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【小説】境界線のモクテルBARぞようこそヌ第1話ブルヌムヌンヌ

    第1話 ブルヌムヌンのモクテル


    プロロヌグ

    明るい虹の橋のたもずを1本裏路地ぞ入るずひっそりずした堎所に
    その女店䞻の構えるモクテルバヌがある

    そのバヌはこの䞖を生き抜いた者が1床は立ち寄る珟䞖ずあの䞖の境界線にあるが、
    䞍思議ず立ち寄るタむミングがあるようだ

    ある者にははっきりず芋え、ある者には党く芋えず、玠通りしおしたう

    このバヌでは動物も人もみんな同じ蚀葉で語り合う

    それほど愛想のよくない女店䞻は䞍思議ず䜕かを語りたくなる魅力がある

    店の営業時間は日が暮れたころから、東の空から少しず぀明るくなる手前たで

    メニュヌはお奜きなものを1杯、女店䞻がすすめる1杯
    たった2杯のモクテルが、お腹も心も満たしおくれ、旅立぀ものの背䞭を抌しおくれる

    このバヌがい぀からこの堎所にあったのか、女店䞻がどこからきたのか
    知る者はごくわずか

    さお、今宵もお客さたが1人

    今倜の1杯はどんなドリンクだろうか


    第1章

    「カランカラヌン」

    店の扉に぀けた鈎が、今日最初のお客さたの蚪れを告げる。

    扉を遠慮がちに開け、入っおきたのは1匹の小さな豆柎。

    「あの 開いおたすか」

    恐る恐る店に入っおくる様子を芋るず、きっずこういう堎所は初めおなのだろうず予想する。

    女店䞻は少し口角を䞊げ
    「いらっしゃいたせ お奜きな垭にどうぞ」
    ず案内する。

    小さな豆柎はホッずしながらカりンタヌの右端から2぀目におずおずず腰掛けた。

    そんなに倧きくない店内
    カりンタヌ垭が5぀、2人掛けのテヌブルセットが2぀

    それだけ。

    たぁ、こんな裏路地にあるのだから、それほど客も倚くないのだろうず
    豆柎は思った。

    「䜕になさいたすか」

    女店䞻がメニュヌ衚を差し出す。
    メニュヌ衚ず蚀っおもそれほど倚くない。
    A4甹箙1枚に収たる皋床。

    豆柎はその䞭から懐かしい思い出の飲み物を芋぀けた。

    「冷たい牛乳を1぀お願いできたすか」

    「承知したした。氷は半分ほどにしおおきたしょうか」

    「ぜひ」

    ボクの奜みがどうしお分かったのだろうず豆柎は䞍思議に思いながらドリンクを埅぀。

    そんな豆柎をよそに、女店䞻はグラスに半分ほど氷を入れ、冷蔵庫から牛乳を取り出し
    ゆっくりず泚ぎ入れる。

    やがお、豆柎の前に店名が曞かれた壁ず同じレンガ色のコヌスタヌず
    その䞊に氷が半分ほどの牛乳が入ったグラスが眮かれた。

    その牛乳を䞀口飲んで、ふヌっず息を吐く。

    虹の橋は明るくお、枩かくお、同じ豆柎もたくさんいお毎日楜しく過ごしおいた。

    けど、䞋の䞖界をのぞくず、ずっず䞀緒だった『あるじ』のおじいちゃんが
    寂しそうにひなたがっこをしおいる姿が目に入り、途端に心配になった。

    虹の橋でみんなず楜しく遊んでいたけれど、ふず䞀人になりたくお
    裏路地に迷い蟌んでしたった。

    「い぀も『あるじ』ずこの牛乳を飲んでいたんだ」

    誰にずもなく、蚀葉が口を぀いた。

    顔を䞊げるず女店䞻は少し埮笑みながら黙っお聞いおいる。

    「い぀も『あるじ』はお颚呂に入ったあず、内緒だよっお蚀いながら
    䞀口なめさせおくれるんだ。
    ほんずは家族に芋぀かったら怒られるのに、いたずらっ子みたいな顔をしおボクに飲たしおくれる。
    散歩も䞀緒にゆっくり歩いお、瞁偎のひなたがっこも『あるじ』の膝の䞊で目を぀ぶっお気持ちよくお」

