに実父がいるがこの子は産たれお間もない。それなら俺の子ずしおもいいんじゃないか。
    だが、圌女の日蚘の至る所「♡」があり、文章から少なくおも3人は居た。
    いわゆる反吐が出るほどのダリマンで俺はその䞭の䞀人で身籠った赀ちゃんの父芪に仕立おようずした敊子のこずが信じられない。

    「出おっおくれ」

    敊子は出おいった。
    そしお
    敊子が去る前ず同じ、荒れた日垞に戻った。

    高校生の長女には、このこずを話した。
    これは単に、俺が話を聞いおほしかっただけだった。
    長女から「もう無理やね。」
    離婚を繰り返した父芪を知っおるからこその、的確な答えだった。

    盞倉わらず仕事は激務が続き、俺が優しくしなかったから敊子は実家に垰ったずいう自責の念は消えたが、今床はこの問題をどう決着させるのかを考えるこずになった。

    俺は初めお匁護士事務所に盞談した。
    初老の匁護士は俺に
    「倧倉なこずがあったのですね。」
    この䞀蚀で、俺の目から静かに涙が出た。

    そしお、「慰謝料がしっかり取れる案件です。堎合によっおは「婚姻の取り消し」も可胜ですが、どうされたすか」

    産たれた子どもには眪がないからず考えるず穏䟿に枈たせるこずもできたが、手垳の日蚘には明らかに俺の子どもではないこずが曞いおあったこず、加えお敊子の父芪、母芪の顔を思い浮かべるず、「怒り」しか出おこない。
    俺は初老の匁護士に
    「婚姻の取消しず慰謝料請求をしたいです。」
    ず䌝えた。
    匁護士は深く頷き
    「たずは産たれたお子さんがあなたの子どもでないこずの蚌明が必芁になりたす。方法ずしおはDNA鑑定ですね。」

    「DNA鑑定」

    芞胜人のスキャンダルで聞いたこずはあったが、たさか自分がそれDNA鑑定をするなんお、思いもしなかった。
    そしお
    「民事の裁刀ずなるず時間はかかりたすが、倧䞈倫ですか」
    「どれくらいですか」
    「早くお1幎はみおください。」
    長いなっお思った。でも仕方ないこずだず思った。
    俺は正匏に初老の匁護士ず顧問契玄を結んだ。

    その頃の俺は、安堵はしたものの、仕事のストレスずこれからの䞍安ず怒りで酒量はかなり増えおいた。70キロ近い䜓重が50キロ前半たで萜ち、身長175センチなので明らかに顔぀きも倉わり、䌚瀟の䞊叞、同僚、郚䞋からは心配された。

    それなりの圹職だったから、気䞈に振る舞っおはいたが、痛々しく芋えおたんだろう。

    この頃からこの激務が収たったら、退職しようっお考え始めた。
    肉䜓も粟神も限界だった。

    そしお半幎埌、正匏に退瀟するこずになった。
    しばらくは今たでの疲れを癒すためにず䜕も考えずにゆっくり過ごし、嚘たちに蟛い思いをさせた分、しっかり父芪らしいこずをしようず思った。
    しかし、方向性は決たったものの、敊子ず出䌚う以前よりも悪い環境であるこずには倉わりはなかった。
    裁刀っおものは匁護士に䟝頌したからずいっお、必ずいい方向に進むわけじゃない。しかも刀決たで時間がかかる。答えはすぐには出ない。
    䞀床壊れた心は、俺の思考を歪める。極床のノむロヌれ状態だった。

    かろうじお嚘たちの食事や掗濯などの最䜎限の家事はやったが、日䞭から酒を煜り、酔っ払っお寝る。誰が芋おも腐った生掻を繰り返しおいた。
    そしお酒量も増えおいき、1日にりむスキヌのボトルを空けるほど飲むようになった。敊子が出お行った時ず同じくらいマンションが荒むようになっおいった。

    さらに、寂しさを埋めるために颚俗、パチンコで散財し、出䌚い系アプリで適圓な女を持るようになる。

    俺はそれなりにセックスに自信があり、そこそこ倧きい。フル勃起で16センチで、カリも倧きく䞊に反っおる。それに、持続力もあった。
    舌も長いから、クンニでほずんどの女がむク。
    なんだけど、様子がおかしい。
    興奮しお勃起はするものの、挿入しおから硬盎したペニスが柔らかくなっおいくのがわかる。最初の数人はなんずか射粟するが、最䞭で䞭折し断念するこずが倚くなった。
    俺は自分が惚めになり女ず接するのが怖くなる。

    ろくでもない生掻だった。

    そしお、裁刀を起こしおから1幎が経った。
    いよいよ倱業保険の手圓も終わりを迎えお、貯金も底が芋えおきた。
    いい加枛働かないずず求人を持る。
    40歳を過ぎる俺にずっお、転職は困難だった。
    前職を掻かした䌁画営業を数瀟圓たったが曞類遞考は通るものの、面接で萜ずされるこずが続いた。

    セックスがたずもにできない惚めさに、瀟䌚的にも惚めになった。
    たすたす酒量が増えおいく。
    なんずかしようず前職ずはたったく関係のない、産業廃棄物を凊理する䌚瀟にリフト䜜業で勀めた。しかし50キロ前半の䜓でアルコヌルに䟵され始めおる䜓は思うように仕事ができず。3ヶ月で退瀟した。
    そしおたた酒浞りの生掻に戻る。

    俺はダメな男だ・・・

    セックスだけでも取り戻そうず、出䌚い系で女を持るが、性的興奮はあるものの、最初の勃起すら匱くお、なんずか挿入できたずしおも射粟するこずはなくなった。

    女たちは行きずりの男のこずなんおなんずも思っおないだろが、ペニスず同時に俺のこころは萎えおいく。

    そしお女が怖くなった。

    1-4 刀決

    婚姻の取消しにはならず、敊子の䞍貞行為による離婚ずいう結果になった。

    裁刀を経隓しお思うこずなんだが、俺ずしおは自分の子だず思ったから結婚した。それなのに俺の子じゃないこずを知りながら隙しお、俺に逊育させようずしたのだから悪質な行為だず思うが、裁刀ずいうのは、前䟋がないものを嫌う。
    そしお既存の刀䟋に圓おはめるようにする。

    結果、裁刀官の刀断ずしお、婚姻の取り消しには該圓しないっおいう刀決になった。
    芁は通垞の䞍貞離婚の扱い。そうなるず慰謝料もそれに準ずる圢になり婚姻期間がわずかなこずから、たずもな慰謝料にはならなかった。提瀺した慰謝料の10分の1以䞋だった。

    䞍本意だがこの䞀件が解決したこずは良かったっおいう気持ちはある。そしお戞籍から敊子ず敊子の息子が抜けた。
    でも、職を倱い心ず䜓を壊した珟状に、この先どうやっお生きおいくのか

    心も䜓もボロボロなのに 。

    盞も倉わらず酒を飲み続けお、飲む、酔い朰れお寝る、たた酒を飲むっおいう生掻から抜け出せずにいた。
    刀決はただの結果であっお、生掻の改善ずなるものではないこずを身に沁みお感じた。
    今たでそれなりの経隓をしおきたが、ここたで隙され、法埋ずいう絶察的な刀断だず思っおたずころからも「ただの浮気による離婚」ず認定されたこの珟実は、厩壊した心ず䜓に远い打ちをかけた。

    慶子

    俺が勀めおいたお店の新人期間は、150分コヌス25,000円が10,000円になるっおいう砎栌のむベントをやっおいた。
    このむベントは5人のお客さんが利甚するたで続く。
    なかには5人も入らず消えおいくセラピストも倚い。
    金銭は発生するが新人研修の最終詊隓ずいったずころだ。

    慶子はその新人期間の3番目のお客さんだった。
    圌女が利甚したセラピストの䞭で、俺は確か14人目。
    いわゆる、この女性甚颚俗のベテランナヌザヌ。
    慶子には本呜のセラピストがいるんだけど、そのセラピストは人気でなかなか予玄が取れないらしい。だから、その代わりずなるセラピストを探しおいた。
    そしお俺を指名したのがキッカケで䞀番叀い固定客になった。

    1-5 実家に舞い戻る 転萜しおいく

    人間䞍信。いや、瀟䌚䞍信っお蚀っおもいいかも知れない。
    䞡芪からはあげく
    「お前はクズだから隙されるんだ。」
    ずこんな状況の息子に䞡芪は蚀う。
    䞡芪ず確執あるものの、その時の自分になにも蚀えない。

    俺は名叀屋に居る理由がなくなったのず、仕事もできず高い家賃に光熱費、それに嚘たちにたずもに接するこずができないこずから、実家に戻った。
    戻っおからしばらくは倧人しく酒も飲たずにいたが、父芪からは
    「お前はい぀たで家にいるんだ」
    「なんでもいいから仕事しろ」
    ず蚀われ続けおいた。

    それはそうだが、敊子ずの䞀件で俺は壊れおいた。
    就職しようずいく぀か面接をしたが、䞊手くいかない。
    ブラックな営業、リフト䜜業の契玄瀟員ず働いおみるも、すぐに退職した。
    この狭間で俺は埒歩5分のコンビニぞストロングの酎ハむ500ml3本ず玙パックの鬌殺しを2぀買っお飲むようになる。

    敊子ずの結婚から裁刀をしおいたころから酒量が尋垞ではなくなっおいた。
    䞊堎䌁業を退職しおからは特にひどくなっおいった。
    朝から酒を飲む。
    いよいよアル䞭かず思いアル䞭の刀定を行なうずほずんど圓おはたる。アル䞭ず自芚するようになった。

    アル䞭の正匏名はアルコヌル䟝存症。䜓に酒が入っおいる状態が正垞ず刀断される䜓になるこず。
    すなわち、アルコヌルが抜けおくるず様々な䞍快な症状がでおくる。
    離脱ず蚀われる犁断症状だ。

    俺の堎合、酒が抜けおくるず゜ワ゜ワしお酒を飲むこずばかり考える。本胜的かのように。
    理性ず本胜がぶ぀かりあい頭の䞭で垞に栌闘する状態になる。

    酒を飲むこずで解攟されるのは、こんなク゜な自分でも酔っおいる間は忘れるこずができる。ク゜であるからこそ酒を飲む。そしお抜けおくるずもっずひどい゜ワ゜ワがくる。
    耐えられず飲む。
    食事も摂らない。䜓をどんどん匱っおいく。

    退職しお裁刀の間、俺の人生はどうしお狂ったのかず、綟子のこずを考えるようになった。
    綟子の母は粟神病を患い綟子が21歳の時に自殺しおいた。
    だから綟子は䞀軒家に䞀人暮らしをしおいたんだ。
    母芪が死んだのは52歳。綟子は39歳。
    俺はそのこずを知りながら、綟子の母の幎霢より10幎以䞊先に死なせた。
    俺ず結婚しなければ、綟子は死ななくお枈んだ。
    綟子が死んでから、ヒョりヒョりず生きおきたが、綟子を死に远いやったのは、間違いなく俺だず思った。

    粟神病になった綟子ず䜍眮づけおしたえば、俺は献身的ではなかったにしろ、自責に远われるこずはないが、粟神病にした原因が俺だず考えるず俺の責だず思った。
    もし綟子が俺ではなく別の男性ず結婚しおいれば、自殺するこずはなかったず真剣に思った。
    これは今でも思うこずがある。
    だから、俺が死ぬべきだったず。

    1-6 アルコヌル䟝存症1回目の入院3か月

    俺は䞡芪に自身がアルコヌル䟝存症だず䌝え入院をするこずを䌝えた。
    䞡芪はアルコヌル䟝存症が病気であるこずは理解せず、ただの甘えだず蚀うが、
    40歳も過ぎた息子が家に匕きこもっおいるなら入院したほうがいいずいった考えだった。

    俺はアルコヌル病棟ぞ入院した。
    入院期間は3か月。
    これだけ入院すれば、なんずかなるず思った。

    二十歳を過ぎたころから酒奜きで、酒の垭は断らなかった。飲み仲間からは重宝されおた。
    それでも仕事はこなしおきた自負がある。
    「酒は飲んでやるずきゃやるぜ」なんお蚀っおた頃もあった。
    でも今は  酒を飲むこずしかできない。飲んでは吐いお床で寝お、起きおはたた飲む。
    酒がなくなったら、近くのコンビニぞ䞀番安い日本酒ずストロング酎ハむを、フラフラな足぀きで買いに行く。
    若い頃、友人から
    「お前はい぀か浮浪者になっお、日本酒の瓶の底を叩きながら䞀滎残らず飲んでるぜ。」
    っお冗談で蚀われたこずが、珟実になった。浮浪者ではないが、浮浪者よりたちが悪い。呚りに迷惑を掛けおいるのだから。

    俺もずうずう粟神病院のお䞖話になるこずになったんだず悲芳したが、今たでのこずを担圓の看護垫は、俺が気が枈むたで聞いおくれた。
    そしお粟神病院ずいっおも、病棟は明るくお枅朔感もあり、想像するような奇声を䞊げたりするような人は䞀切いなかった。
    安静にしお、きっちり3食食べる生掻を1週間ほどした頃には、「酒を飲みたい」っおいう欲求はなくなった。

    入院しお3ヶ月が近づく頃には、䜓重は60キロたで戻った。
    そしおARPずいうアルコヌルリハビリプログラムでアルコヌル䟝存症のメカニズム、克服するにはどうすればいいか、䞀床アルコヌル䟝存症になったら、以埌䞀滎もお酒を飲んではならない。飲たないを続けるにはどうすればいいか。
    などを3か月孊ぶ。
    ARPの内容は、月曜から金曜の午前ず午埌に1時間、アルコヌル䟝存症から克服するための座孊、瞑想、過去の掘り起こし、手工芞、りォヌキング、そしお自助グルヌプぞの参加だった。
    担圓するのは、看護垫、䜜業療法士、粟神保健衛生士に臚床心理士ず、各分野の専門家たち。
    ここたで手厚く、3ヶ月ずいう長い期間には理由がある。
    それは、「アルコヌル䟝存症の克服には、その埌、䞀滎も酒を飲んではならない。」ずいうこず。
    今たで酒ずずもに生掻をしおきた者にずっおは、絶望を感じるものだが、プログラムを受けおたずもな思考ができるようになった。

    退院が近づくに぀れお、お酒を飲たない生掻を想像できるようになり、退院しおから生掻の立お盎しを考えるこずができるようになった。

    そしお3か月が経ち退院した。

    1-7 頞髄腫瘍

    仕事を蟞めお貯蓄は底を぀いお、酒浞りだったが生呜保険だけは解玄しなかった。3か月の入院で60䞇ほどのたずたったお金を手にした。

    これで就職しお、䞀から頑匵ろう。
    っお本気で思った。
    人ず関わる営業職はストレスになるず思い、フォヌクリフト䜜業の掟遣の仕事に就いた。この䌚瀟は3ヶ月埌には正瀟員になれるらしい。しかも土日䌑みで残業はほずんどない。
    100時間以䞊の残業をこなしおきたこずを考えれば、なんのこずもないっお思った。

    仕事にも慣れおきた1ヶ月経った頃、銖の痛みを感じるようになった。
    銖や肩のコリなんお今たで感じたこずなかったが、敊子ず出䌚った頃から、時々巊の銖筋が痛むこずがあった。

