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フシギドライバー【毎週ショートショートnote】

    不思議なタクシーがあると聞いた。

    なんでも運転手が動物らしい。その客に最も縁の深い動物が運転してくれるのだそうだ。たとえば愛犬家の場合は同じ種の犬だったとか、競馬好きが乗ったら馬が運転していた、という具合だ。
    当然そのタクシー会社は大人気だった。

    連日の深夜残業の果てに真夜中の道をとぼとぼと歩いていたら、運よくタクシーの空車が来た。

    ――動物ドライバーのタクシーだ!

    思わずテンションが上がる。
    何だろう、むかし飼ってたから猫かも。
    でも牛丼好きだからって牛だったら嫌だな。

    「はい、どうぞ」

    わくわくしながら乗り込んだ俺は眼を疑った。
    運転席には、くたびれたおっさんがハンドルを握っているだけだ。

    「あの、これ動物タクシーですよね」
    「そうですよ。それが何か」
    「あなた人間じゃないですか。いちばん縁のある動物になるんじゃ……」

    運転手は気の毒そうにちらりとこちらを見た。

    「そのとおりです。だからこの姿になりました。要するに ” 社畜 ” ですね」


    *本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です。


     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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