
【詩】気付いてくれますように
夕焼けの影が伸びる。
誰もいない教室で
僕の机の上に置かれた柴犬のキーホルダー。
手に取ると、小さな鈴が揺れて
君の声みたいで、
理由もなく顔が熱くなる。
まるで
「持って帰っていいよ」
と君がそっと置いたみたいに思えた。
もし君の物じゃなかったら、
きっと机に戻しただろう。
でも僕は迷わず
その子をポケットに入れた。
手のひらの中に
君がいる気がした。
家へ向かう道の夕陽が
今日はやけに眩しかった。
君にどう渡そうか、
そればかり考えてしまう自分が
少しおかしくて、
冷静な僕が小さく笑う。
──同じ頃。
私は誰もいない教室に
そっと足を踏み入れた。
彼の机に
柴犬のキーホルダーを置いた。
もうすぐ冬休み。
クリスマスはすぐそこ。
話すきっかけを
一度も作れなかったから
最後の頼みを
この子に託した。
彼が気付いてくれますように。
でも、
気付いてもらえなくてもいい。
彼の机にこの子を置いた。
それだけで
私の精一杯の証になる。
夜空の星を見上げながら
ぼんやり思った。
あの柴犬の鈴は
今どこかで揺れているのかな?
明日の朝、
教室の扉を開ける瞬間までの時間だけが
永遠みたいに長かった。