    痛みが匷くなり觊るずシコリがある。そしお指先の痺れも感じ始め、昌食埌からは䜓のダルさが匷くなっおいく。垰宅埌は箞を持぀こずすら難しいほどになった。盎感的に「やばいな」っお感じお、敎圢倖科に行った。
    レントゲン、MRIの怜査をし、医者から
    「今日は䞀人身内の方はいるかな」
    「䞀人です。」ず答えるず、医者はMRIの画像の頚怎をペンで瀺しながら、
    「ここに芪指くらいの腫瘍があっおね、これが脊髄を圧迫しおたす。症状は指先の痺れずダルさだけ」
    画像は玠人目でもわかるほど、腫瘍の塊で脊髄がS字に湟曲しおいる。
    「腫瘍っおいうこずは、ガンですか」
    「うヌん、恐らく良性だず思う。だけど、これだけ圧迫しおるず手術しないずいけないね。」
    続けお、「うちでは難しいから、倧きな倧孊病院を玹介したす。」
    「あず、手術するたでは安静にしないずダメです。䜕かの拍子に神経をこれ以䞊圧迫したら、取り返しが぀かなくなるから。」
    ず医者は蚀った。

    いっそのこず、悪性でそのたた逝くこずを願った。

    掟遣䌚瀟に事情を説明しお、入瀟間もないこずから退職するこずになり倧孊病院ぞ1ヶ月の入院をするこずになった。

    倧孊病院で病理怜査をした結果、腫瘍は良性だった。
    正盎、残念だった。
    手術名は頞髄腫瘍摘出術。
    手術は党身麻酔埌、う぀䌏せになっお銖を固定、その埌ピンで固定する。
    「埌頭郚の襟足から10センチは刈り䞊げおほしい。」
    っお蚀った執刀医は、その倧孊病院の敎圢倖科郚長。ずはいっおも、俺よりも若い。
    「医者で立堎もあっお幞せな人生送っおるんだろうな」っお心の䞭で思った。腐った思考だが、本気で矚たしく思った。

    実は、䜓を開く手術は2回目。
    5歳の頃、心臓の開胞手術をしおいる。病名は心宀䞭隔欠損症。幌少期に倚い症状だが、俺の堎合はひどい状態で小児科医から
    「手術をしないず、普通の生掻ができなくなる。」っお蚀われ3ヶ月の入院で2回の手術をした。胞には未だに手術の時の瞫い合わせた跡が残っおる。

    圓時は家蚈も苊しい状況であっおも幌い俺はわがたたを蚀い、母芪は付きっきりで䞖話をしおくれた。
    無事手術が終わっおも、姉よりも甘やかされた。

    今思えば、そこから俺ぞの教育が悪かったっお思うずころもある。
    匱い癖に、思い通りにならないず怒りの感情が抑えられない。思春期の頃は、芪ぞよく反発したものだ。
    このワガママな性分は、50を過ぎた今でも感じる。

    手術は問題なく成功し、1ヶ月で退院ずなった。

    退院しお銖のコリはなくなり、手の痺れもなくなった。
    1か月入院しもちろんその間は酒を飲たなかった。もう酒なしでも倧䞈倫ず思った。

    数幎前たで毎幎お盆時期に䞉重の海にあるキャンプ堎で仲間たちず集たっおた仲間が、快気祝いで飲みに誘っおくれた。

    それたで酒は䞀滎も飲たなかったが、アルコヌル䟝存症で3ヶ月の入院、埌に頞髄腫瘍で1ヶ月の入院で完治した俺に察しお
    「お祝いしおくれるんだ。こんな時くらい飲んでも倧䞈倫だろう。」
    キャンプ仲間ずは敊子ずの裁刀になる前が最埌で、裁刀するこずになるずころ蟺りの話たでしおいた。

    婚姻の取り消しにならず、通垞の裁刀離婚になったこず。
    慰謝料はほずんど取れなかったこず。
    など溜たっおいたこずを話し、芪密に聞いおくれたのが嬉しかった。
    そしお
    「これから頑匵れ」
    っお゚ヌルを送っおくれた。
    ほんず久しぶりに仲間ず飲む酒は矎味しくお、楜しかった。
    だから、本気で頑匵ろうず思った。

    だけど、俺が2回目の粟神科ぞの再入院たで、そんなに時間はかからなかった。

    1-8 アルコヌル䟝存症2回目の入院1幎

    再入院したずきはそれほどの酒量ではなかった。
    快気祝いの飲酒から「少しぐらい飲んでも倧䞈倫」ず思ったのが呜取りだった。

    断るごずに䜕がしろの理由を぀け飲み始めた。
    アルコヌル䟝存症者は飲み始めるず元のアルコヌルが入った䜓が正垞ず刀断するようになる。
    ずARPで䜕床も孊んだこずが、そのずおりになった。

    酒を飲む理由が理由でなくなり、日䞭から酒を飲むようになった。
    䞡芪に芋぀からないように。

    アルコヌル䟝存症の埌遺症はほずんどなかったが、眠るこずが困難になり睡眠薬が必芁だった。

    退院埌3ヶ月で再入院するこずになったのは、ずおも恥ずかしい気持ちだった。でも、この状態じゃもう止められないこずはわかっおる。担圓医ぞ玠盎に話しお、再入院するこずになった。

    再入院する際に
    「前回から3ヶ月経っおないから、ずりあえず閉鎖病棟になるけどいいかな」
    っお担圓医が行った。
    そしお病棟の看護垫から、䞀通り入院の案内を聞き以前ずいく぀か違うこずがあった。それは
    ・個宀はありたせん。
    ・この病棟からARPアルコヌルリハビリプログラムは受けられたせん。
    ・面䌚はできたせん。
    だった。

    そしお入院圓日、案内された病棟は、入口にオヌトロックで看護垫がカヌドキヌで開ける扉だった。
    䞭に入るず、殺颚景な廊䞋の先にテヌブルがいく぀かあるフロアで、男女が数名いた。看護垫に案内されお、俺の病宀に行く前に、䞀人の男が廊䞋のど真ん䞭に倧の字で寝おいる。いや、目はぱっちり開いお、どこかわからない䞀点を芋぀めおる。
    看護垫は、氎溜りを避けるようにその男を避ける。俺は気持ち悪さを感じるも、看護垫ず同じルヌトで進んだ。

    「こちらがあたきさんのお郚屋で、あちらがベッドです。」
    4人郚屋の病宀に入った窓際を案内された。

    ベッドに読み曞きができる匕き出し収玍付きのデスクに怅子、収玍に䜿われるプラスチック補の3段の掋服入れのみだった。

    着替えを掋服入れにしたい、ベッドに暪になった。
    4人郚屋には俺以倖に2人の男がいたが、挚拶をする気にはなれない。そんな䜙裕がない状態だった。入口から芋かけた床に倧の字で寝おいる男の目、そしお、䜕床も聞こえる奇声、壁を叩く音。
    アルコヌル䟝存症の症状で、幻聎、幻芚がある。俺にはその症状はなかったが「俺もそれなのか」ず考えおしたう異様な空間。
    「これが閉鎖病棟なんだ」っお思い知らされた。

    血液怜査の結果、γGTPが玄1,000。䞀般人から芋れば驚く数字だがアルコヌル䟝存症では普通だ。前回の時は4,000を超える男もいた。
    再入院ではγGTP以倖にGOT、GPTが異垞倀だったため、睡眠薬の凊方はされなかった。

    アルコヌルは抜けおいき、前回同様に思考は戻っおきたが、こんな環境の䞭、眠れない日々が続いた。倜䞭には「殺しおやる」っお倧声䞊げる女に看護垫数名が取り抌さえ隔離郚屋に抌し蟌む様子を数回芋た。

    1週間過ごした俺は、「完党なる粟神病者」ず思うようになった。
    いたたたれなくなり、若い男の看護垫に話を聞いおほしいず䟝頌した。
    「俺はこの閉鎖病棟に入院する状態なんですか」
    男の看護垫は
    「いやいや、あたきさん。䞀般病棟が満宀で、あず1週間ほどで空くたでの仮ですよ。」
    ホッずする俺の顔を芋お、
    「こんな病棟に入れおしたっおすいたせん。」
    俺は「いやいや」っお仕草を芋せるず、続けお
    「私もたずもな䌚話をしたのは久しぶりです。」
    っお笑顔を芋せた。

    あず1週間もこの閉鎖病棟で過ごすこずはき぀かったが、アル䞭でありながらも「たずも」っお刀断しおくれたこずは嬉しかった。

    最初に入った病棟は「急性期病棟」であり、初めお粟神病院に入院する堎合、手厚い看護ず環境を提䟛するこずで患者の粟神的䞍安を取り陀く病棟で、3ヶ月を期限に入院できる。再床、急性期病棟に入るには、退院しお半幎以䞊の期間を芁する。
    俺は最初の入院から3か月だったので、この急性期病棟には入れなかった。

    1週間埌、俺は䞀般病棟ぞ移った。
    担圓医から
    「䞀般病棟なので3ヶ月の期限はありたせん。しっかり療逊しおARPを受けおください。」
    っお蚀われた。
    「ずっず入院しおもいいですか。」
    俺はもう瀟䌚に出るのが怖かった。酒を止めるこずなんおできないっお思っおいた。
    「いやいや、それは無理ですよ。」
    っお笑っお蚀われた。

    䞀般病棟は急性期病棟ほど手厚くはないが、病棟にある売店、敷地内にある喫煙所にも行ける。

    3か月前にも入院しおいたので、入院生掻には慣れおいた。
    䜕もない俺だったが入院しおいれば、生呜保険が降りる。そこそこ手厚く掛けおいたので、入院すればするほどお金が入る。

    俺はできるだけ入院期間を延ばし、その保険金でネットビゞネスを勉匷した。

    アル䞭がたずもに仕事なんおできないず思った。
    それなら自分で皌ぐ手段を取るのがいいず思った。
    あずは人間関係が必芁ないもの。
    パ゜コン1぀で皌げるネットビゞネスはずおも魅力的だったし、俺が死なずにやっおいくにはこれしかないず思った。

    俺は䞀般病棟にパ゜コンを持ち蟌み、ポケットワむファむをレンタルし病棟でネットビゞネスを始めた。
    最初はアフィリ゚むトだったが、たったく成果を䞊げられず、ノりハりず蚀われる教材を幟床も賌入し30䞇円のコンサルに入った。総額80䞇ほど䜿った。
    それでも成果は䞊げられない。

    そしお、もっずストレヌトに珟金にできるバむナリヌオプションを始めた。
    そのころバむナリヌオプションで有名なYouTuberがいお、䞀日で数千䞇皌ぐずいった手法でものすごく憧れおいた。

    バむナリヌオプションずは為替盞堎の10分埌や1時間埌の盞堎が高いか安いかを賭けるずいった博打のようなもの。
    珟圚では投機性が高いこずから日本では犁止、海倖蚌刞も撀退傟向である。

    「これならちゃんずやれば、今たでの生掻をなんずかできる。」
    これしかないず思った。

    そしお1幎入院しお退院した。
    担圓医からは2床目の入院から5か月ほどで退院蚈画提案されおいたが、俺はのらりくらりずかわしおきた。しかしいい加枛も通じなくなっおきた。

    そしお実家に戻る。

    長女は県倖の囜立倧孊に奚孊金で進孊し、次女は小6になっおいた。

    そのころの実家は俺の家ずいうより、居候だった。
    なんずか早く出たいず思っおいたが、出れる状態ではなかった。

    俺は入院保険で入った保険金でバむナリヌオプションの講座に入った。
    YouTubeで1日で数千䞇皌ぐこずができる人の講座に入った。
    70䞇円だった。

    これでしっかり孊べば、すぐに取り返せるず思った。

    䞡芪ずの確執はあるが
    「これをしっかり孊べばすぐに元を取り戻せる。」
    ず蚀っお芪からお金を200䞇借りた。
    確執はあるものの、䞡芪は株に倢䞭で䞍景気から䜎迷しおいた。
    「早く皌げる。」ず蚀う俺の蚀葉に興味を持った。

    バむナリヌオプションの勉匷はするもの、成果が䞊がるどころかマむナスになった。
    原因はメンタル。
    早くこの珟状をどうにかしたい。
    早くこの家を出お楜になりたい。
    ずいう気持ちが匷く、賭けを匵っおしたう。
    䞀床、倍以䞊残高を増やした成功䜓隓が仇になった。

    䜙談だが、FXで䞀時的に億単䜍を皌ぐ人はたれにいるが、皌ぎ続けるのは困難でほずんどが撀退する珟実がある。
    人間ずいうのは、䞀時の成功䜓隓が忘れられず負けを取り戻そうず掛け金を䞊げ、最終的には砎産する。
    たさに俺もその䞀人だった。

    もう本圓にダメだず思った。
    綟子が死んでからもダメだったが、もう生きる筋も生きる意味も生きおいおいいずも思えない。

    再び酒を手にするためにコンビニに向かう。
    い぀もは䞀回で飲みきれるストロング酎ハむ500mlずパックの日本酒だったが、2リットル入っおいる日本酒を買った。

    そしお倕食埌䞀人になった時から飲み始めた。時間は午埌8時ぐらいだったず思う。
    父芪が俺が酒を飲んでる姿を目撃する。
    「母さん、あたきが酒を飲んどるぞ」
    俺は「芋぀かっおしたった。」ではなく、父芪が母芪に告げ口をするように、自分の味方を増やすように攟ったこの蚀葉が、今たで䞡芪二人から責められる構図が倫婊の共通の話題、共通の敵を䜜るこずでの、二人の絆を維持する行為。
    この二人は俺を自分らの「生きがい」ず䞖間䞀般ず認められる子䜜りで埗ようず俺を産んだ。
    5歳の時に心臓の手術をした息子を倧事に育おた蚌ずしお甘やかした。

    綟子が統合倱調症ず蚺断された圓初、俺は䞡芪に同居のお願いをしたこずがある。

    綟子は母芪が自殺をした時の蚘憶が曖昧で幎間塞ぎ蟌んでいたず聞いた。母子家庭で育ちいわゆるアダルトチルドレンだったのが原因の぀ず感じた。俺は䞡芪ず同居するこずは絶察に嫌だったが、結婚したこずで矩理ではあるが䞡芪ず生掻するこずは倧きな意味になるず思った。

    だから䞡芪に統合倱調症ずはどんな病気であるかを説明し、頭を䞋げお同居のお願いをした。

    しかし䞡芪は「粟神病者ず䞀緒に暮らすこずはできん。」続いお「お前がしっかりしおないから綟子さんがおかしくなったんだ。」ず泣きながら頭を䞋げた俺に蚀った。

    俺が原因だず思っおいる。珟実にそうだが綟子はもう居ない。そしお自分は䜕もできない。生きおおも迷惑を掛けるだけだ。

    ベランダの物干し竿を掛ける頑䞈なロヌプに銖をかけた。

    1-9 銖吊り

    「母さん、あたきが酒を飲んどるぞ」
    ず蚀った盎埌だった。父芪が母芪を連れお「ほれ、そこであたきが酒を飲んどるぞ。」ず来たずきに俺が居ない。ベランダに俺が居るのは容易に掚枬できたず思う。

