
母の愚痴を聞くのは、娘の役目なんだろうか。
実家にたまに顔を出す。
決まって母は、父がいる前で父の足りないところを私に話してくる。
父は耳が遠いとは言うけれど、
きっと聞こえている。
昔からそうだった。
私は争いごとが苦手だ。
だから正直、
その話を聞くのがしんどい。
聞いたところで、
父を嫌いになるわけでもないし、
母の気持ちが軽くなるわけでもない。
ただ、自分の心の中に
少しずつ重たいものが積もっていく。
でも、聞かなかったら母はどうなるんだろう。
ストレスが溜まるんじゃないか。
私が受け止めなきゃいけないんじゃないか。
そんなことまで考えてしまう。
そこで気づいた。
これも境界線なんだ。
母の感情は母のもの。
私の役目は、
母の感情を全部引き受けることではない。
もちろん話を聞く日があってもいい。
でも、「聞かなきゃいけない」と思ってしまうと、
それは優しさではなく義務になってしまう。
相手は大人。
私が一度話を聞かなかったからといって、
世界が変わるわけじゃない。
もしかしたら本人は、
ただその場で口にしているだけなのかもしれない。
だから私は、
少しずつ「聞けるときは聞く。でも聞けない日は聞かない。」
そんな距離感を練習していこうと思う。
優しい人ほど、
相手の感情まで抱えようとしてしまう。
でも、自分の心を守ることも、
同じくらい大切なんだと思う。