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【企画SS】悲しみの風景

    あると

    「今日は魚たちも機嫌がいいといいなあ」
    と海人《かいと》は、小さな漁船に乗り込むと、そっと独り言をつぶやきました。穏やかな海が広がり、太陽の光が水面に宝石のように輝いていました。船を漕ぎながら、幼い頃に祖父と一緒に過ごした海の記憶がふっと蘇ります。

    「あの頃、祖父はなんでも知っていた。潮の流れ、魚の名前、そして海が持つ神秘的な力まで。まるで魔法のようだったな」
    と海人は微笑みながらつぶやきました。

    網を海に投げ込み、じっと待つ間、祖父の言葉が耳元で聞こえるようでした。
    「海人、海はね、怒ることもあるけど、必ず穏やかになる。そしてね、どんな困難でも乗り越えられる強い命が、海には宿っているんだ。」

    やがて海人は網を引き上げ、たくさんの魚が捕まっているのを見てほっとしました。しかし、網の中に一匹だけ見慣れない魚が混ざっていました。宝石のように輝くその魚を見つけた瞬間、海人の心は驚きと喜びに満ちました。

    「こんな美しい魚、見たことがないぞ…お前はまるで希望そのものだな」
    と、海人はその魚を大切に持ち帰り、水槽にそっと入れました。水槽の中で優雅に泳ぐ魚を見つめるたびに、祖父の言葉が心に染み渡ります。

    「希望、お前はただの魚じゃない。お前を見るたびに、祖父が教えてくれたことを思い出すよ。」
    海人は愛情を込めて魚に語りかけました。

    それから毎日、海人は希望の魚を思い浮かべながら海へ出かけました。時に荒れる海にも、希望の魚の姿を思い浮かべて、
    「祖父が言っていた通りだ。困難の後には、静けさが必ず訪れる」
    と力強く網を投げ続けます。

    そして、希望の魚と穏やかな海が生み出す奇跡的な日々の中で、海人は深い幸せを感じていました。希望が彼を支え続け、どんな波にも乗り越える力を与え続けてくれたのです。

    (文字数:735字)

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    #タイトルから書く文芸賞


     
     
     
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