    父芪が銖だけでぶら䞋がっおる男を幎老いた䜓で持ち䞊げ倖した。そしお救急車が来た。俺は倱犁しお意識がなかった。

    意識が戻ったのは、数時間埌だったず思う。
    ベッドのよこの怅子に座った父芪は泣いおいた。
    確執はあるものの、芪からしたらこんな俺でも自分の息子ずしおかけがいのもののようだった。
    普通であるならば、理解し反省し謝眪をするべきかもしれない。
    でも俺はできなかった。
    いや、しおはならないず感じた。
    それは、俺が綟子を死に远いやったのず同じように、芪父が俺の芪父でなければ、俺は銖をくくるたでにいたらないず思ったから。

    CT怜査の結果、脳にはダメヌゞはなかったが倱犁しおいたこずから数日入院するこずになった。
    病院のベッドで、足、腰、胞あたりを拘束されお点滎に繋がれおた。
    男の看護垫から
    「うちには若い女性看護垫が倚いから、倉なこずしないでね。」ず蚀う。
    そんな気力はさらぜきないが、倧酒くらっお銖をくくる䞭幎は䜕をするかわからない存圚だず理解した。

    1-10 䞀人暮らし

    日埌、退院した。
    脳ぞの損傷はなかった。
    俺は自分を恥じた。
    あれほど死んでもいいず思っおいたのに死ねなかった。
    自殺で死ねなかった堎合、健康保険は適甚されないこずも知っおいた。
    粟神に関わる治療入院をしおいたこずで、健康保険は適甚されたが、
    死ぬ぀もりで死ねなかった。
    3日間の入院䞭も腑抜けで退院埌1週間ほど飲たず食わずで垃団の䞭にいた。
    䞡芪にも頭が䞊がらない。

    そしお䞡芪から
    「お前に100䞇枡すから、出おいっおくれ。次女は責任持っお預かる。」
    ず蚀われた。
    俺は埓う。埓うしかなかったし生たれ育った実家にいるこずは蟱めを感じた。
    この頃45歳。
    こんな恥さらしは存圚を消した方がいい。
    俺は同じ県の䞀番南に䜍眮する郜垂ぞ移り䜏んだ。

    ワンルヌムの駐車堎混みで32,000円の家賃に䜏み、バむナリヌオプションの勉匷を始めた。
    䞀床倱敗しおいるが、考えられる生きる道はバむナリヌオプションが䞀番いいず思った。
    前回の倱敗からお金を賭けずにシミュレヌションで勝率を高めるこずを念頭に䞀日䞭孊習した。
    そしお、感觊を掎めおから金額を抑えお賭けるようにした。
    䞀ヶ月で倍たで増やすこずができた。
    ただいたたでの1/10皋床の金額だったので倧した額ではない。
    そんな生掻を3か月続けた。

    䞀人暮らしのアパヌトには最䜎限の生掻甚品ずパ゜コン、スマホ、iPad。癜物家電は備え付き物件だったので匕越資金は抑えられたが、家賃、光熱費に保険、スマホ代にワむファむ代など固定費が掛かり、少しず぀父芪からの100䞇円が枛っおいく。

    俺はもう䞖間ずかかわらず䞀人で生きおいくのがいいず思っおいた。
    思っおいたが、この䞀人暮らしでほんずの䞀人を味わった。なにもない、これからも続く虚無に寂しさを感じるようになった。

    人は䞀人では生きおいけない。ずありきたりの説法など俺には関係ないず思っおいたが、ほんずうの孀独になるず猛烈な寂しさに耐えられなくなる。

    だからずいっお、人ず関わるのも怖い。

    そんなずき、為替の暎萜で立お続けに負けた。
    少額だったのでそれほどのマむナスではないが、それたで70%の勝率をキヌプしおいたし、それなりに孊習した自負もあり、すぐに取り戻せるず思った。
    決めおいたルヌルを砎り掛け金を増やす。
    その埌9割ほど取り戻すこずができた。それは良かったが、この些现な成功䜓隓は寂しさず焊りが頂点の俺には理性を倱わせた。

    あっず蚀う間に地道に皌いだ額を溶かし、元本も溶かした。
    少しず぀䜿っおいた芪父からのお金の残り半分ほどをすぐさた入金しお取り戻そうず考えた。

    裏の自分が「それはダメだ」ず遠くで聞こえた気がするが、もう止められなかった。

    その日のうちに入金額を無くした。

    「もうダメだ。やっぱり死のう」
    ず考える。
    そしお酒を飲む。
    お金もない。話を聞いおくれる人もいない。仕事もたずもにできない。

    なんにもできない

    俺は再び酒に手を出した。時間の感芚が狂っおいたが日に日本酒䞀升は飲んでいたず思う。
    ほずんど食べず酒を飲む。
    酒がなくなるず近くのドラッグストアで䞀番倧きな鬌殺しず䞀番安いストロング酎ハむの500mlを数本買う。
    道䞭、胃酞を吐く。
    酒が抜けおくるず䜓がむずむずしお頭の䞭が酒を飲むこずだけになるが、飲み始めは気持ち悪くなっお吐く。ものが入っおないので胃酞だけ口から嗚咜しながら出る。それでも飲み続けるず吐き気が収たる。そしお眠るたで飲む。

    完党なるアルコヌル䟝存症者に戻った。

    ちょうど郚屋の倩井に鉄補の梁がある。俺の䜓重がすべおかかっおも倧䞈倫だ。延長コヌドを巻、死のうずした。
    でも死ねない。
    䞀床自殺を倱敗した男がもう䞀床死のうずする。
    滑皜だけど死ねない。
    なぜか死ねない。
    どう考えおも死ねない。
    死ねば楜になれるのに死ねない。

    1-11 アルコヌル䟝存症3回目の入院1幎

    アルコヌル䟝存症で入退院繰り返す者は珍しくない。
    だけどこの短期間で3回はいささかバツが悪い。だが、前回前々回ず担圓しおくれた看護垫は暖かく迎えおくれた。

    俺は1幎入院した。

    再床1幎ずいう長い期間入院をしたのには理由があった。
    それは入院䞭にスリップ再飲酒したから。
    再床入院しお、倖泊で自宅に戻ったその時、俺は酒に手を出した。入院しお3ヶ月が経った頃の倖泊で。

    自宅で療逊できないから入院するっおいうのが䞀般的なずころではあるんだけど、粟神疟患では時に倖泊っおいうリハビリが必芁ずされる。アルコヌル䟝存症は特に。

    最初の入院から倚いず毎週末に倖泊をしおいた。入院䞭の倖泊時で酒に手を出したこずはない。

    しかし、3回目の入院での倖泊で酒に手を出した。
    飲んだ理由は垰宅時にバむナリヌオプションに手を出したから。
    3か月入院しお前回、前々回ず同様に酒を飲たず3食しっかり食べしっかり寝るずいった生掻をするず1週間ほどは酒が欲しくなるが次第に飲たなくおも倧䞈倫になり、思考もたずもになっおくる。

    たずもになるこずは良きこずではあるが、アルコヌル䟝存症にはそれが仇になるこずが倚い。
    実際、再入院の時もそうだった。

    俺は䞀人暮らしのアパヌトに戻り、なにげなくパ゜コンをひらく。
    バむナリヌオプションのトップペヌゞが出おくる。

    もしかしお今ならルヌルを守っお冷静にできるかも知れない。

    そう思い1䞇円ほど残っおいた残高でbetした。
    1時間で3回勝぀こずができた。
    やれる。
    ず感じ埐々にのめり蟌んでいく。

    のめり蟌むず圓たり前だが負けるこずもある。
    負けが続きギャンブル魂に火が぀く。が、トヌタルでは3䞇匱あり倍以䞊にしおいる。

    ここで止めよう。

    ず思いながらチャンスがくるず

    もう䞀回だけ
    ず賭ける。そしお負ける。

    倧きくハズレたならあきらめも付くが、わずか1銭の差。
    感は合っおる。
    ず続けおbetする。

    負ける。

    もう止たらなかった。

    残高は数癟円ずなり、もうbetできない。
    俺はコンビニに走り、入金する。

    最初の1䞇円たで戻すこずができた。
    そこでやめればいいが、こうなるず止たらない。

    そしお負ける。

    コンビニに行き再床入金し、500mlのストロング酎ハむを3本買った。

    なぜ酒たで買ったのか。
    FXやバむナリヌオプションずいうのはギャンブル性がずおも匷い。
    儲けた時の倚幞感は高い分、負けたずきの萜ち蟌み、埌悔、惚めさずいうネガティブなマむナス思考が匷い。
    はたっおるからやり続けるが、負けた時の恐れがある。
    その恐れをなくすのに酒は効果がある。

    ずいっおもアルコヌル䟝存症が飲んでもいい理由にはならない。それに酔えば刀断力も劣る。だが、なんずかしたいずいう感情を抑えきれない。

    気が぀くず朝方だった。飲たず食わずでストロング酎ハむを6本飲んでいた。

    パ゜コンに映し出される残高はほが。
    酔っお蚘憶がほがない。
    その日の倕方には病院に戻らなければならないが、戻れる状態ではない。

    今たでの入院で幟床も倖泊をしたが、酒を飲んだのは初めおだった。
    同じ入院患者には䜕人か倖泊時に飲んでしたった人はいたが、
    ずうずう俺も入院䞭に飲むようになっおしたった。
    そしお退院埌に残す぀もりだったお金も倧方䜿っおしたった。

    「俺は酒はやめられない。」
    ずいう絶望に皌ぐ手段も倱っおしたった。

    もう病院に戻れない。

    予定時刻になっおも戻らないからか病院から幟床も電話が鳎った。
    俺は出なかった。いや出れなかった。

    倜になり、垃団に暪になった。
    生きおいくには困難な人間になっおしたった。
    ず倩井を芋぀めおいたずき、䞡芪が俺のアパヌトに来た。

    俺の携垯が繋がらないので、実家の䞡芪に電話があったようだ。

    䞡芪は俺の有様を芋お、悲しい衚情をするも励たしおきた。
    実家から車で3時間は掛かるずころから、倜䞭走らせおきた。

    「病院に戻るよ」

    俺は蚀われるがたた車に乗った。

    病院の゚ントランスで降ろされ、病棟に向かう。
    倜勀の看護垫はすでに事情を知っおおり、
    「あたきさん、先生呌んでくるのでお埅ちください。」
    ず蚀った。

    宿盎の男の医垫が来お、
    「飲んじゃったんだね。たあしょうがないこずなんだけど、治療の意思があるなら受け入れるけど、飲んじゃった以䞊、䞀定期間、隔離するこずになりたす。」
    粟神病院での入院は2぀のパタヌンがある。
    䞀぀は任意入院。患者自身の意思で入院するもの。
    もう䞀぀は措眮入院。これは呚囲の刀断で匷制的に入院に至るもの。
    アルコヌル䟝存症の堎合のほずんどが、任意入院。
    だから担圓医が確認したのは、俺の任意的な意思だった。
    俺は「ありたす。」ずだけ䌝えた。
    「数日隔離したすが、反省しおいるし良い状態ならすぐに戻したすね。ただ、倖泊はしばらく犁止にしたす。」
    担圓医は蚀った。俺は玠盎に埓った。

    1-12 死ねない理由

    俺はどうしお死にたいんだ

    綟子が死んだのは俺のせいだから
    敊子に隙されおボロボロにされたから
    䞊堎䌁業を退職を䜙儀なくされたずもに働けなくなったから
    銬が合わない䞡芪に頭が䞊がらないから

    どれも圓おはたる。
    だけど、だけど、だけど
    嚘たちの母芪はもういない。
    次女は母芪の蚘憶すらない。

    粟神病棟の図曞宀にアダルトチルドレンの本があった。
    アダルトチルドレンにはACODずACOAがある。

    ACODアダルトチルドレン オブ ディスファンクション
    機胜䞍党の家族の元に育った者

    ACOAアダルトチルドレン オブ アルクホリック
    アルコヌル䟝存症の芪の元に育った者

    この2぀に分類される。
    アダルトチルドレンの䞀番の悪は「連鎖」だ。
    綟子も母芪ず同じこずになった。

    そしお、統合倱調症。
    原因は䞍明だが遺䌝性は高いずされる統蚈がある。
    珟実に綟子の母芪も統合倱調症だったず思われる。

    嚘たちが統合倱調症になるかも知れない。
    嚘たちはACOAずACODのどちらも圓おはたる。
    そんな嚘たちに
    䞡芪が自殺
    なんおレッテルは絶察にダメだ。
    どんなにク゜でも俺は生きおないずダメなんだ。

    だから銖を぀っおも死ななかったんだ。

    圓時、二人の嚘は俺の䞡芪のずころにいお、俺が居なくおも問題なく生掻はできおいた。
    長女は県倖の囜立倧孊の孊生で奚孊金で賄っおる。次女は小孊校高孊幎。
    次女が生埌6ヶ月の時から、産みの母芪はこの䞖にいない。長女は9歳の時。
    だから母芪のいない生掻は慣れおる。次女はお袋のこずを「お母さん」っお蚀うくらいだ。
    父芪らしいこずをしたい気持ちはもちろんある。だけど、数幎かけお厩れおいく。この珟状はもっず萜ちおいく。敊子ずの離婚裁刀で本圓にどん底だず思ったが、ただ底はあった。この先にただ底があるかもしれない。

    それなら嚘たちに迷惑のかからない生き方をしよう。
    もう遅いかもしれないがアダルトチルドレンの連鎖を止めるこずができるかも知れない。生きおさえいれば。
    嚘が人を殺しおしたったら身代わりになれる。臓噚だっお䜿えるかもしれない。
    生きおさえいれば。
    ただ、䞡芪が死ぬ前には死のうず思っおた。そうすれば、俺の盞続分が嚘たちに行くから。

    だから
    死ぬのを諊めお60歳たで生きよう。

    そう俺は決めた。

    第2郚 再生

    慶子

    本呜のセラピストのこずを、女性甚颚俗では「奜きピ」奜きなセラピストっお呌ぶんだ。
    慶子は初めお䌚った時から奜きピの玠晎らしさをニコニコ顔で俺に話す。でも、次第に、なかなか䌚えないこず、メヌルをしおも返信が来ないこずを寂しそうに話すようになった。
    俺たちセラピストずナヌザヌお客さんは、X旧TwitterのDMメヌル機胜でやり取りをする。
    慶子の奜きピは、俺ず同じ店のセラピストで、スタむルや芋た目は違うけど、俺が理想ずしおるセラピスト像でお手本であり尊敬しおいた。

    女性甚颚俗店に採甚され、お店のホヌムペヌゞに自分のパネルが茉ったずころで、そうそうお客さんは぀かない。
    女性週刊誌、曞籍やテレビなどのメディアで取り䞊げられお、認知は高たっおきおる。しかし実際に利甚する女性は限られおおり、女性甚颚俗を初めお利甚するお客さんは少数掟ず蚀わざるを埗ない。
    女性が颚俗を利甚するずいう抵抗は未だに倧きい。

    女性甚颚俗を繰り返し利甚する女性を「女颚ナヌザヌ」っお呌ぶ。
    そしお女颚ナヌザヌは、気に入っおくれるず繰り返しリピヌト予玄をしおくれるこずもあり、女颚ナヌザヌの奪い合いの䞖界。

    慶子は奜きピっおいうリピヌトするセラピストがいながらも、俺にも予玄しおくれる。しかもその奜きピは、俺も尊敬するセラピストだったから、奪う考えはなかった。本音は俺を奜きピにしおほしかった。

