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「あんた うるさい!」――あるベテランリハビリスタッフの孤独



    わたしが 働き始めた クリニックでは


    リハビリスタッフが 複数人います


    若手の方

    ベテラン


    わたしは ちょうど

    中堅

    と なるようです


    正真正銘 中年 ですから

    異議なしです




    今回は そのベテランさんについて


    お話を したいと 想います


    呼び名は どうしましょうか


    そうですね


    そのまま

    ベテランさん で いいかな?





    「俺の場所が狭くなる」――彼との初対面



    ベテランさんは 準正社員のような 働き方

    を されています


    ですので 他のスタッフの方よりも

    最初に 会ったのは 数日遅かったのです


    出勤も その日は「遅く出勤される曜日」

    だった ようです


    その日の朝から 他のスタッフから

    事前に そのベテランさんについての

    注意? 取扱説明? を受けていました



    「価値観が昭和のままの人 悪い意味で」


    とのこと


    聞くと とても 多くの資格をお持ちで

    治療院?を 副業として開業もされている
    とのこと


    『へぇ どんな 人なんだろう?』

    と 単純に興味がもつ わたし


    その日 患者さんを 施術をしていると

    ベテランさん ご出勤

    実年齢より ずいぶん
    おじいちゃん に見える


    「おはようございます」と

    挨拶しますと

    「おはようございます」

    と 返事が返ってくる


    特段 おかしな 印象は

    そのときは 持たず


    で わたしは その時のリハビリが終了し

    あらためて ベテランさんに ご挨拶します

    「初めまして アルと 申します
     よろしくおねがいいたします」


    すると ベテランさんは わたしを
    ギョロリ と にらむように見て


    「あんたが さっきのベッドで
     リハビリすると

     俺の場所が 狭くなる!」


    と 言われる


    はははは


    いきなり 「あんた」から スタートですか

    これは 「昭和的」 以前のお話ですね


    ベッドは他のリハビリスタッフから 指定されたものを
    使用していたのですが

    「あ そうなのですね 了解いたしました」

    と お返事すると

    他のリハビリスタッフさんが すぐに 動かれます


    「じゃぁ あらためて 場所を調整しましょう」


    と ベッドを 皆で 移動しました



    ベテランさんは

    一番 奥 の ベッドへ

    「おう 前より かえって よくなった」

    と 喜んでいます



    わたしが ベテランさんに 指定された

    リハビリの場所は

    『ここで横になると
     患者さんが 落ち着かないかもしれない…』

    と ちょっと心配になる場所でした

    患者さんが 移動する 同線の すぐ脇なのです

    待合室からも 丸見え


    『ここで 女性が仰向けに寝るのは…』

    と 困ってしまい

    事務方のスタッフさんと 相談しました

    簡単な 目隠しとなる 移動するシートを
    利用することで
    なんとか 解決しました





    不安にさせて「大丈夫ですよ」――彼のリハビリ観



    最初は あんな態度だった ベテランさんですが

    その後は 随分

    わたしに 話しかけて こられました



    わたしも

    「へぇ すごいですねぇ~」

    という 感じで

    興味津々の態度で 彼を持ち上げつつ

    お話を お聞きしていました



    別に 戦略的に 会話していた
    わけではありません


    彼が望むように
    お返事 していただけです


    彼のリハビリをみて


    彼の 心理の 根底が


    わかったからです



    ベテランさんは


    内面が


    空虚 なのです



    空虚の周りを

    飾り立てないと


    不安で 息もできない

    そうやって

    60年以上 生きてこられた

    そんな タイプです


    「~~師」
    「~~士」

    という 資格を 多く持つのも

    内面の空虚さの 現れでしょう



    患者さんにも

    自分の空虚を隠す 飾りを

    見せないと

    信用されない

    と 信じている



    実際に 新しい患者さん を

    リハビリするときに

    それが よくわかる



    まず

    いろいろな テストを する

    そして


    「うわぁ あなたの 体は ここがひどい

     歪んでいる

     ほら 足の長さが こんなに違う

     肩甲骨の高さも 左右でずれている

     これは ひどい」


    と つぎつぎと

    患者さんの 「悪いところ」 を 指摘していく


    そして 患者さんを

    十分 不安にさせて から


    「大丈夫ですよぉ
     わたしのいう通りにすればぁ
     よくなりますよぉ

     あなたの がんばりもぉ
     必要ですよぉ」

    と 安心させるように 激励? する



    リハビリに 限ったことでは ないですが

    ここまで しないと

    自分の スキルを 相手に提供することが

    できない人がおられますね



    もちろん それを 否定はしません

