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Photo byhimukai_an

限界を知った、その先で

    長く生きるほど、
    自分というものの輪郭は、
    少しずつはっきりしてくるように感じます。

    若い頃の私は、
    努力をすれば苦手なことも克服できる。

    経験を積めば、
    いつか理想の自分になれるのではないか。

    そんなふうに信じていました。

    でも、

    長い年月を重ねるうちに、
    少しずつ見えてくるものがあります。

    自分の強み。

    そして、自分の限界です。

    努力で伸びることはあります。

    けれど、
    どれだけ工夫を重ねても、
    自分の特性として
    付き合っていくしかないものもあります。

    発表で、頭が真っ白になり、
    うまく言葉が出なくなったことがありました。

    発表が終わった帰り道、
    「どうして私は、
    いつまでたってもこうなんだろう」。

    その言葉が、
    何度も頭の中を巡っていました。

    急いでいると、
    かえって空回りしてしまい、
    人より時間がかかることもあります。

    以前の私は、
    そんな自分を変えようと必死でした。

    「もっとできるようになりたい。」

    「みんなと同じようにできるようになりたい。」

    そう願って、もがいてきました。

    だから、
    自分には変えにくいものがあるのだと
    気づいたときは、
    正直、胸が痛みました。

    理想の自分を手放すことは、
    思っていた以上につらいことでした。

    もちろん、
    今でも完全に
    受け入れられたわけではありません。

    「もう少しできるようになりたい。」
    そう願う自分は、今もいます。

    せめて日常生活で困らないくらいには、
    できるようになりたい。

    そんな願いは、
    きっとこれからも持ち続けるのでしょう。

    でも、

    その願いと、
    「これが今の自分なんだ」
    という気持ちは、

    決して矛盾するものではないように思います。

    受け入れるということは、
    諦めることではありません。

    私はまだ、その途中です。

    何も望まなくなったわけではありません。

    それでも、
    「この自分で生きていこう」
    と思える日が、
    以前より増えてきました。

    そして不思議なことに、
    自分の限界が見えてくると同時に、
    自分の強みも見えるようになりました。

    何事にも誠実に、前向きに取り組めること。

    人の話を、じっくり聴けること。

    地道に、コツコツ努力を続けられること。

    できないことばかりに
    目を向けていた私にも、
    大切にしたい強みがあったのだと、
    ようやく思えるようになってきました。

    限界を知ることは、
    可能性を失うことではありません。
    自分の強みと限界、
    その両方を知ることで、
    自分というものの輪郭が、
    少しずつ見えてくる。

    そんなことなのかもしれません。

    限界を知った悲しみは、
    消えないのだと思います。

    でも、

    その悲しみを通り過ぎた先で、
    人はようやく、
    自分を
    まるごと受け入れられるのかもしれません。

    七夕の日。

    ありのままの自分を、
    少しずつ受け入れられるようになりたい。

    そんな願いを、

    そっと夜空に託しました。

    悲しみの先にあったのは、
    理想の自分ではなく、
    この自分とともに生きていこうとする、
    静かな覚悟でした。


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    元小学校教員(約20年)人見知りで、あがり症です。 40代で通信制大学(聖徳大学)での学びを経て、現在は心理学を大学院で学んでいます。 教育と心理のあいだで、人に寄り添う生き方を模索中。 「心の解像度を上げること」をテーマに、日常や内省を綴っています。

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