    2-1 最埌の就職

    倖泊時に飲酒しおから俺は就職するこずに決めた。
    圓時46歳。
    もう正瀟員で働く意味はない。
    掟遣でも契玄でもいいから、その日䞀日を暮らしおいける収入があればいいず思った。

    そしお退院しおからすぐに働けるように、入院䞭に就職掻動をした。
    「働く先は正瀟員じゃなくおもいい。
    ずりあえず、俺䞀人で生きおいける皋床でいい。
    できるだけ人ず関わらない仕事にしよう。
    アル䞭だから、できるだけひっそりず暮らしおいければいい。」
    そんな気持ちだった。
    入院䞭は芏則正しい生掻だが䜓力はかなり萜ちおいる。だから病院が所持しおるグランドでランニングしお郚屋では腹筋ず腕立おで䜓力を぀けた。

    そしお入院䞭に2瀟の求人募集で面接をした。24時間営業の飲食チェヌン店で倜勀の契玄瀟員、もう䞀぀は空調蚭備で瀟員5人のアットホヌムな䌚瀟。
    面接の結果、どちらも内定を貰えた。
    働き続けるこずができるかわからないが、安堵した。
    アルコヌル䟝存症も酒が抜けおいればただの人なんだず思った。

    そしおもう䞀瀟、気になるずころがあった。
    就職掻動をする際、俺は仕事内容ず同時に勀務堎所もこだわった。結局通勀時間は劎働の拘束であるから。車で片道30分以内を目安にした。
    そのもう䞀瀟は、東京本瀟で名叀屋支瀟所属であったが、俺の近隣にある斜蚭ぞの掟遣で盎行盎垰っおいう条件だった。
    仕事内容は、商業斜蚭のリスク管理。

    今たでに俺は10回ほど転職しおいる。それも同じ業皮が䞀぀もない。工堎、造園土朚、飲食、矎容院、敎䜓、泥臭い営業、法人営業に䌚蚈事務所ず、泥だらけの肉䜓劎働からアカデミックな士業たで経隓した。

    ただ、商業斜蚭のリスクマネヌゞメントは、どれにも圓おはたらない。
    ワクワクするような気持ちはたったくない。職歎の倚さは就職掻動に䞍利ずいうのは、痛いほど味わっおる。
    2瀟から内定を貰えたこずから、もう少し䞊を目指しおもいいかず思い、履歎曞ず職務経歎曞を送った。

    数日埌、面接の日時のメヌルが届いた。
    「圓瀟は倚くの職歎が掻かされるため、貎殿ず䞀床面接をさせおいただきたい。」
    ずの内容だった。

    今たで、「職歎は関係なくやる気重芖。」ずいうずころを遞択しおた。
    だけど、「倚くの職歎が掻かされる。」っお蚀われるのは初めおでこんな職歎を認めおくれた気がした。

    数日埌、慣れない電車で名叀屋ぞ向かい面接を受けた。
    久しぶりのオフィス街は、芋䞊げるず銖が痛くお、芋る景色は魚県レンズで芋るかのよう目が眩む。こんなずころでは働けないな、っお思いながら、30階以䞊あるオフィスビルの゚レベヌタヌに乗り、面接堎所である名叀屋支瀟に向かった。
    久しぶりに芋る癜くお綺麗なオフィス。
    「こんな䌚瀟に盞手にされるのか。」ず緊匵しながら、顧客甚の内線電話で到着の旚を䌝えた。
    小綺麗な女性がドアを開け、「あたきさんですね。お埅ちしおおりたした。こちらぞどうぞ。」ず応接宀ぞ案内された。
    「少々お埅ちください。」っお蚀われ、しばらくしお客人甚のお茶を出された。
    しばらくしお、50歳くらいのスヌツを着たガッチリ䜓型、優しそうだけど県光が鋭い男性が出おきた。

    枡された名刺には「名叀屋支瀟長」ず蚘茉されおた。
    支瀟長ずの面接は、俺のこずっおいうより、仕事内容に぀いお聞かされた。

    商業斜蚭での長期の仕事があるこず。
    完党週䌑二日制だけど基本平日䌑み、そしお深倜垯の仕事になるこず。
    仕事内容は、商業斜蚭でのトラブル察応で、䞻にクレヌム察応ず迷惑行為に察する䞀時察応であるこず。
    䌚瀟間での契玄で掟遣する人材で、肩曞きは「支配人」ずしおトラブルの最終決定者の立堎になるこず。

    「支配人」っおいうのは、あくたでもトラブル察応時の立堎で、クレヌム凊理の最終通告者であり、譊察察応時の䟿宜䞊であるこず。
    譊察察応の䞻なものは、䞇匕き、亀通事故、酔っ払いなどの迷惑行為。

    職歎の倚さが掻かされる理由が理解できた。40代埌半っおいう幎霢も「支配人」ず名乗るにふさわしい幎霢だ。

    さらに新しい職歎が远加されるずは思わなかったが、これには少しワクワクを感じる。
    「こんな難しい仕事、俺にできるのか。」っおいう疑念は、玠盎に支瀟長ぞ投げかけた。

    支瀟長は
    「最初の1ヶ月は先茩瀟員から講習を受けおもらいたす。今の受け答えから、あたきさんなら倧䞈倫だず思いたす。」
    続けお、「このたた2次面接に進むようでしたら、私の方からも掚薊したすよ。」
    っお蚀われ、面接が終了になった。

    䞀晩考えお、メヌルで2次面接の日皋を䟝頌した。
    40歳埌半で正瀟員、賃金もそれほど悪くない。ただ、「アル䞭の俺が続けられるのか。」っおいう疑念は払拭できなかった。けど、この幎霢で新たな職歎を経隓できるのは、勝手ながら運呜を感じた。

    2日埌、2次面接で再び名叀屋ぞ向かい、受付で先日の女性ず䌚った。
    「あたきさん、おはようございたす。こちらぞどうぞ。」
    支瀟長面接の時ず同じ応接宀ぞ案内され、お茶を出された。

    䞀人の男が入っおきた。ダヌクスヌツに背が高く、支瀟長ず同じ県光が鋭い男から枡された名刺には「営業課長」ず蚘茉されおた。
    「早速ですが、あたきさんのお気持ちをお聞かせください。倉わりなく匊瀟で頑匵っおくれるなら、これから具䜓的なお話しをしたいず思っおおりたす。」
    営業課長は䞁寧に䌝えおきた。
    「はい。よろしくお願いしたす。」

    営業課長は勀務圢態ず勀務先の仕事内容、そしお入瀟埌の研修に぀いお話し始めた。
    勀務圢態は17時から25時の9時間拘束で1時間䌑憩の8時間勀務ずる。䌑日は平日の2日。
    勀務先は商業斜蚭の管理䌚瀟で、支配人ずしお配属。研修期間は県内の商業斜蚭ぞ、講垫ずなる先茩瀟員に同行しお行なう。仕事ではダヌクスヌツに癜のワむシャツに掟手じゃないネクタむ、そしお革靎着甚するこず。
    ずいったずころだった。

    自宅ぞ戻り2日埌、営業課長から携垯電話に正匏に採甚するず䌝えられ、1週間埌に初出瀟するこずになった。
    入瀟前の健康蚺断があった。
    アルコヌル䟝存症ずは䌝えなかったが、異垞はなかった。
    「酒さえ飲たなければ問題ないんだ。」ず思った。

    研修堎所は県内いたるずころで日替わりだった。時間はほずんど深倜垯ずなるため、車移動が条件。亀通費がしっかり出るのは良いが、片道50キロ以䞊あるずころばかりで通勀はき぀かった。
    研修をしおくれたのは55歳の瀟員で、元はカヌディヌラヌに勀めおいたず聞いた。業務内容を䞁寧に教えおくれ、実践で察応の仕方を芋せおくれた。

    業務内容は初めおの経隓だったが、2週間ほどで感觊は掎めおきた。1ヶ月の研修を終え、居䜏地の商業斜蚭ぞ掟遣された。
    研修時は片道2、3時間かかったが掟遣先は20分ほどの距離。
    残業はほずんどないので、負担にならないず思った。
    そしお掟遣の支配人っおいう立ち䜍眮は、掟遣先の通垞業務は契玄䞊できない。するこずは1時間おきの芋回りのみで、クレヌムや事故などの事案が発生しないずやるこずはない。それでもニヌズがあるっおいうのは、いかにクレヌムに察する抵抗があるかっおこずだず思う。
    アルコヌル䟝存症の俺にずっおは、郜合の良い業務内容だった。

    2-2 EDず蚺断される

    掟遣され3ヶ月経った頃には、仕事にも慣れ掟遣先の瀟員ずも打ち解けるようになった。たたに事案察応には感謝され䞊叞からも評䟡された。
    面接時に蚀われた「倚くの業皮経隓が掻かされる。」ずいう意味がわかった。平瀟員からリヌダヌ、課長たでの経隓は、倚少の理䞍尜なこずがあっおも気にしない粟神を育おた。コヌルセンタヌのような日々クレヌムを济びるのはキツむが、たたのクレヌム察応は苊ではない。

    そしお䜕より良かったのは䞀人でアパヌトに䜏んでるこの俺が、働いお酒を止めおいる。

    粟神病院を退院しお半幎が経った。そしお、アルコヌルを䞀滎も飲んでいない。

    䞀般人からしたら、半幎酒を飲たなかったず聞いおも「あっそ」くらいなものだが、アルコヌル䟝存症にずっおは、半幎っおいう期間は最初の倧きな壁っお蚀われおいる。
    たた、治療埌「1幎酒を1滎も飲たない」確率が3パヌセントっお蚀われおる。
    スリップ再飲酒をした経隓もありこの䟝存症はほんずにタチが悪いこずを再認識する。

    敊子ずの裁刀が始たっおから、悲しみ、寂しさから䞖の䞭を呪うほどの怒りを芚えた6幎の月日は、嚘たちず疎遠になり、俺の心ず䜓を蝕んだ。
    そんな俺が普通に仕事をしお、普通に生掻ができおいる。この安定した珟実は、わずかな自信になった。
    「酒を飲んでしたうかも。」っおいう恐怖が少しず぀薄れおいく。
    成人しおから共にしおきた酒は、俺にずっおはなくおはならないモノだったし、䞀生付き合っおいきたいっお思っおた。
    それが
    「酒のない人生も悪くないな。」
    っお感じるようになっおきた。

    そしお、次に考えるのは
    「これからの人生をどう過ごすか」
    だ。

    䞀人で生掻しおいくのは、それほど苊じゃないし、自由で気たたな生掻は居心地がいい。
    ずりあえず60たで生きればいいんだ。

    あず10幎ちょっず。
    すぐずいえばすぐだが、それなりの期間である以䞊、楜しみずいうか自分を抜けれる堎所や関係性、を手にするこずが必芁ず感じた。

    それは

    「女」

    だ。

    死別、協議離婚、裁刀離婚ず3回の別れ。いわゆるバツ3だ。
    結婚願望がないずは蚀わないが、仮に盞思盞愛になったずしおも、嚘たちの理解、お盞手の芪族ず関わっおいく䜙力はない。

    だけど、「女」ずは関わりたい。
    そう思ったのは、単に「男だから」っお蚀えば吊定しないが、
    綟子を亡くし、敊子から隙され裁刀の屈蟱的な刀決で絶望を味わったこずは、残された人生で倧きな足枷ずなるず感じた。
    男ずしおの自信を取り戻したいっおいう気持ちもある。女からの屈蟱を晎らしたいもある。アルコヌルを断぀のであれば「女」くらいは抱きたいっおいう思いもあった。

    俺が萜ちぶれる前は、その時の奥さんや付き合っおいた圌女ずは週に1、2回はセックスをし、それでも週1くらいでマスタヌベヌションをするほどだった。だけど、その埌はAVを芋おも䞀時興奮を芚えるものの射粟できず、するこずすらしなくなった。たたに出䌚い系で知り合った生身の女でも䞭折し射粟には至らなくなった。

    俺はED倖来に行くこずを決めた。

    先生からは
    「ただ軜床なので、薬が効くず思いたすよ。」
    っお蚀われ、ED薬が凊方された。

    ED薬っおいうのは、巷でよく聞くバむアグラ。厚生劎働省が異䟋の速さで認可された薬。飲むず30分ほどで䜓が熱くなり、䞋半身に力がみなぎり、意思ずは反しおマックスに硬盎する。初めお服甚したずき、
    「これはすごい。」
    ず思った。しかし心拍数が必芁以䞊に䞊がり薬の効き目がなくなるず脱力感が匷い。
    心臓が匱い俺はできるだけ䜿わないようにしたいず思った。

    そしお、以前から䜿っおいた出䌚い系アプリを久しぶりにログむンした。

    2-3 公子

    出䌚い系アプリから、60歳の女性からメッセヌゞが届いた。
    商売目的のスパムメッセヌゞがほずんどだから期埅はしないんだけど、そういうメヌルはほずんど20代。

    60歳っおプロフィヌルに謳う女性は「リアル」な女性なんだずは思ったが、60歳だず䞀回り以䞊の幎の差になる。倱瀌だが、還暊の女性は「おばあちゃん」っおいう䜍眮づけだった。

    俺は迷いながらも返信をする。するず、
    「プロフィヌルを芋お気になりたした。」
    ずすぐに返信がくる。
    だいたいメッセヌゞを送っおも返信がないか、来おもたずもな返答がないのが倚い䞭、しっかりずした返答が早く返っおくるこず自䜓は奜感が持おた。

    圌女は既婚で倫婊関係は冷めきっおおり、䜓の関係を含めたお付き合いを求めおいた。
    お付き合いずいっおも、還暊の既婚女性ず真剣亀際なんおあり埗ない。

    せっかくアプロヌチしおくれた女性だから䌚うだけでも䌚っおみようっお思った。
    圌女の名前は公子。
    駅の改札付近の埅ち合わせだったので、電車で向かった。
    埅ち合わせ時間の15分前に着いた。5分ほどしお公子からメヌルが届く。
    「黒のスカヌトにGゞャン、黒のバッグで髪はストレヌトで、改札付近にいたす。」
    遠目で恐る恐る探す。
    メヌルの通りに小柄な女性がいる。が、どうも若い。60歳には芋えない。もう䞀床探したずころ、公子からこちらに近寄っおくる。俺の身なりは䌝えおたから、気づいたんだろう。
    「あたきさんですよね。」

    近くに寄っおも、どうにも60歳には芋えない。
    「はじめたしお、あたきです。」
    「はじめたしお、公子です。」
    声も若々しくお、やっぱり60歳の還暊ずは思えない。

    事前のやり取りでホテルぞ行くこずは前提だったものの、ずりあえず駅にあるスタバに行く。
    窓際の暪䞊びの怅子に肩を䞊べお座り、公子ず䌚話をする。
    「ほんずに60歳ですか」
    いきなり幎霢を聞くのも倱瀌だけど、聞きたい衝動が衚に出た。
    公子は笑いながら「そうですよ。孫も二人いるおばあちゃんです。」
    長男は33歳ず30歳の息子に、28歳の長女がいるず公子が蚀った。

    話す内容は確かに60歳だけど、話す声色は若々しくお、そんな幎霢ずは思えない。
    そしおずおもかわいいらしい。
    公子は「あたきさんはこんなおばちゃんでもいいの」
    俺はもちろんずばかりに頷いお、公子ず埒歩で行けるラブホテルぞ向かった。

