
「満たしてもらう愛」を超えて――別れきれないAさんの涙
― Aさん ―
どうして こうなったんでしょうね?
先日のことです
その夜
なぜか
わたしは とある女性の
恋愛相談 を
うけていました
お電話です
その女性は
埼玉 新潟 岩手
わたしの生活に
深く関係する場所の方
ではありません
ここでは
Aさん
と お呼びしましょう
Aさんは お子さんがおられますが
現在は 独身です
仕事で知り合った 男性が いました
20年以上
友人
として
お付き合いしてきたそうです
人生の 大切な 節目 節目 で
相談できる 友人だったのだそうです
その男性は 妻子ある身
お互い 子どもは もう成人に近い
そして
いつのまにか
深い関係
に なったそうです
Aさんにとって
彼と 過ごす 時間は
喜び
と 共に
深い 痛み
とを
ともなう ものでした
彼は 深い愛情をもって
接してくれるそうです
また 同時に
ご家族を 大切にも されているそうです
男性は どうやら この関係を
このまま 続けたい
そう 思っているようです
(これは わたしの 推測)
Aさんは 彼を独占したい
わけではないけれど
友人として
すでに 知己のある
奥さん お子さん達のことを
どうしても 思ってしまう
Aさんは 悩んだ末に
先日
「もう 連絡は とらない」
と 連絡したそうです
― 彼の声 ―
一生懸命
LINEの 彼からの通知を
見ないように
していたそうです
どれだけ 苦しかった ことでしょう
でも
彼から かかってきた
着信 を
無視 することは
できなかったそうです
「どうして 連絡とれなかったの?
大丈夫?
何かあったの?
心配したよ」
電話の 彼の声は
いつものように
優しかった
そうです
ずっと 聞きたかった
聞かないと
決めていた
けど
ずっと 聞きたかった
優しい
声
だったそうです
「アルさん…
それから
また 連絡
再開
しちゃったの…」
Aさんは 涙を 流されました
わたしも
こころで
泣いていました
「アルさん
どうすれば いいんでしょう?」
と 聞かれました
ちょっと
困りました
どう
お答え すれば
いいのでしょう…
― 彼の本心 ―
まず お伝えしたのは
「その彼
同性として 感じるのは
ずる(狡)さ
です
Aさんとの 関係を 続けつつ
奥さんとの 関係も 続けようとしている
Aさん?
いまは そうやって 揺れて いいと思います
頭で 無理に
こころ を ねじ伏せる必要は
ありませんよ
でもね
彼の Aさんへ 向けられる
その やさしさ
ほんとうに
Aさんに 向けられたもの
なのでしょうか?
彼の中の
何か 足りないものを
埋めるために
Aさんを 必要とし
それを つなぎとめるための
やさしさ
勝手な わたしの 想像ですけど
わたしは
Aさんの話を聞いていて
そう
感じてしまいます
ほんとうに Aさんのことを
彼は 思っているのでしょうか?
Aさんのことを 思っているようで
自分のことを 思っている
その可能性を
Aさんには
頭の片隅に 置いてほしいです
どうしてか っていうと
Aさん には
ご自分を
かけがえのない
ご自身を
大切に
していただきたい
そう
想うから です」
Aさんは しばらく
しずかに
泣いて おられる
ようでした
― 心の涙 ―
しばらく
たった のち
「アルさん…
わかるんです
たぶん
アルさんの おっしゃる通り
なんです
そして
わたしも
同じ
なんです
彼の愛 が ほしい
それは
わたしの ため
なんです
わたしも
ずる(狡)いんです
彼だけが
ずる(狡)いんじゃ
ないんです…」
そして Aさんは
また 涙を
流されました
彼のことで 流す
涙
というより
ご自身と 向き合い
流す
涙
心 が
流す
涙
わたしには
そう
感じ られました
かつて わたしも
同じ涙を
たくさん
流しました
沈黙
も
流れ
わたしは
なんとなく
Aさんに
自分の ことを
はなし 始めていました
― わたしのこと ―
この前の 3月下旬 なんですけど
わたし 盛岡に いたんです
そこで
2年前に 別れた 女性と
飲み会で 斜め向かいの
席に なったんです
Yさん という 女性なんですけど
2年前は
わたしは 別居をする 直前
Yさんも お子さんを連れ
旦那さんと 離婚について
はなしをしている 段階でした
わたしたちは
結局 別れるんですけど
別れ方は
彼女から 離れていったんです
わたしは 随分 自分を 責めました
もっと 早く 離婚して
彼女のいる 盛岡へ
飛んでいけばよかったのか?
それを せず
離婚調停
仕事
を
優先したことが
彼女との別れ の原因だったのか?
そうやって 悩みながら
また Yさんとの 関係が
元にもどることを
渇望 していました
連絡をしようとしても 無視され
会うことも ありませんでした
彼女が参加する セミナーに
わたしも 参加したことが
1回 ありましたけど
彼女
急用で 休んだ
なんてことも
ありましたよ
会えなくて
避けられて
悲しかったですねぇ
― 再開 ―
でも このまえの 3月に終わった
半年間の セミナー
わたしも Yさんも 参加していて
半年間
毎月 会って
いたんです
彼女は ずっと
わたしを 完全無視 でした
わたしは そのときには
頭では Yさんとの 出逢いを
整理できていたのですが
やっぱり こころは
整理できていなかったんですね
彼女が 視界に入る だけで
ずいぶん
こころ が
かき乱されましたよ
Yさんは
わたしより 20歳くらい 若いんです
雪のように 真っ白な肌をしていて
神秘的に 背が高い
この世のものとは 想えないくらい
もう 見た目から
素敵すぎて
ステキだなぁって
って 感じてしまうと
同じくらい
その彼女に
無視される 苦しみ 悲しみに
胸が ぎゅーっと 締め付けられる
そんな
修業
でしたねぇ
だから 修行中の 施術も
よくなかったです
自分の 在り方が
施術に 強く 現れますから
師匠には バレていた
そう 想います
はずかしい ですね
― 気づき ―
でも
この前の 3月
その 懇親会
Yさん ちょっとだけ
わたしに 話しかけてきたんですよ
「アルって いま 埼玉にいるの?