    それを するためには

    多くの自己投資という 努力が

    本人に 必要になるからです



    「ほら こうすると 柔らかくなったでしょう?」

    と 手技前後の効果を 患者さんに確認させられる

    「あ! 本当だ 柔らかい!」

    と 患者さんに言わせられるのだから

    技術は お持ち



    そうやって 患者さんが

    自分を信頼するように 誘導していく


    『こんなに すごい わたしが
     あなたに リハビリを 提供している』


    そんな 心の声が 聞こえるような

    ベテランさんの

    ベテランリハビリ





    一方 アルのリハビリ――彼を揺さぶる




    こちらが 観察している ということは

    当然

    こちらも 観察されている ということ



    わたしの リハビリは

    ベテランさんとは ちょっと 違う



    患者さんから 話しかけられないと

    ほとんど しゃべらないし

    じっと している



    でも 目で 会話はする

    痛い場所を ピンポイントで 触れる

    『あ ここだな』

    と 想い 患者さんをみると

    だいたいの 患者さんは

    『そこ!』

    という 目で 答えてくれる


    そして

    ふたりで

    にこ っとする


    そんな 施術



    リハビリ前後での 確認でも


    「あ 最初のときより

     腕が 軽いです

     痛みも 小さく なってます」


    と 喜ばれたら

    「へぇ よかったですねぇ~

     〇〇さんのお身体って

     本来は もう それくらい 回復してたんですね」

    と 患者さんの身体を 賞賛する



    「悪いところがある」

    とは 言わないし そう 想っていない


    「わたしが 治した」

    とも もう想っていないし

    実際に 患者さんの身体は 自分で治っている


    「無理していた
     がんばらなければならない お身体だった」

    とは いう




    リハビリ中でも

    患者さんの 動線の近くだから

    患者さんは わたしの 近くを通る



    患者さんの方から 挨拶をしてくださる

    ありがたいことです



    そのとき リハビリ中の患者さんも

    そういう わたしを みて

    たぶん 安心されるとも 想っている



    患者さんは

    自分の身体をあずける相手を

    箔 だけでは みない



    わたしは クリニックで

    そんな リハビリを している



    ベテランさんだって

    他のリハビリスタッフの 腕前を

    見抜く 目 は お持ちの はず



    そんな わたしを

    見抜いてきた はず




    そして ベテランさんは

    わたしに ジャブ を

    打ってきた





    「あんた うるさい」――彼の攻撃




    「あんた うるさい」


    と 突然 言われた

    はははは


    また 「あんた」 復活



    しかも リハビリ中

    お互い そこに 患者さんがいるのに




    一瞬

    わたしも


    『むむっ?』


    と 川平慈英になる


    けど


    その時は 難聴のおばあちゃんを

    リハビリ中だったから

    たしかに わたしの 声は

    大きかった



    「あ すみません」


    と だけ いい

    声のかけ方を 工夫することにした


    その後の患者さん達のリハビリでも

    声の大きさを 落としていた




    業務終了後

    女性スタッフさんが

    わたしに キャンディーを くれました



    「ベテランさんの方が

     普段 よっぽど うるさいリハビリしているのに!

     アルさん ごめんね 気にしないでね」



    と


    実際

    気にしては いなかった


    たぶん

    わたしの リハビリは

    「ベテランさんの 価値観」 を


    揺さぶっている

    とは 想っていたから



    だから 気にしていなかった

    けど

    キャンディー 

    いただいちゃった


    ラッキー ♪






    再び「あんた うるさい」――彼の孤独




    「あんた うるさい」


    は その後 もう一度 あった



    さすがに その日は

    業務終了後に


    ベテランさんが 帰宅した後


    管理者のひとり(看護師さん)を

    交えて 数人での

    ミニ会議 となった



    わたしも 交えてもらったが


    「アルさんは リハビリ中

     うるさい ことはない」


    という ことは 確認された



    管理者さんは


    「最初は 元気な方だなぁとは

     想っていた

     最近 リハビリ中の声が

     処置室に聞こえなくなってきて

     あれ?って 想ってはいた」

    と 発言された


    『あぁ 意外と みなさん
     わたしを 見て(チェックして)
     おられたのだな』


    と 再認識する わたし


    その後 ベテランさんについて

    情報を共有しながら

    プロファイリング? が 行われ



    「まぁ さびしい おじさん なんだよね」


    という 同情的な 結論になった



    ベテランさんの リハビリ中の話を まとめると


    実家との交流もなく

    ご家族もおらず(結婚経験あるのかは不明)

