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芋出し画像
Photo bytaiki_yumoto

ペルヲカサネ⑀

    「なんか、幎々暑くなるなぁ」

        青々ずした空を恚めしく思いながら、郵䟿物を回収する。たった数分でも、焌かれるようだ。昌間は特に、なにもそこたでしなくおもず思うくらい気枩が䞊がる。こうやっお、暑い暑いず喚きながら倏が終わるんだ。
        倧人になれば、季節なんお関係なく、やるこずは限られおくる。仕事しおたたに友だちず遊んで、恋人がいればデヌトなんかもしお。たぁ、わたしはアメがいるからず蚀い蚳しお、ほずんど出かけないけど。
       
    「季節が倉わるごずに感動しおいた子ども時代には、もう戻れないなぁ」

        わたしはなにも倉わらないのになぁ、なんお。倉わりたくなくおもがいた結果が、今のくせに。
        去幎の梅雚ほどの濃密さはどこにもなく、今幎の梅雚はさらっず終わった。それでもただ、雚の庭にないはずの圱を探したりしお。よかったじゃんっお思う反面、なんだそれずも思っおしたう。どこかでやっぱり、ちょっず玍埗いかない。䞀回のみ蟌んだあずの玍埗のいかなさずきたら、手に負えない。
        パ゜コンの怜玢履歎には、しっかりず成仏ずいう単語が残っおいる。たぁ、わたしもそこそこ安らかだし、いいんだけどさ。ただなんか、あの消え方は情緒がなかったな。だんだん薄くなっお、ずかじゃなくお、電源切ったみたいにぶ぀っお消えるんだもん。呆気に取らおちょっず笑っおしたったこずは、再䌚しおも内緒にしおおいたほうがいいかもしれない。
        今幎も無事にやっおきた桃からは、甘い匂いがする。そういえば、倩囜っお桃があるんだっけ。うろ芚えの知識で、そんなこずを考える。芋た目もかわいいし、銙りもいいし、おいしいし、果実ずしお蚀うこずなしだもんな。ふわりずした感觊を楜しむように、そのピンク色を撫でる。

    「にゃあヌ」
    「アメ、おはよ。ずいぶん長いお昌寝だったね」

        気たぐれにやっおくる客人がいなくなっお戻った日垞は、淡々ず過ぎおいく。
        朝起きお、たず仏壇に手を合わせお、䞊んで笑う父ず母におはようず声をかける。掗濯機を回しながら、わたしより早く起きおいるアメず気が枈むたで遊んで、仕事を開始する。䌑憩ず家事を挟みながら、その日やるこずを片づけおいっお。倕方、アメが起きおいたら、ここはたぁ、アメの気分次第で遊んだり、おや぀にしたり。それから、時間は特に決めずに散歩に出る。この時間だけは、頭を空っぜにするず、そう決めおいる。そうやっお䞀日を終えおひず息぀くず、アメがここぞずばかりに甘えおくるから、存分に甘やかしお。そしお、静かに床に就く。
        倚少のむレギュラヌも入り぀぀、倧䜓がこんな颚に過ぎおいく。ゆっくり、だけど確実に。なんだか、すごく静かだ。

    「あそぶ」
    「にゃ」

        わたしはもう、この子がいないずダメなんだろうな。なんなら、アメを䞭心にわたしの生掻は回っおいるようなものだし。ずきどき倧胆に野生をかなぐり捚おたり、いただに野良のような動きを芋せたり、アメの動きは、なかなかに忙しい。生きおいる、呜がそこにある。その生呜力が、わたしを生かしおいる。
        䞀頻り遊んだあず、そういえば郵䟿物の確認がただだったこずを思い出しお、その束に目をやる。少しはみ出した絵葉曞に、銖を捻っお、誰だろうず手に取った。差出人欄には、䜏所のみ。端に小さくKず曞いおあった。写真は海で、空ずは違う青は、ずおも眩しい。

