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恥ずかしがり屋の立方体 #毎週ショートショートnote

    「だって私、こんな形なりだから…」
    「どうして?すごくユニークでインパクトあるよ」
    男の熱い言葉に思わず俯く。だが実際には視線を下に向けただけだ。この体では関節など曲げられない。

    「君は素敵だよ。四角いフォルムに白とブルーのツートンカラー。ぐっと目を引く黄色の唇。極めつけは手なのか鰭ひれなのか判らない、その…やっぱ手?ははは。いいよね、マジで」
    「…ほんとに?」
    男は大きく頷いた。
    「もちろん。でも君は恥ずかしがり屋だから、なかなか心を開いてくれなくて…。見た目だけじゃない、僕はその…君の中身を知りたいっていうか…」
    白い頬にほんのり赤みが差す。
    「…本当にいいの?」
    男はもう一度頷くと、そっと手を伸ばし…それが最後の記憶となった。

    白と青の体が素早く二つに分かれるや、中から伸びてきた黒い手が男の腕を掴んで引きずり込む。
    男は声を上げる間とてなく、再びハコはぱたりと閉じた。
    「うん…まあまあ、かなあ…」

    ―その後の男の行方は、誰も知らない。


    *この作品は、以下の企画に参加しております。

     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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