    プライベートは孤独である様子

    アルコールと競馬を ひとりで楽しんでいるらしい


    仲のよい職員もいて

    一時期は よく一緒に 飲んでいたようだが

    自分から 距離をとったらしい


    「批判されたから」

    と 彼は言っていたが

    たぶん

    なにかを 指摘されただけ



    自分の中が 空っぽな人は

    他者からの 批判に

    極端に 反応する


    他者を

    敵 味方 に 分け


    敵 を 増やし

    孤独に なっていく



    そんな なか

    唯一

    心の拠り所

    自分の存在価値 となっていた

    自分のリハビリ も


    その 価値観を

    揺るがすような

    存在(わたし)に 触れた


    揺さぶられた


    それが どうしても 気になり


    「あんた うるさい」


    と なる



    その ミニ会議では

    そこまで わたしの意見は

    言わなかった


    「気にしていませんよ」

    だけ に とどめた



    会議の結論は

    「アルさん 気にしておられない

     とのことだから

     様子をみましょう

     また そんなことがあったら

     すぐに 報告を」

    と 管理者が まとめられた



    ベテランさんの 機嫌を損ね

    今以上 問題行動を 起こされても

    困ってしまうし

    辞められてしまったら

    経営上の問題もある


    わたしも それで

    いいと 想った





    ベテランさんは「必要」――彼の役割



    わたしも

    ベテランさんが

    いなくなると

    困るのです




    その理由の ひとつは


    わたしの ため です



    施術中


    ベテランさん を 感じます


    それは


    かつてのわたしの 中にあった

    そして

    今でも 誘惑されやすい


    エゴ

    そのものの 姿 です



    だから


    ベテランさんが 目の前に いてくれるから

    わたしは

    自分を 律しやすい

    それが

    わたしの 施術の

    質

    を 保証してくれます



    だから


    ベテランさんが いなくなると

    困る のです




    それから もうひとつの 理由は


    他の スタッフのため です


    もしも ここで ベテランさんが

    いなくなってしまうと



    別のスタッフが

    「組織の問題 として

     やりだまに あがってしまう」

    から



    こういう 小さく 狭い 世界

    そして

    トップが 柔軟な対応をとっておられる

    組織では



    かならず だれかが

    「問題」

    と され

    標的 とされる


    それは 強く

    そして 陰湿



    現在の 標的は

    もちろん ベテランさん



    彼なら いまのところ

    耐えられそう


    だが


    彼が いなくなったあと

    他の スタッフが

    その標的にされると


    耐えられない


    と 想う


    だから


    ベテランさんが いないと


    困る


    ごめんね


    ベテランさん




    そういえば

    最近 彼

    わたしに 話しかけない


    「あんた うるさい」

    と 言った 相手に

    攻撃的になることは なく

    むしろ

    申し訳なさそう な

    雰囲気 さえ ある


    はははは


    がんばってください


    ベテランさん!






    結び――トマトジュース?




    ということで


    長ばなしは 以上なんですが


    ぜんぜん 関係ないんですけど

    最近 あるブロガーさんの記事の

    影響で


    ひさしぶりに

    トマトジュース に

    ハマっています


    ちょびっと 唐辛子 を入れ

    ぱらぱらっと 天然塩 を入れ

    どばどばっと ビールで 割っています


    ははははは


    身体にもいい!


    ごくごく 楽しんでます

    美味しいですよねぇ~

    トマトジュース

    大好き!



    え? レッドアイ?


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    あ そうかも…


    はははは

    いや 飲ませ下さい


    その トマトジュースのブロガーさんが

    本来行くべき道を

    歩み出した

    その お祝いなのですから



    と いうことで


    今日という日が


    あなたにとって


    善い 日曜日


    と なりますように


    ありがとうございました


    「あんた うるさい――あるベテランリハビリスタッフの孤独」

    画像

    UnsplashのBarnabas Davotiが撮影した写真


     
     

    アル

     
     
    ごめんなさい(唐突 笑) 記事が長いです 現実を見つめて 内省していたら すっかり 長文常習犯 です 紆余曲折の末 " ぺーぺー " の理学療法士となり 身体に触れる仕事をしているので やっぱり いろいろ 考えちゃって やっぱり 長文常習犯 です 笑

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