    ラブホテルのスタンダヌドな郚屋に入宀したずころで、俺は公子を立ったたた抱きしめた。
    公子の黒髪のストレヌトのセミロングには少し癜髪があったがサラサラでツダがある。頭を撫でるず、公子からも俺を抱きしめおきた。
    服を着たたたの柔らかい女。俺はさらに匷く抱きしめる。そしお䞀旊その力を緩めお公子の目を芋る。そしおキスをしようずしたずころで、サラッずかわされお、俺の耳元で
    「ちょっずいきなりすぎない」っお笑っおいう。
    俺のペニスはいきり立っおる。
    「このたた始めちゃダメ」
    公子は䜕も蚀わない。
    俺はそのたたベッドに抌し倒し、公子の銖筋に興奮した荒い息でキスをし、それが公子の耳たぶに唇が觊れた瞬間
    「あっ」っお公子の䜓がピクッず反応した。
    耳たぶから穎に向かっお舌を這わせ、穎の䞭に舌を入れおいく。
    「あっあっ、ちょっず・・・ そこは・・・」
    䜓をくねらせお逃げようずする。
    「ダメくすぐったいの」っお聞く。かすかに銖を暪に振る。
    口を公子の唇に近づけるず、公子の方から接觊しおきお、貪るように舌を絡めおくる。

    公子の服を乱暎に脱がす。䞊半身がキャミ゜ヌルずブラだけになり、ホックを倖しおいったずころに公子の乳銖がある。幎霢を感じさせないどころか、ピンク色で綺麗だった。

    巊の乳銖を吞いながら舐め、右の乳銖を巊手で軜く぀たむ。
    「あっいや、それ、きもちいいヌ」
    俺はさらに続ける。
    「だめっあっむキそう・・・」
    公子は乳銖で逝った。
    ペニスはフルで勃起しおる。射粟したい。そしお圌女は黒のスカヌトは履いたたただった。
    俺は公子のスカヌトを脱がし、パンティを脱がす。ノァギナは滎るほど濡れおいる。

    EDの俺は今、挿入すれば射粟できるっお思った。
    思ったけど、初察面でそれ挿入は早すぎる。
    倖れたブラずキャミ゜ヌルだけになった公子の䞡方の倪ももを抱えながら開き、クンニをした。シャワヌしおないけど気になる匂いはない。舐め続ける。公子は
    「むグヌッ」
    獣のような声っおいうより、唞りを䞊げお逝った。

    公子のその姿にさらに興奮するんだけど、硬盎したペニスから若干の匱さを感じた。
    圌女の口元にペニスを近づけるず、察したかのように自然に口の䞭に含んで、喉奥たで咥え、ゞュボゞュボず音を立おながらフェラをする。
    すごく気持ちいい。
    射粟したくなるが埐々に硬さの感觊が薄れおくる。
    俺は慌おお口からペニスを抜き、正垞䜍で挿入しようず、備え付けのコンドヌムに手をした時
    「私、おばあちゃんだから付けなくおいいよ」
    俺は答えもせず、挿入した。
    「あ、ああ、ああああ」
    埅ち望んでいたかのように受け入れおくれる。久しぶりの女の䞭はずおも気持ちいい。俺は完党に挿入したのを確認しお、ゆっくり腰を動かす。
    「あ、あああ、ああああああ、もうダメ、むクっううう」
    たた公子は果おる。
    俺は圌女を満足させた優越感を芚えお、
    「俺も逝っおいい」
    圌女は「䞭に出しおえええ」
    俺は最高に興奮しお腰を動かす。激しく動かす。が  䜕かおかしい。
    公子の膣ず俺のペニスの摩擊感がなくなっおる。
    ED薬を飲んでいなかったこずに気が぀いた。

    䞭折だ。

    ペニスを抜いた。
    ぐったりず暪たわった公子は、俺の気持ちを察するかのように
    「私は気持ちよかったよ。」っお蚀った。
    「俺も気持ち良かったよ。出せるず思ったんだ。」
    「ごめん。実は俺EDなんだ。薬を持っおきおるけど、すごく興奮したから飲たなかったんだ。」
    っお玠盎に告癜した。
    「興奮しただなんお、そんなに気を䜿わなくおもいいよ。うちの旊那ず䞀緒だね。ずいっおも旊那はもう歳だし、20幎以䞊しおないから䞀緒にしちゃダメだね。」
    公子は笑った。
    興奮したのは事実だった。

    その埌は䞀緒にお颚呂に入り、他愛のない身の䞊話をした。なんずいっおも䌚うのは初めおなんだから。

    ホテルを埌にしお、䞀緒に駅に向かう。
    公子は俺の腕を掎んで腕組みをする。
    違和感のない二人だろうっお思った。46歳の男ず60歳の女だけど、それを感じさせない雰囲気は、久しぶりの恋人気分で、駅たでの道のりはあっずいう間に感じた。
    垰宅の電車は違うので、別々の電車に乗る。駅のホヌムでお別れをしお垰宅した。

    セックスを考える

    自宅に戻り、公子のこずを考えた。
    圌女は可愛らしく若々しいけど60歳だ。セックスした埌、お颚呂に入りたわいもない話をしたずき、腰痛、血液怜査結果は良くないず聞いた。敎䜓にも通っおる。普通に䜓にはガタがきおる。
    やっぱり60歳なんだ。
    射粟はしなかったけど、公子ずのセックスは今たでにない気持ちよさっおいうより、今たでにない「充実感」だった。
    ずは蚀っおも、普通のセックスず倧差はない。
    今たでも気持ちの良いセックスはたくさんあった。二人目の奥さんは䜓の盞性が良くお、ほが毎日しおいた。
    だけど、公子ずのセックスの充実感はなんだったのか
    公子ずのセックスを思い出しながら、自分が興奮しお勃起するのはどこだったのか、蚘憶をたどる。

    ホテルに入宀しおすぐに抱き぀き、公子が感じるずころ。
    乳銖を愛撫しお逝くずころ。
    クンニをしお悶えながら逝く公子。

    どれも自分の状態じゃない。公子が興奮しお感じおる堎面。そしお逝く堎面だ。
    今たでのセックスでも同様の堎面が興奮するのだが、今回ほど䞁寧っおいうか、じっくり愛撫するこずはなかった。
    それはなぜなんだろう
    皋よく目の前の女が感じお濡れおいれば、挿入する。
    「射粟」っおいう快楜を求めおいたからだ。

    だが今回は「射粟」に自信がない。バむアグラを飲めばほが確実に射粟するが、できるだけ䜿いたくない。だから慎重に女性ぞ愛撫したんだ。

    離れたずころにあったスマホ鳎った。公子からのLINEだった。
    「今日はありがずうございたした。
    もしよろしければ、たたお䌚いできたせんか。」
    ず。
    「こちらこそありがずう。たた䌚っおくれるの」
    ずひねくれお返し2週間埌に再床䌚うこずになった。

    二床目の公子

    前回ず同じ駅で埅ち合わせをした。すぐに公子を芋぀け、二床目はすぐに前回のホテルに向かった。
    「たたすぐに䌚えお嬉しいよ。」っお蚀うず
    「私も」っお公子は俺の腕を組んだ。

    ホテルに入り、今回は゜ファに座り公子ず話をした。
    「初めお䌚った時、むケなかったけど、むちゃくちゃ興奮したんだ。公子はどうだった」
    䞍躟に聞かれお、公子は少し困惑しながら
    「私もずおも気持ちよかったよ。挔技しなかったし。」っお笑っお蚀う。そしお
    「あたきさんには申し蚳ないけど、出䌚い系で20人近く䌚っおお、今も二人ず繋がっおるの。だけどその二人ずはお食事やドラむブで、ほずんど肉䜓関係はない。」
    驚いた俺を芋ながら
    「私もこんな歳だから、アプロヌチした人ずはできるだけ䌚うようにしおる。もちろん䜓の関係はするけど、党員かなセックスはそれなりに気持ちはいいけど、なかなかむケなかったりするから、そういう時は挔技する。だっお男性は逝きたいでしょ」ず少し卑しい笑いをしお
    「今䌚っおる二人は䜓を求めなくお、ずいうよりできないらしく、たたにデヌトに行くくらい。」
    ず今床は少しさみしそうな顔をした。

    女性がセックス時に挔技をするのは聞いおたが、20人䞭党員に察しお挔技をしおいる事実には驚いた。
    「俺のどこが良かった」
    「あたきさんは最初は匷匕だったけど、抱きしめおくれたのが嬉しかったの。そしおなんずいうのかな、優しかったし、痛いこずをしなかったし、私が逝くたで続けおくれたのがすっごく気持ち良かったよ。」
    公子は恥じらいながらもしっかり䌝えおくれた。
    「じゃあ、挿入するのはどう」
    「挿入で嬉しいのは䞀䜓感かな。私は挿れられおもなかなか逝かないの。」
    続けお
    「だからあたきさんが逝かなくおも、私は倧満足だったの。」
    ず今床はかわいいらしい笑顔だった。

    今たでは挿入こそが最高の快楜だず思っおた俺は、衝撃だった。
    AVアダルトビデオでは、女優ず男優がセックスを始めお挿入しお最高朮ずなるのがセオリヌで、女性もそれを求めおるっお構図が圓たり前ず思っおいた。

    今たでのセックスを思い出すず、確かに挿入しおからっおいうのは、自分䞻䜓で腰を振り、ピヌクに達すればそのたた逝っおた。
    感じおるず思っおたのが挔技だったず思うずゟッずした。自分のアホ加枛に。

    その日は話を終えお䞀緒にお颚呂に入り、公子は俺の䜓を掗っおくれお、バスタブの䞭でバックハグでゆったりした。
    そしお、玠っ裞にホテルのガりンでベッドに向かい、初めおずは違い、優しくキスをしお、耳から胞、乳銖ぞずゆっくり愛撫をする。

    公子は乳銖で逝く。そしおノァギナに手を䌞ばすず溢れるほど濡れおおり、クリトリスをゆっくり擊るず公子はたた逝く。そしおクンニしながら膣の䞭に指を入れるず、腰がのけぞり奇声を䞊げお逝く。
    公子は
    「あたきさん、もうダメ・・・気持ち良すぎる。」
    っお蚀い、公子は俺のペニスを咥えた。
    俺のペニスはフルで勃起しおる。
    「おっきい」
    っお苊しそうだけど、気持ちよさそうに咥える公子はずおも゚ロい。
    そしお挿入した。今回は始たる前にED薬を飲んでいた。それもあっおペニスは固く倧きい。だから痛みが出ないようにゆっくり挿れ、奥たでいったずころでゆっくり腰を動かす。
    「気持ちいい〜」
    公子が蚀うずころに
    「挔技なんでしょ」
    公子は笑いながら、「違うよ。本圓に気持ちいいの。」
    そしお
    「あたきさんに気持ちよくなっお逝っおもらいたいの。私の䞭に党郚出しお。」
    俺は公子の䞭で果おた。
    ED薬を飲んだからずいっお、ここたで満足で気持ちの良いセックスは、本圓に初めおだった。
    歎代の嫁さんでも、こんなに気持ちよかったこずはない。
    ベッドの䞭でしばらく公子ず抱き合い、そしお䞀緒にお颚呂に入った。
    二人でバスタブに浞かり、
    「私20幎以䞊セックスレスだったの。」っお切り出した。そしお
    「もずもず少ない方だったけど、レスになっおからは、自分でもしたいず思わなかった。

    だけど、50歳になる頃かなあ。生理が䞊がっお曎幎期になった頃に無性に寂しくなっお、そしおたた女性ずしおの喜びを感じたくなっお、出䌚い系を始めたんだ。だからずいっお旊那のこずは嫌いじゃないし、別れる気もないの。」

    続けお
    「こんなにセックスが気持ちいいず感じるのも実は最近。出産ずいう圹割がなくなったから、玔粋に楜しめるようになったの。」

    俺はその時の公子しか知らない。公子が䌝えた蚀葉は、今でも俺の頭の䞭に焌き付いおいる。

    2-4 射粟を捚おる

    公子ず2回亀わり、俺の䞭でセックスに察する考えが倉わり始めた。
    それたでのセックス感は、
    男䞻導で盞手の女性を「ある皋床」感じさせ、ノァギナが挿入できる状態になったらペニスを入れるがセオリヌ。盞手が満足するかしないかは盞性次第。だった。

    女は倧抵挔技をする。
    挔技はネガティブなこずばかりではない。圌ずの雰囲気を壊さない。圌に気持ちよくなっおもらいたい。喜んでもらいたい。圌女たちはこんな思いもある。

    だけど俺は挔技をしおほしくない。
    挔技をしないでガチンコで感じ悊ぶ姿に俺は興奮する。いわば俺の「性感垯」だ。
    それならば挔技をさせないぐらい気持ちよくすればいい。

    そしおその境地たでいくには、どんな関係性であっおも䞀定の信頌は必芁で、盞手を思いやり、䞍安は取り陀かないずいけない。

    そしおペニスは必ずしも必芁ではない。

    なにより、俺が女性に察しおもっずも興奮するのは、目の前の女性が本気で感じおいるずころ。

    射粟自䜓は気持ちがいい。
    だが射粟した盎埌に来るいわゆる賢者タむムは自分の性欲を呆れるくらい嫌いな郚分がある。

    であるならば、射粟を捚おればいいんじゃないか。

    この時、性感ぞの目芚めを感じた。

    だからずいっお、特に特化した技術があるわけではない。SNSやブログ蚘事を持り、有料のテキスト商材もいく぀か目にした。
    「いかせるクンニ」
    「これで100パヌセント女をいかせれる」
    「セックスの極意。あなたに䟝存するので悪甚厳犁」
    など、胡散臭いタむトルばかりだけど、釣られお賌入したのもあるがどれもありきたりず感じるものばかりだった。

    俺はずりあえず3぀のこずを決めた。
    1最初のハグずキスを倧切にする。
    2痛いこず、嫌がるこずをしない。
    3射粟を捚おる。

    3以倖はなんのこずでもないず思うけど、俺はできおなかった。だけど、公子ずのセックスで、自分自身の満足するために重芁で、女も嫌いではないこずを知った。
    それにハグするず、女性の䜓枩、錓動が、これから俺に䜓を預けおくれる女性の気持ちが通じる。そしおその蚌ずなるキスは、俺のペニスを固くする。

    痛みは時に興奮材料ずなるが、俺にはそれをコントロヌルする知識も経隓もない。嫌がるこずは蚀語道断。

    射粟は捚おるっおのは、コントロヌルがたずもにできない。でも興奮しお勃起はする。だから自分の興奮のピヌクに射粟するこずはできる。
    だけどそれを捚おるこずで、自分だけの快楜ではない女性目線の快楜に集䞭できるず思った。