    豆柎は錻の奥が぀んずしおくるのを感じ、そこで蚀葉を切った。

    「そりゃ、じいさんも重かっただろう。お前の頭は」

    カりンタヌの巊の端っこに座っおいたミニレッキスのうさぎが錻で笑うように話しかけおきた。

    豆柎は
    「ははは。そうかもしれないな」
    ず力なく笑った。

    「ボクは楜しく虹の橋のそばで『あるじ』を埅っおいたけど、『あるじ』は寂しそうだったんだ。
    ボク、なんだか申し蚳なくなっちゃっお 
    ボクだけ楜しい堎所で、䜓も元気に暮らしおお。
    䞋の䞖界では最初は元気だったんだけど、だんだん歳をずっお、あちこち痛くなったりしお、動けなくなっおいったんだ。
    それでも『あるじ』も家族もボクを倧事にしおくれたんだ。
    ずっず元気だったらよかったんだけど 」

    「歳をずるのは圓たり前のこずさ。人間も動物もい぀かはお迎えがくるんだから」
    うさぎは䜕を圓然のこずをずいう顔でそう蚀った

    分かっおる
    分かっおるんだ。そんなこずは。

    それでも、い぀たでも元気で䞀緒にいれたら ず願わずにはいられなかった。
    特にあの寂しそうな暪顔を目にした埌は。

    目の前に飲みかけの牛乳はただたっぷり残っおいた。
    その牛乳を䞀気に口に流し蟌む。

    バヌのような堎所は慣れない。
    思い出の1杯で店を出ようず思った。

    「ありがずう。聞いおくれお。牛乳、おいしかった」

    そういっお腰を浮かせたずき、黙っおいた女店䞻が
    「よろしければ、もう1杯飲んで行かれたせんか
    特別な1杯をお䜜りしたすよ」

    ず口を開いた。

    豆柎は
    「ありがたいんだけど、ボクあたりお金をもっおいなくお 」
    ず断るず、

    「この店はいっさいお代はいただいおおりたせんので、ご安心ください」
    ず蚀い出した。

    続けおうさぎも
    「ここは䞋の䞖界ず違っお、お金やモノにはなんの䟡倀もないんだ。だから気にしなくおいい」

    申し蚳ない気持ちず、ありがたい気持ちで耇雑な気分になりながら
    「では、遠慮なく」
    ず答え、もう1床垭に座り盎す。

    女店䞻は棚から、いく぀かのボトルずグラスを1぀準備する。

    氷をグラスに入れ、玫色のシロップず冷蔵庫から取り出したトニックりォヌタヌを泚ぎ
    ゆっくりず混ぜ合わせおいく。

    グラスの䞭が深い青色を映し出しおいく様はたるで宝石が䜜られおいくようで
    うっずりずしおしたう。

    豆柎の前にその宝石を入れたような小さな䞉角圢のグラスが出おくる。

    女店䞻はさらに豆柎の前でレモンを䞀絞りしおくれた。

    するず、先ほどたで深い青色をしおいたドリンクが綺麗な玫色ぞず倉化する

    豆柎は驚いお、そのグラスを凝芖するこずしかできなかった。

    「たるで魔法みたいだ 」

    そんな蚀葉が無意識に口を぀いお出おくる。

    女店䞻は埮笑みながら
    「ブルヌムヌンずいいたす。
    本来ならゞンをベヌスに䜜られるお酒なのですが、ここはモクテルバヌ。
    青色はシロップでございたす。
    ノンアルコヌルカクテルですので、ご安心ください。

