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神様時計【毎週ショートショートnote】

    「皆さん、入学おめでとう。今日からは新しい気持ちで……」

    校長らしき爺さんの挨拶は延々と続いた。

    「人は死んだら、神になって現世の人を守ります。そこで必要となるのが『神様時計』です。今日から神になった皆さんは、まずその使い方を学んで下さい」

    教室内が騒めいた。
    俺を含め、みんな寿命を終えて現世とおさらばした奴らばかりだ。

    「大切な人の幸せな時間を長く、辛い時間を短くしてあげましょう。さあ針を動かしてみて下さい」

    配られた時計を手に取ると、家族の顔がぼうっと文字盤に浮かんだ。
    雅子、徹、あかり……
    ――あれ、ぐっと進んじまった。と思ったら後戻りしやがる。
    なかなか難しいもんだな……

    * * *

    「あの人が亡くなったら、ぼんやりしちゃって。気づくと何日も経ってるのよ。嫌ね」
    「仕方ないよ。俺も突然、昔の親父の姿を思い出すしさ」
    「映画みたいに、いろんな場面がざーっと流れたりね」

    老いた母と子供たちは、晴れた空を揃って眩しそうに仰ぎ見た。


    *本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です。



     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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