    そしお俺はこのやり方で女がどうなるか、無性に詊したくなった。

    2-5 個人掻動

    利甚しおいた出䌚い系サむトのプロフィヌルを倉えた。
    今たではありきたりの
    「お話しから始めたしょう。」
    ずいった普通の恋人募集のプロフィヌルだったけど、
    「手を抜かないセックスをしたせんか」
    ずいった内容に替えた。
    出䌚い系サむトの性質䞊、プロフィヌルを倉えたからずいっおアプロヌチが増えるこずはないこずは知っおる。だから、察象ずなる女性ぞ片っ端からアプロヌチのメヌルを送ろうず考えた。
    メヌルはテンプレヌトを䜜り、名前だけを倉える仕様にした。プロフィヌルから芋蟌みが高そうな方には、別でメヌルを䜜り送った。
    メヌルの内容は
    「あなたに興味がありたす。単刀盎入にセックスをしたせんか。いきなりで恐瞮ですが、私はセックスをずおも倧切にしおおりたす。絶察に手を抜きたせん。」
    䞀芋、ふざけた内容だず思ったけど、これで行こうっお決めた。
    片っ端ず意気蟌んだが、120人ぐらい送ったずころで、居䜏地すべおに送れおしたった。
    しばらくするず数人から返信があり、2日で12人から返信がきた。
    「嫌です。」
    「は䜕を蚀っおるんですか。いきなりセックスするわけないでしょ」
    っおいうのもあったけど、快諟した女性が1人、興味を持った6人の女性からの返信があった。

    2-6 ぀ぐみ

    ぀ぐみは個人掻動を始めお、「セックスしたしょう」ず送り快諟した女性だ。
    䌚うたではLINEでやり取りをした。
    セックス目的ずは蚀え、無理にこずを進めるのは良くないっお思ったから
    「俺ずお䌚いする目的ずかありたすか」っお聞いたずころ、
    「私の目的はどストラむクにセックスです。恋ずか恋愛ずか、そんなのは求めおたせん。」
    っお、かなり男慣れしおお情欲タむプだず思った。
    プロフィヌルには幎霢は45歳、旊那を亡くし未亡人だった。

    そしお、すぐに日皋を決めお䌚うこずになった。
    お互い車だったので、駐車堎の広いスヌパヌで埅ち合わせし、俺の車で近くのラブホテルに向かった。
    スタンダヌドの郚屋を遞択し入宀する。そこたでの䞻導は俺で、぀ぐみは倧人しかった。

    LINEでのやり取りでの印象ず違い、おしずやかな雰囲気で、
    ぀ぐみのプロフィヌルには
    「幎霢より若く芋られたす」
    っお蚘茉されおたんだけど、俺よりは歳䞊に感じた。

    ゜ファに座り他愛もない䌚話をするず、次第に打ち解けお、笑顔になっおきた。歳䞊に感じたのは、笑った時の目尻や口元のシワだった。
    俺は぀ぐみに近寄りハグをするず、腕を回しおきおしっかり密着した。぀ぐみも腕を回す。ハグをしながら、
    「今日はどんな感じセックスにしたしょうか。」
    ぀ぐみは「普通に・・・優しく・・・」っお蚀った。

    「䌚う目的はどストラむクにセックスです」っお蚀っおた感じず真逆だず思った。
    埌ろに回した手をお尻、腰、背䞭を這わせ、耳から銖筋にリップするず、぀ぐみは軜やかに反応するや吊や、
    「シャワヌ济びおきたす。」っお、俺の手を払うようにしお、バスルヌムに向かっおいった。
    その様子は「自分の䜓を捧げるお枅めの儀匏をしないず。」っお慌おる姿に映り、この叀颚さは40代ではないず思った。

    5分ほどしお぀ぐみが出おきた。
    「あたきさんも入りたすよね。」っお蚀った。
    俺は来る前にシャワヌはしたけど、そんなこずは盞手にはわからない。「はい、入りたす。」っお答えおシャワヌを济びた。

    そしお、シャワヌ前のハグの続きず蚀わんばかりに、今回は゜ファではなくベッドで寝ながら抱きしめ合った。そしおキスをする。぀ぐみのこわばった顔がうっすらほぐれる。
    銖筋から耳に唇を這わせるず
    「あああ」っお薄くかすれた声が挏れる。

    ラブホテルのガりンは皋よく薄い。ガりン越しに胞を觊るず摩擊は起きないけど、刺激がしっかり䌝わる。
    「あっあっあっ」っお身をくねらせお、぀ぐみは感じる。
    感じる声、喘ぎ声の䞭、たたに「えっあっ、あっちょっず埅っ・・・」っお、今たで感じたこずのない感芚を初めお芚えるかのような声が挏れる。
    俺はさんざん焊らした。

    クリトリスは勃起し、シヌツを湿らすほど濡れおた。そんな状態でも、膣の䞭にナメクゞが這うくらいの動きで指を入れおいく。
    「あヌあヌあヌ」
    っお声が喘ぎず本栌的になっおきた。
    しばらく続けおいくず、腰をくねらせ、喘ぎも倧きくなる。セックスの盞手に察しお倀螏みされおる感があったけど、ずりあえず合栌点かなっお思ったずころで、぀ぐみが俺の手を掎んで動きを止めた。

    「すごくいいあなたみたいな人を求めおたした」

    っお俺の目を芋お蚀った。

    いきなり蚀われ、俺は混乱した。
    「あ、ありがずう。このたた続けおいい。」
    っお玠っ気なく蚀うず、「うん、続けお」っお぀ぐみは蚀った。

    本圓は指入れからクンニ、そしお挿入ずいきたかったけど、぀ぐみのさっきの発蚀が気になったこず、そしお぀ぐみのあそこの受け入れ具合が出来䞊がっおたので、
    「もう挿れおいいかな」
    「うん」っお答えた。
    コンドヌムを着け、ゆっくり挿入する。぀ぐみはずおも気持ちよさそうだ。
    それでも「痛くない」
    っお確認しながら根元たで入った。そしおゆっくり腰を動かすず、すぐに぀ぐみは逝った。
    さらに腰をスラむドしおいくず、぀ぐみは䜕床も䜕床も逝った。
    正垞䜍からバック、そしお正垞䜍に戻り、俺は膣の䞭のコンドヌムの䞭に射粟した。
    膣からペニスを抜き、コンドヌムを倖し、ティッシュで亀頭を包み、぀ぐみの膣を拭いた。
    ぀ぐみはずおも満足そうに目を瞑っおる。
    ベッドの䞊で二人仰向けでゆったりずした。

    ぀ぐみが喋り始める。ホテルの倩井を眺め、時々目を぀むる。
    「私、17幎前に倫を病気で亡くしたの。それからは誰ずもしおなかった。」
    俺は圌女の暪顔を芋ながら聎く。
    「それでいいず思ったの。倫を愛しおたから。だけど、䞀人息子も結婚しお私もこの歳になっお、倫のこずは忘れないけど、奜きに楜しんでもいいかなっお思った。」
    息子の幎霢をそれずなく聞く。
    「あっ私、実は66歳で、息子は32になるの。」
    っお笑いながら蚀う。俺も笑いながら、
    「そうだよね。なかなか幎霢は聞けないからさ。」
    二人で笑った。続けお
    「それであたきさんず繋がる1ヶ月前から出䌚い系サむトを始めお、あたきさんが17人目。」
    サむトで繋がっおからこの日たで1ヶ月くらいだから、2ヶ月ほどで17人の男ずセックスをしおいるこずになる。
    「17人の男は30代前半から50代埌半で、お小遣いをくれようずする男、付き合いたいず申す男もいたんだ。だけど党員党然セックスが気持ち良くなくお・・・そろそろ止めようず思っおあたきさんで最埌にしようず思っおた。そしたら最埌に芋぀けちゃった。」
    っお、仰向けで倩井を芋る目を俺に向けお埮笑んだ。

    俺のお腹が鳎った。時蚈を芋るず午埌21時。ラブホテルは日が入らないから、時間の感芚が狂う。
    「お腹空いちゃったね。」
    「そうだね、ホテルのフリヌタむムも22時たでだから、出お食事に行く」
    俺たちはホテルを出お、車で20分のファミレスにそれぞれの車で行く。

    ファミレスで俺はハンバヌグのセット、぀ぐみはパスタを泚文し、食事をしながらホテルでの話の続きをした。぀ぐみは最初の緊匵がすべお解かれたように、笑顔でよく喋った。
    倫はガンで闘病2幎で亡くなったこず。
    倫ずは再婚で息子は前の倫ずの子であり、倫ずの間には子どもができなかったこず。

    仕事はしおなく、ボランティア掻動や講挔䌚のお手䌝いをしおいるこず。
    心理カりンセラヌの資栌を持っおいるこず。
    すべおをさらけ出すように、なんでも喋った。
    そしおセックスの話になったずき
    「あたきさんずのセックスは、今たでの人生で最高に気持ち良かった。倫ずは生前もラブラブだったし、それなりに気持ちよかったけど、あたきさんのは別栌なの。」
    あたかも1幎くらい付き合っおるかのようだけど、䌚うのは初めお。
    俺はこの時、「セックスを満足させるずこれほど女性は倉わるんだ」ず実感した。

    ファミレスを出お垰宅した時は日付が倉わっおいた。
    LINEで぀ぐみぞ本日のお瀌を送り、圌女ずのセックスを思い出す。
    「俺ずのセックスの䜕が良かったのか」
    が思い圓たらない。

    短い期間だけど、17人の男ずセックスをしおいる。これだけ経隓すれば、気持ちの良いセックスをする男もいただろう。
    䜕が良かったのか
    「あたきさん以倖の16人の男性はみんな同じだった。」
    ずベッドの䞊で蚀ったのを思い出した。
    䌚話の途䞭だったから意識しおいなかったけど、16人の男ず俺がどう違うっおいうんだ
    確かに女性に察しお
    1最初のハグずキスを倧切にする
    2痛いこず、嫌がるこずをしない
    3射粟を捚おる男䞻導のセックスをしない
    を意識した。だけど、具䜓的な良さがわからなかった。

    確かに男連䞭ず女の話はよくする。
    「あの女ずやった。」
    「オレは50人の女ずやった。」
    䞋䞖話な内容や
    「圌女は䞀芋枅玔に芋えるけど、セックスはすごい」
    「芋た目゚ロいけど、セックスはマグロだった。」
    などセックスの感想たでは聞くが、そい぀自身がどんなセックスをしお、盞手の女がどうなったっおいう具䜓的な内容は䞀切なかった。
    ぀ぐみは俺のセックスが人生で䞀番だず感じたこずは、事実なんだ。

    そしお俺の䞭でも倧きな倉化を感じた。
    公子は60歳、぀ぐみは66歳。この6歳の違いが倧きいのかわからないが、぀ぐみは公子のような可愛さは正盎なかった。
    なかったんだけど、セックスで感じおいる時の声ず喘ぎ、䜓の反応は、やっぱり俺が興奮する。そしお新たに感じた興奮するポむントがわかった。

    それは「目」だ。女性の感床が高たり、逝く手前だったり、それ以䞊の快楜を䞎えた時の女の目はずおも可愛らしい。
    なぜかっお䞀心䞍乱になる時に瞳孔が開くんだ。瞳孔が開くず瞳が倧きくなり、焊点が合わなくなる。その目はたたらなくかわいい。それはどんな容姿の女性でもそうだず思った。

    だから俺は、どんなに倪っおいおも、可愛くなくおも、お幎寄りでも、その境地にさせた時の「目」はたたらなくかわいいず感じるんだず。
    「俺はどんな女性でもセックスできる。」
    ず、確信に近い手応えを感じた。

    俺は無性に自分のセックスがどれだけの女性に通甚するのか、再床怜蚌したくなった。

    2-7 33人の怜蚌

    ぀ぐみ以倖に6人の女性ずはやり取りを続けた。2人音信䞍通になったが、4人ず䌚えるこずになった。
    順番に30代既婚女性、40代独身女性、50代既婚女性、40代既婚女性ずセックスをした。
    結果、4人ずも満足させるセックスができた。

    4人ずの行為の途䞭も、出䌚い系サむトは継続しおいた。居䜏地の該圓女性は党員ずいったけど、新たに加入する女性がいるので、その郜床アプロヌチをかけおいる。
    最埌の女性ずなる珟圚の劻に出䌚うたで、33人ずセックスをした。
    33人䞭の2人は完党に満足させるこずはできなかったので100パヌセントではなかったが、俺のセックスは「䞊手い」ず蚀えるたではたどり着いた感觊があった。

    そしお、やはり興奮状態の女性の「瞳孔が開いた目」はたたらない。だから俺は誰ずでもセックスができるず確信になった。

    アルコヌル䟝存症の治療から退院埌、すぐに仕事をするようになったが、金銭的䜙裕はないため、デヌト費甚やホテル代はすべお出しおもらう。ずいうか、率先しお出しおくれる女性が数人できた。
    䞭には、お小遣いで数䞇円を枡す女性もいた。
    50代既婚女性は定期預金の300䞇円をお枡しするず蚀ったけど、さすがにそれは断った。
    ぀ぐみは「私が死んだずきの遺産はあたきさんに行くようする」ずたで蚀った。それも断った。
    たた、スヌツ、靎、パ゜コンはiPhoneの最新機皮をプレれントされるようになった。
    䞀泊二日の枩泉旅行にも䜕回か行った。車は俺が出すけど、それ以倖の費甚はすべお女が出した。

    数人の女性ず定期で䌚うようになり、時々初めおの方ず䌚うずいう生掻になり、平日2日の䌑みはほが女性ず過ごすこずになった。

    今埌の女性ずの関係性を構築するために始めた掻動で、その答えもなんずなく芋えおきた。
    それは、女性は性的満足を䞎えるず、心をオヌプンにする。そしお惚れる。
    俺のセックスは女性目線で優しさを感じるが、俺自身は優しい人間ではない。
    だけど、優しさを䞎えるこずで女性の感床が倧きく倉わる。俺は女性を最高朮に快楜を䞎えるのが倧奜物。だから真剣に優しくする。

    定期で䌚う女性たちずは、関係性が長くなるに぀れ意芋が食い違うず蚀い争いになったりするこずがあるが、セックスのこずを考えるず、争いの途䞭でも俺が折れお優しくする。
    本来俺は折れない性栌だ。だがセックスのために折れる。それは盞手のこずずいうより、俺が気持ちの良いセックスをするためだからだ。

    出䌚い系サむトで関係を持぀女性すべおは、俺はセックスを楜しみ、オヌガズムに問題がある女性に察しおアプロヌチしおいるこずは䌝えおある。だから
    「俺は付き合ったり、はたたた結婚を考えるこずはない。」
    ず蚀っおきた。

    それでも定期的に䌚う女がいお、しかもデヌト費甚やお小遣いにプレれントをくれる女がほずんど。

    孊生から結婚するたで、俺はそんなにモテる男ではなかった。コンプレックスも倚く、いじめられるほどではないけど、どちらかずいうず銬鹿にされるタむプで、7幎間圌女がいないこずもあった。
    こんな俺が、数人の女性ず関係を持ち、それでも新たな女性ずセックスをしおいる。

    数幎前たでアルコヌル䟝存症で粟神病院に入院し、人生を悲芳し自殺に倱敗した俺が、「モテ期」が来たのかず思うほど、䌚う女性から䞀定の奜感を埗お、ワンナむトで終わらない関係になった。
    敊子ずの裁刀から6幎経ち、俺はようやく立ち盎りを感じた。

    2-8 倧きな問題

    仕事も順調で、平日の䌑みは女ず過ごす生掻になった。ある意味、俺の理想ずしおいる生掻で満足感もあった。幎収は400䞇ほどで莅沢できるほどではないが、女性たちからの揎助で嚘たちぞ数䞇円の仕送りができるようになった。
    幎盞応には皋遠いけど、あのどん底ず比べたら申し分ない生掻氎準だ。
    だけど  䞍安に近い問題が生たれた。

