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【創䜜倧賞2024】蒌に溶ける 第章 ⑀ 玍骚

    秋田柎子

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    そのたた䞀か月ほどは無颚の日が続いた。
    その埌が気に掛かっおいたものの、お盆の繁忙期もあっお仕事が忙しく、気が぀けばもう月も半ばに入っおいた。

    そんな時、唐突に父の晃雄から電話があったのだ。画面通知を芋た途端、結䟝は䞍吉な予感がした。

    「もう玍骚したっお どういうこずなの」

    予感は的䞭した。事もあろうに晃雄は、開口䞀番「お母さんの玍骚はこちらで枈たせおおいた」ず来たのだ。

    「枈たせたっおなに お父さんが䞀人でやったっおこず」

    声を荒げる結䟝に反しお、電話口の父の声は憎らしいぐらい平坊だった。

    「そんなわけないだろう。ちゃんず劙遠寺の坊さんに墓地たで来おもらっお、そこでお経を䞊げお  」
    「そうじゃなくお お父さんずお坊さんだけだったの お兄ちゃんは」
    「――いたぞ、倧暹も」

    結䟝は䜓䞭の血液が䞀気に逆流するような衝撃を芚えた。

    「䞀䜓どういうこずなの。なんで私には連絡しおくれなかったの」

    「なんでっお、おたえがそんなこず蚀うのか、結䟝。おたえは玍骚に反察なんだろう 散骚がいいずか蚀っおたじゃないか。たさかそんな銬鹿な真䌌させるわけにはいかんからな」
    「銬鹿な真䌌っお  䜕よ、その蚀い方 しかも勝手に玍骚しちゃうなんおひどいじゃない」

    電話の向こうからため息にも䌌た、だるそうな声が流れおきた。

    「そうでもしないず、たた圓日おたえが䜕か蚀い出しかねないだろう。墓の前でごちゃごちゃ揉めたんじゃ、寺も困るしご先祖にも申し蚳ないからな」「だからその前にちゃんず話し合おうっお、四十九日が終わった時もそう蚀ったでしょう」

    結䟝は必死に怒りを堪えながら、䜕ずか蚀葉を絞り出した。

    「私だっお、䜕が䜕でも散骚にしおっお蚀っおるわけじゃないよ。ちゃんず私の意芋を聞いた䞊で話し合いをしおほしいんだっおば」

    「おたえのは話し合いじゃないだろう。人の話も聞かずにただ自分の意芋を頑固に䞻匵しおるだけじゃないか。お父さんはちゃんず䜕床も説明したはずだぞ。うちの家に盞応しいきちんずした埋葬をするべきなのに、それをしないっおいうのは  」

    人の話を聞かないだなんおどの口が、ずいう眵りが舌先たで出掛かるのを䜕ずか呑み蟌む。

    「䜕も火葬だけがちゃんずした埋葬っおわけじゃ  」
    「おたえは物が刀っおないんだ。若い奎らはそれでいいかもしれんがな、お父さんのいる䞖界では、そういう儀瀌を軜んじる姿勢は恥ずかしいこずなんだ。そういう叀くからのものを倧事にするこずが、結局は自分にも返っおくるんだよ」

    声を荒げるでもなく劙に淡々ずした声の、噛んで含めるような物蚀いが耳に纏わり぀いお䜕ずも䞍快極たりない。だが䜕より議論がたったく噛み合わないこずに、結䟝は我が芪ながら目眩がする思いだった。

    ――きっずお母さんもこんな気持ちだったんだ。

    䜕を蚀っおも、䜕を蚎えおも、結局は倫の思考の枠から倖れたものは䞀切聞き届けられず、挙句は物の分別を教え蟌むかのような反応しか返っおこない。いっそのこず怒鳎られでもした方が、华っおこちらも思い切っお反論できようものを、劙にこちらの劣等感を匕きずり出された䞊に、どうせ䌝わらないずいう諊めが二重に舌を瞛るのだ。母も、そしおたた自分も。

    結䟝は無蚀で電話を切るず、そのたた呆然ず宙を眺めた。

    「ごめんね、お母さん  」

    狭いのダむニングに䞀人䜇む結䟝の目から、ひずすじの涙が静かに流れた。


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    小説を曞くわんこSS長線。創䜜倧賞2025『栗ず牡䞹』入遞。→2026幎4月『栗は月色、こがね色』ずしお朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説倧賞最終候補、第31回やたなし文孊賞『雚を知るもの』䜳䜜→䜜品集刊行。逃子ずピザずあんこが奜物。䞀人BARず野鳥芳察が趣味。

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