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【詩】気付いてくれますように

    夕焼けの影が伸びる。
    誰もいない教室で
    僕の机の上に置かれた柴犬のキーホルダー。

    手に取ると、小さな鈴が揺れて
    君の声みたいで、
    理由もなく顔が熱くなる。

    まるで
    「持って帰っていいよ」
    と君がそっと置いたみたいに思えた。

    もし君の物じゃなかったら、
    きっと机に戻しただろう。
    でも僕は迷わず
    その子をポケットに入れた。
    手のひらの中に
    君がいる気がした。

    家へ向かう道の夕陽が
    今日はやけに眩しかった。
    君にどう渡そうか、
    そればかり考えてしまう自分が
    少しおかしくて、
    冷静な僕が小さく笑う。

    ──同じ頃。

    私は誰もいない教室に
    そっと足を踏み入れた。
    彼の机に
    柴犬のキーホルダーを置いた。
    もうすぐ冬休み。
    クリスマスはすぐそこ。
    話すきっかけを
    一度も作れなかったから
    最後の頼みを
    この子に託した。

    彼が気付いてくれますように。
    でも、
    気付いてもらえなくてもいい。

    彼の机にこの子を置いた。
    それだけで
    私の精一杯の証になる。

    夜空の星を見上げながら
    ぼんやり思った。
    あの柴犬の鈴は
    今どこかで揺れているのかな?

    明日の朝、
    教室の扉を開ける瞬間までの時間だけが
    永遠みたいに長かった。

    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

     
     
    詩と小説を書いています。 文字を読むことが好きです。 よろしくお願いします。

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