あたしの 姉
いま 大宮の近くにいるんだ
あたし ときどき
そこに 出没してるんだよ」
なんてね
そしてね
びっくりしたんですけど
どうやら
離婚
されていたらしい
以前の わたしなら
こころ かき乱されたでしょうね
『やった Yさんと また 会話できた!
埼玉にくることある?
離婚した?
どうしよう!?
あぁ Yさんと また!
もう だめかな!?
でも…
でも やっぱり…
あぁ!!』
なんてね
気がくるっていた
と 想うんですよ
でもね
わたし
「へぇ お姉さん 以前は東京でしたけど
そうなんですね」
って 返事した だけでした
Yさんも すぐに
スマホを いじり始めました
次の日 修業が 終って
修了証を
師匠から 手渡しされるんです
わたしは その様子を
師匠のスマホで 写真撮影していたんですけど
Yさん 修了証 渡されるとき
師匠に 抱き着くんです
かなり 長い時間
ぎゅーって
はははは
って みんなで 笑いました
抱き着かれて
オタオタする 師匠も
可愛かった ですしね
で そんな 修行が終わって
埼玉へ 帰ってきた
ベッド で 横になったとき
びっくりしたんです
Yさんが 離婚したらしいと聞いたとき
こころが 乱れなかったこと
師匠に抱き着く Yさんを 見て
嫉妬心のような 感情が
出てこないこと
とても びっくり しました
― 愛し始め ―
あ…
ってね
そして そのあと
心配
に なったんです
『時間が 経ち過ぎて
Yさんへの 感情が
冷めてしまったのか?』
と
心配に なったんです
こころ を
確かめるために
懇親会で 目を合わせた
Yさん の 顔を
想いうかべたんです
あの 大きな瞳
一瞬 見つめ合った
あの 瞳
想いうかべました…
しばらく
時間が かかりましたけど
やっと わかったんです
わたしね
やっと Yさん を
愛し始めた
って
やっと わかったんです
― 搾取 ―
Yさんはね
2年前
とんでもない 状況におかれている
わたしを
純粋に 救いたい
って 想っていたんです
でも 同時に
わたしに 深入りすると
自分の 感情の 制御がきかない
そのことも 最初から
わかっていたんです
で
結局
お互いに 魅かれあったんです
わたしはね
そのとき Yさんに 対し
「愛している」
って 言っていたのですが
ほんとうの意味で
愛しては いませんでした
わたしは
こころが 真っ黒になるほど
空虚
でした
人生に 苦しみ 悩み
なぜ 生きているのかさえ
わからない
空虚
な 毎日 でした
Yさんも 似た経験を持ち
どうしようもなく
わたしを 救おうと してくれた
わたしは
自分の 空虚を
あたたかいもので 埋めてくれる
それを 与えてくれる
Yさん を
「愛している」
と いいながら
搾取
していた
「与えてくれるから 愛していた」
んです
ひょっとしたら
わたしも 彼女の足りないものを
与えていたのかもしれない
でも
圧倒的に
わたしは 彼女に
すが(縋)り
もっと 与えてほしいと
すが(縋)り 続けていた
Yさんは わたしから
離れた
わたしは
与えられなくなったことに
苦しんだ
それは
「Yさんからしか
与えられないもの」
だと想ったから
さらに 苦しんだ
わかって しまえば
わたしの 彼女への愛 なんて
そんな もの でしか
なかった
暗い天井を みつめながら
そのことに
やっと 気づいたんですよ
― Yさんの瞳 ―
彼女のこと
やっと 愛し始めたって
そう 想うんです
彼女が 離婚したこと
とても うれしい
旦那さんの 実家ってのが
いろいろ 大変で
旦那さんは どうしてもそこに
囚われていた
Yさんは それをぜんぶ
しょ(背負)いこんでいた
やっと そこから
自由になれたんだね
って
うれしく 想うんです
やっと
彼女は
彼女として 生きていけるんだなって
想う
師匠から
その 施術家としての
豊かな才能も
育んで もらったから
彼女は 以前より ずっと
ちから強く
生きていける
それをね
わたしは うれしく
想えるんですよ
うれしく 想える
わたしを
また うれしく
想えるんですよ
Yさんの 瞳 を
最初は 想い出すことも
苦しくって
できなかった
瞳が こちらに 向かないことに
苦しんでもきた
でも いま
Yさんの 瞳を
想い出すと
こころが
あたたかく
なるんです
― 揺れて ―
Aさん
ここに いたるまで
2年間
わたしは かかりました
Aさんは
離れると決められてから
まだ
数週間?
だから
揺れて
当然です
涙
いっぱい でるのも
あたりまえです
いっぱい
泣いてくださいね
わたしで よろしければ
また お話
しましょうね
おなじ 話
何度でも して いいんですよ
揺れて いいんですよ
想いが
進んだり
戻ったり
それが
揺れる って ことですし
その
揺れ
が
生きている
あかし(証)
なのですから
揺れながら
磨かれるのが
魂
なんですよ
今夜
ゆっくり
眠れると
いいですね
…

UnsplashのAnnette Sousaが撮影した写真のAnnette Sousaが撮影したイラスト素材