メインコンテンツへスキップ
見出し画像

腐ったバナナ

    「腐ったバナナでしょ?」夫は言った。
    え?何のこと?
    昨日、私は少し悪くなったバナナを夫から押しつけられていた。ナッツやシリアルと一緒にヨーグルトにかけて、普通に美味しく食べてしまったのだけど。だめだった?

    テレビで、自伝を書いた作家の話をしていた。
    どうやら夫は、私の執筆活動のあたりを言いたかったらしい。吉本ばななさん?
    なぜかバナナが腐っていた。

    その後も夫は、「○○ばなな」と、私の苗字にバナナを足した造語を言う。前よりわかりやすくなっている。そして妙にいそうな名前。

    夫は本を読まないし、私の書くものも読まない。ペンネームも知らない。だいぶ雑なネーミングだ。

    私は割と時間をかけてペンネームを選んだ。
    一瞬ペンネームに自信がなくなる。人にどういう印象を与えているのか。他の人はどうやって決めているのか。あれだけ考えたのに、こんなに雑にまとめられてしまうのか。

    私は名前の事ばかり考えていたが、夫にとって「○○ばなな」は名前ではないようだった。片づけが進まない理由を、「○○ばななでしょ?」と決めつける。否定はできない。

    私が何かを書いている時間や行為、そのあたり一帯を、まとめてそう呼んでいる。

    今後、この単語は定着してしまうのだろうか。少し照れくさい行為の隠語として都合がいいような、ちょっと遊ばれているような。
    なんとも言えない気持ちでいる。


     
     
    生活や思考を基礎研究ノートのように書き留めています。 夫と息子との日常から、抽象が立ち上がる瞬間を拾っています。 薬剤師。

    あなたへのおすすめ