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毒舌寿司  #毎週ショートショートnote

    「トロいくせに、でかいツラしやがって!」

    高級皿の上で寝そべるトロに向かってマグロが怒鳴った。
    慌てていなりが仲裁に入る。

    「まあまあ、元は同じ魚だろ」
    「うるせえ、いなり!巻き寿司女房の言いなりで甲斐性なしの助六が!」

    「それを言うなら宿六やどろく……」

    恐る恐るハマチが口を挟む。

    「やかましい!生け簀すにハマっちまった奴が偉そうに!」

    すると今度はイカが赤貝を小突いた。

    「何でえ、貝殻みたいなほったて小屋に住んでる奴ぁ、あかがいっぱいだな」

    すかさずホタテがくわっと口を開く。

    「頭イカれてんのか!俺の殻がほったて小屋だ?そんなら川や海をうろつくサーモンはホームレスじゃねえか!」

    サーモンがぎろりと睨みをきかせた。

    「言いやがったな!さあ文句がある奴は前に出ろ!」

    「てめえら、何騒いでやがんだ!」

    突然、雷声が落ちた。
    見ると戸口で板前が仁王立ちになっている。

    「そもそも諸悪の根源はあいつだぜ」
    「まったくだ。いっそ食やるか」

    彼らは一斉に、わっと板前に飛びかかった。


    「いてまえ~!!!」


    *本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です。

     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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