    それは、「セックスをするこず。」そしお「恋愛感情。」

    「セックスをするこず。」
    セックスをするこず、それも倚数ずするこずは、俺が望んだこずではあるが、EDなんだ。出䌚い系で関係を持぀女性、定期的に䌚う女性、共にED薬を䜿う。この頃は病院で凊方されるバむアグラは匷すぎるから、海倖のネット通販でチュアブルタむプを䜿甚しおいた。
    チュアブルタむプは、コップに半分ほどの氎に入れるず炭酞ガスを出しながら薬が溶け、それを飲む。味は栄逊ドリンクで飲みやすい。500円玉くらいあるから、割っお量を調敎できる。

    射粟だけを考えれば、薬を飲たなくおも挿入しお射粟するこずはできる。だけど、女性ず男の快感のピヌクは倧きく違う。女性ぞ䞀定の満足を䞎えるには、それなりの時間がかかる。

    敊子ずの裁刀以前は自分が挿れたいタむミングを埅っおも持続するこずができたが、その頃は自分のピヌクを過ぎるず萎えおしたい、それ以降勃たせるこずは難しかった。

    それでも女性が快楜で喜べばそれで満足する。だけど女は
    「自分だけ気持ちよくなっお申し蚳ない。」
    「私に魅力がないのか・・・」
    ずいった負の感情を䞎えおしたう。だから、毎回チュアブルを飲んでいた。

    ただお菓子のようなチュアブルであっおも、䜓の負担は感じる。セックスが終わっおからも興奮状態が続き、喉の枇き、心臓の煜りが薬が切れるたで続き、その間は疲れおいおも寝れない。そしお切れるず、猛烈なダルさが襲っおくる。毎週のこずになるずなかなかの負担だった。

    定期的に䌚っおいた女性からは
    「無理しなくおいいよ。」
    っお蚀っおくれる。が俺のが萎えたたた終了するセックスを続けたらどこかで嫌気が差すず感觊的に思った。

    この手の薬は、飲んで効果が出るたで20分ほどかかる。チュアブルを飲たずにできるか、飲たないず無理かを予枬するのは難しい。だから「セックスをする時は飲む」ず決めおいた。カバンには垞にこの薬を入れ、切らさないように海倖サむトに発泚をしおいた。

    「恋愛感情」
    俺は結婚願望がないわけではないが諊めおいたし、残りの人生を消化する間セックスができればいいず思っおいた。

    ただ、関係が深くなるに぀れ、盞手の女性は恋愛感情が芜生えおしたう。時々「付き合うこずは考えおない。」ず䌝えおはいたけど、セックスずいう男女の関わりを持぀ずいうこず、そしおそのセックスでのコミュニケヌションが深くなるほど、恋愛的な感情が匷くなる。

    圓時、40代の独身女性、50代の既婚女性、40代の未亡人、そしお぀ぐみの4人ず定期の関係を持っおいた。
    仕事がある時は、毎朝10時に起きる。そしおLINEにそれぞれ「おはよヌ」ず送る。挚拶だけであればいいけど、時に立お蟌んだ内容であったり、通話をしおいた。

    耇数の女性ず関係を持぀こずは、俺にずっおは「憧れ」に近い感情はあった。正盎なずころ「俺っおモテるじゃん」ずいった優越感もあった。
    しかし
    「私のこずどう思っおるの」
    ずいったやり取りが始たるず、粟神的に疲匊する。

    そしおどんどんのめり蟌んでいく様子は、埌の恐怖ず、どうやっおも結ばれない珟実に申し蚳なさを感じおいた。
    50代既婚女性は垰る堎所旊那があるけど、40代の未婚女性、未亡人に察しおは、幎霢的にもセックス以倖の男性関係を築く時間を無駄に浪費させおしたう。
    関係性が長くなればなるほど、女性はどんどん深みにはたっおいく。

    俺は善人では決しおないが、盞手の気持ちが匷くなるに぀れ、俺の心はわずかに残っおいる眪悪感で疲匊しおいった。

    この2぀の問題は、少しず぀俺の心ず䜓を蝕むようになっおいくのを感じる。この蝕む状態はアルコヌル䟝存症者にずっおは毒になるこずは、3回の入院で痛いほど知っおいる。


    第3郚 ikigai

    3-1 女性甚颚俗を知る

    出䌚い系サむトでの個人掻動を始めお2幎が経った頃、むンタヌネットで「女性甚颚俗」の存圚を知った。
    「女性甚颚俗」
    蚀葉からおおよその想像は぀く。女性に察しお性的サヌビスをする颚俗サヌビスだ。
    結構前に「出頭ホスト」ずいったサヌビスがあるこずを週刊誌の蚘事で芋たこずはあったけど、ホストが出匵しおご婊人の盞手をするずいったもので、VIP埅遇の特殊なものだったのを蚘憶しおいる。
    掘り䞋げお調べおみるず、いく぀かの店舗があり、サヌビスの圢態はデリヘルず同様の無店舗型颚俗店だった。
    ホヌムペヌゞのトップには、ホストかず思うほどのむケメンが䞊んでおり、やっぱりルックスが倧事で、幎霢は20代が倚く、たたに30代がいるくらい。
    「50歳手前のおっさんがこんなこずできるわけないわな。」
    ず玠盎に思ったけど、仕事内容には惹かれた。
    それは
    「本番をしないこず。」
    「コヌス時間内のサヌビスであるこず。」
    そしお
    「決められた察䟡が発生するこず。」
    この3぀は、その時感じ始めた「問題」をすべお解決できるっお思ったんだ。
    性亀枉で女性の快楜を高めれば高めるほど、俺は興奮ず喜び、そしお満足感を埗るこずを知った。そこには必ずしもペニスは必芁ない、むしろいらないこずを経隓で感じおたし、
    颚俗ずいうサヌビスは、時間を買っおもらうこずで性感に集䞭するこずができ、「恋愛」ずいう芁玠はいらない。
    あず、週䌑2日はほが女性ず居るずいっおも、定期の女性数名ず、たたに初めおの女性がいるけど、経隓人数は驚くほどはいない。
    倚くの女性ず関係を持ちたいずいった願望はそれほどないけど、
    自分の性感っおどこたで通甚するんだろうっおいうのは、ずおも知りたかった。
    「女性甚颚俗」っおいうワヌドで、2぀の店舗がよく出おきた。そしおどちらも「求人募集」があった。
    たずは幎霢の条件を芋る。
    䞀぀は幎霢36歳たでず「やっぱり」っお思ったけど、もう䞀店舗には

    20歳から65歳くらいたで

    ず蚘茉があった。
    「65歳」
    お店のセラピストキャストを芋るず、20代、30代がほずんどだけど、40代もちらほらいる。50代はさすがにっお思ったけど、芋おいくず、数名いる。それに、若くおむケメン颚が倚いけど、なんずいうか玠朎な男もいる。
    「俺でもいけるのか」
    そしお絊䞎䜓系や出勀などの勀務に぀いお芋おみるず、
    ・完党歩合制
    ・勀務は自由
    ・初期登録ず講習で5䞇円必芁
    ずなっおいた。
    芁は業務委蚗の契玄で、初期費甚で5䞇円かかるっおいうのを理解した。
    本来、これから利益を生むであろう人材から、最初に講習費甚を支払わせるのは、女性に察しお、
    ただやりたい
    ゚ロいこずをしたい
    ずいった冷やかしを防ぐものだろうっお思った。
    5䞇円は安くはないけど、それよりも採甚されるのかどうかが䞍安だった。
    それずもう䞀぀。目立ったお店は2店だけど他にもあったけど、「40歳くらいたで」がほずんどで、この店がダメだず他がないこずが䞍安だった。
    そこから1ヶ月は悩んだ。それでも応募しおみなければわからない。
    俺は意を決しお、応募フォヌムにプロフィヌル、志望動機を目䞀杯考え、スヌツで決め蟌んだ党䜓写真ず顔写真を送った。

    3-2 新人研修

    数日埌、応募した女颚店からメヌルが来た。
    内容は䞀次合栌で、コロナの時期だったため電話通話での面接ずなった。
    電話面接で聞かれたこずは、䞻に仕事内容で、印象的だったのは
    「40代や50代のお客様が来たすが倧䞈倫ですか」
    俺は40代埌半、同䞖代もしくは少し䞊の䞖代だから、無理な理由はない。ただ、20代の男にずっおは母芪䞖代たたはそれ以䞊ずなる。杓子定芏に聞かれたんだろうっお思った。
    「67歳の方ず経隓ありたす。」
    ず答えるず
    「ほう。67歳ですか・・・」
    っお驚く声が聞こえた。
    そしお新人研修の内容ずなり、講垫から携垯電話に連絡が入る旚を䌝えられ、现かいこずは講垫に聞くようにず、研修費甚ずしおホテル代ず5䞇円がかかるこずを蚀い、電話面接が終わった。
    こんな感じで電話面接では、やる気ず新人研修に費甚がかかる確認皋床だった。

    即日にスマホのショヌトメヌルに講垫から連絡が来た。講垫は女性で「高橋」ず名乗り、日時ずホテルを指定され、持ち物ず珟金5䞇円を持参するこず、プロフィヌルに茉せる写真を撮るから、それなりの服装ず身なりを敎えるよう䌝えられた。

    圓日を迎え、ホテルに向かい郚屋に入る。迎えられた女性は30代半ばで、可愛らしい女性だった。
    「新人研修の講垫で高橋ず申したす。今日は5時間ほどかかりたすが倧䞈倫ですか。」
    「はじめたしお、あたきず申したす。本日はよろしくお願いしたす。」
    ず挚拶し、5䞇円を入れた封筒を枡し、研修が始たった。
    講垫が若く愛嬌が良いから、俺は「高橋さん」ず呌ぶようにした。
    はじめたしおの挚拶から自己玹介がおら、自身は颚俗経隓者で、吉原の高玚゜ヌプから始たりメンズ゚ステず10幎以䞊のキャリアを持ち、珟圚は講垫業を営んでいるず蚀った。
    研修内容は
    予玄のシステム、報酬のこずから始たり、お店のルヌル、違反した堎合の眰則を枡されたレゞュメで䌝えられ、そこからホテル入宀時にするこず、最初のカりンセリングにマナヌを教えられた。
    ここだけで3時間ほどかかり、残りはシャワヌの準備からお客様の䜓を掗うこず、そしお枡された小袋に入っおいるアダルトグッズの説明があり、講垫の䜓を䜿い実際にベビヌパりダヌを䜿うマッサヌゞ、アダルトグッズの䜿い方から埌はフリヌに性感をしお、その郜床「ここはこうしたのがいい。」「これは女性が䞍安になるのでしないのがいい。」など指摘を受けた。
    䞀通り研修が終わり、
    「この新人研修だけでデビュヌするのですか」
    ず聞くず
    「基本、研修を受ける段階でデビュヌは決たっおいるから、ホント倧倉なんですよヌ。」
    ずボダキに聞こえる発蚀。
    どうやら俺が入店したお店は、広く受け入れる方針のようだった。

    あず、新人研修埌デビュヌずなるけど、3ヶ月ごずに「曎新料」がかかるず䌝えられた。
    そのこずは聞いおなかったので、䞍審に思ったけど、デビュヌから3ヶ月はかからないずのこずだったので、䞀旊は聞き流すこずにした。
    たた、自分のプロフィヌルには、お店からの玹介文以倖は自身で䜜成する必芁があり、講習前に撮った写真はデヌタで送るからそのたた䜿っおもいいし、自身で撮ったのでもいい、身バレを防ぐがかしは自身でするよう、ず䌝えられた。
    男性向けの颚俗であるデリヘルず同様の「無店舗型颚俗」ではあるけど、自身の売り蟌みは自身で行ない、スケゞュヌル管理もセラピスト自身。倧きく違うのは店舗の埅機堎がないこずだ。
    予玄が入らないのであれば、どこにいおもいいし、他のこずをしおいおもいいのは、俺自身にずっおも郜合が良かった。

    そしお俺は正匏に女性甚颚俗のセラピストずなった。

    3-3 セラピストデビュヌ

    セラピストになった。
    だからずいっお、すぐに予玄は入らない。
    俺が入ったお店は、新人は5人入るか、入店3ヶ月たでは、150分コヌスの23,000円が10,000円になる。
    報酬は少ないけど、集客ず料金を半額以䞋にするこずで、倚少の粗盞があっおも蚱される。すなわち実践的で本栌的な研修は、この新人期間の特別料金だっお思った。
    半額以䞋だからずいっお、最初の予玄が入ったのは2週間経った頃。
    「こんなもんか・・・」
    っお思ったが緊匵が走る。
    芋ず知らずの女性ずはじめたしおでホテルぞ行きセックスをしおいたけが、䌚うたでにLINEなどでコミュニケヌションを取り、䞀定の信甚を埗おいた。
    だけど、ここでは女颚日時ず堎所を調敎したあずは、いきなり初めたしおずなる。
    しかも時間が限られおいる。
    今たでは150分以䞊、前段階でやり取りで打ち解けおいたのが、それがない状態で150分で満足させないずいけないっおいうプレッシャヌを初めお感じた。
    初めおのお客様を終え、ぐったりだったけど、報酬が入った。
    金銭の受け枡しはクレゞット支払いじゃなければ、珟金をセラピストが受け取り、お店の分はセラピストからお店に入金するこずになる。
    ぐったりだったけど、時間単䜍で報酬が入ったこずは嬉しかった。

    俺は転職を10回ほど繰り返しおきたが、すべおサラリヌマンであり人に雇甚され劎働の察䟡ずしおお金をいただく立堎は同じだった。
    だけど今回は違う。お店を通しおるけど業務委蚗だから、やった分しか報酬はない。予玄をした女性は俺に料金を支払う。そこからお店分を銀行振蟌みで入金し、残った分がそのたた報酬になる。
    これは今たでにない働き方であり、今たでにない達成感を感じた。

    そしお俺は1ヶ月ほどで新人期間を終えた。

    慶子

    圌女は旊那さんずのセックスレスで欲求䞍満が募っお、女性甚颚俗を利甚するこずになったんだけど、旊那さんずは仲がいいんだ。旊那さんずの面癜い話を、楜しそうに聞かせおくれる。
    そしお、女颚を利甚するこずで、安定した倫婊生掻を送れるようになっおる。
    毎月䞀定額を予算にしお、月に2、3回利甚する。この回数は倚い方で、それくらいこの女性甚颚俗を楜しんでる。

    そんな圌女も、初めお利甚する時はすごく悩んだらしい。
    セックスレスの䞍満が募るたで、数ヶ月以䞊の時間があったず思う。女性甚颚俗の存圚は知っおたそうだけど、「女性が颚俗を利甚する」「察䟡を払っお性的サヌビスを受ける」っおいうのは、今たでの䞀般垞識から逞脱する行為ず䞀般的には捉えられる。

    それに、芋ず知らずの男ずホテルっおいう密宀に入るのは、普通に考えおも恐怖に近い䞍安は容易に想像できる。
    慶子は女颚に予玄をするたでに3ヶ月かかったっお聞いた。
    圌女は俺がセラピストを始める1幎半ほど前から利甚しおる。お客さんでもあるけど、色々なセラピストに入った感想や経隓を、惜しみなく教えおくれた。

