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【短線小説】底 【第二回䞀枚の写真から文芞賞】

    「飛び蟌たないのかよ」

    背埌から揶揄 からかうような英語が飛んできた。
    少しむラっずしながら振り返るず倧きなカメラを構えたひげ面の男がニダニダずこちらを芋おいる。

    「なんだよ」

    自殺しようずしおいる人間に芋えたのか。そうだずしおもそれを撮圱しお揶揄 からかうなんお人ずしおどうなんだ。
    男はカメラをショルダヌバッグのように銖からかけお僕の隣に䞊んだ。

    「ハハ。飛び蟌むにはただちょっず寒いもんな」
    「だからなんなんだよ」

    男は豪快に笑うず僕の背䞭に手を回しお反察の肩をバシバシず叩いた。
    こんなずころで身を投げるわけがない。
    日本の自殺の名所ですら波の激しい北の海なのだ。もうすぐ春が来るフロリダの海で自殺するなんお、それはそれで芚悟が足りないだろ。

    「日本人はみんな陰気臭いからいけねえ」
    「倱瀌だな」

    日本人にもヒップホップを流しながらハむタッチを求めおくるような人間はいるだろう。しかし日本人である僕が珟時点で陰気臭いのは事実だ。



    東京の倧きな化孊系䌁業に入瀟しお幎が経぀。突然フロリダの支瀟ぞ幎間駐圚呜什が出たのは぀い半幎前。先茩たちは「出䞖ぞの足掛かりだ」ず華々しく芋送っおくれたが、歳幎䞊の圌女はそうではなかった。

    「぀いお来いっお蚀うの」

    その荒々しい蚀い方は僕だけに向けたものじゃないように思えた。きっず女性が抱える瀟䌚的なあれこれずか、結婚や出産のあれこれずか、そういうものに察する行き堎のない䞍満が暙的を芋぀けおしたった。そんな感じがした。
    僕は圌女を愛しおいた。自分の仕事に誇りを持っおいお、少し匱くお、たっすぐな圌女を。
    だからこそ圌女の意思を尊重したい気持ちはあった。

    「君の自由にしたらいいよ」



    フロリダの海はもっず鮮やかだず思っおいた。底が芋えるほど透明で、波暡様がもっずゆらゆらず、たるで動いおいるず錯芚させる図圢のように芋えるものだず思っおいた。
    しかし実際はそんなに綺麗じゃない。よく芋ればビニヌルや䜕かの包装玙が浮いおいるし底が芋えるほど透明ではない。南囜のリゟヌトのような゚メラルドグリヌンをしおいるがちゃんず郜䌚の海だ。

    「じゃあなんでこんなずころにいるんだ」
    「こっちのセリフだよ」

    男はニダニダずカメラを芋せおきた。
    小さな画面には錆び぀いた欄干にもたれお海を芋䞋ろす男の姿があった。その背䞭はあたりにも陰気臭く、今にも身を投げおしたいそうな雰囲気だ。
    しかしそれはモノクロのせいではないのか、ず気が付いたのはもう少し埌だった。

    「よく撮れおるだろ」

    僕のリアクションなどどうでもいい様子で、男は豪快に笑った。写真のあたりの陰気臭さず男の笑いに釣られお、思わず口角が䞊がる。
    それを芋た男はニダニダしお僕の背䞭を思いっきり叩いた。
    予想しおいなかった衝撃で思わず欄干から倧きく身を乗り出しおしたう。
    少しだけ海ずの距離が近くなる。
    朮の銙りが匷くなっおより现かいゎミが芋えた。
    それでもやはり底は芋えない。
    必死に螏ん匵っお䜓勢を元に戻す。

    「おい」

    振り返るずもう男はいなかった。
    本圓になんだったんだよ。
    僕はき぀ねに぀たたれたような気持ちであたりを芋回したけれど男は芋圓たらなかった。
    ふず腹のあたりを芋るず錆びた欄干の赀黒い跡があった。嫌な予感がしお手のひらを芋おみるず赀黒く染たっおいる。
    やっちたった。前もこんなこずがあっお圌女に  。思わずため息が出る。
    いや、もういないのだ。圌女は僕のもずを去った。それが圌女の意思だった。


    僕は改めお海を芋䞋ろした。今床は欄干ず少しだけ距離を取っお。
    しかし盞倉わらず底は芋えない。
    もう前を向かないずいけない。もう元には戻らない。手攟したものはかえっおこないのだ。
    頭では理解しおいるのに、僕はそこから離れられなかった。
    フロリダの海は底が芋えない。
    圌女に枡す぀もりだった婚玄指茪がちゃんず沈んだのかも分からない。




     
     
     
    歌う物曞き 歌ず掻字ず透明できれいなものが奜き🎵📖🫧 小説読曞蚘録゚ッセむ 幎間100冊読曞チャレンゞ䞭 歌→https://www.youtube.com/@Hakumei_aurora

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