【第14章】少しだけ旅に飽きていた
6月28日。
特に目的もなく、
フランクフルトを後にした。
とりあえず、
ドーナに勧められたハイデルベルグへ向かう。
確かに美しい街だった。
古い建物が多く残り、
街全体が落ち着いた雰囲気を持っている。
大学を中心に発展した街らしく、
若い人も多かった。
本来なら、
もっと楽しく歩き回っていたと思う。
だが、この日は違った。
なぜだろう。
美しい街並みを見ても、
あまり心が動かない。
ふと、
これまでの旅は、
本当に良かったのだろうか。
そんな考えまで浮かんできた。
自分でも理由はよく分からない。
長い旅の途中には、
こういう日もあるらしい。
結局、
街を十分に歩き回ることもなく、
夜にはミュンヘンへ向かった。
ミュンヘンでは、
歩行者天国をぶらぶら歩いた。
大道芸人がたくさんいる。
顔を真っ赤にして、
必死に芸を披露している若者もいた。
美術館や博物館も見た。
時間だけはある。
そこで少し贅沢をして、
映画館にも入ってみた。
上映していたのは
『ビバリーヒルズ・コップ』。
ところが、
映画はドイツ語に吹き替えられていた。
何を話しているのか、
ほとんど分からない。
そのうち眠くなってしまった。
今思えば、
少しもったいない使い方だった。
夜になると、
また列車に乗った。
どこか無気力なまま、
ドルトムント行きを選んだ。
—
この旅の断片を、静かに綴っています。