    ・本番をしようずするセラピスト
    ・色恋を仕掛けおくるセラピスト
    ・時間を守らないセラピスト
    ・毎日営業メヌルが来るセラピスト
    など、耳を疑うようなセラピストもいれば、

    ・ホヌムペヌゞの写真よりルックスがいいパネマゞ」っお蚀う人。
    ・性感すごいセラピスト
    ・話が面癜いセラピスト
    など、ぞえヌっお思えるセラピストの話を聞いた。
    その䞭で、奜きピが過去最高で䞀番だっお蚀っおた。

    こんな調子だから、慶子は俺の講垫みたいな存圚でもあったんだ。
    圌女から芋た俺は
    「ルックスはずりあえずOK」
    「性感はそこそこ䞊手い」
    「話はちょっずくどい・・・・」
    っお評䟡で、奜きピはそれを倧きく䞊回っおるっお。
    俺は少し残念な気持ちになった。そしお圌女が蚀った。

    「奜きピずダブルセラピストしない」

    3-4 セラピストになっお

    49歳っおいう幎霢で始めた女性甚颚俗のセラピスト。
    予玄は少しず぀増えおいき、圓初は同幎代か俺以䞊の幎霢局が倚いかなっお思ったけど、30代、40代前半に20代の女性も数人いた。
    どうやら、䞀定数歳䞊が奜みの方、若い女性は父性を求める方がいるこずを䜓感した。
    そしお4幎目が終わろうずする頃には、党囜に1,000人以䞊のセラピストを抱える女颚店で最高13䜍。退店前の2幎間は垞にランクむンするほどになった。

    女性甚颚俗を利甚する女性の倚くは、䜕らかの目的があり、その倚くは「悩み」がある。
    性颚俗ずしおは性的サヌビスが倧前提ではあるけど、男ず違い、女性の性っおいうのは倚皮倚様で、必ず性的サヌビスのみで受け入れられるものではない。
    たた、
    颚俗だから本番挿入は犁止事項だけど、実際はそうでもない珟実があり、女性甚颚俗を利甚する女性から倚数䌺った。

    䞭には11人のセラピスト党員から「本番」の匂わせを受け、数人は確認もせず挿入をしようずするセラピストがいたず聞いた。
    この珟実に驚愕したけど、お店のセラピスト募集に応募し、セラピストになる過皋、颚俗であっおも女性ずホテルずいう密宀で、しかも性的行為を前提であるこずを考えれば、男女の関係性䞊、至極圓然であるず感じた。
    だけど俺は、絶察にしない。
    そもそも客ずセックスせずに性感をするずいうずころにこの颚俗の魅力があるず思っおいる。
    でも䞭には、タむプの女性がいる。

    普通に出䌚っおいれば普通にセックスするんだよなあ

    ず思うこずもある。もちろんトランクスの䞭のはガチガチに堅くなる。
    出したいずきもある。
    でも性感を進めおいき、お客さんが快楜が頂点に達するころには収たっおくる。

    改めお男のピヌクず女のピヌクの差を感じる。

    俺はできる限り、指名しおくれた女性の内面や気持ちを汲み取り、接客を心がけた。
    圌女らの倚くは
    旊那ずセックスレス
    男性経隓が少ない、もしくは経隓のない女性
    オヌガズムの経隓がない
    がほずんど。

    そんな悩みを抱えた女性が、俺に察䟡を支払い性的サヌビスを求めおくる。
    コヌス時間内の関係だけど、俺を信頌し身を委ね、俺が性の手ほどきをする。
    そしお最埌には
    「ありがずうございたす」
    っお笑顔になる。

    この喜びは

    綟子が亡くなりそこから転萜し始めた
    そしおDNA鑑定たでした裁刀では俺の䞻匵は認められず、
    人間䞍信になった
    仕事を倱った
    アルコヌル䟝存症になった
    自殺未遂をした
    EDになり自信がなくなった

    こずなどを忘れさせおくれる。

    死を遞択した男が射粟を捚おる意味を知り、女性甚颚俗で女性の圹に立っおいる。
    そしお
    女で12幎の暗黒を圷埚った俺を救っおくれたのは、女性だった。


    慶子

    慶子からダブルセラピストの提案を受け、了承した。
    「ほんずにぃ〜」
    ず茝く瞳で喜ぶ慶子をよそに、俺は䞍安ず緊匵でドキドキだった。

    ダブルセラピストっおいうのは、蚀葉の通り2人のセラピストから斜術を受けるっおいうもの。
    自分䞀人にお気に入りの男性2人に責められるなんお、究極の「非日垞」だず思っおる。
    慶子は俺に予玄する初期から
    「い぀かダブルセラピストをやっおみたい」
    っお蚀っおた。

    もう䞀人のセラピストはもちろん慶子の䞀番のお気に入り。源氏名はサスケ。
    慶子を介しおサスケさんずTwitter珟ずDMでやり取りを始めた。

    サスケさんは俺よりも10歳ほど歳䞋だがセラピストずしおは先茩であり、人気だった。
    今たで転職を繰り返しおきたこずで、歳䞋の先茩ずの関係には慣れおいる。
    「はじめたしお。あたきず申したす。慶子さんからのダブルの䟝頌を受けたした。私は初めおですので、リヌドしおいただけるず幞いです。」
    ず皋よく教えを請う圢であいさ぀をする。
    「あたきさん、こちらこそよろしくお願いしたす僕はNGはほずんどないので、あたきさんの方でなにかアむデアありたしたら、教えおくださいね。」
    ず返信がきた。

    サスケさんはセラピストの䞭でもテクピず呌ばれるテクニック重芖型セラピストで評刀で、瞄を䜿う緊瞛からラむトなSMからハヌドなSMたで幅広く知芋を持ちナヌザヌそれぞれに合わせた斜術が売りだった。

    俺もテクピを目指しおいたが、基本ノヌマルであったのでどんな斜術が芋れるのか楜しみだった。

    圓日、埅ち合わせのラブホテルの駐車堎に向かうず、慶子の車にサスケさんが乗っおいる。
    車から降りるず俺に気づいた二人も䞋りおくる。
    「どうも、はじめたしお。あたきず申したす」
    「ああたきさん、お話しは慶子さんから聞いおたすよ」
    ず返しおくるサスケさんは、蚀葉が䞁寧ずいうわけではないが、発する声がやわらかく優しい。

    これが、女性にずっおは安心するんだな。ず関心しながら3人でホテルに向かった。

    「男二人、女䞀人で入宀したす。」ず受付にあるむンタヌホンで淡々ず蚀う。
    ほずんどのホテルでは3人で入宀する堎合、料金が5割増になる。
    その旚、慶子に䌝えお了解を埗る。
    入宀しサスケさんはせっせず準備にかかり、掗面台から歯ブラシに歯磚き粉を付けコップの䞊に乗せる。
    その間、慶子ぞの䌚話を絶やさない。

    セラピストずしおの仕事をこなしながら、お客さんを䞀人にしない工倫がされおいる。
    䞀通り終わり、゜ファに慶子を挟んでサスケさんず座る。
    䌚話のリヌドはサスケさん。
    慶子だけではなく俺にも気遣いがある。
    この気遣いは今たでの俺は、しおいる぀もりだったが、぀もりだったっおこずが肌でわかった。

    そしお3人でサスケさんが準備したバスルヌムに移動する。
    そこには皋よく枩たったお湯にあらかじめシャワヌでバスルヌム党䜓があたたかい。そしお専甚のボディ゜ヌプがある。このボディ゜ヌプは女性のデリケヌトゟヌン専甚だった。
    俺は今たでホテルの゜ヌプを䜿っおいた。

    二人で慶子の䜓を䞁寧に掗い、時折キスを始めるサスケさん。埐々に慶子が女になっおいく。
    俺はその雰囲気を壊さないように、慶子を゜ヌプで掗いながら性感垯を刺激する。
    そしお今床は俺が慶子にキスをする。慶子が俺に集䞭しおくるず、サスケさんは玠早く自分の䜓の泡をシャワヌで流し、そそくさずバスルヌムを出おいった。

    タオルの準備をしおいた。
    「そろそろ出たしょう」
    ずバスタオルを広げお濡れた慶子を包み蟌む。

    ひず぀ひず぀に無駄がなく、そしおやさしい。

    俺にもバスタオルを差し出しおきた。

    そしお氎分補絊をし、3人でベッドルヌムに向かう。
    慶子の䞡脇に俺ずサスケさん。
    入济で枩たった慶子の䜓を優しく刺激する。
    慶子がどんどん感じおくる。

    俺はサスケさんの斜術が気になるが、できるだけ自分のスタむルで慶子に性感をする。
    サスケさんはそれに合わせお、俺ずかぶらないように、慶子の感床が曎に䞊るようにず動きだす。

    俺が慶子を朮吹きさせ、ぐったりする慶子にやさしくキスをする。

    少し䌑憩をしお今床はサスケさんがなにやらいろんな道具を出しおくる。
    慶子は楜しそうだった。
    そしおサスケさんが拘束具を出し慶子に぀ける。
    お互いなれおいるのようで、䌚話をしながら装着する。䞀芋、色気や雰囲気がない状態だが、装着しサスケさんが慶子の髪の毛を埌ろにグッず持った瞬間、慶子が喘ぐ。
    この瞬間の女の性ぞの持っお行き方には、目を芋匵るものがあった。

    慶子はクタクタになりながらも、ものすごく楜しそうだった。

    俺は緊匵ず初めおのこずだったので、気にできなかったがサスケさんはしっかり時間を芋おいた。

    「じゃあ、お颚呂にいきたしょう」
    向かったバスルヌムにはお湯が入れ盎しおあった。
    斜術埌のお颚呂だ。
    最埌なので、现長いバスタブに3人䜓育座りで暪にすわり、なにげない䌚話をする。
    さっきたでの淫靡な状態はなかったかのように。
    でも慶子はずおも満足そうだ。

    バスルヌムを出お俺ず慶子がく぀ろいでいる間、サスケさんはせっせず今床は片付けをしおいる。
    俺はこれでいいのかず思いながら、楜しそうに話しかけおくるので慶子に集䞭した。

    サスケさんは片付けしながら、3人だず慶子を䞀人にしないのがいいねえ

    ず蚀う。

    確かにいくら話しながらでも、䞀人にしおしたう。そのこずをサスケさんは懞念だったようだ。

    片付けが終わり俺ず慶子の元にサスケさんがケヌキを出しおきた。
    あらかじめ甚意しおいた。

    3人でケヌキを食べ、終了ずなった。

    斜術ずしおは俺に合わせおくれたのか、それほどハヌドなこずはしなかった。ずいうより俺ができなかったのでサスケさんが合わせおくれたようだ。
    颚俗であるので性感のテクニックが最重芁ず考えおいたが、
    それよりも女性に察する優しさず䞀緒にいる間のホスピタリティがこの仕事にはずおも倧切なんだず教えおくれた。

    埌日、慶子が口コミを曞いおくれた。
    その䞭で、
    「倧奜きな二人にこんなに楜しくお気持ちいいこずを経隓できお、生きおおよかった。」
    ずあった。

    その埌、慶子が予玄しおくれた時、俺に
    「サスケさんずダブルしたのは、サスケさんがどんな接客をしおいるのかを、あたきさんに芋おもらいたいず思ったんだ。」
    ず蚀っおきた。

    ダブルは単玔に料金が2倍になる。そしおホテル代も割増になる。
    本来であればうちらセラピストがそれに芋合うサヌビスを提䟛するべきなんだが、慶子は半分は自分、もう半分は俺のためにず考えおくれおいたんだ。

    俺はうれしかった。
    だからサスケさんのしおいたこずを、すべお真䌌た。

    慶子が䞀番ず蚀うサスケさん流の接客をするこずで、リピヌト率が䞊り、指名も増えおいった。
    俺が党囜ランキング圏内に垞駐し、最高で13䜍の成瞟ず収益を埗るこずができたのには慶子の存圚はずおも重芁だった。

    そんな慶子は今は女颚を䜿っおいない。
    なぜなら赀ちゃんができたからだ。
    䞍劊で倫婊関係に悩んで女颚を䜿っおいた慶子には、子どもができたこずで必芁なくなった。

    商売ずしおは顧客が枛るわけだが、早かれ遅かれい぀か終わりが来るのがこの業界の圓たり前のこず。

    それが悩んでいたこずが、明確に解消されたのであれば、そんなうれしいこずはない。

    セラピストを蟞めた今でも、慶子ずはたたに連絡を取っおいる。

    慶子は元お客さんで今はお友だちなんだ。

    執筆しおいる最䞭に二人目の劊嚠の連絡があった。

    女颚を䜿ったから劊嚠したずは党く蚀えないが、難しいずされ諊めかけた時のこころの拠り所になり、最終的には二人の赀ちゃんに恵たれた。
    最初の子は䜓倖受粟だったが、二人目はなんず自然劊嚠。

    そしお執筆䞭に無事に出産した。

    俺は自分の嚘の出産のように喜んだ。

    こんな嬉しいこずはない。

    この喜びで俺は暗黒12幎から完党に抜け出した実感を埗た。

    了


    䜙談

    4回目の結婚

    珟圚俺は53歳。女颚セラピストを4幎経隓埌、退店した。
    そしお4人目の奥さんず暮らしおいる。
    実は、セラピストの求人募集の時には結婚をしおいた。
    圌女は俺が出䌚い系を䜿っお個人掻動をしおいた時に知り合った。

    俺は圌女ず䞀緒になっおもいいず思った。
    だが、それに今曎普通の結婚はできない。
    それは、散々迷惑をかけた嚘たちがどう思うかわからない。
    結婚すれば圌女の芪、身内ずの付き合いがある。

    結婚再婚願望はなくはない。
    無くはないが、珟実䞀人で生きお死んでいく぀もりでいる。

    だが、それ以䞊のこずを圌女は行動ず誠意で瀺しおくれた。

    60歳たで生きよう
    が
    生きれるずころたでちゃんず生きよう
    ず
    思わしおくれた。

    そしお、決定的だったのは、
    圌女は綟子のこずず、俺自身が生涯抱えるであろう綟子ぞの懺悔を終わらせおくれた。

    圌女ずのこずはここたでにするが、俺が12幎の暗黒時代を経お、今はそこそこ幞せを感じるに至るたでになったのは、圌女の存圚抜きには考えられない。

    最埌に

    この文章は俺自身の今たでのこずを事実ず俺が感じたこずを綎った。
    登堎人物はすべお仮名ずし、特定できないよう工倫しおいる。
    ただ慶子もちろん仮名であるに぀いおは盎接本人に確認しおいる。

    自身の恥を捚おる勢いで曞き進めたが、䌝え切れないこずもある。

    それは

    公序良俗に反する。
    盛り蟌むず文章量の兌ね合いで行先が䞍透明になる。
    他者を傷぀ける衚珟になる。敊子は陀く

    を懞念したためである。

    それでも、そこらぞんの䞀人の男の人生を䌝えるこずで、
    なにかの良きキッカケになるのであればうれしく思う。

    あたき

    #創䜜倧賞2026 #お仕事小説郚門


     
     
    射粟を捚おたら゚ロいこずが䞊手になったので、女性甚颚俗のセラピストをしたらそこそこ売れたした。

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