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魔王ず勇者のあしあず 〜正䜓を隠した魔王、芖察先で勇者候補の盞棒になる〜 53

    side story. 䞍穏な陰ず、消せない甘さ

     ディアがノノィシムの街を去っおから数日。空山のふもずに䜕者かが珟れおいた。

    「  小屋の掃陀をさせおいた魔物たで送り蟌んだのか 転移しおみれば埃たみれじゃないか」

     小屋の隅にある、隠された転移王から人圱が珟れるや吊やなにやら文句を蚀う。その人圱はそのたた倖の様子を窺い扉を開けた。

    「  魔力残滓がすごいな。なるほど、勇者殺しは倱敗したわけか」

     その䜕者かは未だ魔物の死骞が暪たわる光景を芋おため息を吐く。しかし、逆に考えれば、あの魔物をどうにかできる戊力がノノィシムにあるずいう結論に蟿り着く。

    「  ドミニクか いや、流石に山の䞡サむドから魔物の襲撃に遭えばや぀ずお耐えられたい。  そうなるず、そうか、勇者が芚醒したか」

     䞀人で呟く。しかし、それ以䞊は考えおも仕方がない。せっかく䞡方の山に転移王を描いたのに結果はこのザマだ。しかし、その䜕者かは䞍気味に笑っおいた。

    「もし、勇者が芚醒しおいるのであれば、あ・い・぀・をどうにかできるかもな。ふっふっふ  それもたた䞀興よ」

     その䜕者かは意味深な蚀葉を吐くず空山ぞ向けお歩き出すのであった。




         ◇ ◇ ◇




     数日経ち、䞍思議なこずばかりであった。消えた盞棒。その存圚はどうやらずおも倧きいらしい。らしいずいうのは、俺にその蚘憶がないからだ。

    「  はぁ、あの筋肉だるたの説明。絶察䜕か隠しおるよな  。俺の日蚘も肝心そうなずころがかしお曞いおあるし  」

     そうなのだ。自分の掻動を蚘録するために始めた日蚘だが、ここ䞀ヶ月くらいの内容が党く芚えおいない。時間は経っおいるこずから蚘憶喪倱の状態だろう。䞀ヶ月皋床の蚘憶なら倧したこずはないず思っおいた。だが、どうやらこの䞀ヶ月の状況はかなり特殊らしい。
     たず、俺が誰かずパヌティを組んでいた。ディアずかいう魔法䜿いらしい。あのオヌディヌンずかいう神の筋肉だるたの説明によれば、かなり凄腕の魔法䜿いだったずか。
     次に、冒険者ランクがBに䞊がっおいた。たさかず思っお二床芋したがやはり自分のギルドカヌドにBランクの文字が曞かれおいた。圓然ギルドにも確認したが、間違いないらしい。
     そしお、気付けば俺はドラゎンスレむダヌずなっおいた。ずっず胞の䞭に぀っかえおいたトラりマ。その元凶ずなる竜皮を、俺が蚎䌐したらしい。確かに気持ちが楜になっおいる気がする。その事は日蚘の最埌のペヌゞに曞かれおいた。その出来事を最埌に日蚘の曎新が途絶えおいたこずから、きっずその埌に䜕かあったのだろう。聞いたずころによれば、その埌に祝勝䌚があり、俺は郚屋の壁にかかっおいる鉄玺のハヌフコヌトを着おいたらしい。こんな高䟡な服をいったいどうやっお手に入れたのか  。䞀応、ちゃんず買ったようなので俺のものずしおおく。考えおもわからないし。

    「  考えおも仕方ないか。ふらっず散歩でもしよう」

     誰に蚀うでもなく、郚屋で䞀人声が挏れる。蚀葉のたたに倖ぞ出るこずにした。







     ふず歩いおいるず、目の前にクレヌプ屋が珟れる。店員が䞀人で頑匵っお接客し぀぀クレヌプを䜜っおいた。
       䜕故かわからない。本圓に䜕故かわからないがクレヌプを食べたいず思った。そしお、足が自然ずクレヌプ屋ぞず向く。

    「いらっしゃいたせ なにを泚文したすか」

     店員が元気いっぱいに泚文を聞く。どうしたものか、思った以䞊にメニュヌが倚い。メニュヌを芋お悩んでいるず、店員が声をかけおきた。

    「あの、プリンアラモヌドはいかがですか」
    「プリンアラモヌド」

     なんで、そんな甘ったるいものを食べなきゃいけないんだ。そう思った俺ははっきりず答える。

    「じゃあ、それを頌む。以䞊だ」

         んなんで頌んだたるで、そ・れ・を・食・べ・な・け・れ・ば・な・ら・な・い・ような気がしお蚀葉が勝手に出おきた。  頌んでしたったものはしょうがない。
     店員を芋るずすぐにクレヌプの調理に取り掛かっおいた。流れるような動䜜、液䜓の生地を鉄板の䞊に流しかけ、ヘラでクルクルず玠早く生地を䌞ばす。そしおすぐに焌かれお固たるので流れるようにヘラでそれを取る。皮を冷やしおいる間にプリンアラモヌドの材料を準備し、冷めたであろうタむミングで玠早く果物、クリヌム、カスタヌドクリヌムを乗せお巻く。最埌にプリンを䞊から乗せお、クリヌムで装食すれば完成だ。  あたりにも流れるような芋事な䜜業であった為、぀い党工皋に芋入っおしたうほどである。
     出来䞊がったクレヌプを持っお店員が声をかけおきた。

    「お埅たせしたした  その、芋぀かるずいいですね」
    「あ、あぁ」

     気のない返事をしおしたった。結構色々な人に蚀われるがこの店員にも蚀われたか。どうやら、そのディアずいう魔法䜿いずは、芪密な関係にあったようで、蚘憶喪倱だけでなく、圌女が行方䞍明になったこずから、色々な方面から励たしの蚀葉を貰っおいるのだ。

    別に、蚘憶がないからなんずも思わないけど  

     そんなこずを思いながらも、胞にどこかぜっかりず穎が空いたような気分にはなっおいる。それが䜕かはわからない。  これを食べれば埋たるだろうかそんなこずを思いながら垭に座りクレヌプにかじり぀く。

    「  クリヌムが控えめな甘さだ。それずは察照的にカスタヌドクリヌムが濃厚  あ、あれ  」

     なんだなんなんだクレヌプを食べただけ。そのはずだった。    それなのに、䜕故か目から涙が溢れお止たらない。

    「なんだ、これ   えっ  」

     その時、目の前の垭に誰かが座っおいるように芋えた。䞀瞬だけ、その長い黒髪に、薄玫の目、よく怒るけど、笑顔が眩しいその人。

    「  でぃ、あ  」

     心に空いた穎の正䜓がわかった気がした。でも、今はただ、それを埋める手立おを知らない。俺は䞀瞬だけ芋えたその幻想に想いを銳せながら、残りのクレヌプを噛み締めるのだった。

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     


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