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ごめんよ、自転車|エッセイ

    中学生の頃、遅刻しそうになった。

    当時、私の学校は自転車通学禁止。

    見つかったら先生のビンタが待っている。

    今では考えられない話だが、本当である。

    だが、この日は、どうしても遅刻が出来なかった。

    「仕方ない!」


    私は自転車で学校へ向かった。

    学校の近くまで来て困った。

    通学路の両側は、見渡す限り田んぼ。

    隠す場所がどこにもない。

    このままでは見つかってしまう。

    歩道の淵へとめた。

    これじゃ目立つ。

    警察に見つかっても困る。

    私は自転車を歩道の奥へ押し始めた。


    「もう少し」


    「もう少し奥なら」


    そう思って押した、その瞬間だった。


    ゴロッ。


    「あっ……」


    次の瞬間、

    ガラガラガラガラ……

    私の自転車は、二メートルほど下の田んぼへ吸い込まれるように転がり落ちていった。

    乾いた田んぼの上にガジャーンと寝そべった。

    「うわー! やっちゃった……」


    私はその一部始終を、ライブで見届けた。

    どうしよう……

    自転車か。
    遅刻か。

    一分一秒を争う場面で

    悩んだ時間は、たぶん〇・五秒。

    あきらめた!

    私は自転車を田んぼに置き去りにして、学校へ走った。

    ギリギリ間に合った。

    だが、その日一日は、授業どころではなかった。

    頭の中は、自転車のことでいっぱいだった。

    壊れていないだろうか。

    誰かに見つかっていないだろうか。

    気になって仕方がない。


    放課後、急いで田んぼへ向かった。

    恐る恐る下を覗くと、自転車はちゃんとそこに残っていた。

    ――良かったぁ

    土手をスタタタと下りて行く。

    幸い壊れてもいない。


    ごめんよ、自転車。


    ――これ、一人で歩道まで引っ張り上げないといかん、はあ……

    やっとの思いで引き上げた時は、もうヘトヘトだった。

    自転車を漕ぎながら思った。


    この手は絶対無理だ。

    二度目はない。


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    ☆おまけ
    AIに表紙をお願いしたら、イメージと全く違うイラストが出てきました。そして、なぜか外なのに本が積み上がってる。

    私には理由は分かりません。

    でも、その不思議な一枚を見ていたら、

    「人の心って、おもしろい。だから知りたい。」

    そんな言葉が書いてありました。

    もしかして、AIの心の声かな?と思って聞いたら、
    心はないから。と言われてしまい😅

    でも、嬉しかったよ、ありがとう😊と言ってくれました。

    結局、表紙には別のイラストを使いましたが、
    この一枚も、私は好きなので、残しておきます。

    #エッセイ #昭和 #自転車 #中学生 #田んぼ #通学 #実話

     
     
    ※DM・メールは受け付けていません。1日の終わりに人の心をぽっと照らす電球のような、小さな物語やエッセイを書いています。 少し切なくて、少し愛おしくて。 なぜか笑われることもあります。 良かったら、手を止めて読んでいって下さい☺️