メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【第4回】米崎ライス入社説明会

    どうも、哲兄です。
    なんか様子のおかしいブラック企業群像劇『プロベーション・レポート』という作品を連載しています。

    複数回に及ぶ入社説明会、いいかげん皆さんも常務に飽きてきた頃合いでしょう。
    幸い、私の契約期間も残りわずかとなり、この会社の入社説明会に振り回されることもなくなると思うと大変喜ばしく思います。

    相も変わらず、いや最近では『出たがりおじさん』と化した烏丸常務より、今回もご参加の皆さまに向けてのご挨拶があるとのことでしたので、烏丸常務にご登壇いただきます。

    なお、今回は事務員を志望する方向けの説明会となりますのでご了承のほど、よろしくお願いいたします。

    それでは烏丸常務、よろしくお願いいたします。


    画像
    常務取締役・烏丸

    「諸君、第四回米崎ライス入社説明会へようこそ。

    今回も多くの方に集まっていただき、大変嬉しく思う。

    事務職を志望する諸君に向けて、私からも一言話をしておきたい。

    事務という仕事は、会社を陰から支える大切な仕事だ。
    営業のように外へ出て数字を作るわけではない。
    炊飯のように汗をかいて現場を回すわけでもない。
    だが、会社にとってなくてはならない仕事であることに変わりはない。

    電話対応、来客対応、伝票処理、請求書、給与明細、各種書類の整理。
    そうした一つ一つの積み重ねが、会社の信用を作っている。

    特に給与明細の配布などは、社員にとって月に一度の大切な機会だ。
    ただ紙を渡すだけと思ってはならん。
    日頃の働きに対する感謝、会社とのつながり、そういったものを感じる場でもある。

    最近では、何やらそのあたりについて細かいことを言う者もいるようだが、伝統というものには意味がある。
    もちろん、時代に合わせて変えるべきところは変える。
    だが、何でもかんでも効率化、簡略化すればいいというものではない。

    諸君には、まず基本を大切にしてほしい。

    挨拶。
    身だしなみ。
    電話の声。
    書類の正確さ。
    そして、上司や先輩への敬意。

    事務所は会社の顔だ。
    営業が外でどれだけ頑張っても、事務所の対応が悪ければ会社全体の印象が悪くなる。

    また、事務員には気配りも求められる。
    営業が忙しそうにしていれば声をかける。
    現場が困っていれば必要な書類を用意する。
    社員が疲れていれば、明るく迎える。
    そうした小さな心配りが、社内の空気を良くしていく。

    ただし、勘違いしてはいけない。
    事務は何でも屋ではない。
    しかし、会社全体を見て動く姿勢は必要だ。

    そのあたりは、弊社の事務長を見習うといい。
    少々堅いところはあるが、基本を大切にする立派な人物だ。
    社員からも厚い信頼を集めている。

    まあ、最近は妙な新入社員にあれこれ言われて、少し騒がしいこともあったがな。

    諸君には、そうした余計な波風に惑わされず、落ち着いて仕事に取り組んでもらいたい。

    素直さ。
    正確さ。
    気配り。
    そして、会社の伝統を大切にする心。

    それが、米崎ライスの事務員に求められる資質である。

    諸君らの入社を心より歓迎する。以上だ。」


    はい、烏丸常務、ありがとうございました。

    なんだろう。あまり言うことがないですね?
    とはいえ、給与明細の配布を『会社とのつながりを感じる場』と表現された点につきましては、外部広報としても強い不安を覚えます。

    それでは、入社説明会にご参加いただきました方は、出席確認代わりにスキを押していただけますと幸いです。
    コメント欄では引き続き配属希望部署も受け付けております。
    採用担当は未だに常務の烏丸が行なっておりますので、希望が通るとは限りません。


    では、今回は事務員を志望される方に向けて『経理部』のご案内をいたします。

    ・・・経理部なんてあったんですね。
    採用担当者が烏丸常務であるなら人事部なんてないだろう、とは推測していましたが一応経理部はあるようです。

    それにあたって事務長にお話を伺ってきたのですが・・・そもそも経理部長ではないんですね?
    不可解な会社です。

    画像
    事務長

    お話を伺うにあたり、事務長は早朝の公園にいる。と所在地を知らされておりましたのでお会いしてきました。
    私の罪がどうとか亡霊がどうとか、いまいち話の噛み合わない方ではありましたが、皆さまの頼れる上司にあたりますのでお見知り置きください。

    皆さまのご活躍をお祈りいたしております。


    それでは皆さん、今から入社オリエンテーションとなります。
    下部の『概要・目次』というリンクから順次、米崎ライス本社へと進んでいただきますようよろしくお願いいたします。

    『第0話/プロローグ』
    といたしまして、ごく短い時間ではありますが専務の高崎が会社の雰囲気等を語っておられます。
    その後はそのまま営業二課に向かっていただいても結構ですし、一度本社に戻り、直接早朝の公園に向かっていただいても結構です。

    事務長に会うには『第四章』と書かれた案内に沿ってご移動ください。
    事務長との面談が済みましたら一度本社にお戻りの上、『第一章』と書かれた案内から営業二課のOJTを受けられることをお勧めいたします。

    なお、現在皆さまは仮入社となっておりますのでこのまま退出していただいても結構です。
    今回ばかりはお勧めもしにくいのですが、度重なる不況でもはや選択肢がない、などの強い理由があれば、米崎ライスに入社されるのもまた一興かと存じます。

    その際は『フォロー』というところを押していただくと正式に米崎ライスへと入社できますので皆さま、是非ともそちらの正社員登用制度をご活用ください。

    定例の出社時刻は毎週水曜・土曜の21時頃となっております。

    皆さまと共に働けることを、米崎ライス社員一同、心より歓迎いたします。
    なお、入社後の労働環境につきましては本編にてご確認ください。

    それでは皆さま、入社説明会お疲れ様でした。

    下部のリンクより本社へとお進みください。

    米崎ライス
    本社オリエンテーションに進む
    概要・目次はこちら

    米崎ライス広報部
    過去の入社説明会を聞けます

    登場人物紹介はこちら
    おじさんスキガチャの人たちがいます

     
     
    元飲食業。 働く人たちの空気や、職場の歪みと妙な連帯感を書いています。 noteにて小説『プロベーション・レポート』連載中。 この度、作中企業である米崎ライス株式会社様より、外部広報のお仕事をいただきました。

    あなたへのおすすめ