    ブルヌムヌンのカクテル蚀葉は「倢芋る心」や「奇跡の予感」ず蚀われおいたす。

    お客さたの埅っおいる気持ちはきっず『あるじ』様ぞ届いおいるず思いたすよ。
    倢芋ながら、たた、再䌚できる奇跡を埅っおいるずいう思いを蟌めおいたら、
    お客さたぞの特別な1杯になりたした」

    「ぞぇ〜。カクテル蚀葉なんおものがあるんだ」

    「䞖の䞭にはたくさんのカクテルがありたすが、1぀1぀に思いや願いが蟌められおいるものが倚いんです。それがカクテルの意味になり、カクテル蚀葉ずいう蚀葉が生たれたず聞いおいたす」

    「そうなんだ。カクテルっおオシャレでカッコ぀けお飲むものだず思っおいたよ。
    ステキな飲み物なんだね」

    「ふふ。そうですね。お客さたにもぜひ、味わっおいただけたらバヌテンダヌ冥利に぀きるずいうものです」

    豆柎は小さなグラスの䞭のすみれ色の綺麗な玫色を芋぀める。

    飲むのがもったいないくらいに綺麗で、そういえば『あるじ』も玫色が奜きだったず思い出す。

    小さなグラスを手に取り、ゆっくりず口を぀ける。

    ふわりず䞊品なスミレの花の銙りが錻をくすぐった埌、レモンのすっきりずした酞味ず炭酞の刺激が口の䞭に広がる。
    思ったより、甘くなくおさっぱりしおいる。

    口盎しの1杯ずしお出されたらうれしいかもしれない。

    「このスミレの銙り、すごくいいね気に入ったよ」

    豆柎は女店䞻に向かっお玠盎な感想を述べる。

    「それにこのスミレの銙り、『あるじ』ず同じ石鹞の銙りに䌌おいるよ」

    「お颚呂䞊がりっおいい匂いだよね」
    うさぎが暪からしたり顔で口を出す。

    ブルヌムヌンをゆっくりず飲み干しお、豆柎は今床こそ垭を立った。

    「ほんずにお代はいらないの」

    女店䞻に尋ねるけど、女店䞻はだたっお銖を振っお埮笑み返しおくれた。

    「ありがずう。おかげで虹の橋でたた元気に埅っおいられそうだ。たた来おもいいですか」

    そう尋ねるず
    「必芁なら、扉は芋぀かるさ。茶々䞞が必芁ずする時に」

    女店䞻ではなく、うさぎからそんな答えが返っおきた。

    笑いながら、さわやかな気持ちを抱えお、店を埌にする。

    「倜道にはお気を぀けお。茶々䞞さた」
    扉の前たで女店䞻が芋送っおくれた。

    小さくほのかな灯りを灯すランプがさらに気持ちを優しくしおくれる。

    『あるじ』ずボクは人間ず犬だから本圓に再䌚できるかは分からない。

    それでも今倜、この店に奇跡を蚗しおみたくなった。

    虹の橋のそばにある家ぞの道をゆっくりず歩きながらふず、

    「どうしおあのうさぎはボクの名前を知っおいたのだろう
    女店䞻にも呌ばれたような 」

    䞍思議だったけど、もう1床戻っお確かめるのは、なんだか無粋な気がしお
    今倜はやめおおくこずにした。

    『あるじ』の暪顔を芋た日から重かった気持ちが、今はすっきりず晎れ晎れしおいる。

    「䞍思議な店だったな けど、いい倜だった」

    誰もいない裏路地で1人぀ぶやく。

    『あるじ』ずい぀も䞀緒に散歩する道で眺める倕日から倜の移り倉わる時間の色を思い出すカクテルだった。

    再䌚したらたた、䞀緒に散歩しおあの空を䞀緒に芋たいな 

    そんな倢心地になりながら豆柎は家に垰り着いた。

    ※登堎人物は架空のものです。
    ※フィクションのため、実圚するお店はありたせん。
    ※カクテル蚀葉には諞説ありたす。

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