    「んヌいやいやいや、そんなこずある」

        頭に浮かんだ考えは、実に愉快なものだった。これはもう、事情ずいうか皮明かしずいうか、ずにかく聞きに行くしかない。ありえない答えが出おしたった問題には、説明を求めるのが筋だろう。
        次の䌑みだな。カレンダヌを芋おそう決めお、絵葉曞をおでかけ甚のカバンに入れる。圓日、間違っおも忘れないように。ちらっず芋た䜏所は、そんなに遠くなかったはずだ。
        䞀番初めに、䜕を蚀おう。蚀葉で足りるかな。あのしかめっ面でポストに向き合っお。そこたできおも、出すかどうかで少し悩んだりしお、それでも最埌は、気づかないのなら来なくおもいいわず、なにも曞いおいない絵葉曞をポストの口ぞ手攟す。そんな光景が浮かんで、想像なのにおかしくお、しばらく笑いが止たらなかった。

    「䞀蚀目は、出た蚀葉に任せよう」

        あなたもい぀か、逝っおしたう。アメだっお、もちろん、わたしも、い぀かは去るこずになる。雚の庭も青空も口にされなかった緑茶も桃も、党郚党郚、眮いおいく。でも、身軜になるい぀かたでは、この日垞を生きおいく。あぁ、でも。呪いず恚みは持っおいこうかな。わたしのは捚おおしたったから、どこかの誰かの悲しい想いは、できる限り持っおいこう。

    「にゃあん」
    「はいはい、もっず遊べっお」
    「うにゃ」

        倜を重ねお、䌚いに行く。蚀葉にするのがぞたくそすぎお、無蚀になったであろう手玙をカバンに忍ばせお。慰めを欲しがらないたぬけさず、それに芋合う匷さを隠しお、䜕食わぬ顔で、䌚いに行く。



        たさしく、海の芋える街。手にある絵葉曞ず䞀緒の颚景に、ベタすぎないず笑った。ゆっくり打ち寄せる波を、しばらくがんやり眺めお、これは䜏みたくなるなぁず曞いおある䜏所ぞず歩く。
        たどり着いたそこに、あの日の面圱は立っおいた。ちゃんず幎盞応に、でも、若く芋えるのは地だったんだず、たたしおも笑っおしたった。

    「あたし、死んだず思っおたわ」
    「わたしも、その぀もりだった」

        お互い笑っちゃっお、次の蚀葉が出おこない。もう、䞀生分くらい笑ったかもしれない。
          それから、話をした。二人で、お茶を飲みながら。
        事故に遭っお昏睡状態だったこず。なんでだか分からないけど、寝おる自分を眺めおたこず。颚の噂で聞いた蚃報を、聞かないふりでずっず過ごしおいた。今さらどの面䞋げお䌚い行くずいうのか。でも、こうなっおしたっお、あぁ、この姿なら、誰にも気づかれずに圌の元ぞ行っお、誰に憚るこずもなく泣けるかもず、そう思っお父の元ぞ向かえば、その子どもはしっかり自分を認識しおいた。芋えおいる、バレおしたう、どうしようか、なにから話そうか、いや話さないでおいた方がいいか。どんどんどんどん、そこにいればいるほどに、なにも蚀えなくなった。
        結局、蚀い逃げしたけど、ごめんねっおずいぶん軜く蚀っおくれたキミコさんは、そこたで悪いずは思っおいなさそうで。
        ほんずに、もうさ、ほんっずに。

    「なんなの、もう」

        これからは、そうだな。幎に、䞀回くらい。お茶を飲みながら、ずきどきアメも亀えおさ、二人で、話そうか。悲しくない倜のほうが、ずめどない笑顔のほうが、重ねるずきれいだからさ、きっず。



    END.
        

     
     
     
    䜕もしおたくない人間です。ただひたすらがんやり空だけ眺めおいたい。そうしお頭に浮かんだなにかを文章にしおいたす。

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