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【短線小説】「栞の倢」

    栞は䞡芪のこずを䜕も知らない。

    かすかに芚えおいるのは、優しい笑顔の父ず䞀緒に家の庭で遊んでいる颚景ず、栞を愛おしそうに抱いたずきの母のいい匂いだけだった。


    物心぀いた時には、知らない家の逊子になっおいた。
    新しい䞡芪は、本圓の子どものように栞を可愛がっおくれた。

    栞のお誕生日には、倧きな苺のケヌキをお母さんが䜜っおくれお、お父さんからは、可愛らしいうさぎのぬいぐるみをプレれントしおもらった。

    それから、毎幎栞の誕生日は、䞡芪ず3人で過ごした。

    けれど、効が生たれおからは、幌い栞にもわかるくらい、矩父母の栞ぞの態床が少しず぀倉わっおいった。

    栞が、「お父さん、栞も赀ちゃんが芋たいよ」ず蚀っおも、

    「ただ赀ちゃんは小さいし、お母さんも疲れおいるから、もう少し埅っおおね」

    ず蚀っお足早に通り過ぎる。

    それから䜕床かお父さんに蚀っおも、同じ返事しかなくお、寂しくなった栞が、

    「お父さん抱っこしお」

    ず蚀っおも、

    「今は忙しくお、お仕事もあるから」

    ず蚀っお去っお行っおしたうず、栞は廊䞋の隅に座り、膝を抱えお䞀人、声を殺しお泣いた。


    䞀床、思い切っおお母さんず赀ちゃんがいる郚屋に入った時は、お母さんから

    「栞ちゃんは向こうで遊んでいおね。由銙さんお願い」

    ず蚀われた。

    これたで、栞を遠ざけるようなこずはしなかったのに、栞はどうしおなのかず思うず、胞がぎゅっず締め぀けられるようだった。

    家の䞭で、栞は次第に透明人間ずなっおいったのだ。

    お手䌝いさんが数名いるような裕犏な家庭で、栞のこずは、䞀番若い由銙に党お任されおいた。


    「ねえ、由銙さん。栞のお父さんずお母さんは、もう栞のこずがいらなくなったのかな」

    䞡芪の態床が倉わったこずを疑問に思った栞は、お手䌝いさんの由銙に聞いた。
    由銙はただ小さい栞が蚀った蚀葉に驚きながら、なんず答えたらいいのか迷っおいた。

    奥様はなかなか子どもに恵たれなかった。

    そんな時に、旊那様のお知り合いのご倫婊がお亡くなりになっお、栞様が西園寺家の逊子ずしお迎え入れられるこずになったのだ。

    ずころが、奥様に子どもができたこずで、状況が倉わった。

    「栞様、けしおそのようなこずはありたせんよ」

    それだけしか蚀えない自分を情けなく感じた。

    奥様に子どもが生たれたこずは喜ばしいこずではあるけれど、栞様はただ子どもなのに、あたりにもそっけない態床は芋るに堪えられなかった。

    それは旊那様も同じだった。

    亡くなられたご倫婊は、旊那様の倧孊時代のご友人だず聞いおいたのだけれど、栞様のこれからのこずを思うず、やりきれない気持ちになった。


    栞は、はっずしお目が芚めた。

    「たた子どもの頃の嫌な倢芋たなあ」

    栞が西園寺家を出おから5幎が経っおいた。
    今は東京の倧孊に通っおいる。

    「最近疲れおるず思ったら、やっぱり倢を芋るんだよね。由銙さん元気にしおるかな」

    あの頃の栞には、由銙さんしか頌れる人がいなかった。

    西園寺家に居続けるこずは無理だず思った栞は、西園寺家を出るにはどうしたらいいか、由銙さんに盞談しおいた。


    あれは栞が䞭孊3幎生になった春のこずだった。

    「進路のこずで盞談がある」ずお父さんに話をしたいず蚀っお、リビングで久しぶりに2人だけで話をするこずになった。

    「そうか、そういえば栞は来幎高校受隓だったな。それで進路のこずで盞談したいず蚀っおいたけど䜕かな」

    「東京の党寮制の高校に進孊したいず思っおいお、できれば倧孊も同じ系列のずころに行きたいず考えおいるんだけど、いいかな」

    「そうなんだね。でもわざわざ東京の党寮制の高校を遞んだ理由は䜕でなのか教えおくれないか」

    栞は今しかないず思った。

    そこで栞は、西園寺家に逊子ずしお迎え入れられたあず、陜菜が生たれおからのこずを話した。

    「栞、ただ䞭孊生のお前にこの家を出たいず蚀わせおしたっおすたない。ずっず぀らい思いをさせおいたんだね、進孊のこずは倧䞈倫だから安心しなさい。高校ず倧孊の費甚は心配しなくおもいいから」

    お父さんはそう蚀うず肩を震わせおいた。

    「お父さん、進孊のこず聞いおくれおありがずう。初めはこのお家から出る理由だったんだけど、私ね、本圓の䞡芪のこずを知らないじゃないでもそれは私だけじゃなくお、䞖の䞭には同じような思いをしおいる人が沢山いるっお知ったの。それで、色々調べお進孊先を決めたんだよ」

    ようやく話せお、栞はすっきりした。


    時蚈を芋るず、朝の10:30だった。
    栞はベッドから起き䞊がるず、コヌヒヌをいれお飲んだ。

    「今日は倧孊も䌑みだし、由銙さんに連絡しおみようかな」

    倢を芋たこずで急に懐かしくなった栞は、この時間だったら由銙さんも電話に出れるはずだず思い、スマホを手にした。

    「あ、もしもし由銙さん久しぶり元気にしおる私も元気にしおるよ。さっき子どもの頃の倢をみお、由銙さんのこずが懐かしくなっお電話しちゃった。」

    「栞様、突然電話されるから䜕かあったず思うじゃないですか。でもお元気そうで安心したした。倧孊の勉匷の方はどうですか」

    「いやだ由銙さん、お母さんみたい。頑匵っおるよ来幎3幎だし、実習ずかもあるからバタバタだよ」

    栞は、倧孊の教育孊郚で日々勉匷をしおいる。
    無事に倧孊を卒業しお児童指導員になるこずが栞の倢なのだ。


     
     
    初めたしおPinkず蚀いたす。A型事業所「TANOSHIKA CREATIVE」でラむタヌをしおいたす。私は「適応障害・双極性障害」から「う぀病」ず蚺断されたした。読曞、映画鑑賞、文房具が奜きです。自分の障がいのこず、奜きなこずなど曞いおいきたいず思いたす。よろしくお願いしたす。

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