「祠 飛翔」
祠 飛翔」 あらすじ
昭和初期、神社の宮司の家に生まれた少年・阿川久次郎は、法隆寺の名棟梁に憧れ、十二歳で故郷秋田を飛び出す。奈良での厳しい修行を経て宮大工となった久次郎は、故郷に戻り、自らの工匠集団「阿組」を立ち上げる。しかし、幸せな日々は長く続かなかった。最愛の娘・敏子を幼くして失う。
深い悲しみの中、久次郎は娘の魂を慰めるため、一基の祠を建てることを決意する。それは父としての祈りであり、宮大工として培ってきた技術のすべてを注ぎ込む仕事でもあった。だが完成した祠は、移設工事で思いもよらぬ大事故を招き、仲間の命と築き上げた信頼を危機にさらす。
喪失、挫折、そして再生――。一人の宮大工職人が、祈りと技で未来を切り開き成長していく姿を描く長編小説。